NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

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今回の学習

第7回

原子核と電子

  • 化学基礎監修:立教新座高等学校教諭 渡部 智博
学習ポイント学習ポイント

原子核と電子

  • サボる2人
  • 箔検電器

2人がサボっているところに所長がやってきます。

所長 「先日、原子について確認したな。原子を、より詳しく見ていくためにいいものがあったんだ。」

ケン 「これが……?」

所長 「まさか、フラメル研究所の研究員ともあろう者が、“箔検電器(はくけんでんき)” を知らないなんてことはないだろうな?」

ケン 「いや、いや!もちろん、知ってますよ。さ、ローザ、やってごらん!」

ローザ 「ホントに分かってんの!?しょうがないわね……。」


そう言って、ローザはポリ塩化ビニルの板とティッシュを受け取ります。

  • ポリ塩化ビニルをティッシュでこする
  • 箔検電器に近づける
  • 金属箔が開く

まず、ポリ塩化ビニルの板を、ティッシュでこすります。
そして、この板を箔検電器に近づけると、金属箔が開きました。

金属箔が開くのには、電子が関係しています。
ティッシュでこすられたポリ塩化ビニルの板がマイナスに帯電し、ティッシュの方はプラスに帯電します。
マイナスに帯電した板を近づけたため、箔検電器の金属板にはプラスの電荷が現れ、板から遠い金属箔の方にはマイナスの電荷が現れました。
金属箔は先が分かれており、どちらもマイナスに帯電したために、金属箔が開いたのでした。

  • クルックス管で電子の動きを観察
  • −から+に電子が流れ壁が発光
  • 障害物の陰ができる

プラスやマイナスの電荷が現れるのは、電子が動くためです。
この “電子の発見” が、原子に関する考え方に大きな変化をもたらしました。

電流が流れるのも、電子が移動することで起こります。
電子は、電源のマイナスからプラスに向かって移動します。

クルックス管を使うと、電子の動きを観察することができます。

クルックス管の中は、ほぼ真空になっています。
高い電圧をかけると陰極から陽極に向かって、電子の粒が飛んでいきます。
電子が蛍光物質を塗ったガラスの壁に当たると、黄緑色に発光します。
壁には、途中にある障害物の形の影ができます。

電子はこのような実験によって発見され、原子に関する考え方に大きな変化をもたらしました。

  • 原子の姿が大きな問題となった

電子が発見されたのは19世紀末という、比較的最近のことです。
そして、電子は原子の一部であると考えられるようになりました。


ローザ 原子って、『これ以上、化学反応では分割できないもの』じゃないんですか?」

所長 「その通りだ!つまり、電子が原子の一部であるということは、原子は “プラスの電荷を持つ成分” と “マイナスの電荷を持つ成分” から出来ているということになる。そこで、『原子は、どのような姿をしているのか?』ということが、大きな問題として、科学者たちの前に立ちはだかったのだ。」

原子の構造
  • 土星型原子モデル
  • ぶどうパン型モデル

当時、多くの科学者たちが、さまざまな原子モデルを考案・発表して論戦が行われました。
そして、20世紀の初めのころには「土星型原子モデル」と「ぶどうパン型原子モデル」の2つに絞られていました。

「土星型原子モデル」は、土星本体のように中心にプラスの電荷を持つ成分があり、その周りを回る衛星のように、マイナスの電荷を持つ電子が取り巻いているというものです。

一方「ぶどうパン型原子モデル」は、マイナスの粒がプラスの中にちらばっているモデルです。
たとえば、パンの生地がプラスの成分で、ぶどうがマイナスの成分というものでした。

この論争に終止符を打ったのは、ニュージーランド出身の科学者・ラザフォードが行った、ある実験でした。

  • 玉付きのネットにボールを投げる
  • 結果

ケンとローザは、“ラザフォードが行った実験” の模擬実験を行いました。

ロープの継ぎ目に玉が配置されたネットを立て、そのネットをめがけてケンがボールを投げていきます。
このとき、ケンは目隠しをした状態で、ボールは全部で100球投げます。
ローザは、ボールがどの位置を通過したのか、またはどの玉にボールが当たったのかを記録します。

ケンはひたすらボールを投げ、100球中10球が玉に命中するという結果になりました。


所長 「予想よりも当たった数が多かったな。しかし、原理はちゃんと示せていたな。」

ケン 「所長、これ結局どういう実験だったんですか?」

  • ラザフォードの実験
  • 原子の中心に小さくて重く+の電荷を持つ粒がある

所長 「ラザフォードの実験では、金を薄く延ばした金箔が使われた。金箔には、金の原子が規則正しく並んでいるんだ。この金箔に向けて、アルファ粒子という、プラスの電荷を持ったごく小さな粒子を当てる。すると、ほとんどのアルファ粒子は金箔を通り抜けてしまったが、ごく一部は “何かに当たって進路が変化したんだ。」

ケン 「ということは、僕がやったのと同じ?」


ケンが行った実験は、ラザフォードの実験における金箔をネットに、そしてアルファ粒子をボールに置き換えたものでした。
金箔に向かったアルファ粒子は、ほとんどが通り抜けてしまいました。
ところが、ごく一部は “何か” に当たって跳ね返ったり 逸れたりと、進路が変化しました。


所長 「この実験が示している事実は、原子の中心に、小さくて重くてプラスの電荷を持つ粒が存在しているということなんだ。」

ケン 「つまり、原子モデルは土星型だったんですね?」

所長 「まぁ、そう早まるな。ここから先は、我がフラメル研究所が誇る特別研究員に説明してもらおう。」

  • 渡辺 智博 先生(立教新座中学校・高等学校 教諭)

ここで、特別研究員の渡部 智博 先生(立教新座中学校・高等学校 教諭)に詳しく解説していただきました。
ラザフォードの実験で分かったのは、“プラスやマイナスの電荷を持つものがどこにあるか”ということだといいます。

渡部先生 「プラスの電荷を持つものは小さくて重く、そして原子の中心にあることが分かりました。そして、マイナスの電荷を持つものは、その周りにあることが分かりました。見方によっては、土星のような姿をしていると考えられます。しかし、その後さまざまな発見や研究を経て、原子のモデルが、はっきりしてきました。」

  • ヘリウム原子のモデル
  • 原子核の大きさは?

ヘリウム原子を例に見てみます(左図)。
すべての原子の中心には原子核があり、プラスの電荷を持つ陽子と、電荷を持たない中性子からなっています。
原子核の周りをマイナスの電荷を持つ電子が回っており
、原子は丸いボールのような形をしています。

陽子1個と電子1個の持つ電荷の大きさは等しく、符号が逆です。
そして、どんな原子でも陽子の数と電子の数が等しいため、原子全体では電気的にプラスマイナス0、すなわち中性になります。


ローザ 「原子って、こんな構造をしていたんですねぇ……。」

渡部先生 「でも、ひとつ注意です。これは、あくまでも説明用に分かりやすく描いてある模式図なので、実際には陽子や中性子、電子は原子と比べてとても小さいんです。」

ケン 「どれくらい小さいんですか?」

渡部先生 「クイズにしましょう。」


【問題】ヘリウム原子を山手線の大きさに拡大すると、原子核の大きさはどのくらい?

1. 東京ドーム
2. サッカーのセンターサークル
3.バレーボール

  • テニスボールはネットの玉にはめったに当たらない

正解は、「バレーボール」の大きさです。

渡部先生 「原子核の大きさは、原子の1万分の1から10万分の1ほどの大きさしかないんです。ですから、ミクロの目で原子を見たら、隙間だらけということです。」

所長 「だから、テニスボールは、ネットのボールにはめったに当たらないということだ。」

質量数
  • 陽子の数=原子番号
  • ヘリウムの質量数は4

原子に含まれる陽子の数は原子の種類によって決まっており、この陽子の数を、その原子の「原子番号」といいます。
たとえばヘリウムの場合、陽子の数は2で、原子番号も2です。

また、陽子の数と中性子の数を足したものを、その原子の「質量数」といいます。
ヘリウム原子は陽子が2 個、中性子が2個なので、質量数は4です。

  • 陽子と中性子に比べて電子の質量は小さい
  • 世界共通のルール

質量数を計算するとき、電子の数は考えに入れません。
陽子と中性子は質量がほとんど同じですが、電子は、陽子や中性子のおよそ1840分の1しか質量がないためです。
陽子と中性子の質量は電子の質量よりはるかに大きいため、原子の質量は陽子と中性子の数でほぼ決まってしまいます。

原子番号と質量数を表す場合、たとえばヘリウムであれば、右図のように書きます。
元素記号の左下に原子番号、左上に質量数を書くのが世界共通のルールです。

陽子と電子
  • 陽子と電子の数で物質の性質が決まる

渡部先生によると、非常に小さい陽子や電子がプラスやマイナスの電荷を持っているということが、化学の世界ではとても大切なことだといいます。

陽子と電子がいくつずつあるのかによって原子の種類が変わる、つまり物質の性質が決まることになります。
さらに、陽子を含む原子核は、比較的大きくて重いため動きません。
それに比べて、電子は小さくて軽いため、よく動きます。

  • 原子はプラスとマイナスがつりあっている
  • 塩素とナトリウムが引き合う

原子はプラスの成分とマイナスの成分がつりあって、電気的に中性です。
しかし原子の中には、電子を失いやすいものと、受け取りやすいものがあります。

このことを、ナトリウムと塩素を例に見てみます。
ナトリウム原子は電気的に中性(左図)ですが、電子を失いやすい性質があります。
反対に、塩素は電子を受け取りやすいという性質があります。
塩素がナトリウムから電子を受け取ると、原子全体がマイナスに帯電します。
これに対して、ナトリウムは原子全体がプラスに帯電します。
このとき塩素とナトリウムが引き合い、結合して塩化ナトリウム、つまり食塩ができます(右図)。

このような化学変化が起きるのも、陽子と電子が電荷を持っているということが基になっています。


それでは、次回もお楽しみに!!

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