NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、2016年度の新作です。

化学基礎

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今回の学習

第5回

元素の確認

  • 化学基礎監修:開成学園中学・高等学校教諭 宮本 一弘
学習ポイント学習ポイント

元素の確認

  • 砂糖と食塩を見分ける
  • 「ちょっと待った!」と所長

テーブルの上にある2つの瓶を、じっと見つめて悩むケンとローザ。
それぞれ砂糖と食塩が入っているのですが、ラベルに書かれた文字が消えてしまったため、どちらがどちらか見分けがつきません。

ケン 「かくなる上は……。」

ローザ 「仕方ないでしょ。」

ケン 「舐めてみればすぐ分かる。」

所長 「ちょっと待った!研究員たるもの、そんなことでどうするんだ。舐めてみるなどとんでもない。なぜ化学の力を使わないのだ。」

  • 砂糖・食塩・重曹・片栗粉

今回は、化学的な方法を用いて物質を見分ける方法を学んでいきます。
砂糖と食塩に加え、重曹と片栗粉の計4つの粉について調べます。

食塩は、化学的に表すと塩化ナトリウムです。
また、片栗粉はデンプンです。
そして重曹は、炭酸水素ナトリウムのことです。
重曹はカルメ焼きを作るときに使ったり、ベーキングパウダーにも入っています。

この4つを、どのようにして見分けたらいいでしょうか。

  • A〜Dの水溶液にヨウ素溶液を入れる
  • Dの色が青紫色に変化

デンプンはヨウ素溶液に反応して青紫色になり、ジャガイモを使った実験がよく知られています。

4つの粉の水溶液を作り、ヨウ素溶液を垂らして実験を行いました。

Aの水溶液にヨウ素溶液を入れても反応がありません。
BとCも同様に変化がありません。
Dは、色が青紫色に変わってきました。

この結果、Dがデンプン、つまり片栗粉だということが分かります。

  • 水溶液をリトマス紙に付けていく
  • 赤が青く変わったので水溶液はアルカリ性

残ったのは砂糖・食塩・重曹の3つです。

この3つは、酸性かアルカリ性かということに注目して見分けます。
酸性かアルカリ性かを調べるには、リトマス紙を使います。
A・B・Cの水溶液を新しく作り、それぞれ赤と青のリトマス紙に垂らしていきます。

結果は次のようになりました。


青…変化無し
赤…変化無し


青…変化無し
赤…変化無し


青…変化無し
赤…青に変化


赤いリトマス紙を青くしたということは、Cはアルカリ性です。
3つの粉のうち、アルカリ性を示すのは炭酸水素ナトリウムの水溶液のため、Cが重曹だと分かりました。

沈殿による検出
  • 宮本 一弘 先生(開成学園中学・高等学校 教諭)
  • 石灰水
  • 吐く息で石灰水が白く濁る

残った砂糖と食塩の見分け方について、特別研究員の宮本 一弘 先生(開成学園中学・高等学校 教諭)に解説していただきます。

この2つを見分ける方法の一つとして、「沈殿による検出」があります。

石灰水に息を吹き込むと、白く濁ります。
これは吐く息に含まれる二酸化炭素と、石灰水に含まれる水酸化カルシウムが反応し、水に溶けにくい炭酸カルシウムが沈殿するためです。
この沈殿から、吐く息には二酸化炭素が含まれていることが分かります。

  • 無色透明の硝酸銀水溶液
  • Bに硝酸銀水溶液を加えると白く濁る

砂糖と食塩も、この「沈殿による検出」によって見分けることができます。

砂糖か食塩かを調べるにあたり、食塩、つまり塩化ナトリウムに “塩素” が含まれていることに注目して「硝酸銀水溶液」を使います。

硝酸銀水溶液を、Aの水溶液とBの水溶液にそれぞれ加えてみます。
Aに加えても変化はありませんが、Bは白く濁ってきました。
これは、水に溶けにくい塩化銀の白色の沈殿が生じたためです。

  • 塩化銀の沈殿が生じた
  • A:砂糖 B:食塩

この反応では、硝酸銀の銀・Agと、塩化ナトリウムの塩素・Cl が結びついて水に溶けにくい塩化銀・AgCl の沈殿ができました(左図)。
このことから、Bの水溶液には成分元素として塩素が含まれていることが分かります。
つまりBが塩化ナトリウム、残るAが砂糖ということになります。



宮本先生 「この塩化ナトリウムの代わりに、水道水を使っても、これと同じように塩化銀の沈殿ができます。なぜだか分かりますか?」

ケン 「水道水には殺菌用の塩素が含まれているからですか?」

宮本先生 「正解です。是非、実験して確認してみて下さい。」


これで、4つの粉すべての正体が判明しましたが、元素を見分ける方法は他にもあります。

炎色反応で元素を調べる
  • 白金線だけでは変化無し

砂糖か食塩かを調べるのに、食塩に含まれる塩素に注目した、「沈殿による検出」を行いました。

しかし、それ以外にも塩化ナトリウムに含まれる “ナトリウム” という金属元素に注目した「炎色反応」を利用した調べ方もあります。
炎色反応とは、物質を炎の中で加熱すると特有の色を示す現象です。

はじめに、白金線のみをガスバーナーの炎につけてみます。
このとき、白金線の上の炎の色に変化はありません。

  • 食塩の水溶液に浸ける
  • ナトリウムは炎が黄色、銅は青緑色に

次に白金線をB(塩化ナトリウム)の水溶液につけ、炎に入れてみます。
すると、炎の色が黄色に変化しました。

炎の色が黄色になったということは、この水溶液にナトリウムが含まれているということを示します。
続いて、銅が含まれた水溶液で試すと、炎は青緑色になりました。

  • リチウム
  • カリウム
  • カルシウム

このように炎色反応では

リチウム Li  … 鮮やかな赤色
カリウム K … 赤紫色
カルシウム Ca … 橙赤色

  • バリウム
  • ストロンチウム

バリウム Ba …… 黄緑色
ストロンチウム Sr … 紅(深赤)色
ナトリウム Na … 黄色
銅  Cu ………… 青緑色


のように、金属元素によって炎の色が変わります。

  • 花火
  • 蛍光X線分析

炎色反応を利用したものに、花火があります。
花火は、さまざまな金属元素によって夜空を鮮やかに彩ります。
化学反応が私たちの身の回りに利用される、スケールの大きな例と言えます。


元素の検出には、これまで見てきたもの以外の方法もあります。
たとえば、分析機器を用いた「蛍光X線分析」というものがあります。

宮本先生 「物質にX線を当てると、蛍光X線という電磁波が発生します。この電磁波の波長・強さを解析して、その物質に含まれている元素の種類や含有量を調べるのが蛍光X線分析です。分析機器を使った元素の検出方法は他にもありますので、ぜひ調べてみて下さい。」

元素を探せ!
  • 電気製品にはレアメタルが欠かせない
  • 排気ガスの浄化に利用されるプラチナ

所長 「元素の個性を実感したところで、次は地面の下に埋まっている元素、鉱物資源の見つけ方だ。特に “レアメタル” といわれる元素は、車や電子機器の材料として、現代の産業を支える大事な元素なんだ。」


レアメタルは、どのように探索されているのでしょうか。

レアメタルは、現代の快適な生活をさまざまな形で支えています。
たとえばテレビ・パソコン・携帯電話などの電気製品は、液晶画面にインジウムが利用されています。
また、半導体にはガリウム、電池にはリチウムなどのレアメタルが使われています。

自動車にもさまざまなレアメタルが使われています。
その中で、排気ガスをきれいにするための触媒として多く使われているのがプラチナです。
しかし、プラチナは日本では全く採れないため、すべて輸入に頼っています。

  • 世界の埋蔵量の95%が南アフリカに集中
  • そのごく一部の地域に集中

世界のプラチナ埋蔵量の約95%は南アフリカに集中しています。
しかも、プラチナが採れるのは、ごく一部の地域に限られています。

  • 石油天然ガス・金属鉱物資源機構の宮武修一さん
  • 比重の大きな物質がある場所は重力が大きくなる

石油天然ガス・金属鉱物資源機構 資源探査部の宮武修一さんによると、日本がプラチナの安定した供給を確保するためには、独自に鉱床を見つける必要がありました。

宮武さん 「地表の部分はくまなく調べられていました。後発の我々としては、比較的探査が行われていないところはどこなのかを探すところから、まずスタートしたわけです。」


そう話す宮武さんですが、広い南アフリカのどこにプラチナが埋まっているのか、探すのは至難の業です。

しかし、手がかりとなる方法がありました。そのひとつが重力探査です。
地球の重力は地域によって微妙に異なっています。
地下に比重の大きい物質が埋まっていると、その場所の重力が大きくなるため、それを利用することで鉱物資源を探すことができます。


宮武さん 「白金(プラチナ)を含む石は重いんですね。重い石が地下にあると、そこは大きな重力の異常を示します。」

  • 重力探査の結果と既に採掘されている地域
  • 新たに調査を行った地域

左図は、重力探査の結果と、既にプラチナが発掘されている地質の範囲を重ねた図です。

赤やピンクは重力が大きい場所を示しており、重力の大きい部分が、プラチナの発掘されている地質の北まで伸びていることが分かります。
その場所は、まだ誰も発掘を行っていない地域でした。

宮武さんの率いる探査チームは、その場所(右図-黒線内)で調査を行うことに決めました。

  • ボーリングで直接地層を調査
  • 新しい鉱床を発見

探査チームは、重力探査の他に磁気探査などを行った末、いよいよボーリングによって直接地層を調べることにしました。
そしてついに、地下600mを超える地点で新しいプラチナの鉱床を発見します。

宮武さん 「その後の資源探査は大変順調で、非常に大きいプラチナ鉱床であることが分かってきました。具体的には南北で13km、深度方向で地下1000mを超えて連続していることが分かっています。さらに探査の余地はまだまだあるということで、どれだけ大きい鉱床に発展するか楽しみです。」

  • 次回もお楽しみに〜!

所長 「レアメタルのような貴重な元素を探す技術は、これからきっと、ますます必要となりますよね。」

宮本先生 「海水の中にも、たくさんの貴重な元素が混じっているので、それを取り出すことができないかという研究も行われています。」

ケン 「元素を人工的に作り出すことはできないんですか?」

宮本先生 「加速器などを使って、原子同士を高速で衝突させて新しい元素を作り出すという研究も行われています。現在分かっている元素のうち数十種類は、そのように人工的に作り出されたものです。ただ、産業に利用できるほど大量の元素を新しく作るのは現在の技術では難しいですね。」

所長 「でも、いずれは必要な元素を必要に応じて作り出せる時代が来るかもしれませんね。」


それでは次回もお楽しみに〜!

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