NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第4回

単体と化合物

  • 化学基礎監修:開成学園中学・高等学校教諭 宮本 一弘
学習ポイント学習ポイント

単体と化合物

  • 錬金術師が使った元素記号
  • 現在は元素をアルファベットで表す

ケンが資料室で古びた紙を見つけてきました。
紙には何を表しているのか分からない記号が、いくつも描かれています。

所長によると、これらの記号は、かつて錬金術師たちが研究の際に用いていた元素記号だといいます。
たとえば、太陽のような形の記号は金を、三日月のような形は銀を表しました。
意味を分かりにくくしてあるのは、錬金術の秘密を盗まれないようにするためです。

昔は暗号として使われていたのに対して、現在の元素記号は簡単なアルファベットで表され、誰にでも何の元素か分かりやすいようになっています。
たとえば、水素は英語の「Hydrogen」の頭文字をとって「H」と表します。
また、ナトリウムはドイツ語から「Na」と表します。
このように、元素記号はその元素を連想しやすいアルファベットの1文字、または2文字で表されます。
2文字の場合、1文字目は大文字、2文字目を小文字で書くという決まりがあります。

元素記号は世界共通の記号であり、元素記号を使った化学の研究成果は、人類の共通財産と言えます。

  • 元素とは
  • 周期表

元素とは何かということを考えてみます。
水は「HO」と表され、水素と酸素からできていることが分かります。
この水素や酸素のように、物質を構成している基本的な成分を元素といいます。

元素は現在 約110種類が知られており、そのうちの約90種類が天然に存在しています。

このように元素には多くの種類があり、その性質の違いによって整理したものが、元素の周期表です。

  • 単体
  • 化合物

私たちの身の回りにはさまざまな物質があり、すべて元素からできています。

たとえば、二酸化炭素・COは、炭素・C と酸素・O の元素からできています。
また、酸素・O は、酸素・O の元素だけでできています。

酸素・鉄・銅・アルミニウムなどのように、1種類の元素からできている物質を単体といいます。
一方、二酸化炭素・ポリエチレン・食塩などのように、2種類以上の元素からできている物質を化合物といいます。
そのため、化合物は分解して別の物質にすることができます。

  • 宮本先生

特別研究員の 宮本 一弘 先生(開成学園中学・高等学校 教諭)にお越しいただき、化合物を単体に分解する実験を行いました。

分解するのは、銀と酸素の元素からできている、酸化銀という化合物です。
分解すると酸素の単体と、銀の単体が得られるはずです。

  • 酸化銀を分解する
  • 酸素がガラス管から出てくる

分解は酸化銀を入れた試験管を加熱して行い、この試験管は水に沈めたガラス管に接続されています。
発生した酸素は、ガラス管から出てきます。

試験管内の酸化銀は、後で取り出しやすいようにアルミ箔の上に乗せてあり、分解後は銀が残ります。

  • 加熱すると膨張した空気が出てくる
  • 酸化銀が白く変化し始める

ガスバーナーで試験管を加熱し始めると、さっそくガラス管から気泡が出てきました。
最初に出てくるこの気泡は酸素ではなく、加熱されて試験管内で膨張した空気です。

少しすると濃い灰色だった酸化銀の色が白に変化してきました。
試験管にたまっていた1本目の空気を捨てた後、続けてガラス管から出てくる酸素を集めていきます。
試験管に酸素がたまったら、水中でゴム栓をします。

酸化銀が全て白くなり反応が終わったら、ガラス管を水槽の外に出してからガスバーナーの栓を閉じて加熱を止めます。
※ガラス管を水槽から出す前に加熱を止めてしまうと、水が逆流して危険です。

  • 線香が炎を上げて燃えた
  • これが銀?

次に、集めた気体が酸素であることを確かめます。
試験管のゴム栓を開け、火のついた線香を入れてみます。
すると、ポンッという音がして炎を上げて燃え、酸素が発生したことが確かめられました。

一方、試験管内の白くなった粉には光沢がありませんが、これは本当に銀なのでしょうか。

  • バーナーで加熱すると金属らしくなる
  • LEDが光り、金属であることを確認

白い粉を試験管から取り出して、さらにガスバーナーで加熱してみます。
すると、粉が融解し、光沢が出て金属らしく変化しました。

さらに、LEDと電池が組み込まれた回路を接続すると電流が流れてLEDが光り、白い粉が金属(銀)であることが確かめられました。

  • 単体と単体が結合して化合物に
  • ダイヤモンドはつくることができる?

このように、銀と酸素の化合物である酸化銀が、単体の銀と単体の酸素に分かれることが確かめられました。

ローザ 「今の実験は、酸化銀から銀ができたので、『錬銀術』?」

所長 「いや、分解前の酸化銀には、元々銀の元素が含まれている。だから錬銀術ではない。錬金術とは、金の元素を含まない物質から金を作ることだった。だがそれは、現在でも化学反応だけでは不可能ということになっている。」

ローザ 「そうなんだ……。残念。」

所長 「だがしかし、ローザの大好きなダイヤモンドは作ることができるぞ!」

  • 黒鉛は炭素の単体
  • ダイヤモンドも炭素の単体

所長 「ここにある黒鉛は、“黒い鉛” と書くが、鉛(Pb)ではなく炭素(C)の単体だ。」

ケン 「たしかに、“炭素の塊” って感じですね。」

所長 「そして実は、ダイヤモンドも炭素(C)の単体なんだ。」

ローザ 「この黒鉛とダイヤモンドが、同じ炭素の単体……。どういうこと?」

所長 「その秘密は、同素体だ。」

  • 同素体

同素体とは、一体どのようなものなのでしょうか。

たとえば、酸素原子は多くの場合、原子が2個結びついた酸素(O)の状態で存在します。
しかし酸素原子が3個結びついたオゾン(O)という物質もあります。

酸素とオゾンのように、同じ元素からできている単体を互いに同素体といいます。
同素体は同じ元素からできていますが、化学的な性質は異なります。

  • 硫黄の同素体

硫黄にも同素体があります。

斜方硫黄の粉末を熱でとかし、再び冷やすと針状の単斜硫黄になります。
どちらも8個の硫黄原子が輪になってつながっている物質です。

斜方硫黄の粉末をとかして水に流し込むと、ゴムのような物質になります。
これも硫黄の同素体で、たくさんの硫黄原子が一列につながったゴム状硫黄という物質です。

  • ダイヤモンドの構造
  • 黒鉛の結晶構造は平面が…
  • 積み重なった構造

ダイヤモンドと黒鉛は、お互いに炭素の同素体であるといえます。

2つの違いは、炭素の並び方にあります。
ダイヤモンドは炭素原子が左写真のように立体的に規則正しく並んで結晶になった物質です。
一方、黒鉛は炭素原子が平面的に並び、それが積み重なった物質(中・右写真)です。


ローザ 「ということは、炭素を原料にしてダイヤモンドがつくれるってこと?!」

所長 「そのとおりだ。炭素からダイヤモンドをつくる研究を見てみたくないか?」

ローザ 「見てみたい!」

  • 杢野由明さん
  • 明るくてまぶしい装置内

ローザは、ダイヤモンドをつくる研究を行っている産業技術総合研究所 関西センターを訪ねました。
案内をしていただいたのは、ダイヤモンド材料チーム長の杢野 由明(もくの よしあき)さんです。
杢野さんは、炭素の化合物であるメタンからダイヤモンドをつくる研究をしています。

さっそくダイヤモンドをつくっているところを見せていただきました。
ダイヤモンドをつくる装置の小窓をのぞくと、内部はピンク色に明るく輝いていました。

  • メタンと水素が送り込まれる
  • マイクロ波でプラズマ状態に

ダイヤモンドがつくられる過程を見ていきます。

最初に装置の中に気体のメタンと水素が送り込まれます。
メタンは、炭素1個に水素4個が結合した物質です。

装置内でメタンと水素にマイクロ波という電磁波が当てられます。
するとメタンと水素はプラズマという状態になり、2000℃以上の高温でばらばらに分解されます。

ローザが穴から見たのは、プラズマが明るく輝いている様子でした。

  • タネになるダイヤモンドに炭素が積み重なる
  • できたダイヤモンドは宝石とは違う

このプラズマの下には、タネになる小さなダイヤモンドが置いてあります。
そのタネの上に、ばらばらになった炭素が次々と積み重なってダイヤモンドの結晶が次第に大きくなっていきます。
この装置でつくられたダイヤモンドを見てみると、ガラス片のような外観で、ローザが思っていたものとは違っていました。

ダイヤモンドは宝石としてだけではなく、「硬い」「光がよく通る」といった性質を利用して、さまざまな実用的な用途に利用されています。
熱がよく伝わる性質も、ダイヤモンドの大きな特徴です。

  • 銅板では氷は切れない
  • ダイヤモンドは持つ手の熱をよく伝える

ダイヤモンドが熱をよく伝える性質を確かめる実験を行いました。

薄い銅板で氷を切ろうとしても、なかなか切れません。
ところが、代わりにダイヤモンドを使うと簡単に氷が切れました。
手の熱がダイヤモンドを通して氷に伝わり、触れた部分はすぐに氷が解けてダイヤモンドが中に入っていきます。
ローザは、ダイヤモンドを持っている指先が冷たくなったのを感じました。


ローザ 「ダイヤモンドって、面白い物質なんですね。」

杢野さん 「はい。今ダイヤモンドは半導体としての利用が期待されています。私たちの研究室では、そのために必要となるウェハーの開発に取り組んでいます。」

  • 炭素の同素体は他にもある

所長 「面白い研究を見てきたな。」

ローザ 「はい。ダイヤモンドはキラキラのアクセサリーだけでなく、日常生活でも実用的に使われているんです。やっぱりダイヤモンドはすごいな〜。」

所長 「炭素の同素体は、黒鉛やダイヤモンドだけではないんだ。」

  • 医学への応用が期待されるフラーレン
  • 新しい電子材料として注目のカーボンナノチューブ

宮本先生に、比較的最近発見された炭素の同素体について解説していただきました。


宮本先生 「フラーレンはサッカーボールのように炭素原子がつながっている炭素の単体で、医学分野への応用が期待されています。一方、カーボンナノチューブも炭素の単体で、筒状の形をしています。日本人によって発見され、新しい電子材料として注目されています。」

ケン 「僕が研究している宇宙開発の方面にも使えるかもしれませんね。」

宮本先生 「そうですね。」


それでは次回もお楽しみに〜!

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