NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午前10:20〜10:40
※この番組は、前年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第3回

物質の三態

  • 監修・講師:立教新座中学校・高等学校教諭 渡部智博
学習ポイント学習ポイント

物質の三態

  • 水

「化学基礎」では、自分たちの身の回りの物質や現象などに興味を持って、鈴木福さんと一緒に考察していきましょう!

福 「この世界にある物質ってほとんどが混合物、つまり いろいろな物質が混じりあったもの。混合物から純物質を取り出すことによって、その性質を調べることができる。こうした純物質の研究を積み重ねて、化学は進歩してきたというお話が心に残りました。
純物質といえば、水は温度によって姿がいろいろ変化しますが、そこではどんなことが起きているのか!?よーく考えてみると、とっても不思議なんですよね。」

物質の状態変化
  • 固体・液体・気体にわける
  • 分けるもの

Q:ここにある物質(消毒用のアルコール、氷水、酸素スプレー、フライパン、風船に入ったヘリウムガス)を「固体」・「液体」・「気体」の3つに分けてみよう!

  • 氷水
  • 物質の三態

福 「この風船にはヘリウムガスが入っているから気体。酸素スプレーも気体だね。鉄のフライパンは絶対に固体。消毒用のアルコールは液体。それから、この氷水は…、固体も液体もある。どう分けたらいいんだろう!?」

美樹 「固体・液体・気体のグループ分け、順調にできたかな?」

福 「4つの物質はバッチリグループ分けできたと思うんだけど、氷水がよくわからないんだよね。だってこれ、固体も液体もある!」

美樹 「いやいや、福くん、それだけじゃないんだよ。目には見えないんだけど『気体』もあるんだから!」

福 「気体も?そうか・・・蒸発してるんだ!!」

美樹 「その通り!この水のように、私たちの身の回りにある物質は温度と圧力に応じて固体・液体・気体のいずれかの状態をとる。この3つの状態のことを、『物質の三態』っていうんだよ。」

福 「物質の三態。同じ水でも、それぞれ、固体・液体・気体、違う状態になる。」

温度や圧力によって物質の状態は変化する。これが「状態変化」だ。
では、自然界で起こる、水の「状態変化」を見ていこう。

  • ダイヤモンドダスト
  • 合掌造り

寒さが厳しい冬の朝、氷の結晶がキラキラ輝いている「ダイヤモンドダスト」は、空気中の水蒸気(気体)が冷やされて、一気に氷(固体)になる現象。
気体から固体への「状態変化」だ。

岐阜県にある世界遺産、白川郷 合掌造りの集落では、かやぶき屋根から湯気が立ちのぼっている。
これは、かやの中の水分が朝日に温められることで蒸発。さらに、空気に冷やされることで再び液体になる現象だ。

ほかにも、私たちの身のまわりでは、さまざまな水の状態変化を見ることができる。

  • マイナス5℃以下
  • 融解

今度は実験で、水がどのように変化するのか確かめよう。
試験管の中に水を入れて凍らせた状態、温度は−5℃以下を示している。

試験管をガスバーナーで加熱すると、だんだん温度が上がってきた。
氷が融けて水に変化し始めた。
固体から液体への状態変化、「融解」が進んでいるんだ。
しかし、温度計を見るとほぼ0℃のまま。

  • 蒸発
  • 沸騰

そして、氷がなくなると再び温度が上がり始めた。
一方、水の表面では、液体から気体への状態変化、「蒸発」が起きている。

温度がほぼ100℃になると、水の中から水蒸気の泡が盛んに出てきた。
この現象が「沸騰」液体の内部からも「蒸発」が起きる現象だ。
温度はほぼ100℃のまま、変わらない。

グラフ

水の状態変化と温度の関係を整理しておこう。
氷は、一気圧のもとでは0℃で「融解」が起きた。
固体が融解する温度を
「融点」という。

さっきの実験とは反対に温度を下げていくと、0℃で「凝固」が起きる。
液体が固体になる温度は「凝固点」という。
そして、温度が上がっていくと、100℃で「沸騰」が起きた。
この温度(100℃)が、水の「沸点」なんだ。

  • 温度を決めたから
  • セルシウス温度

福 「水って不思議だよね。ピッタリ0℃で凍って、ピッタリ100℃で沸騰するんだから。」

美樹 「それはね、水が凍る温度を0℃、沸騰する温度を100℃って、決めたからなんだよ。」

福 「どういうこと!?」

日常生活でよく使うこの温度は、水の融点と沸点を基準にして決められた「セルシウス温度」。
これは、スウェーデンの天文学者 セルシウスのアイデアがもとになっている。
当時の天文学者は、気象観測も仕事の一部。だから、気温を知るために温度の目盛りの基準を考え出したんだ。

福 「なるほどね。仕事のために考えたものが、今や世界中で使われているなんてすごいね!」

  • 渡部先生
  • ドライアイス

(化学基礎・監修講師)渡部先生 物質の状態変化を考えるうえで大事なのは、『状態が変わっても同じ物質だ』ということです。
二酸化炭素を例に考えてみましょう。
二酸化炭素は、固体の状態ではドライアイスと呼ばれます。アイスを買ったときに保冷剤をもらったことあるかな?その保冷剤がドライアイスです。
気体の二酸化炭素と固体のドライアイスでは、状態がずいぶん違いますが、状態変化すると、どうなるのか見てみましょう。

  • ドライアイスを温める
  • 昇華

細かく砕いたドライアイスを試験管に入れ、ポリ袋を付けたゴム栓でフタをする。
この試験管を熱湯に入れて温めると、ペッタンコだった袋がめいっぱい膨らんだ。
一方、ドライアイスのほうは、(熱湯に入れて)温め始めた途端、どんどん小さくなって消えてしまった。
これは、固体から気体への状態変化、「昇華」が起こったためだ。

  • ドライアイスを冷やす
  • 昇華

では、気体になった二酸化炭素を、液体窒素で一気に冷やすとどうなるだろうか?
(膨らんでいた)袋は、元通りのペッタンコに。
そして、試験管の中は白い塊ができた。これは、二酸化炭素が再び固体になったもの。
気体から固体への状態変化、「昇華(凝華)」が起こって、再び元のドライアイスに戻ったんだ。

福 「ドライアイスがなくなったかと思ったら、冷やすとまた元に戻ったっていうことは、『状態変化が起こっても、物質自体は同じもの』ってことなんだね。」

美樹 「そうだね。こうした状態変化を利用して作られたものが、実は身の回りにもいろいろあるんだよ。」

  • 鉄を融解
  • 鉄を凝固

たとえば、鉄のなべも「状態変化」を利用して作られたものなんだ。
高温の炉の中で鉄が「融解」し、液体になる。
鉄の融点は1538℃(1気圧のもと)。
融けた鉄を鋳型(いがた)に流し込むと、あっという間に温度が下がって「凝固」が起こり、固体になる。

  • 花を蒸す
  • 凝縮

そして、花のいい香りを閉じ込めた香水も「状態変化」を利用して作られたもののひとつ。
花を高温の水蒸気で蒸すことで、香りの成分が気体になる。
その気体を冷やして液体に「凝縮」させる方法で、花の香りがするオイルを取り出しているんだ。

粒子の熱運動
  • 固体の熱運動
  • 液体の熱運動

福 「物質の状態変化って、すっごく不思議。そもそも、なんでこんな現象が起きるんだろう?」

美樹 「それはね、『熱運動』だよ!」

「熱運動」とは、物質を構成する分子などの小さな粒(粒子)が絶えず行っている不規則な運動のこと。

固体の場合
・熱運動は穏やか
・粒子は規則正しく並んでいる
・一定の位置を中心にごくわずかに振動している


液体の場合
・熱運動は固体より少し活発になる
・粒子の規則正しい配列が乱れる
・移動できるようになる

  • 気体の熱運動
  • 物質の状態変化

気体の場合
・熱運動は激しい
・粒子は空間を自由に動き回るようになる


このように、物質の状態変化は、熱運動によって 物質を構成する粒子の集合状態が変化することで起きるというわけだ。

福 「固体の粒子がほとんど動かないってことはわかったんだけど、液体と気体の粒子はどちらも動き回るんだよね?その違いがいまひとつピンとこないな…」

  • 人に例えた固体
  • 人に例えた液体
  • 人に例えた気体

粒子の動きを、人に例えてイメージしてみよう!
固体では、規則正しく並んだ粒子は、その位置のまま、手足を動かしているくらい。
動き回ることはない。

液体になると、粒子は部屋の中を動き回るようになる。
速く動く粒子もあれば、ゆっくり動く粒子もある。

特に速く動く粒子が勢いよく部屋を飛び出した!これが、気体の場合。
熱運動が激しく、粒子はとても自由に動き回っているんだ。

美樹 「少しはイメージできた?」

福 「うん。人に例えると、だいぶ想像しやすくなった気がする。」

美樹 「福くんみたいに元気があり余っている粒子が、飛び出しちゃうってことだね!」

福 「じゃあ、目には見えないけど、水の中でも粒子が動き回っているってことか…。」

  • 空気・二酸化窒素
  • 二酸化窒素が下りてきた

目には見えない熱運動を、実験で確認しよう!
使うのは、二酸化窒素が入ったビンと、空気が入ったビン。
二酸化窒素は、赤褐色で空気より重い気体だ。
空気が入ったビンの上に二酸化窒素のビンを乗せフタを外すと、予想通り 重い二酸化窒素が下りてきて空気と混ざった。

  • すぐに変化は見られない
  • 二酸化窒素が広がってきた

では反対に、二酸化窒素のビンを下にしてフタを外すと、すぐに変化は見られない。
でも、そのまましばらく観察すると、上のビンに少しずつ二酸化窒素が広がってきた!

福 「重い二酸化窒素の上に軽い空気があったから、混ざらないんじゃないかって思ったけど、熱運動があるから全体が均一に混ざったんだね!」

  • 芳香剤
  • 拡散

美樹 「こうした熱運動を利用したものが身のまわりのものにもあるんだよ。例えば…」

福 「トイレとかに置く芳香剤。確かに、置いておくだけで香りがだんだん広がってくよね。」

美樹 「そう!この芳香剤みたいに、物質が自然に広がっていく現象を『拡散』っていうんだよ。」

福 「お風呂に入浴剤を入れると、自然に広がっていくのも拡散?」

美樹 「お風呂の場合、温度差によって起きる『対流』っていうのがあって、それも影響しているんだけど、液体でも『拡散』が起こることは確か!気体ほどではないんだけどね。」

福 「確かに、食べ物の匂いとかも広がっていくのは早いもんね!」

粒子間の力
  • 粒子同士が引き合う力

福 「熱運動で拡散していくっていうのはわかったんだけど、拡散って広がっていくことだよね?でも、液体だと広がっていくこともあれば、水滴みたいにまとまることもあるよね?反対のことが起こっている気がするんだけど、一体どういうことなの!?」

美樹 「福くんいいところに気がついたね!熱運動は粒子の不規則な運動で、その結果 『拡散』が起きる。でも一方で、『粒子どうしが引き合う力(粒子間の力・分子間力)』もあるんだよ。」

福 「粒子どうしが引き合うって、どういうこと?」

美樹 「じゃあ、実験してみようか!」


今回の実験、右の試験管には 水、左の試験管には エタノールがほぼ満タンに入っている。

  • エタノール・水
  • 実験

まずは、水の入った試験管に水を垂らしてみよう。
あふれないように試験管ギリギリまで少しずつ垂らすと…

  • 水は水面が膨らむ
  • エタノールはこぼれた

福 「こぼれないかな…。おぉ!水を結構 垂らしたけど、こぼれてない!表面張力で水面が膨らんでるよ!」

美樹 「表面張力が起こるのは、水の粒子どうしが引き合う力があるからなんだよ。」

福 「そっか!これが粒子どうしが引き合う力なんだね!」

続いて、エタノールの方はどうだろう。
エタノールの入った試験管にエタノールを少しずつ垂らすと…

福 「あれ?こぼれちゃった。」

美樹 「エタノールは、水に比べて、粒子同士が引き合う力が弱いんだ。要は、表面張力が小さいってことだね。」

福 「(水とエタノールは)見た目は同じように見えるけど、性質はまったく違うんだね。」

  • エタノールと水の粒子間の力の比較
  • 熱運動

この実験では、水よりエタノールの方が粒子間の力が小さいということがわかった。
また、こうした違いは状態が変化することでも起きる。
その違いを生み出しているのが「熱運動」
熱運動は、固体より液体の方が活発になり、気体になるとさらに激しくなる。
その結果、粒子どうしが引き合う力は、固体より液体の方が相対的に弱くなり、気体になると無視できるほど小さくなる
んだ。

  • 熱運動と粒子間の力を知っておくことが重要
  • 想像してみることが大事

渡部先生 身の回りの物の性質を知るには、目に見えているところだけを見るのではなく、目に見えないところで何が起こっているのかを想像することが大事です。
そして、『物質の三態』を考えるうえで『熱運動』と『粒子間の力』、この二つを知っておくことがとても重要なんですね。」


福 「身の回りの物質の性質を知るためには、目に見えないものまで見ようとする、想像してみることが大事なんだね!」

美樹 「うん。本当に大切なものは目には見えないんだから。」

福 「なんか聞いたことあるような…」


それでは、次回もお楽しみに!

【第3回 物質の三態】3ポイント まとめ
  • 第3回ポイント1
  • 第3回ポイント2
  • 第3回ポイント3

1:物質の状態変化
物質は、温度と圧力に応じて、固体・液体・気体のいずれかの状態をとる。
状態が変化しても物質そのものは変わらない。

2:粒子の熱運動
状態変化が起こるのは、粒子の不規則な動き「熱運動」があるから。

3:粒子間の力
物質の状態変化では、熱運動と粒子間の力、その二つを考えることが重要だ。

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