NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

今回の学習

第3回

物質の三態

  • 化学基礎監修:開成学園中学・高等学校教諭 宮本 一弘
学習ポイント学習ポイント

物質の三態

  • アイスを氷で冷やす…?
  • やはり濡れてしまったアイス

みんなで食べようとアイスクリームを買ってきたローザでしたが、フラメル所長とケンが見当たりません。
ローザはアイスを置いて、2人を探しに部屋を出て行きます。
そこへ入れ違いで戻ってきたケンがアイスを見つけ、溶けないようにと氷で冷やし始めます。
ところが、しばらくして所長と一緒に戻ってきたローザは、びしょびしょに濡れたアイスを見つけます。

ローザ 「ちょっとケン!あなた いたずらしたでしょう!氷なんか使ったら、溶けてビショビショになるのは当たり前。ドライアイスを使うのが常識でしょ!」

ケン 「ドライアイスって、どうして濡れないんだっけ?」

所長 「ドライアイスは昇華して気体の二酸化炭素に、氷は融解して液体の水になる。この世のすべての物質は、状態変化を繰り返すのだ!」

  • 常温常圧で固体
  • 常温常圧で液体
  • 常温常圧で気体

今日は、化学の基礎ともいえる、物質の状態変化について確認していきます。

陸上競技で使われる砲丸は、鉄でできています。
塩の物質名は塩化ナトリウムで、塩素とナトリウムの化合物です。
これらは、常温常圧では塊の状態、つまり「固体」です。

次に、水と水銀です。この二つは、常温常圧で「液体」です。
水銀が入った容器をローザが持ってみると予想以上に重く感じました。

また、私たちの周りには、「気体」つまり空気がたくさんあります。
空気の主な成分は、窒素と酸素です。
身の周りにあるすべての物質は、温度と圧力が決まると、固体・液体・気体のいずれかの状態をとります。
これを「物質の三態」といいます。

物質の三態と状態変化

一定の圧力のもとで温度を変化させると、物質は固体から液体になったり液体から気体になったりと姿を変えます。

この「姿が変化する」現象は、

融解 … 固体 → 液体
凝固 … 液体 → 固体
蒸発 … 液体 → 気体
凝縮 … 気体 → 液体
昇華 … 固体 ⇔ 気体


のように、それぞれ決まった呼び方があります。

そして、このような変化のことを、「状態変化」といいます。

いろいろな状態変化
  • 加熱開始
  • 氷が融解するまで0℃のまま

身近な物質である水の状態変化を見てみます。
試験管には水を入れて凍らせてあり、温度は はじめマイナス5℃以下です。
試験管を加熱すると温度が上がっていき、0℃付近で氷が溶けて水に変化し始めました。
どんどん水が増え、氷が小さくなっていきます。
しかしこの間、温度計を見ると、ほぼ0℃のまま変わりません。

  • 0℃〜100℃では水面で蒸発が起きる
  • 100℃で沸騰

氷がほとんどなくなると、温度が再び上がり始めます。
このとき、水の表面では液体から気体への状態変化である「蒸発」が起きています。

温度がほぼ100℃になると、水の中から水蒸気の泡がさかんに出てきます。
この現象が「沸騰」です。沸騰は、液体の内部からも蒸発が起きる現象で、液体の水と気体の水蒸気が混じり合った状態です。
温度は約100℃のまま変わりません。

液体の水がすべて蒸発したあと、水蒸気を加熱し続けると水蒸気の温度は100℃を超えてさらに上がっていきます。

水の状態変化と温度変化

氷は、1気圧のもとでは0℃で融解が起き、この時の温度を、「融点」といいます。
反対に温度を下げていった場合、0℃で液体から固体への状態変化である「凝固」が起こるため、その時は「凝固点」といいます。
また、水の温度が上昇して「沸騰」が起きる時の温度は、「沸点」です。

状態変化が起きても、物質そのものが変化するわけではありません。
つまり姿が変わっても、同じ物質です。

  • 宮本 一弘 先生
  • 液体窒素を別の容器に移す

ここで宮本 一弘 先生(開成学園中学・高等学校教諭)にお越しいただき、実際に物質の状態変化についての実験を見せていただきました。

宮本先生が持つ大きな容器の中には、液体窒素が入っています。
最初に、液体窒素を別の容器に移しとります。
この時、安全のため保護面をつけて行います。

マイナス196℃の液体窒素から見ると、容器の温度がとても高いため、容器に注ぐと沸騰が起こります。

  • バラを凍らせる
  • 握ってみると
  • 音を立てて砕ける

沸騰が収まってきたところで、バラの花を凍らせてみました。
液体窒素から見ると、花の温度もやはり高いため、再度沸騰が起こります。

沸騰が収まってきたところで花を外に出して握ってみると、パリパリと音を立てながら砕けてしまいました。

  • 液体窒素に試験管を浸す
  • 2分で中の水は凍る

次に、液体窒素を使って、「水から氷へ」状態変化させてみます。
発泡スチロールの容器に液体窒素を注ぎ、水の入った試験管を浸します。
わずか2分後、試験管を取り出すと水は凍っていました。

  • ポリ袋付きの試験管に酸素を入れる
  • 冷却するとポリ袋がしぼむ
  • 酸素が青い液体になった

今度は、酸素を冷却してみます。
ポリ袋をつけた試験管に酸素を入れ、この試験管を液体窒素に浸します。
すると酸素で膨らませたポリ袋が、どんどんしぼんでいきます。
これは酸素が、「気体から液体へ」凝縮している証拠です。

試験管を液体窒素から取り出すと、試験管の内部では酸素が薄い青色の液体になっていました。

ローザ 「酸素って、とても身近なのに、とても不思議な物質なんですね。」

所長 「そうだね。さまざまな物質の不思議を解き明かすことも、我々化学者の仕事だ。もっともっと、いろいろな状態変化を見ようではないか。」

  • 水蒸気が昇華するダイヤモンドダスト

北海道北見市では、寒い朝に空気中にキラキラ輝く氷の粒である、ダイヤモンドダストが見られることがあります。
ダイヤモンドダストは、空気中の水蒸気が昇華して氷になる現象です。
自然の力による芸術的な状態変化です。

  • 鉄が融解して液体に
  • 鋳型に流し込むと凝固する

固体から液体、液体から固体という状態変化は、モノ作りの現場で利用されています。
鉄の鍋を作る工場では、高温の炉の中で鉄が融解して液体になっています。
鉄の融点は、1気圧のもとで1538℃です。
しかし、融解した鉄を鋳型に流し込むと温度が下がって凝固が起こり、固体になります。

  • ドライアイスに水銀を流し込む
  • マイナス39℃で凝固

同じ金属でも、水銀は常温常圧では液体です。
水銀の温度を下げて凝固させてみます。
ドライアイスに窪みを作り、そこに水銀を流し込みます。
はじめのうちは、水銀と触れたドライアイスが温められて気体に変わるため、激しく泡立ちます。
しかし、しばらくすると、水銀が固まり始めました。
水銀の凝固点は、1気圧のもとでおよそマイナス39℃です。
今回の実験では、約6分で固体への状態変化が起きました。
固まった水銀持ち上げると、水銀が金属だということが納得できます。

  • 塩化ナトリウムを加熱する
  • 塩化ナトリウムは800℃で融解する

最後に、塩化ナトリウムが融解する様子を観察してみます。
塩化ナトリウムを融点付近の約800℃までガスバーナーで加熱すると、融解が始まりました。
溶けた液体は食塩水ではなく、純粋な塩化ナトリウムの液体です。
舐めると塩辛いはずですが、その前に火傷してしまいます。

熱運動が姿を変える
  • 粒子の熱運動と状態
  • 香り成分の粒子が熱運動で拡散

物質の状態変化は、なぜ起きるのでしょうか。

すべての物質は、目で見ることができないほど小さな粒子でできています。
この粒子は、その温度に応じて絶えず不規則な運動をしており、この運動を「熱運動」といいます。
物質の状態変化が起きるのは、温度や圧力によって物質を構成している粒子の動き、つまり熱運動が変化するためです。

固体では粒子が互いに規則正しく並び、熱運動はおだやかで、その位置を中心に振動しています。

固体に熱を加えると、今度は液体になります。
液体では、粒子の熱運動が固体より少し活発になります。
その結果、粒子は自由に移動できるようになります。

液体にさらに熱を加えると、気体になります。
気体では粒子の熱運動は激しく、空間を自由に運動するようになり、粒子の間の距離も大きくなります。
そして、熱運動が活発になるにつれて、物質の体積が大きくなります。

液体から気体に状態変化すると、体積は1000倍以上にもなります。


宮本先生 「粒子が熱運動していることが分かる現象として、『花の香りが広がる』ということが挙げられます。空気中の香り成分の粒子が、空気を構成する気体の粒子とともに熱運動して、空間を広がっていきます。このために特に風が吹いていなくても、自然に香りが広がっていきます。このように、物質が熱運動によって自然に広がる現象を『拡散』といいます。」

  • 固体の粒子の動き
  • 液体の粒子の動き
  • 気体の粒子の動き

ここで、粒子の熱運動モデルを体感する装置を使って、粒子の熱運動をシュミレーションしてみました。

所長とケンが装置を持ち、まずは小刻みに振って固体の状態を再現してみます。
粒子は、それぞれ決まった位置でわずかに振動します。

温度が高くなって液体になると、粒子の熱運動が活発になります。
装置内のボールは、決まった位置から移動し、特定の範囲で動くようになります。

そして、さらに温度が高くなって気体の状態になると、粒子の熱運動はもっと激しくなります。
ボールは、装置いっぱいに広がって運動するようになります。

一番低い温度は?
  • −273℃は絶対零度
  • 絶対温度の単位はK

熱運動の激しさは温度によって変わりますが、圧力が一定のまま温度が上がったり下がったりした場合にはどうなるのでしょうか。

温度が上がるにつれ、粒子の熱運動は次第に激しくなっていきます。
温度はどこまでも上がり続け、上限はありません。

一方、温度を下げていった場合、粒子の熱運動は次第に小さくなっていき、マイナス273℃で完全に止まってしまいます。
この温度を、「絶対零度」といいます。
化学の世界では、この絶対零度を起点とした「絶対温度」を使うことがあります。

普段私たちが使っているのは、「セ氏」、つまりセルシウス温度です。
これは1気圧のもとでの水の融点を0、沸点を100として、その間を100等分して目盛りを振ったものです。
セルシウス温度の単位は、℃です。

絶対温度はセルシウス温度の目盛りの幅をそのまま使い、絶対零度(=マイナス273℃)を0としたものです。
単位は、アルファベットのKを書いて、「ケルビン」と読みます。
セルシウス温度の0℃は、絶対温度では273Kということになります。


宮本先生 「身近な現象である状態変化ですが、目では見えないくらい小さな粒子の熱運動で説明できましたね。この熱運動は、化学の世界ではとても大切です。」

  • 次回もお楽しみに!

ケン 「何事も、基本が大事なんですね。そのことを肝に銘じて、今後の研究に活かしていきます。」

ローザ 「あーっ!!アイスのこと、すっかり忘れてました!せっかく奮発したのに……。」

ケン 「実は、さっき使った液体窒素で、カチンカチンに凍らせておきましたよ。」

所長 「液体窒素で?それは、冷やし過ぎじゃないか?」

ローザ 「もう、だからドライアイスを使うのが常識だって言ったでしょ!」

と怒るローザ。

所長 「ローザは沸点が低いなぁ・・・」

それでは、次回もお楽しみに〜!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約