NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第2回

純物質と混合物

  • 化学基礎監修:東京学芸大学附属高等学校教諭 岩藤 英司
学習ポイント学習ポイント

純物質と混合物

純物質と混合物
  • 18金は純金?
  • 純金は24金

プレゼントでもらった金のブレスレットを見つめ、うれしそうなローザ。

ローザ 「ここに『18K』って刻印されているんだけど、これって18金のことだよね。18金って、純金のこと?」

ケン 「金が18%なんじゃないの?」

所長 「おいおいおい。研究員たるもの、そんなことも知らないでどうするんだ。」

そう言って、フラメル所長が登場します。


金の純度は24分率で表され、純金は24金です。
18金とは24分の18という意味で、75%が金で、残りの25%は他の金属でできています。

  • 空気は窒素や酸素などの混合物
  • 海水も混合物

純金のように1種類の物質からなるものを「純物質」といい、18金のように2種類以上の物質が混じり合ったものを「混合物」といいます。

私たちの身の回りには、純粋なものはめったに存在せず、ほとんどが混合物です。
例えば空気は、窒素・酸素・アルゴンなどの混合物です。
また海水は、水・塩化ナトリウム・塩化マグネシウムなどからなる混合物です。

  • 10金は、金の含有量が40%

純金のブレスレットだと思っていたローザは、18Kが純粋な金でないと知ってがっかりしてしまいます。
しかし、アクセサリーなどに、金と他の金属との混合物が使われるのには理由があります。

18金には、金の他に銀や銅などが含まれています。
この、金以外の金属のために強度が高くなっているのです。

さらに金の含有量が少ない10金の場合、金は40%ほどしか含まれていません。半分以上は銀や銅などです。
これは値段を安くするという目的もありますが、アクセサリーの場合「変形しにくい」「傷がつきにくい」という性質が求められるため、あえて他の金属を混ぜるという意味もあります。

  • 様々な金製品を新しい金に再生する
  • 硝酸:塩酸=1:3の王水

この金属加工場には、不要となって回収された、さまざまな金の製品が集まります。
ここから純度の高い金を取り出して新しい製品に再生しています。

その作業はまず金を鍋に入れて、硝酸と塩酸を1:3の割合で混ぜた「王水」を加えます。
王水は金やプラチナなども溶かす液体です。

  • 鍋の底に泥のようなものがたまる
  • 本当に金?

6時間加熱すると、金が完全に溶けました。
薬品を加え、さらに加熱すると鍋の底に泥のようなものがたまってきました。

これをろ過して洗浄し、乾燥させたものが「粗金」です。
この作業をくり返して金の純度を高めていくということですが、この状態では まるで金には見えません。

  • 1200℃以上の熱を加える
  • 型に流し込んで冷却して完成

しかし、この粗金に1200℃以上の熱を加えると、次第に溶けて色が変わってきました。
完全な液体になった粗金は、たしかに金色です。これを、型に流し込んで冷却すると完成です。

でき上がった金をローザが持ってみると、ずっしりと重く感じました。

  • 不純物が混じる
  • 金属加工場の淺川 茂さん

しかし、この金の純度を測定してみると、99.94%でした。
金属加工場の淺川 茂さんに話をうかがうと、王水で溶かしてろ過するという作業を行っても、どうしても不純物が混じってしまうといいます。

淺川さん 「純金というのは99.99%のことをいうので、私たちはそれを目標に努力を重ねて、何度も王水で溶かして、ろ過をくり返して99.99%の金をつくりあげる努力をしているんです。」

こうして、99.99%の純度になったものだけが、24金として出荷されます。


ローザ 「あれだけ何度も作業をくり返しても100%にならないなんて、なんだか残念な気がします。」

所長 「いやいや、99.99%まで純度を高めれば純物質といっていいんだよ。そして、混合物から純物質を取り出すことは、重要なことなんだ。」

純物質の意味
  • 岩藤 英司先生

ほとんどのものが混合物という中における純物質の重要性について、岩藤 英司 先生(東京学芸大学附属高等学校 教諭)に話をうかがいます。

岩藤先生 「混合物のままですと、物質の性質というものが良く分かりません。純物質を取り出すと、沸点、融点、密度などの固有の性質を求めることができます。そうすることで、純物質と純物質を反応させて新しい化合物を作ることができるんです。化学というのは、そうやって発展してきました。」

このように化学の発展には、純物質は欠かせないものだったといいます。

  • イレブンナインと言われる超高純度
  • 薬も純物質が重要

ケイ素の単結晶である、シリコンウェハーを例に見てみます。
シリコンウェハーの純度は限りなく100%に近く、99.999999999%と、9が11個並ぶイレブンナインといわれる超高純度です。
シリコンウェハーは、非常に小さく切られ、携帯電話やパソコンに利用されています。
これらの精密機器を正しく働かせるためには、この純度が必要だといいます。


また、薬においても純物質が重要です。市販の頭痛薬なども、何の純物質が何mg入っているか決まっています。

岩藤先生 「これが不純物を含んでいたら、病気を治すどころか、もしかしたら悪影響を及ぼしたり、命の危険にかかわることだってあるかもしれません。」

ローザ 「純物質のありがたさが、よく分かりますね! 」

所長 「そこで混合物から純物質を取り出す『分離』が必要になるわけだが、どんな方法があるか分かるかな?」

分離する方法
  • ろ過
  • 蒸留

分離の方法として、まず「ろ過」があります。
漏斗にろ紙を乗せて液体を注ぐと、液体に溶けていない固形物を取り除くことができます。
ろ過は、固体と液体を分ける際に用いる方法です。

次に「蒸留」という方法もあります。
液体を含む混合物を加熱して沸騰させ、発生した蒸気を冷やして、再び液体として分離します。
蒸留は、沸点の違いを利用して液体の混合物を分離する際に利用する方法です。

  • 蒸留でワインからエタノールを分離
  • 蒸発した気体が冷却され液体のエタノールに
  • 沸騰するワインの温度は85℃

蒸留によってワインからエタノールを分離する実験を見てみます(左写真)。
ガスバーナーで加熱してワインを沸騰させると、蒸発した気体は上昇し、冷却器に流れ込みます。すると、そこで液体となってフラスコにたまっていきます。

加熱している容器の中の温度は85℃で、エタノールの沸点78.3℃と、水の沸点100℃の中間の温度です。
このとき、水よりもエタノールの方がさかんに蒸発するため、その蒸気を冷却するとフラスコには濃いエタノールが液体となってたまります。

  • 石油の精製に利用される分留
  • 沸点の違いを利用して精留塔で精製

沸点の違いを利用して2種類以上の混合物を分離する「分留」は、石油の精製に利用されています。
原油の分留には、精留塔と呼ばれる装置が使われています。
原油は、沸点の違いを利用して、ガソリン・灯油・軽油・重油などに分けられます。

  • 温度による溶解度の違いを利用
  • 濃度が高い硝酸カリウムが飽和に達して結晶に

温度による溶解度の違いを利用して不純物を取り除く操作を「再結晶」といいます。

不純物として硫酸銅を加えた硝酸カリウムの溶液を、ゆっくり冷やしていきます。
すると、液面に近いところから硝酸カリウムの白い結晶が見え始めます。
温度を下げていくと濃度の高い硝酸カリウムが飽和に達して、結晶となって再び現れたのです。

  • 抽出
  • ヨウ素がヘキサンの方へ移動した

ある液体に、目的とする物質を溶かし出して分離するのが「抽出」です。
容器の中にヨウ素溶液とヘキサンを入れると、ヨウ素溶液の方が密度が大きいため下に沈み分離します。

ところが、これをよく振ってみると色が変わりました。
ヨウ素は水よりもヘキサンに溶けやすいため、ヨウ素溶液中のヨウ素のほとんどがヘキサンの方に移動したのです。

  • ヨウ素と塩化ナトリウムの混合物からヨウ素を分離
  • 混合物を入れたビーカーの上に氷水入りのフラスコを乗せる

物質が「昇華」する性質を利用して、混合物から物質を分離する実験を行ってみます。
昇華とは、物質が液体にならずに固体から気体、あるいは気体から固体に状態が変化することです。

次の手順で、ヨウ素と塩化ナトリウムの混合物から、ヨウ素を昇華させて分離します。

1.混合物が入ったビーカーを、ガスバーナーで熱する
2.ビーカーの上に、氷水の入ったフラスコを置く
3.気体になったヨウ素が、フラスコの外側底面で冷やされ、また固体になる

  • ヨウ素が昇華して紫色の気体になる
  • 気体が結晶に変化

実際にビーカーを熱していくと、ヨウ素が昇華して紫色の気体に変わっていきます。
気体は上昇してフラスコの底で冷やされ、次第に結晶になって現れてきました。

そっと持ち上げると、きらきらと輝く結晶ができたことが分かります。
このように、昇華によってヨウ素を分離することができました。

  • ペーパークロマトグラフィー
  • 黒インクはいろいろな色からつくられる

ろ紙などに染みこむ速さの違いを利用して物質を分離するのが「ペーパークロマトグラフィー」です。これはクロマトグラフィーという分離方法のひとつです。

黒いペンを使って実験を行います。
ろ紙に黒いペンで点を描き、その上にスポイトで水をたらしていくと、しみこんだ水がインクとともに広がっていきます。すると、青や水色、黄色や赤などの色が表れました。

黒インクは、メーカーによっては色を混ぜてつくる場合があります。ペーパークロマトグラフィーによって、いろいろな色が表れてきました。
色素の種類によって染みこむスピードが違うため、このように分離を行うことができます。

  • 次回もお楽しみに!

今回見た主な混合物の分離方法は、

・ろ過
・蒸留(分留)
・再結晶
・抽出
・昇華
・クロマトグラフィー

の6つでした。


それでは、次回もお楽しみに!

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