高校講座HOME >> 化学 >> 第32回 脂肪族炭化水素
![]()


こんにちは〜 今日のテーマ 今井 泉先生
みなさん、こんにちは!
今日のテーマは、「脂肪族炭化水素」。講師は今井 泉先生、実験は吉田哲也先生です。
脂肪族炭化水素は、油の固まりから見つかった化合物です。また、炭素と水素からできています。
そのことから、脂肪族炭化水素と呼ばれます。
脂肪族炭化水素は、炭素同士の結びつき方から、アルカン、アルケン、アルキンの3つに
分類することができます。
今回はこの3つの脂肪族炭化水素の特徴と分類の方法を見ていきましょう。
<今日のテーマ>
@ アルカン
A アルケン
B アルキン


メタンの分子模型 メタンの構造式
アルカンの代表的なものに、メタンがあります。
都市ガスの多くはメタンを主成分にしていますが、原料である天然ガスは、ほぼ純粋なメタンです。
左の写真は、メタンの分子模型です。
黒は炭素原子(原子価4)。白は水素原子(原子価1)を表しています。
模型を平面にして見ると、炭素を中心に4つの水素原子がくっついているように見えます。
これを右の図のような構造式で書くことができます。


メタン発生の実験 化学反応式 メタンの分子式と構造式
● メタンの発生
試験管の中に、酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウム混ぜて、加熱します。
すると、メタンが発生します。
化学反応式は、中の図のようになります。
メタンは炭素原子が1つですが、アルカンの特徴は、炭素原子どうしが単結合、つまり1本の手で
つながっていることです。


エタン プロパン ブタンと2-メチルプロパン
● アルカンの仲間
アルカンの仲間に、エタンがあります。
エタンは炭素原子が2つあります。
左の図、エタンの構造式を見るとわかるように、炭素原子が1つ増えると、水素原子が2つ
増えています。
続いて、プロパンです。プロパンは炭素原子が3つあります。
中の図、プロパンの構造式を見てみると、炭素原子が1つ増えた分、同じように水素原子が2つ
増えています。
さらに、ブタンを見てみましょう。ブタンは、炭素原子が4つあります。
右の図、構造式で見てみると、炭素原子が1つ増えて、水素原子が2つ増えています。
このように、アルカンの仲間は、それぞれの炭素原子が単結合で結ばれています。
同じ分子式でも、性質や構造の異なる異性体があるものがあります。
実は、ブタンと同じ分子式C4H10の化合物はもう一つあります。
このように、分子式で区別できないものは、構造式で区別します。
右の図、分子模型を見ると、ブタンは炭素が一列に並んでいるのに対して、もう一方は炭素原子の並びが
枝分かれしています。
これは、2-メチルプロパンといいます。
アルカンは燃料によく使われています。
メタンは都市ガス用コンロ、プロパンやブタンはLPガスボンベ、ブタンはガスライターなどに
使われています。
アルカンという名前は、物質名の英語の語尾をとったものです。
メタン(methane)、エタン(ethane)、プロパン(propane)の語尾のaneが共通しているので、
これらをアルカン(Alkane)と呼んでいます。


エチレンの分子式と構造式 エチレン発生の実験 化学反応式
アルケンの代表として、エチレンがあります。
エチレンはかすかに甘い香りがする化合物で、プラスチックの原料になっています。
また、植物の成長ホルモンとしても知られています。
例えば、バナナは、まだ青い状態で輸入します。この青いバナナをエチレンによって、人工的に
熟したバナナにして出荷することができるのです。
左の図、エチレンの分子模型を見ると、炭素と炭素が2本の棒で結合しています。
アルケンの特徴は、炭素原子同士が二重結合しているということです。
エチレンを構造式で表すと炭素原子同士が2本の線で結ばれた、図のような形になります。
● エチレンの発生
エチレンを発生させてみましょう。
脱脂綿を入れた試験管にエタノールを入れ、触媒として活性アルミナを入れます。
活性アルミナを加熱すると、エタノールの蒸気が加熱した活性アルミナの上を通過して水が取れ、
エチレンが発生します。
化学反応式は、右の図のようになります。


メタン、エチレンと臭素水の反応 エチレンの付加反応 アルケンは語尾にeneがつく
● メタンとエチレンの違いを調べる
アルカンの仲間のメタンと、アルケンの仲間のエチレンの違いを、実験で調べてみましょう。
臭素水を用意します。
まず、先ほどと同じようにメタンを発生させて、出てきた気体を臭素水に入れます。
色に変化はありません。
次にエチレンを発生させて、出てきた気体を臭素水に入れます。
すると、褐色だった臭素水が無色透明になりました。
実験から、メタンは臭素の色が変化させませんが、エチレンは臭素の色を変化させることがわかりました。
なぜ、エチレンだけが臭素の色を変化させたのでしょうか。
エチレンを臭素に通すと、臭素が付加して1,2-ジブロモエタンができました。
二重結合している炭素原子は、他の分子(臭素分子))と結びつきやすく、この時、二重結合が切れて
単結合になります。
すると、手が一本余るので、そこに臭素原子が結びついて、1,2ジブロモエタンができるのです。
そのため、臭素水の色が消えて無色透明になったのです。
このような反応を付加反応といいます。
一方、アルカンの仲間のメタンは臭素の色を変化させませんでした。
これは、メタンがもともと単結合のため、臭素を付加することができなかったからです。
アルケンはたくさんの分子が付加反応させて、合成樹脂や合成繊維をつくるという特徴があります。
製品としては、ポリ袋、プラスチックコップ、化学繊維などがあります。
アルケンは私たちの生活の中に、無くてはならないプラスチックの原料になっているのです。
アルケンという名前も英語の語尾から呼ばれています。
エチレン[正式にはエテン(ethene)]、プロピレン[正式にはプロペン(propene)]、ブテン(butene)と
語尾にeneが付くことからアルケン(Alkene)といいます。


アセチレンの分子式と構造式 アセチレン発生の化学反応式 アセチレンランプ
アルキンの代表として、アセチレンがあります。
アセチレンは常温では無色の気体で、燃やすとススの多い炎をあげて燃えます。
しかし、酸素を十分に供給すると、約3000℃くらいの高温を得られるので溶接などに使用します。
アセチレンの分子式と構造式は左の図のようになります。
アルキンの特徴は、炭素原子どうしが三重結合していることです。
● アセチレンの発生
アセチレンを発生させてみましましょう。
炭化カルシウムと水を二股試験管に用意して2つを混ぜ合わせると、すぐに反応が始まります。
発生した気体がアセチレンです。
化学反応式は、中の図のようになります。
右の写真は、昔なつかしいランプで、アセチレンランプといいます。
ランプの下にあるタンクには炭化カルシウムが入っています。
上のタンクには水が入っていて、水のタンクの横の調節ネジで落下する水の量をコントロールします。
炭化カルシウムと水を反応させてアセチレンが発生したら、管の上で火をつけます。
今では電灯が普及していますが、一昔前まではアセチレンランプが夜の照明として活躍していました。


アルキンの語尾はyneです
アルキンという名前も英語の語尾から呼ばれています。
アセチレン[正式にはエチン(ethyne)]、プロピン(propyne)、ブチン(butyne)と、語尾にyneが付くことからアルキン(Alkyne)といいます。


先生、教えてください!! 沸点による原油の分留 次回もお楽しみにー
Q : プラスチックの原料として大量に使われるエチレンは、全てアルコールからつくっているんですか?
A : 実は、エチレンは石油からつくられています。原油は沸点の違いによって成分を分けることが
できます。
中の表、ガソリン分(ナフサ)から、プラスチックの原料であるエチレンがとれます。
石油は、車のガソリンだけでなく、プラスチックの原料としてもとても大切です。
それでは、次回もお楽しみに〜