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今回の学習内容

第16回 物質の変化

酸化と還元

講師:東京都立西高等学校教諭 吉本 千秋
今回から酸化還元反応を学びます。燃焼反応のように物質が酸素原子と結びつく反応を酸化といい、逆に酸素原子を失うことを還元といいます。
さらに、電子のやりとりに注目して、酸化還元反応を考えていきましょう。

学習ポイント

 酸化と還元
今日のテーマ
あきえ1s 第16回テーマ 吉本千秋先生

      こんにちは〜!           今日のテーマ               吉本千秋 先生

みなさん、こんにちは!

今回のテーマは、「酸化と還元」。講師は吉本千秋先生、実験は貝谷康治先生です。
酸化とは酸素と化合することで、還元とは酸素を失うことですが、電子のやりとりで考えていくと、
いろいろな酸化還元反応があります。

<今日のポイント>
@ 酸化と還元
A 酸化還元反応
B 酸化数

    ポイントの1  酸化と還元
    酸化と還元 酸化還元 あきえ酸化された

           酸化と還元           「された」と受け身で表現      鈴木さんは「酸化された」

    酸化とは・・・物質が酸素と化合する反応。その物質を化合物といいます。
    還元とは・・・物質が酸素を失う反応。元にもどるので還元といいます。


    酸化や還元の反応は、「酸化された」、「還元された」という受け身の言い方をします。
    例えば、先生が持っている酸素原子を鈴木さんに渡すとします。
    この時、鈴木さんは「酸化された」、先生は「還元された」ということになります。

      加熱した銅線 酸化銅U 水素と反応

           銅線を熱します        酸化されて酸化銅(U)に…      水素で還元すると水ができる

      ● 銅と酸化銅 

      銅線をガスバーナーで加熱します。銅は酸化しにくいので加熱して、反応を促進するのです。
      加熱した後、空気中に出すと黒くなりました。
      酸化銅(U)という物質が表面にできたのです。
      つまり、空気中の酸素が、銅と反応して、銅が酸化されたということです。

      次に、試験管に入った水素と酸化銅(U)を反応させます。
      反応を起こしやすくするために酸化銅Uを加熱して、水素が入った試験管に入れると、
      黒かった酸化銅が銅の色にもどりました。
      さらに、試験管の内側がくもりました。水が生成されたからです。

        酸化銅化学式 銅と水素の酸化還元式

          銅は酸化されて酸化銅(U)に   酸化銅(U)は還元されて銅に

        この実験を化学反応式で表してみましょう。
        まず、銅と酸素の反応です。
        2Cu + O2 → 2CuO

        ここで酸素原子を受けとって、酸化されたのは銅です。

        次に、酸化銅(U)と水素の反応を式にすると以下のようになります。
        CuO + H2 → Cu + H2O

        ここで酸素原子を失って、還元されたのは酸化銅(U)です。
        失った酸素原子は、水素が受け取って酸化され水ができました。

          ポイントの2  酸化還元反応
          電子の動き 酸化還元は同時2s 電子の移動図

            電子の移動があります         酸化還元は同時におこる          電子の移動

          今度は電子に注目して、酸化と還元の反応を考えていきましょう。

          左の図、銅と酸素が反応して、酸化銅(U)ができるとき、2モルの銅は4モルの電子を失って
          2価の銅イオンになっています。
          銅は電子を失って酸化されたということになります。

          放出された電子は酸素分子が受け取っています。
          1モルの酸素分子は、4モルの電子を受けとって、2モルの酸化物イオンができています。
          生成した銅イオンと酸化物イオンが結合したものが酸化銅(U)というわけです。

          このように、電子のやりとりに注目して、酸化と還元を考えることができます。
          鈴木さんが持っている電子を先生に渡すと、鈴木さんは酸化されたといいます。
          また、先生は電子を受け取ったので、還元されたといいます。

          ある物質から電子が放出されると、必ず他の物質が受け取るので、酸化と還元は同時におこります。
          この反応を、酸化還元反応といます。

            銅と塩素の反応 銅イオンで青色水 銅と塩素の式

              銅と塩素がはげしく反応         水が青色になりました        電子のやりとりがあります

            ●銅と塩素の酸化還元反応

            電子のやりとりに注目すると、酸素原子を含まない酸化還元反応もあります。

            銅と塩素の酸化還元反応の実験を見てみましょう。
            コイル状に巻いた銅線を、ガスバーナーで熱します。
            銅線を塩素の入ったビンの中に入れると、激しく反応して煙が出てきました。

            次に、ビンを振ると、ビンに入れておいた水と反応して青色になりました。
            銅がイオンになったからです。

            右の図、化学反応式を見てみましょう。
            Cu + Cl2 → CuCl2

            1モルの銅は2モルの電子を失って、銅イオンになりました。銅は電子を失って酸化されました。
            放出された2モルの電子は、1モルの塩素が受け取って、2モルの塩化物イオンが生成されました。
            塩素は電子をもらったので、還元されました。

            銅イオンと塩化物イオンが結合したものが、塩化銅(U)となりました。

            水に溶かした時に青色になったのは、銅イオンの色が出たためです。

            この反応では酸素原子はかかわっていませんが、電子のやりとりがあったので、酸化還元反応
            ということになります。

              ポイントの3  酸化数
              酸化数決め方3 酸化数の決め方 銅の酸化数

                  酸化数の決め方2           酸化数の決め方3         計算で出すことができます

              酸化還元反応がはっきりわかるために、酸化数というものがあります。
              酸価数・・・原子の酸化・還元の程度を表す数値

              酸化数の決め方には、いくつかの決まりがあります。

              ・酸化数の決め方 その1
              単体の中の原子の酸化数は0と決めます。
              銅、酸素原子、水素原子、硫黄などの単体も酸化数は0です。

              酸化数の決め方 その2
              化合物のなかでは、たとえば、水素原子は+1、酸素原子は-2、ナトリウム・カリウムは+1、
              カルシウム・マグネシウムは+2。

              ・酸化数の決め方 その3
              イオンは、電価がそのまま酸化数になっています。
              たとえば、ナトリウムイオンは+1、銅イオンは+2、アルミニウムイオンは+3、
              塩化物イオンは-1、酸化物イオンは-1になります。

              ・酸化数の決め方 その4
              化合物中の原子の酸化数の総和は0になります。

              たとえば、化合物、水 H2Oで考えてみましょう。
              化合物中の水素原子は+1、酸素原子は-2となります。
              水素原子は2つあるので、+2と−2で酸化数の総和が0となります。

              化合物、酸化銅 CuOの場合はどうでしょうか。
              酸素原子は−2。銅が分からない場合、Cuの酸化数をXとします。
              化合物の総和は0なので、X+(−2)=0
              結果、X=+2となります。

              このように、酸化数の分からない場合でも計算で求めることができます。

                電子と酸化数 銅と酸化銅の酸化数

                  電子と酸化数の関係       酸化、還元が酸化数の変化でわかる

                酸化されるとき、電子を失います。この時、酸化数は増加します。
                還元されるとき、電子を受け取ります。この時、酸化数は減少します。
                酸化数の増減に注目すると、どの物質が酸化されて、どの物質が還元されたかが分かるのです。

                具体的に式で考えてみましょう。
                銅が酸化した式、2Cu+O22CuOです。
                銅は酸化されて、酸素が還元されています。
                銅の単体の酸化数は0。分子の中の酸素原子の単体も0。
                反応後の酸素は−2、銅が+2となりました。
                銅は反応前が0、反応後が+2となっているので、酸化されて酸化数が増加しています。
                酸素は反応前が0、反応後が−2となっているので、還元されて酸化数が減少しています。

                  草津温泉 硫黄 硫化水素と酸素の反応

                   といに黄色の沈殿物、これは硫化水素が酸素と反応してできた硫黄    酸化数で考えてみましょう

                  群馬県にある草津温泉。ここでは、自然界の中でダイナミックな酸化還元反応がおこっています。

                  火山活動から得られる温泉のお湯には、硫化水素という気体が溶けています。
                  お湯がわき出している湯畑には、木製のといが何本も並んでいます。
                  といの中には、黄色い沈澱物があります。温泉水に含まれる硫化水素から硫黄を取り出しているのです。
                  このように、硫化水素から硫黄ができるのも、自然界で起こる酸化還元反応のひとつなのです。

                  温泉水の中では、さまざまな化学反応がおこりますが、硫化水素が酸素と反応すると、硫黄と水ができます。
                  2H2S +O2 → 2S + 2H2O

                  それぞれの酸化数を見てみましょう。
                  反応前、硫化水素の中の水素が+1、硫黄は−2。酸素は単体なので0です。
                  反応後、硫黄は単体なので0、水の中の水素原子は+1、酸素は−2となります。

                  酸化数の増減から酸化されたもの、還元されたものを考えましょう。
                  硫黄は−2から0へ酸化数が増えています。硫黄は酸化されたのです。
                  酸素は0から−2へ酸化数が減っています。酸素は還元されたのです。

                    今日の復習
                    あきえQ 銅と酸化銅の式 3s

                       先生、教えてください!          銅を例に復習             次回もお楽しみに〜

                    Q:もう一度、酸化還元反応と電子の関係を教えてください。
                     
                    A:銅と塩素の反応で復習しましょう。
                      銅は電子を放出して、酸化されました。
                      放出した電子を受け取った塩素は還元されました。
                      電子を失うと酸化された、電子を受け取ると還元されたといい、これは同時におこるので
                      酸化還元反応といいます。

                    それでは、次回もお楽しみに〜!

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