高校講座HOME >> 化学 >> 第7回 原子量・分子量

今回の学習内容

第7回 物質の構成

原子量・分子量

講師:駒場東邦中学校・高等学校教諭 今井 泉
原子1 個の質量はきわめて小さいので、そのまま扱うのは不便です。そこで、原子の質量は、ある原子の質量を基準にして相対的に表しています。
今回は、原子量や分子量など、原子や分子の質量の扱い方について学習しましょう。

学習ポイント

 原子量・分子量
今日のテーマ
あきえ1s 第7回のテーマ 今井先生1s

     こんにちは!               今日のテーマ              今井 泉先生

みなさん、こんにちは。

今日のテーマは、「原子量・分子量」。 講師は今井 泉先生、実験は古寺順一先生です。

原子量・分子量とは、原子や分子の「多さ」や「数」をいうのではなく、「質量」をいいます。

<今日のポイント>
@ 相対質量
A 原子の相対質量
B 原子量・分子量・式量

難しい言葉が出てきますが、ひとつずつ順番に学習していきましょう。

    ポイントの1 相対質量
    原子の大きさ 原子の質量

     原子の大きさはどのくらい?         原子の質量

    原子の直径は、約1億分の1cmほどです。
    身の回りのもので考えると、原子とピンポン玉の関係は、ピンポン玉と地球の関係と同じくらいの
    大きさになります。

    では、原子1つ分の質量はどのくらいになるのでしょうか。
    水素原子は、1.67×10-24 g。 炭素原子は、1.99×10-23 g。
    そして酸素原子は、2.66×10-23 gくらいです。

    原子の質量はとても軽いので、質量自体を量るのは困難です。
    そこで、相対質量を使います。

      リングとクリップ てんびんではかる 質量の比

         実験で考えてみましょう    クリップ1つとリングいくつが釣り合う?      相対質量

      ● 相対質量とは

      相対質量とは、どのようなものでしょうか。

      金属のリング、三角クリップ、丸クリップ それぞれの質量を、リングの質量を基準にして比べます。
      まず、三角クリップをてんびんの一方に乗せ、反対側にはリングを乗せて釣り合わせます。
      三角クリップ1つは、リング3つと釣り合い、丸クリップ1つは、リング5つと釣り合いました。
      リング、三角クリップ、丸いクリップの数の比から、リングの質量を基準にして、2つのクリップの質量を
      表すことができます。
      このように、質量そのものではなくて、何かを基準として質量を表したとき、その値を相対質量といいます。

      原子の質量はとても軽いので、直接量るのではなく、ある原子を基準にした相対質量で表すことが
      できます。

        ポイントの2 原子の相対質量
        炭素基準の相対質量 水素と炭素 炭素表し方

            相対質量の考え方    炭素原子1個は水素原子12個と釣り合う      表記の方法

        原子の質量に、相対質量の考え方を当てはめてみましょう。
        炭素原子を基準にして相対質量を考えると、水素原子は1.0、酸素原子は16.0と表すことができます。
        これは、基準になる炭素原子1個と、水素原子12個が釣り合うことを意味しています。

        炭素原子の12という値は、炭素の質量数 (陽子の数+中性子の数) を表します。

          ポイントの3 原子量・分子量・式量
          水素と炭素 原子量 塩素

            水素と炭素の原子量         塩素は小数であらわす?         塩素の原子量

          同位体とは、同じ元素でも質量数の異なる原子のことをいいます。
          天然に存在する元素の多くは、さまざまな種類の同位体が一定の割合で混ざっています。

          同位体の存在比は、どのくらいなのでしょうか。
          例えば、水素の質量数1のものは99,9885%、質量数2のものは0.0115%です。
          つまり、ほとんど質量数1のものであるということになります。
          存在比を考慮すると、水素の原子量は1.008になります。

          さまざまな物質の原子量を見てみましょう。
          厳密には、水素1.0は1.008、炭素12は12.01ですが、化学を学習する上では概数で十分です。

          しかし、塩素をみると35.5と小数で表されています。
          これは、塩素は質量数35のものが75%、37のものが25%と同位体の割合が無視できないからです。
          それぞれの質量数に存在比をかけると、原子量は35.5という値になります。

            マグネシウムの原子量は? 燃えるMg 酸化マグネシウム

             マグネシウムの原子量は?        マグネシウムは酸素と反応して、酸化マグネシウムになる

            ● マグネシウムの原子量を求める

            マグネシウムの質量数を実験で求めてみましょう。
            マグネシウム が燃えると、マグネシウム原子1つに対して、酸素原子が1つ化合して
            酸化マグネシウムMgO になります。

            酸素の原子量は16ということがわかっています。
            酸化マグネシウムの中の、酸素a とマグネシウムb の質量がわかれば、マグネシウムの原子量? を
            求めることができるはずです。

            しかし、そのまま燃やしたのでは、結びついたマグネシウムと酸素の質量はわかりません。
            そこで、次のような実験をしました。

              実験セット

                     反応する酸素とマグネイウムの質量を調べます         0.094gの酸素が使われました

              試験管に酸素を封じ込めます。
              試験管の中には、0.140 gのマグネシウムが入っていて、電流を流すと点火するようになっています。
              水槽には酸素の入ったメスシリンダーが立ててあって、試験管はメスシリンダーの酸素とチューブでつながっています。

              マグネシウムと酸素の反応がおこると、使われた分の酸素がメスシリンダーから試験管に移って
              いきます。
              メスシリンダーの、最初に酸素が入ってりる位置には黄色い印が付けてあって、
              酸素が少なくなった分だけ水面が上がるので、使われた酸素の量を知ることができます。
              これで、反応したマグネシウムと酸素の質量がわかります。

              実験の結果、0.140 gのマグネシウムを燃やすと、0.094 gの酸素が使われたことがわかりました。

                Mgの原子量を求める こたえは24

                  比の計算で求めてみよう          Mgの原子量は24

                実験の結果をまとめまてみましょう。

                酸素の質量は0.094g。マグネシウムの質量は0.140gでした。
                0.094g:0.140g=16:?で計算すると、?は24になります。

                マグネシウムの原子量は24であることが、計算によって求められました。

                  水分子 二酸化炭素分子 塩化ナトリウム

                         水の分子量           二酸化炭素の分子量分子     塩化ナトリウムの式量

                  ● 分子量・式量

                  分子量は、各原子の原子量の和になります。
                  H2Oと書く、水分子で考えたみましょう。
                  水素Hの原子量が1.0.酸素Oの原子量が16なので、水の分子量は合計の18となります。
                  二酸化炭素、CO2の場合も考えてみましょう。
                  酸素Oの原子量が16、炭素Cの原子量が12なので、二酸化炭素の分子量は合計の44となります。
                  分子量も原子量と同じように、単位はつけません。

                  続いて、塩化ナトリウムNaCl を見てみましょう。
                  塩化ナトリウムは分子をつくりません。ナトリウムイオンNaと塩化物イオンClが1:1でイオン結合している
                  物質です。
                  実際にはNa+、Cl−というイオンからできていますが、電子の質量は無視しても構わないので、
                  Naの原子量23と、Clの原子量35.5をそのまま足して、58.5となります。
                  これを、分子量に対して、式量といいます。

                    質量分析器 質量分析器のしくみ 鉱物資源の研究

                          質量分析器         質量によって曲がり方が違う     鉱物のできた環境がわかります         

                    ● 同位体を調べる : 質量分析器

                    鈴木さんは、つくば市の産業技術総合研究所で、質量分析器を使った同位体の研究を見学してきました。

                    質量分析器は、大きな磁石でできています。
                    イオンになった原子が磁石の間を通ると、磁石に引かれて曲がります。
                    このとき、重いイオンは少ししか曲がりませんが、軽いイオンは大きく曲がるという特徴があります。

                    森下祐一さんは、この質量分析器を使って石英の同位体の研究をしています。
                    石英(水晶)は、シリコンと酸素が結合した化合物です。
                    この酸素原子は99%以上が質量数16の酸素で、残りが質量数17と18の同位体です。そして、この同位体の割合が石英のできた場所によって違うのです。

                    石英の表面を平らにして、薄く金を貼りつけます。
                    これを質量分析器にかけ、検出される質量数18の酸素の数のわずかな違いを測定します。

                    この方法は、石英だけでなく、他の鉱物にも応用することができます。
                    このような研究から、さまざまな鉱物を発見したり、鉱物ができたころの地球のようすを知ることが
                    できるのです。

                      今日のまとめ
                      教えて下さいあきえ 比の計算 バイバイ3s

                          教えてください・・・・            ハイ、それは・・・           次回もお楽しみに!

                      Q:もう一度、Mg (マグネシウム) の原子量の計算方法を教えてください。

                      A:マグネシウムと酸素が1:1で反応するとき、酸素0.094g に対して、マグネシウム     0,.140g であることがわかりました。
                        酸素の原子量は16であることがわかっているので、これを比で計算します。
                        0.094:0.140=16:?となります。
                        これを計算すると、マグネシウムの原子量は24となります。

                        原子量は化学の基本なので、しっかり復習してください。

                      それでは、次回もお楽しみに〜

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