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今回の学習内容

第6回 物質の構成

イオンと分子

講師:立教新座高等学校教諭 渡部 智博
イギリスの科学者ファラデーは、ギリシャ語の「行く(ion)」という語にちなんで、電気を帯びて動く粒子をイオンと名付けました。
今回は、イオンの生成とイオンや分子からできている物質について学びましょう。

学習ポイント

 イオンと分子
今日のテーマ
鈴木あきえ1S 第6回のテーマ 渡部智博先生1S

     こんにちは!              今日のテーマ              渡部智博先生

みなさん、こんにちは。

今日のテーマは、「イオンと分子」。講師は渡部智博先生、実験は柏恭子先生です。

<今日のポイント>
@ イオンの生成
A 分子からできた物質
B 分子式と構造式

    ポイントの1 イオンの生成
    周期表 塩素発生 塩化ナトリウム(食塩)です

      周期表で確認しましょう           塩素が発生             塩素とナトリウムが反応

    「イオン」 という言葉は、ギリシア語の、「行く (あるところに動く)」 という言葉にちなんで名付けられ
    ました。

    周期表を見てみましょう。
    1族はアルカリ金属、17族はハロゲン。この2つは、反対の性質をもっています。
    1族のナトリウムは水に溶けるとアルカリ性に、17族の塩素は酸性になります。
    では、反対の性質をもつものが反応すると、どうなるでしょうか。

    実験をしてみました。
    まず、さらし粉を用意しました。さらし粉はプールなどの消毒に使います。
    さらし粉を入れたフラスコに塩酸を入れて反応させると、塩素が発生します。
    続いて、十分に加熱したナトリウムをフラスコに入れます。
    すると、勢いよく反応して、白いものができました。
    ナトリウムNaと塩素Clが反応して塩化ナトリウムNaCl(食塩)ができたのです。

    ナトリウムと塩素が結びつく反応には、イオンが関係しています。

    ※この実験は危険が伴います。必ず適切な指導者のもとで行ってください。

      水溶液中のイオン ナトリウムイオンと塩化物イオン イオン結合

           水溶液中のイオン       ナトリウムイオンと塩化物イオン        イオン結合

      ●イオン結合

      固体の食塩は電気を通しませんが、水に溶かして食塩水にすると電気を通します。
      塩化ナトリウムは、プラスの電気を帯びた粒と、マイナスの電気を帯びた粒が交互に並んで
      できています。
      固体の状態では、粒が動かないので電気を通しません。
      しかし、水溶液にすると、プラスとマイナスの電気を帯びた粒 (イオン) に分かれます。
      すると、マイナスの電気を帯びたイオンはプラス極に、プラスの電気を帯びたイオンはマイナス極へ動き
      電気を通すようになります。

      ナトリウムは原子番号が11なので、原子核の陽子は11
      電子は11個なので、K 殻に2個、L殻に8個、M殻に1個となります。
      ナトリウムのM殻の電子はとても取れやすく、ナトリウムは電子が1つ足りないNaという
      ナトリウムイオンになります。
      これを、陽イオンといいます。

      一方、塩素は、元素番号が17なので、原子核の陽子は17です。
      M殻に7つの電子があり、もう1つ電子が入る余裕があります。
      この余裕のある部分に、ナトリウムのM殻にあった電子が入って、マイナスの電気を帯びた
      塩化物イオンCl-になります。これを、陰イオンといいます。

      陽イオンと陰イオンは、それぞれプラスとマイナスの電気を帯びているので、互いに引きつけ合います。
      これを、イオン結合といいます。

        硝酸カリウムをしみこませたろ紙 硫酸銅の結晶 イオンの正体しくみ

         硝酸カリウムをしみこませたろ紙   マイナス極へ引っ張られました    陽イオンが移動したからです

        ●イオンの動きを見る

        イオンの動きを、見てみましょう。

        まず、電気を流れやすくするために、硝酸カリウム水溶液をろ紙に十分浸します。
        次に、アンモニア水をろ紙の真ん中にたらします。
        ろ紙の両端をクリップでとめて電極にします。左側がプラス極、右側がマイナス極です。

        ろ紙の中央に、硫酸銅の結晶を置いて、電流を流します。
        すると、硫酸銅の青い色が、マイナス極の方へ動いていきます。
        これは、プラスの電気を帯びた銅イオンが、マイナス極に引かれたためです。
        つまり、電気を帯びたイオンが移動するようすを見たことになります。

          ポイントの2  分子からできた物質
          固体の分子 水溶液中の分子 水素分子

           固体では動くことができません    水溶液中でも電気を通しません        共有結合

          分子とは、原子が結びついてできた粒子のことです。

          ショ糖 (砂糖)を使った実験で、分子の特徴を調べてみましょう。
          ショ糖は固体の状態でも、水溶液にしても電気を通しません。
          ショ糖は、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)からできています。
          固体の状態で電気を通さないのは、これらの粒が動かないからです。
          水に溶かすと、ショ糖の粒はばらばらになって動くことができるようになりますが、電気を帯びた粒には
          なっていないので、電気を通さないのです。

          なぜ、電気を帯びた粒にならないのか、水素を例に考えてみましょう。
          水素は原子番号が1で、K殻に1個の電子をもった電子配置です。
          K殻には、2つの電子が入ることができるので、もう1つ電子が入る余裕があります。
          そこで、2つの水素が近づくと、互いに電子を出し合って、K殻が満たされた安定した状態になります。
          これを、共有結合といい、結合したものを水素分子といいます。

          炭素や酸素も水素と同じ非金属元素に属していて、共有結合します。

            ポイントの3 分子式と構造式
            水素 水

             水素分子の分子式と構造式       水の分子式と構造式

            分子式と構造式について、水素分子を例に見ていきましょう。

            水素の分子式は、分子を構成する原子の種類と数を表します。
            水素分子は、2つの水素原子からできていているので、H2となります。
            一方、構造式は、それぞれの原子の結びつき方を説明する式です。
            水素原子と水素原子が一本の線で結ばれています。この線を価標といいます。

            今度は水素と酸素の結合を見てみましょう。
            水素は原子番号1。K 殻に電子が1つあり、1個の電子が入る余りがあります。
            酸素は原子番号8。K 殻に2個、L殻には6個の電子があり、2個の電子が入る余裕があります。
            そこで、2つの水素原子と1つの酸素原子が、互いに電子を出し合って共有結合をします。
            構造式で表すと、H とO をそれぞれ価標で結んだ式になります。

              海水を真水に変える 真水を作る装置 地域で活躍

                 自転車で真水をつくる         これが真水を作る装置         海外でも役立っています

              ●海水から真水をつくる

              東京大学工学部で、海水から真水をつくる実験を見せてもらいました。
              今回は、海水の変わりにバケツに入れた食塩水を使いました。

              一見自転車のように見える装置をこいで、食塩水から真水をつくります。
              自転車をこいで約10分後、バケツの中の食塩水が減って、ビーカーに水が出てきました。
              バケツの中の食塩水は電気を通しましたが、ビーカーにたまった水は電気を通しません。
              食塩水が真水になったのです。

              自転車には、食塩水の中のイオンを通さない膜が使われています。
              そのため、ペダルをこぐと、食塩水の中の水だけが膜を通り抜け、真水になっったのです。

              この装置は、海水はあっても真水がない地域で、真水を手軽につくりだすために考えられました。

                今日の復習
                あきえQ 周期表 3S

                     教えてください              ハイ、それは・・・           次回もお楽しみに〜

                Q:分子になる元素、イオンになる元素は決まっているのですか?

                A:周期表を見てみましょう。
                緑色の元素が非金属元素、黄色の元素が金属元素です。
                ナトリウムのような金属元素と塩素のような非金属元素が結びつく時には、イオン結合をします。
                一方、水素・炭素・酸素のような非金属元素同士が結びつく時には、共有結合をして分子になります。
                つまり、結びつく元素の性質によって、イオンになるのか分子になるのかが決まります。

                次回もお楽しみに〜!!

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