NHK高校講座

現代の国語

Eテレ 隔週 月曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、2022年度の新番組です。

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今回の学習

第5回

オンラインコミュニケーション

  • 灘高等学校教諭 井上 志音
学習ポイント学習ポイント

オンラインコミュニケーション

オンラインコミュニケーション
  • スタジオ風景
  • 向井さん

番組のMCは向井慧(パンサー)さん。
一緒に学ぶ生徒は鈴野いおりさん、石岡飛鳥さんの2人です。

今回のテーマは「オンラインコミュニケーション」。

オンライン授業をはじめ、オンラインゲームやSNSのチャットなど、オンラインコミュニケーションには様々なものがありますが、今回は、ビデオ通話やオンライン会議のように同じ時間を共有して、映像や音声のやりとりをするタイプのコミュニケーションについて考えていきましょう。

オンライン懇親会に挑戦!
  • 連想ゲーム
  • 自分を漢字1字で表すと?

しゅうせいさん、アイビーさんを加えた4人の生徒に、実際にオンラインコミュニケーションを体験してもらいました。行うのは懇親会。司会を担当するのは、いおりさんとあすかさんです。

いおりさんは連想ゲームを提案しました。
お題を伝えられた人がヒントのキーワードを3つ考えて発表し、他の2人に当ててもらうというゲームです。アイビーさんが出したキーワードを聞いて、答えようとしたしゅうせいさんとあすかさんの声がかぶる一幕がありましたが、2人とも見事正解しました!

次にあすかさんは、自分を漢字1文字で表現することを提案しました。それぞれが選んだ漢字は…あすか「創」、いおり「陽」、アイビー「元」、しゅうせい「変」でした。

このように、4人が一度に集まれるのも、マスクなしで話せるのも、オンラインならではですね!

  • 直接話すよりも分かりにくいかな
  • 視点を合わせるみたいなのが画面越しでは、ちょっと難しいかな

実際にオンラインコミュニケーションを体験してみた感想は…

いおり「(ゲームの解説をするときに)伝わってるかどうかが、直接話すよりも分かりにくいかなって思いました」

また、連想ゲームで、答えようとした2人の発言がかぶる場面がありましたが…
しゅうせい「どっちが先に行く?みたいに視点を合わせるのが画面越しでは、ちょっと難しいかなって思いました」

比べよう!オンラインとオフライン
  • 井上志音先生
  • 向井さん

オンラインコミュニケーションの長所と短所の両方が見えてきたところで、井上志音先生の登場です。

先生「今回は、以前学んだ“比較”という手法を使っていきたいと思います。比較とは、2つ以上、複数の物事に対して共通点と相違点を探しながら、それを見極めていくということです」

  • Tチャート
  • オンラインとオフライン

前回使ったTチャートで考えていきましょう!
Tチャートは思考ツールの1つで、真ん中に「観点」、そして左右に相違点を書き込みます。

オンラインと比較する対象は、オフラインです。
インターネットにつながっていることをオンラインというのに対して、実際に会うことをオフラインといいます。

  • Tチャート
  • 先生と向井さん

いおりさんとあすかさんが相談して作ったTチャートが上の左図です。「距離」「場所」「空気感」「映像」「リアクション」という5つの「観点」で考えてくれました。それぞれの観点において、2人が長所だと思う方に印がついています。

先生「観点の『空気感』っていうのは捉えどころがない表現ですが、『空気感』を別の表現にするならば、どんな言葉を思い浮かべますか?」
いおり「その場の雰囲気…?」
先生「そうですよね。だけど、その場の雰囲気があるからこそ、何か自分の思いを伝えづらい、裏を返せば、オンラインコミュニケーションの方が自分の意見は言いやすいっていう人も、世の中にはいるかもしれないですよね。なので、そういう意味では、何に軸足を置いて評価するかによって、その長所、短所も決まってくる。分かれてくるのかなというふうに思います」

あんな言葉 こんなコトバ
  • オンライン懇親会のようす
  • 伝える手段の変化

古くから、遠く人にいる人に気持ちを伝える方法として手紙が使われてきました。郵便制度がはじまると、全国各地へ手紙を届けられるようになりました。

電話が普及すると、リアルタイムで「声」を聞いて、会話ができるようになりました。

そして、インターネットが普及した今では、いつでもどこでも、お互いに顔をみて話をすることができます。

伝える手段は変化し続けていますが、それに伴って人と人との関係も変わっていくのでしょうか?

“オンライン”で変わるコミュニケーション
  • 原さん
  • 補聴器とアプリを併用

“オンライン”で、コミュニケーションが豊かになったという人にお話を聞きました。神戸市に暮らす会社員、原 弘幸さんで、製薬会社で経理の仕事をしています。

この日は在宅勤務中で、オンライン会議が行われていました。一見、意思疎通に何の問題もないように見えますが、原さんは聴覚に障害があり、補聴器がないとまったく音が聞き取れません。

そこで会議中に頼りにしているのが、音声認識アプリです。会話の音声が入力されると、タブレット上にリアルタイムで文字が出力されます。原さんは、パソコンの音を補聴器で聞くのと同時に、アプリが文字化した会話を目で確認しながら意思疎通をしているのです。

2歳の頃から補聴器をつけて生活してきた原さん。これまで、コミュニケーションで苦労をしてきたといいます。
原「(以前は)今の何て言ったのか分かんないなって(思ってもそのまま)進んでいたものが、理解しながら前に進めるっていうところで、すごく気持ち的にも良くなって、安心ができるようになりましたね。対面のときは聞き逃してることが多くて、勝手な思い込みで理解したまま話を進めていって、2、3日後になって、あれどうなったって言われることが多くて…」

現在勤めている職場でも、いろいろな方法で聞こえない部分を補っているそうです。例えば、会話をするときは、相手の口の動きを読みとっています。マスクをしていたり、聞きづらいときには繰り返してもらったり、書いてもらったりもします。

しかし、大勢の参加者がいる会議では、その方法が使えません。
原「話にもついていけてない、疎外感。自分、透明人間になったところがあって、いろんな人がしゃべってるんですけど、自分が会議に参加できていない。筆談を頼むことも多分できたんだろうとは思うんですけど、『原のために筆談やって』って言うのは、僕はちょっとできなかった」

  • 同じ聴覚障がいのある社員たちと会社に働きかけた
  • 同僚の人たち

2015年。その状況を変えるために、原さんは、同じ聴覚障害のある社員達と会社に働きかけました。その結果、翌年には音声認識アプリが会議で使えるようになりました。

意思疎通がスムーズになったことは、一緒に働く仲間たちにも、気づきをもたらしました。
木山さん(原さんの同僚)「原さんの立場というのをよく理解して、 環境を整える。そういうのがすごく重要なのかなと思っています」
鶴野さん(原さんの同僚)「自分たちも、ミーティングに参加して自分だけ分かってないようなときに、ちょっと聞きづらいときもあるじゃないですか。お互いさまなので、私ができるところはするっていうところでしょうかね」

そして、原さんの気持ちにも変化があったといいます。
原「ちょっと言いにくいところを勇気持って伝えるようにして。初めてお互いが『あ、そういうことだったんだね』と。『じゃあ、今の話をもう一度言うね』って繰り返して言ってくれるようになって。それで初めて、一生懸命、仲間と一緒に仕事をやっていくっていう気持ちが芽生えた」

豊かなコミュニケーションとは?
  • Tチャート作成中の2人
  • 修正したTチャート

ここでスタジオに戻ります。同じ“オンライン”でも、使う人によって視点が違うことに気づいたあすかさんといおりさんは、原さんの視点に立って、先ほどのTチャートに書き足していきます。

あすか「会議では発言しづらいみたいな場面があったから、『発言』(という観点で)『しやすい』『しにくい』(と比較ができる)」

最初に書いた観点も、原さんの視点から見直しました。
いおり「原さんにとって『空気感』は、オンラインの方が感じやすそう…かな?」
あすか「確かに、オフラインだったら、感じにくい?」

このようにして、Tチャートに「発言」「かん違い」「安心感」という3つの観点が新たに追加されました。「空気感」は、最初に書いた時と長所が逆になりました。

今回のまとめ
  • いおり
  • あすか

向井「改めてオンラインコミュニケーションについて学んでみると、いいとか悪いとかってことではなく、いいところもあるし、悪いところもあるし、コミュニケーションの場によって使い分けるものなのかなって感じましたね」
いおり「自分もそうだけど相手の人にとってオンラインがいいのか。オフラインがいいのか。そういうのを歩み寄ってちゃんとどっちがいいのかを選択していくのが大切かなって思います」
あすか「相手の立場にも立って、その人にとってどっちがいいのか、そういうことも考えてうまく使い分けできたらなと思います」

先生「全員の意見が一致すると簡単なんですけどね。現実場面では多分混じる。それでもなお、どっちか選ばなきゃいけないっていう瞬間、シチュエーションってあると思うんですよね」
向井「そこを考えるのがまさにコミュニケーションっていうことですもんね。この場の何が一番いいんだろうっていうのをすり合わせる、寄り添うことが、まさに豊かなコミュニケーションなんだなっていうことを改めて感じましたね」

  • 原さん

“豊かなコミュニケーション”について、原さんが次のようなことを語っていました。
原「アプリっていうのはあくまで手段であって、アプリがあるから完璧だっていうわけじゃない。アプリを使う気持ちをお互いが理解し合って歩み寄っていくっていうのが、僕にとっての豊かなコミュニケーションかなと思うんです」

次回もお楽しみに☆

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