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※この番組は、昨年度の再放送です。

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今回の学習

第33回 現代世界の地誌的考察
【諸地域】編

ここに注目! ヨーロッパ(1) 〜 EU による地域統合〜

  • 地理監修:東京学芸大学教授 加賀美 雅弘
学習ポイント学習ポイント

ここに注目!ヨーロッパ(1)〜EUによる地域統合〜

  • 中田さんとドミニクさん
  • 2014年現在、EUに加盟している国は28か国

MCは中田敦彦さん。
そして今回みなさんと一緒に学習するのは、トリプルGのドミニクさん(ドミちゃん)です!

今回学習するのはヨーロッパ。
その中で、2014年現在、EUに加盟している国は28か国です。

EU誕生の背景
  • イギリスから始まった産業革命によって工業化が進んだ
  • 植民地は次々と独立

15世紀末から、ヨーロッパは世界の多くの地域を植民地にして勢力を広げました。
原料の調達や製品を売る市場として植民地を支配し、経済を発展させたのです。
18世紀後半にはイギリスから始まった産業革命によって工業化が進み、世界をリードする存在となりました。
しかし20世紀に入ってから2度の世界大戦が勃発します。
第一次世界大戦ではヨーロッパの国同士が争い、第二次世界大戦では世界の国々を巻き込んで植民地を奪い合いました。
2度の世界大戦で戦場となったヨーロッパの犠牲者は2500万人にものぼり、経済的にも大きなダメージを受けました。
その後、植民地は次々と独立を果たし、ヨーロッパの世界への影響力は弱まりました。

  • 2大勢力となったのがアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦
  • アメリカが支持する自由主義体制、ソビエトが支持する社会主義体制

当時、2大勢力となったのがアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦です。
ヨーロッパ各国は復興のためにアメリカとソビエトの支援を受けました。
しかし、アメリカが支持する自由主義体制とソビエトが支持する社会主義体制では、政治・経済における方向性が異なります。
その結果、アメリカはヨーロッパの西側の国と、ソビエトは東側の国と結びつくこととなり、ヨーロッパの国々は東西に分かれて対立するようになってしまいました。
この対立は実際の戦闘を伴わないことから冷戦と呼ばれました。

  • ベネルクス(Benelux)
  • ベネルクス(Benelux)

そんな中、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3国が連携を取り始めます。
オランダの正式名称はネーデルランドと言い、この3国のことをそれぞれの国名の頭文字を取ってベネルクス(Benelux)と言います。
もともとひとつの地域だったため密接な関係にあった3国が1948年に作ったのがベネルクス三国関税同盟です。
3国間では関税を廃止し、他国には同一の関税を適用しました。
これは小さな国が集まることで経済的に自立し、政治的発言力を確保するという重要な意味を持っていました。

  • 1952年にヨーロッパ石炭鉄鋼共同体が発足
  • 2014年にはEU加盟国は28か国

ベネルクス三国関税同盟が後のEUとなっていきます。
1952年にヨーロッパ石炭鉄鋼共同体、1967年にヨーロッパ共同体(EC)が発足します。
加盟国を徐々に増やし、1993年に欧州連合(EU)が誕生します。
その後、冷戦が終わると、社会主義だった東ヨーロッパの国々も民主化の道を歩みだし、EUに参加しました。
EU域内ではほとんどの国で国境管理が廃止され、人の行き来が自由になりました。
また、通貨も単一通貨のユーロが導入されました。
2014年には加盟国は28か国にのぼり、EUの人口は5億人を超えています。
経済力の面でもEUはアメリカとトップを争うようになりました。

拡大するEU
  • 加賀美雅弘先生
  • EUに加盟する利点

今回、EUについて教えてくださるのは、加賀美雅弘先生です。
2009年に発行されたリスボン条約では、外交・安全保障政策上級代表という外務大臣のようなポストが作られました。
さらに欧州理事会常任議長というEU大統領とでも言うべきポストも新設されています。
このようにEUはまるでひとつの国家のような体制をとっているのも特徴です。
そして主要国首脳会議(G8)にもEUは代表を送っていて、政治や経済面での発言力を強めています。

EUに加盟する利点には以下のようなことがあげられます。
☆国境の通過が自由
☆貿易にかかる関税がない
☆ユーロ導入で両替不要
☆電気製品の電圧などが共通
☆仕事の資格が共通(他国でも働ける)
☆他国の大学でも単位取得可能

域内の生活の変化
  • フランスとドイツの国境をまたぐライン川にかかる橋
  • フランスからドイツへと通勤する人の車で毎朝混雑

フランスとドイツの国境をまたぐライン川にかかる橋があります。
検問が廃止されてからは、フランスからドイツへと通勤する人の車で毎朝混雑しています。
国境をまたぐ就職にも許可や届け出は必要ありません。
ドイツの経済は好調なので、フランスで働くよりもドイツで働いた方が賃金が良い場合もあります。
ユーロで給料が振り込まれるので、為替レートの変化を心配することもありません。
そのため、国境地域に暮らすフランス人の10人に1人がドイツで働いています。

  • ドイツの人々がバスに乗って向かうのがオランダのフェンロという町
  • 目的はスーパーマーケット

週末の朝、ドイツの人々がバスに乗って向かうのがオランダのフェンロという町です。
目的はスーパーマーケット。ドイツで買うと1袋3ユーロのコーヒーがオランダで買うと2ユーロです。
通貨が統一されたことで、価格の差がわかりやすくなりました。

  • オランダのエンスヘンテからドイツのグロナウの間を走る、全長9kmの鉄道
  • 鉄道再開のための資金の15%をEUが負担

オランダのエンスヘデからドイツのグロナウの間を走る、全長9kmの鉄道があります。
一度は廃線となりましたが、EUのおかげで20年ぶりに復活した路線です。
これまで、中央から遠い国境地域は経済発展が遅れていました。
その格差を解消しようと、鉄道再開のための資金の15%にあたる200万ユーロをEUが負担したのです。

  • ドイツのルール工業地帯
  • エッセンを2010年の欧州文化首都のひとつに指定

ドイツのルール工業地帯は豊富な石炭によって製鉄の町として発展してきました。
しかし、石油の時代になり衰退が目立つようになりました。
そこでEUは、ルール地方の中心都市・エッセンを2010年の欧州文化首都のひとつに指定しました。
欧州文化首都とは、毎年異なる都市で1年間に渡って集中的に文化行事を展開するEUの事業です。
この取り組みにより、エッセンにもたくさんの観光客が訪れました。

国境を越えてひとつに
  • 加賀美先生と中田さん、ドミちゃん
  • 旅行会社ではドイツとフランスの国境をまたぐツアーも企画

EUでは、他にもいろいろな取り組みが行われています。
例えば、旅行会社ではドイツとフランスの国境をまたぐツアーが企画されています。
それまで国ごとに違う意識を持っていた人たちに、ヨーロッパ・EUという共通の意識を持ってもらうことが期待されています。

ヨーロッパには個性的な国が多くあり、過去には世界大戦で戦った国同士もあります。
ですから、人々を上手く結びつけてあげることが重要なのです。
このようなヨーロッパの平和維持の活動が評価され、2012年にEUはノーベル平和賞を受賞しています。

発展する産業
  • フランスの工場で組み立て
  • 国際分業体制

フランス南部にあるトゥールーズはヨーロッパの航空機産業の拠点です。
トゥールーズに本社があるエアバス社の旅客機は世界中で8000機以上が運行されています。
現在、世界の航空機のシェアをアメリカのボーイング社と二分しています。

1970年の創業当時、世界の空を飛んでいたのはボーイング社の飛行機がほとんどでした。
それに危機感を感じたフランス、ドイツ、イギリス、スペインの4か国がエアバス社を立ち上げたのです。
EU域内は関税がかからないというメリットを生かして国際分業体制をとり、フランスの工場で組み立てます。
主翼はイギリス、垂直尾翼はドイツ、水平尾翼はスペイン、胴体とコックピットはフランスが作っています。

EUは、それぞれの国の得意分野や個性を残しながらヨーロッパ全体の産業と経済を発展させることを目標としています。

  • 次回もお楽しみに〜

次回もお楽しみに〜☆

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