NHK高校講座

地理

Eテレ 毎週 金曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

  • 高校講座HOME
  • >> 地理
  • >> 第6回 現代世界の系統地理的考察 【自然環境】編 世界の気候を見てみよう ⑵ 〜いろいろな気候の違い〜

地理

Eテレ 毎週 金曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第6回 現代世界の系統地理的考察
【自然環境】編

世界の気候を見てみよう ⑵
〜いろいろな気候の違い〜

  • 地理監修:埼玉県立大宮中央高等学校教諭 仲田莉果
学習ポイント学習ポイント

世界の気候を見てみよう ⑵ 〜いろいろな気候の違い〜

  • 石原良純さん
  • 籠谷さくらさん

さくら 「うーん、どうすればいいんだろう?」

ここは、石原 良純さんが所長を務める「フィルドストン研究所」。
新人所員の籠谷(こもりや)さくらさんが、衣装の前で悩んでいます。

所長 「さくら君、ネット?通販?それにしても個性的なファッションだね〜。」

さくら 「違いますよ、所長。この衣装が新しい依頼なんです。」

タグが取れた衣装はどこの国のもの?
  • 預かった衣装の国名のタグが取れてしまいました。それぞれどこの国の衣装でしょうか?
  • 4つの衣装

「預かった衣装のタグが取れてしまいました。それぞれどこの国の衣装でしょうか?」
これが今回の依頼です。

タグには「カナダ」「モロッコ」「タンザニア」「ペルー」、4つの国名が書かれています。

それぞれの衣装にはどんな特徴があるでしょうか?(右図)
左から順に、1つめの衣装は、袖がなく襟(えり)が広く開いています。
2つめは、毛皮。帽子まですべてが毛皮です。
3つめは、長袖で裾(すそ)がとても長く、フードも付いています。
4つめは、生地が毛糸のようで、マントのような形になっています。

所長 「なんで、このように国によって衣装の素材や形が違うか。そこにはその国の気候が大きく影響しているんだよ。これらの服がどの国のものなのかを判明させるには、まず、気候について知ることが大きなヒントになる。」

  • 1月の地球の様子

所長 「これは1月の地球の様子を撮影した衛星画像なんだけど、地球の場所によって、ずいぶん様子が違うよね?」

さくら 「赤道付近は濃い緑で、その上は茶色。北極と南極に近いところは真っ白ですね。」

所長 「緑は森林、茶色いところは植物が枯れたり、乾燥している地域、白いのは雪や氷河に覆われている地域なんだ。」

ケッペンの気候区分とは?
  • ケッペン

地球にはさまざまな気候があります。
地球全体を気候によって区分しようとした人物が、ドイツの気候学者「ケッペン」です。
ケッペンが着目したのは、ある場所に生育する植物の集まり、「植生」です。
植物は移動できないため、その土地の環境に大きく左右されるからです。
そして、それぞれの土地で計測される気温と降水量によって世界を5つの気候帯に区分しました。

5つの気候帯

ケッペンは、初めに、世界を「樹木のない気候」「樹木のある気候」に分けました。
次に「気温」「降水量」の違いに着目。

「樹木のない気候」は「乾燥帯」と「寒帯」の2つに区分しました。
「乾燥帯」は降水量が少な過ぎる気候。
「寒帯」は、最も暖かい月でも平均気温が10℃未満という、寒すぎる気候です。

「樹木のある気候」は、「熱帯」、「温帯」、そして冷帯とも呼ばれる「亜寒帯」の3つに分けました。
「熱帯」は最も寒い月でも平均気温が18℃以上という年中熱い気候。
「温帯」は、暑さ寒さがほどよい気温の気候。
「亜寒帯」は最も寒い月の平均気温がマイナス3℃未満という寒さですが、最も暖かい月の平均気温は10℃以上になる気候です。

  • 気候帯は、赤道に近い方からABCDEの記号で表わされる

5つの気候帯は、赤道に近い方からABCDEの記号で表わされます。
これら5つの気候帯は、さらに、気温の違いと雨季や乾季の有無により、いくつかの気候区に分けられます。

気候の特徴が分かる雨温図
  • 雨温図

こちらは「雨温図」
横軸は1月から12月までを表しています。
左側の縦軸はマイナス40℃から30℃の気温、右側の縦軸は0mmから300mmの降水量を表しています。

所長 「ぱっと眺めるだけで、この雨温図は5つの中のどの気候帯に属しているかを教えてくれるんだ。」

実は、この雨温図は東京のもの。
東京は北半球で、7〜8月は気温が高く、12月〜2月は気温が低くなります。
この気温のグラフは、山の形に見えます。
これが南半球の場合は、谷の形になります。

  • 東京の雨温図は温帯
  • 温帯

東京の雨温図は「温帯」を示しています。
グラフの形は山型です。

日本やヨーロッパが含まれる「温帯」は、主に大陸の東側と西側、そして「乾燥帯」と「熱帯」の周囲に広がります。
冬は気温が低く、夏は気温が高くなり、四季の変化がはっきりしている比較的穏やかな気候です。
さまざまな動植物が育ち、人間活動が最も盛んな気候帯です。

大陸の東側は一年を通して降水量が多く農業に適した地域です。
大陸の西側のヨーロッパでは、緯度が高くても、偏西風の影響で冬の気温もそれほど下がりません。
世界の大都市の多くが「温帯」にあります。

雨温図から気候帯を考える
  • 4つの雨温図
  • カナダと東京の雨温図を比べる

4つの国がどの気候帯に属しているかを調べるために、4つの雨温図を並べてみます。
まず、カナダの雨温図に注目してみましょう(右図)。
カナダの気温のグラフは山の形ですが、東京と比べてみると…。

さくら 「すごく大きな山?」

所長 「そして、とがって見えない?それに比べて『温帯』の東京は、なだらかな山なんだね。そして、気温はマイナス30℃近くまで下がっているね。ということは、カナダは?」

さくら 「『寒帯』か『亜寒帯』ですか?」

  • カナダとロシアの雨温図を比べる

今度は「亜寒帯」、ロシア(イルクーツク)の雨温図と比べてみます。
すると、気温のグラフはカナダの山の形と少し似ていることがわかります。

所長 「ただね、山の形は似ているんだけど、場所を見ると少し上にある。ということは気温が高いということなんだね。ロシアのイルクーツクは『亜寒帯』。となるとカナダは?」

さくら 「『寒帯』!」

所長 「うん。月の平均気温の最高が10℃に満たない地域が『寒帯』と区分されるんだ。ただし、カナダは北アメリカの大きな国だから、『寒帯』も『亜寒帯』もあるんだ。」

  • 亜寒帯
  • タイガ

北半球にしかない気候帯が「亜寒帯」
主に北緯40度より北極に近い地域に広がっています。
「亜寒帯」は気温の年較差が大きいのが特徴です。

ロシアのヤクーツクでは最も寒い月の平均気温がマイナス38℃です。
しかし、夏には平均気温が20℃近くに上がります。
「亜寒帯」には、寒さに強い針葉樹林「タイガ」が広がります(右図)。

  • 寒帯
  • 毛皮の衣装はカナダ

主に60度以上の高緯度にあるのが「寒帯」です。
南極大陸、北極とその周辺、南米大陸の一部などが「寒帯」に属します。

雪と氷に覆われた「寒帯」。
1年中寒さが厳しく、降水量が非常に少ないことが特徴です。
ホッキョクグマやペンギンなどが生息するのみで、ほとんどの生物が生きられない気候帯です。
「寒帯」の中でもわずかに夏がある地域では、トナカイの放牧や、アザラシ猟などが行われています。

さくら 「『寒帯』の衣装に適しているのは、この毛皮の衣装ですね。」

  • イカルイト
  • イヌイットの伝統的な衣装

イカルイトのあるカナダのヌナブト準州は、国土の5分の1を占めます。
そこに暮らす80%以上はイヌイットの人たち。
毛皮はカナダの北極に近い土地に住むイヌイットの伝統的な衣装です。
イヌイットの人たちは極北の「寒帯」で、暮らしのためにアザラシやカリブーの狩猟を行っています。

  • モロッコと他の国の雨温図を比べる

続いて、モロッコの雨温図を見てみましょう。
モロッコと他の国の雨温図を比べてみると…。

さくら 「気温の山はあるけど、他の国に比べて降水量がとても少ないですね。」

所長 「モロッコは年間を通して降水量が少ない『乾燥帯』の国なんだ。モロッコはサハラ砂漠の入り口の国。国土の中心は山脈が連なって、その南側にはサハラ砂漠が広がっているんだ。」

  • 乾燥帯
  • 体全体を覆う衣服を着ている

モロッコを含む「乾燥帯」は 南北回帰線付近と中緯度の大陸内部などに分布しています。
「乾燥帯」は年間の水の総蒸発量が総降水量よりも多いのが特徴です。
昼は日射が地面を熱し高温になり、夜になると放射冷却で地面の熱が奪われ冷え込むので、1日の気温差が大きくなります。

オアシスなど水源の近くには多くの人が暮らしています。
砂漠で暮らす人々は、体全体を覆う衣服を着て、強い日差しと砂ぼこりを避けています(右図)。

  • 全身を覆う衣装はモロッコ

所長 「さあ、この衣装の中で砂漠に適した衣装といえば?」

さくら 「これですね。砂漠で日差しや砂から身を守るため、全身を覆う必要性があったんですね。」

  • タンザニアとペルーの雨温図
  • どちらも赤道近くの国

それでは、残る2つの雨温図を比べてみましょう。

さくら 「なんだか同じような形のグラフが2つ残りましたね。両方とも気温のグラフの形がほぼまっすぐです。」

所長 「世界地図を見てみると、アフリカ大陸のタンザニア、南アメリカ大陸のペルー、両方とも赤道近くの国だね。」

  • 熱帯
  • 熱帯雨林

タンザニアとペルーは「熱帯」とそれ以外の気候帯を含む国です。
「熱帯」は主に、赤道を中心に20度辺りの低緯度に広がっています。
中でも、赤道付近は一年中降水量が多く、常緑広葉樹の「熱帯雨林」に覆われています。

  • サバナ

さらに高緯度の地域では、夏には雨の多い雨季、そして冬には長い乾季があります。 
草丈の長い草原の中に、バオバブなどの樹木が点在する「サバナ」が広がり、大型の草食動物が多くみられます。

「熱帯」は雨の降り方に違いがあるものの、一年中気温が高く、平均気温の年較差が小さいのが特徴です。

  • 残った衣装が全く違うのはどうして?

所長 「雨温図の特徴も気温にあるんだ。赤道に近いから、月の平均気温がほとんど変わらず、まっすぐになってしまう。」

さくら 「じゃあ、なんで気温のグラフの高さが違うんですか?残っている衣装も、片方は暖かそうな毛糸で、もう一方はサマードレスみたい。全然違うのはどうしてなんですか?」

  • 仲田莉果先生

それでは、研究所のブレーン・仲田莉果先生に教えていただきましょう!

仲田先生 「ペルーは赤道に近いけど、高度が高いため気温が低い『高山気候』になるからです。元々ケッペンの気候区分にはなかった区分ですが、後に『高山気候区』という標高の高い地域に分布する気候区が付け加えられたんです。」

  • クスコ

ペルーは赤道に近いため、全域が「熱帯」に区分されると思われがちですが、他の気候帯も存在します。
アンデス山脈が連なるペルーの都市クスコは標高3000m以上の高地に位置しています。
気温は標高が高いほど下がります。
そのためクスコは同緯度の低地に比べて、気温が低くなるのです。

  • 高山気候区は気温の日較差が大きい
  • ポンチョ

クスコのような「高山気候区」は、標高が高いため気温が下がることに加え、1日の中で気温の差が大きいのも特徴です。
高地に暮らす人は、気温の変化に合わせて脱ぎ着のしやすいカラフルな毛織物を羽織っています。
中でも伝統的な衣装のひとつが「ポンチョ」と呼ばれる服です。

  • マントのような衣装はペルー
  • サマードレスのような衣装はタンザニア

さくら 「わかりました!この衣装はペルーの衣装だったんですね(左図)。そして最後、この華やかな衣装はタンザニアの衣装です!(右図)」

所長 「お見事、解決したね。」

気候と関係が深い土壌
  • おにぎりを包むアルミ箔
  • ラトソル

私たちの生活は、気候と密接に関係しています。

そこで仲田先生が取り出したのは…おにぎり?
注目してほしいのは、おにぎりではなく、おにぎりを包む「アルミはく」だといいます。

仲田先生 「植物は、地表に落ちると微生物の働きで徐々に分解されて、土地を肥やすための肥料、腐植となります。でも1年中熱く、降水量が多い『熱帯』では、腐植はすぐに分解されて雨に溶けて流されてしまいます。やせた土地に残るのは、水に流されなかった鉄やアルミ分。残った鉄分のさびで赤くなった熱帯の土、これを『ラトソル』といいます。土壌に残ったアルミ分は、アルミはくの原料となるボーキサイトとして産出されます。」

  • 土壌の分布図
  • 土壌の分布と、ケッペンの気候区分は似ているところが多い

土壌の分布図を見てみましょう(左図)。
主に「熱帯」に分布するのが「ラトソル」です。
砂漠には岩塩などからなる砂漠土が広がり、「温帯」には肥沃(ひよく)な黒色土などの土壌、「亜寒帯」には養分の少ない灰白色の「ポドゾル」、そして「寒帯」にはコケなどが堆積した「ツンドラ土」がみられます。
気候の影響を強く受けた土壌の分布と、ケッペンの気候区分とは似ているところが多いのです(右図)。

  • 成帯土壌

仲田先生 「土壌とは、地表の岩石や堆積物が、その場所の気候・地形・植物などの影響を受け、長い時間をかけて変化してきた層のことなんですね。中でも、気候の影響を受けてできた土壌を『成帯土壌』といいます。」

さくら 「気候と土壌も深い関係にあるんですね。」

仲田先生 「そうですね。世界の気候を理解することは、そこに住む世界の人たちの生活や文化を理解する手助けになりますね。」


それでは次回もお楽しみに!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約