NHK高校講座

地理

Eテレ 毎週 金曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

  • 高校講座HOME
  • >> 地理
  • >> 第3回 現代世界の系統地理的考察 【自然環境】編 世界の地形を見てみよう ⑴ 〜大陸はどうなっているか〜

地理

Eテレ 毎週 金曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第3回 現代世界の系統地理的考察
【自然環境】編

世界の地形を見てみよう ⑴
〜大陸はどうなっているか〜

  • 地理監修:中央大学附属横浜中学校・高等学校教諭 田中友也
学習ポイント学習ポイント

世界の地形を見てみよう ⑴ 〜大陸はどうなっているか〜

  • 石原良純さん
  • 籠谷さくらさん

石原 良純さんが所長を務める、「フィルドストン研究所」。
そこに駆け込んできたのは、新人所員の籠谷(こもりや)さくらさん。

さくら 「依頼がきましたよ!ってか、所長なにしてるんですか?」

所長 「残念ながら日本は地震大国だから、地震に対する備えをしておかなきゃいけないってことなんだよ、わかるか?」

さくら 「なるほど、実は今回の依頼も地震についてなんです。」

  • なぜ世界には地震が多いところと少ないところがある?

今回の依頼は、「なぜ世界には地震が多いところと少ないところがある?」です。

所長 「確かに日本は地震大国だけど、少ない国もあるわな。」

さくら 「地震が多いところって火山も多い気がしませんか?そこで、世界の主な火山と地震の震源地の分布について調べました。」

地震が多いところ 少ないところ
  • 地震の震源地の分布

さくら 「ご覧のとおり、世界には地震の多いところと少ないところがあります。でも、なんで多いところと少ないところがあるんでしょうか?」

所長 「実は、この火山と震源地の分布に大きなヒントが隠されているんだ。」

それではまず、地震が多いところと少ないところの地形を見ていきましょう!

  • 東北地方の太平洋岸を襲った大地震

2011年3月、東北地方の太平洋岸を襲った大地震。
私たちの暮らす日本では地震が頻繁に起きています。
ところが地球には、地震が多いところ、少ないところがあります。
その地形の違いを見ていきましょう。

まずは地震が多いところから。

  • アンデス山脈
  • ビジャリカ火山
  • 溶岩湖

南アメリカ大陸の太平洋岸では、2015年に起きたチリ沖地震など、しばしば巨大な地震が発生しています。
ここにあるのがアンデス山脈。
7500kmにわたって山々が連なる世界最長の山脈です。
アンデス山脈に連なるビジャリカ火山。
2015年に噴火しました。

その火口では溶岩が赤々と煮えたぎっています。
世界的にも珍しい溶岩湖。
温度は、1000℃を超えます。

  • ヒマラヤ山脈
  • エヴェレスト山

次は、ユーラシア大陸にあるヒマラヤ山脈。
ここには世界最高峰のエヴェレスト山があります。
空から見ると剣のように鋭い先端の山々が続いています。
高さ8000メートル級の山々が続く世界の屋根です。

ヒマラヤ登山の玄関口として知られるネパールでは、2015年に大地震が起きています。
それでは、大きな山脈があるところで地震が起きやすいのでしょうか?

そうではありません。
地震があまり起きない場所にも、大きな山脈はあります。

  • アパラチア山脈
  • 山々の形を比べる

北アメリカ大陸にあるアパラチア山脈。
全長2600kmにわたって山々が連なっています。
ヒマラヤ山脈との違いは何でしょうか?

山々の形を比べるとアパラチア山脈の方がなだらかで、標高も低くなっています(右図)。

  • プレーリー
  • プレーリーはアメリカ合衆国1の穀倉地帯

北アメリカ大陸の中央には広大な大平原が広がっています。
温帯平原の広がるプレーリーも地震が少ない場所です。
プレーリーはアメリカ合衆国一の穀倉地帯。
平坦な地形を生かし、大規模な農場で、トウモロコシや小麦などが生産されています。

  • モンゴル高原

地震が少ない場所、次にユーラシア大陸を見てみましょう。
なだらかな山々。
その足元に広がる雄大なモンゴル高原です。
モンゴルは国のおよそ80%が草原。
この草原を活用して、古くから遊牧民が放牧を中心とした暮らしを営んでいます。

  • 山があるところでも地震が多いところと少ないところがある

所長 「確かに地形と地震が多い少ないには関係性がありそうだね。」

さくら 「山があるところで地震が多いということでしたが、全部ではなさそうですね。」

所長 「ヒマラヤ山脈、アンデス山脈では地震が多かったけれども、アパラチア山脈やモンゴル高原では、確かに地震は少ないようだね。」

  • 新期造山帯
  • 現在造山活動が生じている

所長 「これを見てみるとわかるかな。ヒマラヤ山脈、アンデス山脈は、ピンクの領域で表されている『新期造山帯』に属しているんだ。新期造山帯は今まさに活動しているから、山は高くけわしい。」

  • 古期造山帯
  • 2億5000万年前くらいまでに活動していた造山帯

所長 「一方、モンゴル高原やアパラチア山脈は、紫で表されている『古期造山帯』に属しているんだ。古期造山帯は今から2億5000万年前くらいまでに活動していた造山帯なんだ。だから比較的、現在では標高は低く、山のかたちもなだらかで、火山活動も地震も比較的少ない。」

  • 安定陸塊
  • 地球上で最も古い陸地

さくら 「でも、プレーリーも地震が少ないところですよね?」

所長 「プレーリーはここだね。この黄色で表されている『安定陸塊』に属しているんだ。安定陸塊は地球上で最も古い陸地なんだね。だから地震や火山活動がほとんどない。」

さくら 「なるほど、安定陸塊と古期造山帯は地震が少なくて、新期造山帯は地震が多いところなんですね。でも所長、なぜ地球に造山帯と安定陸塊があるんですかね?」

所長 「それはね、地球の表面が動くからなんだよ。」

地球の表面が動く?
  • アフリカ大陸と南アメリカ大陸にヒントがある
  • アフリカ大陸と南アメリカ大陸がくっつく

世界地図を見てみましょう。
所長は、アフリカ大陸と南アメリカ大陸の形にヒントがあるといいます。
そこで、アフリカ大陸を動かしてみると…。

さくら 「きたーっ!ピッタリくっついた!!(右図)」

  • ウェゲナー
  • パンゲア大陸

1912年、ドイツ人の気象学者ウェゲナーは大陸が移動するという説を唱えました。
彼は、大陸を動かすとパズルのようにピッタリとくっつくことを発見したのです。

2億5000万年前の世界にさかのぼってみましょう。
海で進化した動物たちが陸上へ進出し、地球上に豊かな生態系が築かれていました。
そしてこの頃、地球上の大陸はひとつにまとまっていたと考えられています。
パンゲア大陸です。

やがてパンゲア大陸はゆっくりと、長い長い時間をかけて分裂、衝突をしながら移動していきました。
そして、現在に至るまでの過程で地球上にはさまざまな表情が作り出されていったのです。

では、大陸はどうやって動くのでしょうか?

  • プレート
  • プレートは厚さ100kmくらいの岩石

地球の表面は一枚で包まれているのではなく、十数枚に分かれた固い岩盤に覆われています。このひとつひとつが「プレート」です。
そして、地球の内部を見てみると、いくつかの層になっています。

「プレート」は、地球表面の固い「地殻」の部分と「マントル」と呼ばれる層の最も上の部分で、厚さ100kmくらいの岩石でできています。

  • マントルの中は対流が生じ、ゆっくりと動いている

マントルの中は温度差によって対流が生じ、ゆっくりと動いています。
そのため上にのったプレートが複雑に動き、プレートの上にのっている大陸や海底も動いていくというわけです。

プレートの種類と境界
  • 田中友也先生
  • 境界のキーワードは「広がる」「狭まる」「ずれる」

なぜ、プレートが動くと造山帯ができるのか、研究所のブレーン・田中友也(ともなり)先生に解説してもらいます。

田中先生 「まず、プレートが動くことで大陸や海底など地球の表面が動くという科学的な考えは『プレートテクトニクス』というふうに呼ばれているんですけど、これは1970年ごろに確立された考え方なんですね。で、プレートどうしの境目のことを『プレートの境界』というふうに言うんですけども、さまざまな地形ができるその理由は、このプレートの境界での動きが一様ではないからなんですね。」

具体的に、どのように動くのでしょうか?
キーワードは「広がる」「狭まる」「ずれる」だと、田中先生は言います。

  • 海嶺
  • 広がる境界

深い海の底で活動する火山。
海底には、火山が連なっている場所があり、そこでプレートが生まれるのです。
こうした火山は、陸上の山の峰のように連なり、「海嶺(かいれい)」と呼ばれています。
海嶺では、地球の内部からわき出してきた高温の物質が冷え、プレートになって広がっていきます。
これが1つめのキーワード「広がる境界」です。

  • ギャオ
  • プレートの間から高温の物質がわき出している

通常、海嶺は海底深くにあり、その姿を見ることはできません。
ところが、海嶺の上にある島、アイスランドは「広がる境界」の姿を見ることができる世界でも珍しい島です。
島には何本もの深い裂け目が走ります。
アイスランド語で「ギャオ」と呼ばれる巨大な地割れは、南北40kmに渡って続いています。

ここでは2つのプレートの間から高温の物質がわき出しています。
そして、2つのプレートの境界は、少しずつ広がっていっているのです。

  • 狭まる境界
  • 日本は狭まる境界にある

プレートの境界が広がっても地球の大きさは変わりません。
そのためどこかが広がればどこかが縮むことになります。

それが2つめのキーワード「狭まる境界」
ここでは、プレートがもう一方のプレートに沈み込み、底深くに消えていきます。

日本は「狭まる境界」にあり、太平洋側のプレートが日本列島を載せたプレートの下に沈み込んでいるのです。

  • 互いに押し上げ合う

ヒマラヤ山脈も「狭まる境界」に位置します。
ところが、ここでは一方のプレートが沈み込んでいるのではありません。

およそ5000万年前、大陸をのせた2つのプレートがぶつかりました。
プレートは互いに押し上げ合ったため、巨大な山脈ができたのです。
そして、ヒマラヤ山脈は今も少しずつ高くなっています。

  • サンアンドレアス断層

3つめのキーワードは「ずれる境界」
この状態が地上ではっきり見えるのが、北アメリカの「サンアンドレアス断層」です。
その長さはおよそ1300km。
日本の本州にも匹敵します。

  • ギャオは断層を境にして逆方向にプレートが広がっている
  • プレート同士が互いにすれ違うようにずれて動いている

断層を境にして2つのプレートがあります。
一見するとアイスランドのギャオと同じように見えますが、ギャオは断層を境にして逆方向にプレートが広がっています。
それに対してサンアンドレアス断層はプレートどうしが互いにすれ違うようにずれて動いているのです。

プレートどうしがぶつかるときの「広がる」「狭まる」「ずれる」という現象によって、プレートの境界には特徴ある地形が作り出されているのです。

  • 1年間に18cmのスピードで日本に近づいている

では、プレートはどのくらいの速さで動いているのでしょうか?

田中先生 「太平洋の下にあるこのプレートなんですが、最新の研究では1年間に18cmのスピードで日本に近づいているといわれます。」

所長 「ということは、プレートの真ん中にあるハワイは、いつか日本にくっつくということなんだ。先生、何年後くらいになるんですか?」

田中先生 「そうですね、1年間に18cmだとすると、大体3400万年後くらい…。」

なぜ地震が多いところ、少ないところがある?
  • プレートの分布図に火山と震源地の分布図を加える
  • 今回の調査報告

さて、今回の依頼は、「なぜ世界には地震が多いところと少ないところがある?」でした。

さくら 「もしかして、プレートの動きに関係があるんじゃないですか?」

そこで、プレートの分布図に火山と震源地の分布図を加えてみます。
すると地震はプレートの境界あたりに集中していることがわかります。

田中先生 「特に日本は4つのプレートがぶつかり合っている場所ですから、火山活動や地震がとても多いんですね。」

所長 「ということは、今回の答えは?」

さくら 「プレートが動くことによって地震が起きる。プレートの境界に地震が多く、プレートの中央に近いほど地震は少ない。でも、日本のように火山や地震が多い国って、本当に大変ですよね。」

田中先生 「ところが、火山が人々に恩恵をもたらすってこともあるんですよ。」

火山が人々にもたらす恩恵
  • 間欠泉
  • 地熱発電所

一定の周期で熱湯を吹き出すこの間欠泉は、アイスランドの観光スポットです。
火山は人々に恩恵も与えています。
その例をアイスランドで見てみましょう。

蒸気を上げているのは地熱発電所。
アイスランドでは火山がもたらすエネルギーを利用して電気を作っています。
地下から高温の蒸気を集めて発電します。
アイスランドの電力のおよそ30%が地熱発電で作られています。

  • 温泉
  • 温泉 野菜を栽培する

発電で使った後の温水も有効に活用されています。
温泉です(左図)。
広さは5000平方メートル。
バスケットボールのコート11個分を超える広さです。
世界最大の露天風呂として、こちらも人気の観光スポットになっています。

他には、地下からくみ上げた温水を使って、野菜を栽培するといった活用方法も(右図)。
温水が流れるパイプを床にはわせ、ハウス内を暖めます。
夏でも気温が20度になる日がほとんどないアイスランド。
火山のエネルギーが人々の暮らしを支えています。

  • 地形やその周辺の環境を知ればそれをうまく活用することもできる

田中先生 「地形やその周囲の環境を知ることで、それをうまく活用することもできるようになりますよね。世界の人たちはどんなふうに自然環境を生かして暮らしているのか、こういうことをもっと調べていくといいと思いますよ。」

それでは次回もお楽しみに!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約