NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第25回 第3編 私たちの大地

火山ができる場所

  • 筑波大学教授 久田 健一郎
学習ポイント学習ポイント

火山ができる場所

今回のテーマは”火山ができる場所”
  • アイコとサワ
  • 日本列島の火山分布図とプレート

アイコ 「サワさん、温泉ってどうやってできているか知ってる?」

サワ 「地球の内部って深ければ深いほど熱いでしょ。たとえば深いところにある温かい地下水を掘り起こして温泉にしてるとか?」


地下深くから地下水を掘り起こした温泉もありますが、温泉は高温のマグマの熱で地下水が温められてできています。


サワ 「えっ!?マグマってすごく熱いんだよね。地下水が蒸発しちゃうんじゃ… それにマグマってすごく地下深くにあるイメージ。地球の中心あたりから上がってくるってこと?」


実は、マグマは地下の浅いところにできて、火山の噴火で地表に出てきています。
右の図の赤い点は日本列島の火山の場所を表し、さらに大陸プレートと海洋プレートの分布を重ねたものです。
北海道から九州まで日本列島の中央部分に火山が偏っていて、海にも火山があるのがわかります。
また、火山がプレートの境界と並行しているように見えます。
海溝に沿って並ぶ火山の海溝寄りの境界を、火山フロントと呼びます。

沈み込み帯と火山
  • 大陸プレートと海洋プレート
  • 岩石は脱水

日本列島の沈み込み帯でマグマが発生する秘密は、海洋プレートにあります。
海洋プレートの上に堆積した岩石には、大量の水が含まれています。
海洋プレートが沈み込み、地下約100kmに達すると、温度と圧力の上昇により水が染み出します。

  • 岩石が水を吸収
  • マグマだまり

海洋プレートから出た水は、大陸プレートを構成するかんらん岩と接触します。
かんらん岩は水を吸収すると、一部がとけてマグマになります。
大陸プレートの中で発生したマグマは、マグマだまりをつくりながら上昇し地表に出るのです。

  • マグマだまりの発泡
  • 桜島の噴火

マグマだまりからマグマが上昇して噴火する過程でも、水が重要な役割を果たしています。
沈み込み帯で発生したマグマの中には、水を主成分としたガスがとけています。
マグマだまりでは、周囲の岩石と接触して温度が下がった部分から鉱物が結晶しはじめます。
すると、とけ込んでいたガスの成分が濃縮され、とけきれなくなって発泡が始まります。
発泡によってマグマの体積が膨張すると、浮力によって地表へと上昇します。
沈み込み帯の火山では、発泡したガスが噴火口を開きます。
その時、マグマにかかっていた圧力がなくなり、ガスは爆発的に膨張してマグマとともに噴き出すのです。

  • 実験で用意するもの
  • ペットボトルにふたをする

発泡の威力はどれくらいのものなのか実験で観察してみました。
マグマだまりとなるペットボトル、水と混ぜ合わせると炭酸ガスを発生させる粉末のクエン酸と重曹、中性洗剤を使用しました。

ペットボトルの中にクエン酸と重曹を小さじ2杯ずつ入れ、少量の中性洗剤を加えます。中性洗剤は、粘りと発泡した泡を維持するために使用しました。
ペットボトルに水を加えると、一気に発泡が始まりました。
ペットボトルに小さな穴の開いたキャップをし、穴を指でふさいでペットボトル内に圧力をかけます。

  • 発泡した水が一気に噴出
  • 噴出したペットボトル

指をはなすと、発泡した泡と水が一気に噴出しました。
実際の火山も同様にマグマの中のガス成分が発泡して、一気に噴火するのです。


サワ 「水を主成分とするガスが急激に発泡して爆発的な噴火につながっていたんだね。」

アイコ 「そうね。水がマグマの発生や噴火につながってるってことを知ると面白いんじゃないかしら。」


温泉は、マグマだまりからの放熱で地下水が温められてできています。
日本に温泉地がたくさんあるのは、火山と地下水の位置関係によるものともいえます。

  • 世界のおもな火山分布
  • 海嶺

左の画像は世界のおもな火山の分布を表した地図です。
過去100万年の間に活動した火山は赤い点、沈み込み帯や大陸衝突帯は青い線で表されています。
プレートの境界の近くには火山があるのがわかります。


サワ 「そういえば、前にプレートがお互いに離れる場所からもマグマが出るって言ってたよね。」

アイコ 「プレートが互いに離れていく境界、海嶺のことね。」

海嶺と火山
  • 海嶺ではマグマが噴出
  • 枕状溶岩

海嶺の地下では、マントル内部の対流によって、高温の岩石が上昇しています。
地下深くの高温の岩石は、上昇することによってかかる圧力が低下すると、一部がとけてマグマになります。
プレートが両側に広がる海嶺では、その隙間を埋めるように絶えずマグマが噴出しています。
海底に噴き出したマグマは、表面が急激に冷やされて固まりますが、すぐに割れ目が生じて、次々にマグマが流れ出ます。
こうして固まったマグマは、独特の形をした枕状溶岩になります。

  • 沈み込み帯の火山
  • 海嶺の火山

海嶺の陸上延長部分にあたる、アイスランドやアフリカの大地溝帯でも、火山活動が活発に起こっています。
海嶺の火山では、日本の火山のような沈み込み帯にできる火山と違い、もくもくとした煙が出ていません。

沈み込み帯の火山と海嶺の火山の噴火のしかたの違いは、それぞれのマグマの性質の違いによります。
沈み込み帯の火山のマグマは粘性が比較的高く、ガスが外に抜けにくいという性質があります。
そのため、地上付近で爆発的に膨張し、大量の煙が立ち上がります。

一方、海嶺の火山のマグマは粘性が比較的低く、ガスが外に抜けやすいという性質があります。
そのため、沈み込み帯の火山のような爆発が起こりにくいのです。

  • 地価の温度分布
  • 筑波大学教授久田健一郎さん

海嶺の火山のマグマは、なぜ浅いところで発生するのでしょうか。
左の画像は、地下の温度分布を表したグラフです。縦の軸が深さ、横の軸が温度を表しています。
赤いラインは海洋地域の平均的な地下の温度分布です。地下深くなるほど温度が上がっています。
地下200kmの場所では1600℃ほどです。

一方、青いラインはマントル内の主な岩石である かんらん岩がとけはじめる温度を表したものです。
こちらも地下深くなればなるほど とけはじめる温度も高くなっており、また海洋地域の地下の温度分布も、それより高温になっていません。
つまり、赤いラインで表された海洋地域の地下の温度分布からは、海洋地域の岩石がとけることはないように見えます。

しかし、海嶺ができる場所の地下はマントル対流でマントルが上昇する場所、つまり地下の高温の岩石が上昇する場所のため、かんらん岩がとけはじめる温度になります。
そのため、浅いところでマグマができるのです。


サワ 「でも、沈み込み帯のかんらん岩は?」


アーカイブスにアクセスして、筑波大学 教授の久田 健一郎さんに聞いてみました。


サワ 「沈み込み帯の大陸プレートのかんらん岩は、上昇してるわけでもないのにどうしてマグマができたんですか?」

沈み込み帯にできる火山の特徴を思い出してみて下さい。
岩石がとけるのは、温度の上昇や圧力の低下のほかに、水を吸収することによってもとけやすくなる場合があるんです。

地価の温度分布と水を含んだかんらん岩が解け始める温度

上の図は先ほどと同じ地下の温度分布を表したものです。赤いラインが大陸地域の平均的な地下の温度分布を表し、青いラインはかんらん岩がとけはじめる温度です。

かんらん岩は水を含むと とけはじめる温度が一気に下がるんです。
地下100kmあたりだと1500℃以上でないと とけないはずのかんらん岩が、水を吸収することで1000℃近くでとけます。
そのため、沈み込み帯の海洋プレートの鉱物から出た水が大陸プレートのかんらん岩に吸収されることで、マグマが発生したということになります。

ホットスポットと火山
  • 世界のおもなホットスポット
  • ホットプルーム

ホットスポットの火山として有名なハワイ島にあるキラウエア火山は、沈み込み帯でもなく海嶺でもない場所で活発に活動している火山のひとつです。
ホットスポットはハワイ諸島以外にも、20か所以上あります(左図)。

ホットスポットにできる火山のマグマは、地球内部で起こるホットプルームという現象によって発生します。
ホットプルームはマントル内部の高温の岩石が上昇する現象です。

  • 高温の岩石とマグマ
  • マグマの上昇

上昇する岩石はマントル内ではとけていませんが、地表に近づいて かかる圧力が下がると、とけてマグマになります。
マグマはプレート内部にマグマだまりをつくりながら上昇し、地表へ出ます。
ホットスポットの火山のマグマは粘性が低いため、爆発を伴うことが少なく、流れ出るように噴出します。

ホットプルームでは、海嶺と同じように高温の岩石が上がってきてマグマになっています。
このホットプルームが上がってくる場所をホットスポットといいます。

  • ホットスポットと火山列の動き1
  • ホットスポットと火山列の動き2

ホットスポットの位置は変わらずにプレートの内部にできたマグマだまりや火山はプレートと一緒に移動します。
そのため、ホットスポットでできる火山はハワイ諸島のような火山列になります。

火山ができる場所は、沈み込み帯・海嶺・ホットスポットとさまざまですが、マグマはすべて浅いところでできます。


それでは、次回もお楽しみに!

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