NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2019年度の新作です。

地学基礎

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今回の学習

第17回 第2編 私たちの地球の変遷と生物の変化

新生代

  • 茗渓学園中学・高等学校教諭 渡来 めぐみ
学習ポイント学習ポイント

新生代

今回のテーマは“新生代”
  • サワさん
  • アイコさん

サワ 「白亜紀の終わりに地球に巨大隕石が衝突して、たくさんの生物が絶滅したんだよね。その後どうなったの?」

アイコ 「地球の環境が急激に変化して、それに適応できなかった恐竜などの大きな生物や浅い海にいたアンモナイトなどは絶滅してしまったんだけど… 大きな生物がいなくなったから空いたスペースができたの。そこに生き残った生物が進出して、繁栄していったと考えられているの。」

草原の誕生
  • 大陸の衝突
  • ヒマラヤ山脈

サワ 「新生代って『新しく生まれる』って書くくらいだから、やっぱり、生き物が増えたのかな。」


新生代初頭は温暖な気候で、陸上では哺乳類が大型化し、数や種類も増えて繁栄していきました。
しかしその後、地球に変化が起こります。

約5000万年前、プレートの運動でインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突し、ヒマラヤ山脈が形づくられ始めました。
やがて、ヒマラヤ山脈が標高5000メートルを超えると、地球の気候に影響を及ぼすようになります。

  • 乾燥した大気がアフリカ大陸へ
  • 熱帯雨林が草原へ

山脈の北側では乾燥した大気が強い上昇気流を作り、アフリカ大陸へと広がっていきました。
その影響で、それまで一年を通して雨が多かったアフリカ大陸に、雨の少ない季節が訪れるようになりました。
その結果、熱帯雨林は次第に草原に変わっていったのです。


気候も次第に寒くなり、南極や北極で氷河が発達しました。
寒くなるにしたがって空気が乾燥し、草原がさらに広がっていきました。
草原が広がると、草原に適応したシカやウマなどの草食動物が増えて、それらを食料にする肉食の哺乳類も増えていきました。
繁栄した哺乳類の中には、私たち人類の祖先もいました。

人類の進化
  • プルガトリウス
  • アダピス

私たち人類は哺乳類の中の霊長類に属しています。
左の画像のプルガトリウスは最古の霊長類といわれており、約6500万年前に森の中で暮らしていた霊長類の祖先です。
約4000万年前、プルガトリウスは右の写真のアダピスに進化しました。姿はまだネズミのようですが、木の上で生活するようになりました。

  • プリオピテクス
  • ドリオピテクス

約1500万年前、小型の猿のような姿のプリオピテクスに進化しました。
さらに進化した約1000万年前のドリオピテクスは、体はずいぶん大きくなりましたが、まだ木の上で暮らしていました。

  • 猿人 アウストラロピテクス
  • アウストラロピテクス歩行イメージ

約400万年前、猿人 アウストラロピテクスは木の上から降りて直立二足歩行を始めましたが、脳は体の大きさの割には小さいままでした。

  • 原人 ホモ・エレクトス
  • 打製石器

約180万年前、大型化した脳を持つようになった原人 ホモ・エレクトスは、打製石器や火を使い始めました。そして、アフリカを出てユーラシア大陸に広がっていきました。

  • 旧人 ホモ・ネアンデルターレンシス
  • 新人 ホモ・サピエンス

約20万年前、主にヨーロッパや西アジアに分布していた旧人 ホモ・ネアンデルターレンシスは、頑丈な体を持ち やりなどで大型の動物を狩猟していましたが、約3万年前に絶滅しました。
そして約20万年から15万年前、アフリカに新人 ホモ・サピエンスが出現しました。私たちの直接の祖先です。さまざまな石器を用いることで繁栄していきました。

  • 指の構造
  • 手足の役割

人類が進化をとげる上で、大切なポイントがいくつかありました。
まず「木の上の生活がサルを生み出した」という点です。
私たちの祖先は、木の上に生活の場を求めたおかげで、大切なものを手に入れたのです。

草原で暮らすシカと木の上で生活するサルの手足を比べてみます。
シカの指は2本あり、硬い地面を走るためにひづめに覆われています。
一方、サルの指は5本あり、しっかり握るために平爪(ひらづめ)がついています。
シカは4本の脚で体を支えますが、サルの手は食べ物をつかんだり枝を握ってぶら下がることができます。
そして足は体を支えるために使われます。
サルの手足は、木の上の生活に適応して進化したのです。

  • 直立二足歩行がヒトをつくった
  • 自由になった手で石やこん棒などを使う

環境が変化して森林が草原に変わっていくと、木から降りて生活するようになります。
これが、さらなる進化につながる2つ目のポイント、「直立二足歩行がヒトをつくった」です。
歩くことから解放された手は ますます機能が向上し、いろいろなことができるようになりました。
例えば、自由になった手で石やこん棒などの道具を使い、それに伴って脳も大きくなっていきました。

脳は多量のエネルギーを消費します。石器を使うようになり、カロリーが高い肉を食べる回数が増えたため、脳が大きくなることができたのではないかと考えられています。
脳が大きくなると、最初は簡単な石器しか使っていませんでしたが、より高度で複雑な道具が作れるようになりました。
道具が良くなると、狩りも楽になってきます。
他にも言葉を使って意思を伝えたり、家族を中心とした社会構造が作れるようになりました。


サワ 「もう人類は安心だね。」

アイコ 「地球は常に変化し続けているの。油断はできないわ。」

第四紀の氷河時代
  • 氷河時代

猿人が原人、そして新人へと進化していった新生代の第四紀は、短期間に大きな環境の変化が繰り返し起こりました。
第四紀は氷河時代とも呼ばれ、氷河が地球を広く覆った氷期と、南極や北極だけに縮小した間氷期 が何度も繰り返されました。

人類の中にはそれをうまく利用して、生活範囲を広げていったものもいました。
寒冷な場所から温暖な場所へ移動するためにはある環境の変化が必要でした。

  • 間氷期
  • 氷期

暖かい間氷期には、海面から蒸発した水蒸気は雲になり陸の上で雨を降らせます。そして、地上に降った雨は川を流れ再び海に戻ります(左図)。
一方 氷期では、海面から蒸発した水蒸気は雨ではなく雪になって降り積もり、陸にとどまったままです。
そのため、海面は下がり、海だった所も一部は陸地になりました(右図)。
新生代にはこのような海面の上下が、何度も繰り返されたと考えられています。

  • 上下2層に分かれた地層
  • 茗渓学園中学・高等学校 教諭 渡来 めぐみさん

茨城県の霞ヶ浦のほとりには氷河期に海面が上下したことがわかる地層があります。

茗渓学園中学・高等学校 教諭の渡来 めぐみさんに案内していただきました。
左の写真の地層は、横に線を引いたようにはっきりと上下2層に分かれています。
約12万年前に、関東平野一帯がまだ海だったころにたまった2つの地層です。

  • 下の地層
  • ヌマコダキガイ
  • 河口域

下の泥の地層には、河口域に生息しているヌマコダキガイという小さな白い貝の化石が散見されます。
この貝化石が含まれることから、下の地層は川の河口域で堆積したことがわかります。

  • 上の地層
  • 海生の二枚貝
  • 海の環境

上の地層には たくさんの貝の化石が含まれ、これらは すべて海で生息していた貝の化石です。
このことから、かつて河口だったこの場所が、海面の上昇によって海の環境に変わったということがわかります。

世界中で氷期と間氷期が繰り返し訪れたことがわかります。
最後の氷期は約7万年前に訪れました。その後、1万5千年前から温暖化が始まり、氷河が溶け海面が急速に上昇しました。

  • 上高津貝塚
  • 発掘された貝塚の断面

日本では縄文時代に海面が上昇したので、「縄文海進」と呼ばれています。
茨城県土浦市にある上高津貝塚では、標高約20mの台地に縄文時代の貝塚が保存され、竪穴式住居などが復元されています。
現在では内陸に位置する遺跡ですが、4千年から3千年前当時は、すぐ近くまで海が入ってきていたと考えられています。
右の写真は、発掘された貝塚の断面です。ヤマトシジミやハマグリなど川の河口や海でとれる貝が見られ、縄文時代には海のすぐそばだったことが想像できます。

  • 渡来 めぐみさん
  • 次回もお楽しみに!

サワ 「ホモ・エレクトスやホモ・ネアンデルターレンシスは絶滅してしまったのに、どうしてホモ・サピエンスだけが生き抜くことができたんだろう?」


アーカイブスにアクセスして、ふたたび渡来 めぐみさんに聞いてみました。

実はその質問への正解は、まだ見つかっていません。
ひとつ言えることは、猿人以降地球上に現れた25種類近くの人類の中で、ホモ・サピエンスは環境の変化に耐えて、変わり続けたということでしょう。


サワ 「どう変わり続けたんですか?」

同じホモ属であるホモ・ネアンデルターレンシスと比較するとわかるかもしれません。
体格の良いホモ・ネアンデルターレンシスは大きな獲物に近づいて狩りをしていたようですが、細身のホモ・サピエンスは弓矢などを用い、集団で小さな動物を狩っていました。力が弱くても、道具を工夫したり、仲間同士でコミュニケーションをとったり、工夫を凝らして生きていたのです。
ホモ・ネアンデルターレンシスが使っていた石器を見ると、何万年もほぼ同じものを使っています。それは彼らが身体能力が高かったために、道具を工夫する必要がなかったからだと考えられます。そのため、環境の大きな変化に適応できずに絶滅してしまったのでしょう。



サワ 「仲間とのコミュニケーションかあ。やっぱり助け合いって大事だね。」

アイコ 「祖先から学ぶ知恵、ってことかしらね。」


それでは、次回もお楽しみに!

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