NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2019年度の新作です。

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今回の学習

第15回 第2編 私たちの地球の変遷と生物の変化

古生代

  • 東京学芸大学附属高等学校教諭 田中 義洋
学習ポイント学習ポイント

古生代

今回のテーマは“古生代”
  • アノマロカリスのぬいぐるみをもつサワ
  • 古生代の表

アイコ 「サワさんおもしろい物持ってるわね。“アノマロカリス”っていって古生代の代表的な生物なのよ。」


約5億4200万年前から2億5200万年前までの3億年間を古生代といいます。
古生代は6つに区分されていて、
・ペルム紀
・石炭紀
・デボン紀
・シルル紀
・オルドビス紀
・カンブリア紀

と さかのぼっていくことができます。

カンブリア紀の岩石が初めて見つかった場所は、イギリスのウェールズです。
ウェールズはラテン語で“カンブリア”といい、カンブリア紀の語源となっています。
ラテン語はかつてヨーロッパを中心に広く使われていた言語で、ローマ帝国の公用語でした。
現在、ラテン語は日常言語としてはほとんど使われていませんが、学問の場では使われる伝統があります。
例えば、私たち人類のことを“ホモ・サピエンス”といいますが、これはラテン語で“賢いヒト”という意味です。

古生代は、海で誕生した生物が陸上に進出していった時代です。
いろいろな生物が登場し、その中には私たち人類のはるか遠い祖先もいました。

生物の爆発的進化
  • カンブリア爆発
  • カンブリア爆発で動物の祖先がほぼ出揃った

古生代 カンブリア紀の前にあたる、先カンブリア時代はエディアカラ生物群が栄えましたが、やがてその多くが絶滅してしまいました。
そしてカンブリア紀になると、エディアカラ生物群とは違う生物たちが現れました。

エディアカラ生物群は殻や骨格がないのが特徴でしたが、カンブリア紀に出現したのは主にエビやカニのような殻を持つ甲殻類、つまり無脊椎動物でした。
無脊椎とは背骨がないということです。

無脊椎動物が爆発的に進化し多様化していったため、カンブリア爆発と呼びます。
このカンブリア爆発で、現在地球上にいる動物の祖先がほぼ出そろったと考えられています。
しかし、カンブリア爆発がどうして起きたのかは、よく分かっていません。
「氷河期が終わって温暖な気候が続き、生物が生息しやすい浅い海が広がったため」、あるいは「他の動物を食べる捕食動物から身を守るために、さまざまな進化が起きたから」などの説がありますが、まだどれも決定的ではありません。

  • カナディアンロッキー山脈
  • 隆起のイメージ

カナダ西部にあるカナディアンロッキー山脈には、3000メートル級の山々が連なっています。
この一帯の地層は、5億年前のカンブリア紀には海の中にありました。
その後地殻変動が繰り返されて地層は折り重なり、隆起して山脈を形成しました。

  • 化石発掘の様子
  • 三葉虫

標高2599mのバージェス山では、化石から古代生物の姿を探るための発掘作業が行われています。
まるで本のページをめくるようにはがれていく岩石の中から、三葉虫をはじめとするさまざまな生物の化石が現れます。

  • アノマロカリス
  • アノマロカリス_イメージ

左の写真はアノマロカリスという生物の化石です。ラテン語で”奇妙なエビ”という意味をもっています。
元々エビと思われていた化石が、隣のクラゲと思われていた化石とつながっていることが分かり、右の画像のように口の両脇に触手をもつ生物であることがわかりました。
アノマロカリスは、この2本の触手で他の生物を捕らえて食べていました。
カンブリア紀の海に君臨する、最強の王者でした。

  • オパビニア
  • ハルキゲニア
  • 三葉虫

バージェス山では、ほかにも象の鼻のような触手で他の動物を捕らえて食べていたオパビニアや、とげで体を覆っていたハルキゲニア、三葉虫などの特徴的な姿をした動物の化石がたくさん見つかっています。
これらをまとめて、バージェス動物群と呼んでいて、カンブリア紀に生物の爆発的な進化が起きた証拠のひとつとなっています。

バージェス動物群はカナダで見つかりましたが、ほぼ同時期の同じような化石が中国やグリーンランド、オーストラリアでも見つかっています。
カンブリア紀には、面白い形をした生物が世界中の海にいたと考えられています。
アノマロカリスは、2mもの大きさを持つものもいたといいます。

古生代は生物が爆発的に進化したことは分かっていますが、まだ分からないことがたくさんあります。
例えば、硬い殻を持っていない生物は化石になりにくいため、存在したのかどうかさえ分かりません。

古生代の生物
  • アノマロカリスに食べられているピカニア
  • ピカイア

左の画像でアノマロカリスに食べられている生物は、ピカイアという体長4cmほどの生物です。
脊索(せきさく)という背骨のようなものがあり、体をくねらせて泳いでいたと考えられています。

カンブリア紀の海には、このような脊索動物がいくつもいました。
それらが、両生類や魚類なども含めた、脊椎動物の祖先であると考えられています。
そして進化していく中で、生物は陸上に進出していきました。特に動物は、オゾン層のおかげで陸上に進出できました。

  • 地球のオゾン層と紫外線
  • オゾン

オゾン層とは、大気中のオゾン濃度が高い部分で、高度20〜30km付近に存在しています。生物にとって有害な紫外線を吸収し、地上の生態系を保護しています。
オゾン(O)は、酸素原子3つからなる物質です。
古生代に入り大気中の酸素濃度が次第に高まり、オゾン層が形成されたと考えられています。

  • クックソニア
  • 原始的な両生類

こうして生物が陸上に進出する条件が整い、はじめにとても単純な植物が陸上に現れました。
そのひとつであるクックソニアは、高さ数cmで、茎の先に胞子の入った袋を持っていました。
やがて、太い幹や葉をもつ樹木も見られるようになり、陸上に大森林が現れました。

動物では、魚類の一部が川や沼などに生息していました。
その中から、肺呼吸をするものが現れ、さらにひれが足に進化して陸上に進出し、原始的な両生類が出現しました(右画像)。


アイコ 「ここまで進化するのに、ざっと2億年。ピカイアのような原始的な脊索動物から、しっかりした背骨と骨格を持った魚類に進化した。そして陸上に進出するための肺呼吸。さらに重力にあらがって、体を支える仕組み。さまざまな進化があったの。」

サワ 「ピカイアは、アノマロカリスに食べられちゃってたでしょ?なのに、それが生き残って進化したって、なんかよく分からない。」

  • 東京学芸大学附属高等学校教諭 田中義洋さん
  • ウミサソリ

アーカイブスにアクセスして、東京学芸大学附属高等学校 教諭の田中 義洋さんに聞いてみました。田中さんが好きな古生代の生物は、ウミサソリだといいます。
ウミサソリは、古生代シルル紀に食物連鎖の頂点に君臨した巨大な生物です。


サワ 「ピカイアなどの脊索動物は、どう進化していったんですか?」

脊索は、高等な動物では脊椎に置き換わっていきます。
脊椎のような硬い骨を持つことで、筋肉をつけることができ、すばやく動けるので逃げ足なども速くなるわけです。
また、脊椎を持つことで体を大きくしたり、内臓や中枢神経を保護したりすることができるなどのメリットもあります。

ところで、生物にはもともと眼があったと思いますか?
カンブリア紀に、突如として眼を持つ生物が現れたんです。
初期の三葉虫は眼を持っていなかったんですが、やがて眼をもつグループが現れました。
最初に眼を獲得した生物のひとつだといわれています。
眼を最初に作ったのは、おそらく食べる側(捕食動物)であったと言われています。
そしてそれに対抗して食べられる側(被食動物)も眼を獲得し、さまざまな工夫の結果、生物は進化していったわけです。
生物が眼を獲得したことで生存競争が激しくなり、多様な進化が促進されたという風にいうことができるのではないでしょうか。


サワ 「生物が陸に進出したってことは、次は恐竜の時代ね!」

アイコ 「確かにその通りなんだけど、その前にとても大きな事件が起きたの。地球史上最大の、大量絶滅が起きてしまったの。」

古生代の大量絶滅
古生代まとめ

古生代には、何度か生物の大量絶滅が起きています。
例えば、カンブリア紀の終りには三葉虫が激減しています。
そして古生代の終わりのぺルム紀の大量絶滅では、海の生物の90%以上(一説によると95%)の種が絶滅してしまったと考えられています。

大きな環境変化があったことは確かですが、その原因についてははっきりとしたことが分かっていません。

例えば、「シベリアで巨大な火山活動があり、そのため極端な温暖化が起きたこと」や「海の深いところで酸素不足の状態になってしまったこと」が原因だという説があります。
最近の研究では、「深海だけでなく、海の浅いところでも酸素不足になった」という説が出されています。
また、「大陸の動きが関係している」という説もあります。

上の図は、古生代の3億年間をまとめた表です。
カンブリア紀には生物の爆発的進化が起こり、オルドビス紀には脊椎動物が出現します。
シルル紀には植物が陸上に進出して、続くデボン紀には動物も陸に上がりました。
石炭紀には世界中に大森林が発達します。このころの樹木の化石が、現在石炭として利用されています。
ぺルム紀の終わりには生物の大量絶滅が起きます。
絶滅を逃れて生き抜いた生物が、次の中生代に繁栄していくことになります。


サワ 「恐竜の時代ね!」


それでは、次回もお楽しみに!

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