NHK高校講座

物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

  • 高校講座HOME
  • >> 物理基礎
  • >> 第35回 第2編 さまざまな物理現象とエネルギー 電気のつくり方 〜電磁誘導〜

物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第35回 第2編 さまざまな物理現象とエネルギー

電気のつくり方 〜電磁誘導〜

  • 物理基礎監修:筑波大学附属高等学校教諭 小沢 啓
学習ポイント学習ポイント

電気のつくり方 〜電磁誘導〜

なぜ鍋に電流が流れる?
  • 切った鍋に豆電球をつなぐ
  • 電源と電熱線で導線でつないで電流を流す
  • 電流が流れると磁場が生まれる

ノブナガとリコが料理をしています。


ノブナガ 「IH調理器って、上に乗せた鍋に電気が流れて、鍋が熱くなるんだったよね。」

リコ 「そうそう、お父さんが切った鍋に豆電球をつないだら、ついたよね(第1回)。」

ノブナガ 「それって、IH調理器に電流が流れているから、この乗せた鍋にも電流が流れるってことだよね?前さ、電源と電熱線を導線でつないで、電流を流していたよね(第33回)。だから、鍋と調理器がくっついているから、鍋に直接電流が流れているんだよね?」

リコ 「えーっ?!それはどうかな。確か、IH調理器に磁場ができているから電流が流れてるんじゃなかったっけ?」

ノブナガ 「なんで、磁場ができると電流が流れるの?」

リコ 「そこはよくわからないけど、以前やったように、電流が流れると磁場ができるんだから(第34回)、逆に磁場を作れば電流が流れるんじゃないかな?」

ノブナガ 「いやいや、IH調理器から直接電気をもらっているんだって!」

リコ 「じゃあ、どっちが正しいか調べてみようよ!」

コイルで磁場を調べる
  • 磁場ができるから電流が流れる?
  • IH調理器を分解?

リコ 「私が提唱するのは『IH調理器に磁場ができるから電流が流れる説』です。IH調理器に磁場ができているのだとすれば、方位磁針をIH調理器の中にあるコイルに置けば、方位磁針が動くはずです。」


しかし、実験をしようにもIH調理器の分解は危なくてできません。
そこへ、ちょうどお父さんが帰ってきました。
すでに分解したIH調理器があるというので、それを使って磁場の実験をすることにしました。

  • IH調理器にはコイルが入っている
  • コイルを回路につなぐ

IH調理器の中に入っているコイルに電気を流し、そこでできる磁場を調べます。

IH調理器からコイルを外し、回路につなぎます。
磁場を調べるために、コイルの前に方位磁針を置きます。
このコイルに電流を流すと、方位磁針はどのように変化するでしょうか。

※実験は専門家の指導のもと行っています

  • コイルに磁場ができる
  • 豆電球をつないだ鍋

スイッチを入れると、コイルで以前行った実験と同様に磁場ができました。


ノブナガ 「磁場があるのはわかったけど、磁場があると鍋に電流が流れるってことまでは証明できてないよ。」

父 「それはね、以前こんなふうに鍋を切って、この間に豆電球をつけたら、豆電球がともったよね?これをもっと単純化して考えてみれば?」

リコ 「あ、そうだ!いいこと思いついちゃった!」

コイルで発電
  • 切った鍋の代わりにひと巻きコイル
  • 安全装置がはたらきつかない

リコ 「私が次に考えたのがこれ、ひと巻きコイルに豆電球をつけたものです。ひと巻きコイルを磁場の中に入れれば、電流が流れるはず。切った鍋がこのコイルなのです!じゃあ、調理器の上に置くよ。スイッチオン!」

ノブナガ 「ほら、つかないじゃん。」

リコ 「なんでだろう?」

  • 鍋を乗せると豆電球が点灯する
  • ひと巻きコイルを持ち上げても豆電球は点灯

実は、IH調理器には安全装置がついているため、IH調理器に対応した鍋を乗せないと動作しません。
そこで、ひと巻きコイルと一緒に水を入れた鍋を置いてみると、豆電球が点灯しました。


ノブナガ 「でもさ、これってIH調理器にコイルがくっついているじゃん。だから、直接電気をもらっているんじゃないの?」

父 「なるほどね。じゃあノブナガ、そのコイルを少し持ち上げてみたらどうだ?」

ノブナガ 「うん、わかった。……お、離れているのに電気がついてる!」

リコ 「これで、磁場の中にコイルを入れると、コイルに電流が流れることがわかったね。」

ノブナガ 「でも、磁場があるだけで電流が流れるのは、なんか納得できない。」

父 「ノブナガの言うことも、もっともだよね。もしも磁石の近くに金属があったら、いつでも電流が流れているってことにもなっちゃうよね。」

リコ 「そこまで言うなら、白黒つけようじゃないの!」

磁場の変化を観察する
  • 磁石がコイルの近くにあれば磁場で電流が流れる?
  • ひと巻きコイルに検流計をつなぐ

次にリコが考えた仮説は、「磁石がコイルの近くにあれば、その磁場で電流が流れる」というものです。

これを証明するために、先ほどのひと巻きコイルに検流計をつなぎました。
棒磁石をコイルに近づければ電流が起こるはずです。

  • 磁石を近づけると検流計が振れる
  • 磁石が近づいているのに検流計はそのまま
  • 磁石を遠ざけると検流計が振れる

リコが磁石をコイルに近づけると、検流計の針が振れました(左写真)。
しかし、そのままにしていると、磁石がコイルの近くにあるにもかかわらず検流計の針は元に戻って動きません(中写真)。
再度磁石を近づけるため、磁石をコイルから一度遠ざけると検流計の針が振れました(右写真)。


父 「電気が起こるためには、磁場の変化が必要なのかもしれないね。棒磁石を近づけたり遠ざけたりして、検流計がどんな動きをするか観察してみようか?」

  • N極を近づけると検流計が左に振れる
  • 磁石が近づいているのに検流計はそのまま
  • N極を遠ざけると検流計が右に振れる

ひと巻きコイルに棒磁石のN極を近づけると、検流計の針は左に振れました。
そのまま磁石を止めると針は動かず、磁石を遠ざけると針は右に振れました。


リコ 「磁石の動きが止まると針が元に戻るんだね。じゃあ、動かしている時だけ電気が起こるのかな。今度は連続してやってみるね。」

ノブナガ 「左右に針が振れるのを繰り返してるね!」

リコ 「やっぱり、磁石が動いている時だけ電気が起こるんだね。」

  • S極を近づけると検流計が右に振れる
  • S極を遠ざけると検流計が左に振れる

続いて、S極で同じ実験を行います。

N極の時とは逆に、磁石を近づけると針は右に、遠ざけると針は左に振れました。

コイルと磁石の実験結果

コイルと磁石の実験結果をまとめます。

N極では、近づける時と遠ざける時で検流計の針の振れが逆になっています。
一方S極では、N極を近づけた時とは反対の動きになっています。

この時、それぞれのコイルを流れる電流の向きと、磁場は画像のようになっています。
磁場の変化を妨げるように、電流が流れています。

  • 起電力・電磁誘導・誘導起電力
  • マイケル・ファラデー

父 「コイルの中で磁場が変化すると、コイルに電流を流そうとする働き、すなわち『起電力』を生じるんだね。この現象を『電磁誘導』というんだ。そして、電磁誘導によって生じる起電力を『誘導起電力』というんだよ。」

リコ 「磁場があるだけじゃ、誘導起電力は生じないんだ。」

ノブナガ 「磁場の変化が必要なんだね。」

父 「電磁誘導を発見したマイケル・ファラデー(1791−1867)も、最初は磁場があれば電流が流れると思っていたんだ。でも、磁場が変化しないといけないということに、実験で気づいたんだね。」

ノブナガ 「じゃあ、僕らはファラデーと同じことをやっていたんだ。」

父 「今度は、もっと速く磁石を動かして、検流計の動きを比較してみようか。」

  • 磁石をゆっくり動かすと針の振れ幅は小さい
  • 磁石を速く動かすと針の振れ幅は大きくなる

磁石をゆっくり動かすと、検流計の針の振れ幅は小さくなっています。
磁石を速く動かすと、針の振れ幅も大きくなりました。


父 「これはつまり、磁場の時間当たりの変化が大きい程、大きな誘導起電力が得られるっていうことなんだね。」

ノブナガ 「じゃあ、磁石をずーっと動かし続けて、磁場を変化させ続ければ、ずっと電気を作り続けられるんじゃないの?」

父 「さすがノブナガ!そのとおり。」

磁石を回して発電
  • 交流発電機の実験装置
  • 磁石を回すと針が左右に振れる

父 「というわけで、お父さんが磁石を速く動かす装置を作ってみました。コイルと磁石があるね。コイルには検流計がつないであるよ。磁石は回転するようになっているんだ。磁石を回すから、検流計の動きをよく見ていてね。」

リコ 「あ、検流計が左右に振れているよ。」

ノブナガ 「でも、左右に振れながらずっと電気は作られ続けているよね。」

  • コイルの中の磁場が周期的に変化する
  • 回路に電流が流れる

磁石がこのコイルの前で回転すると、コイルの中の磁場が周期的に変化します。
すると、コイルにつながれた回路に、向きと大きさが周期的に変化する電流が流れます。
このような仕組みの発電機を『交流発電機』といいます。


ノブナガ 「交流発電機か。これなら、ずっと電気を作り続けられるよね。」

父 「実は、発電所も同じ原理で電気を作っているんだよ。」

リコ 「でも、こんな簡単な仕組みのわけないよね。」

父 「さあ、どうだろうね。発電所に行って調べてみるといいよ。」

発電所の仕組みを調べる
  • 白坂真人さん
  • 城山発電所

2人がやってきたのは神奈川県相模原市です。
神奈川県相模川発電管理事務所の白坂 真人さんにお話を伺いました。


リコ 「この建物が発電所なんですか?」

白坂さん 「こちらは発電総合制御所といいまして、発電所ではありません。発電所はこの地下にあります。」

リコ 「なんで地下にあるんだろう?」


この建物の地下にあるのが、城山発電所です。
発電所が地下にある理由は、発電の方法にあるといいます。

  • 水車
  • 城山発電所の揚水発電

はじめに、敷地内に展示してある直径約4mの大きな水車を見せていただきました。
この水車を水で回して発電しているのだそうです。


ノブナガ 「水車ってことは、水力発電ってことだよね。」

リコ 「え、でもちょっと待って。水力発電ってダムとか湖が必要だと思うんですけど、見当たらないですよね?」

白坂さん 「そうですね。ここは、普通の水力発電とはまた違うことをやっています。揚水発電というのを行っているんですね。」


城山発電所をはさんで上下に2つの湖があります。
下の津久井湖の水を、上の城山湖にくみ上げてため、その水を使って発電しているので「揚水発電」といいます。

  • 発電所は230m下
  • 地中深くに発電所がある

2人はヘルメットをかぶり、エレベーターに乗り込んで地下にある城山発電所へ向かいます。


リコ 「発電所ってどれくらい下にあるんですか?」

白坂さん 「先ほどの所から、230m下にあります。」

ノブナガ・リコ 「230m?!」


城山発電所は、城山湖にためた水を、下の津久井湖に流して水車を回しています。
水車を回す圧力を得るため、地中深い場所に発電所があります。

  • 発電量は25万kW

エレベーターを降りると、サッカー場よりやや細長い空間に、4台の発電機があります。
最大出力は25万kWです。
一般家庭が1か月に使う電力量(350kW/月)から1日分を計算して、約12万戸の家庭で使う電気に相当します。

  • 発電機の中へ
  • 励磁装置

白坂さんの案内で、発電機の内部を見せてもらいます。


白坂さん 「これが励磁(れいじ)装置ですね。ここで作った電気を回転子に送って、それが電磁石となります。」

  • 発電機全体像
  • 電磁誘導

発電機の全体図です。

ノブナガとリコがいるのが、1番上の励磁装置です。
励磁装置は、その下の回転子と呼ばれる部分に電気を送り、回転子が電磁石になります。
その外側には固定子と呼ばれるコイルがあります。

一番下の水車が回ると、コイルの中で電磁石が回転し、電気が起きるという仕組みです。


リコ 「これって電磁誘導ですよね!」

白坂さん 「よく知ってますね。そうです、これが電磁誘導ですね。」

ノブナガ 「そうか、交流発電機だ!」

  • モーターとしての役割も持つ

お父さんの作った交流発電機と、発電の仕組みは同じだということがわかりました。

さらにこの発電機は、水をくみ上げる時のモーターとしての働きもあります。
このように、発電機とモーターの仕組みは同じものです。

  • 発電機の下の部分へ
  • 水車軸

次に、発電機の下の部分を案内していただきました。


白坂さん 「これが水車軸になります。この下に水車があって、そこで回った力をこの軸を通して、先ほどあった発電機のところを回しています。」

リコ 「でも、今これって動いてない状態ですよね?」

白坂さん 「そうですね。ここの発電所は、電力需要が急に必要になった時に回るようになっています。」

  • 冬の電力の使用推移
  • 送電線の切断事故

作った電気は、ためておくことができません。
そのため、需要に合わせて計画的に作り、供給しています。
ところが、急に冷え込んだ冬の夜などには、需要が計画を超えることがあります(左図赤丸印)。
城山発電所は、そのような時に発電をします。


白坂 「水力発電はすぐに発電をすることができるんですね。運転の指令操作をしてから、6分間で。」

ノブナガ・リコ 「6分!!」


2006年、東京都内の河川で送電線の切断事故が起きた時、約140万軒が停電しました。
その際、城山発電所はすぐに発電を開始し、不足した電気を補いました。

  • 発電機の運転の様子
  • 目の前で電気が作られている

この日、ちょうど点検のために発電機を動かすことになりました。


ノブナガ 「ここから、みんなの家の電気が作られているってことですよね。」

白坂さん 「そうですね、今まさに作られているという状況ですね。」

リコ 「目の前で電気が作られている状況を見ることがないので、すごい!」

  • 城山湖
  • 心配で見に来たお父さん

左写真は、城山発電所に水を供給する城山湖です。
この水を使って、約6時間連続で発電することができます。


リコ 「あんなに大きい発電機でも、磁石とコイルを使って、電磁誘導で電気を作っていたなんてね。」

ノブナガ 「作った電気はためておけないってこともわかったよね。」

父 「2人ともよくわかったじゃないか。」

ノブナガ・リコ 「お父さん?!」

父 「ちょっと心配だったから。」

  • 水の位置エネルギーとして蓄えている
  • 次回も、お楽しみに!

父 「ところで、作った電気エネルギーというのは、そのままためておくわけにはいかないんだよね。そこで水力発電所では、別の形にして蓄えているんだよ。」

ノブナガ 「え、どういうこと?」

父 「目の前の湖にためられた水は、位置エネルギーを持っているんだよね。水を落として発電するということは、水の位置エネルギーを電気のエネルギーに変換しているということなんだ。つまり、電気のエネルギーの代わりに、水の位置エネルギーとして蓄えているということなんだ。」

リコ 「この湖が電池の役割を果たしているっていうこと?」

父 「そのとおりだよ。水力発電を使えば、欲しい時にすぐに電気エネルギーを生み出すことができるからね。」

ノブナガ 「そうか、6分で発電できるんだもんね。」

父 「水力発電ってすごいだろう?」


〜お父さんのひと言〜

13歳で製本屋の奉公に出されたファラデーは、努力を重ね、ロンドンにある王立研究所の屋根裏部屋に住む助手の職を得ました。
1831年、彼は電磁誘導を発見します。
この電磁誘導は、水力発電所、火力発電所の基本原理なんです。
貧乏で学歴のなかったこの製本職人のファラデー少年が、現代の電気エネルギーを支える基本原理を発見する。
この大発見を誰が予想したでしょうか。
誰にとっても、予定されている未来があるわけではありません。未来は皆さんの努力によって築かれていくんです。



それでは、次回もお楽しみに!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約