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物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

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物理基礎

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今回の学習

第28回 第2編 さまざまな物理現象とエネルギー

弦楽器の音を調べる 〜弦の振動〜

  • 物理基礎監修:駒場東邦中学校・高等学校教諭 市原 光太郎
学習ポイント学習ポイント

弦楽器の音を調べる 〜弦の振動〜

  • ギターを引くノブナガ

ノブナガがギターの練習をしています。


ノブナガ 「とりあえず音は出るんだけど、弦のしくみって、どうなってるのかよくわからないんだよね〜。」

母 「あれ、ノブナガ、ギターなんか持ってどうしたの?」

ノブナガ 「友達が文化祭でライブをやってたんだけど、それがカッコよくて。僕もギター始めてみようかなぁ……なんて思ったり、思わなかったり。」

リコ 「でも、お兄ちゃん、楽器のことなんかわかるの?」

ノブナガ 「それは、まだ、あまりわからないけど……。」

父 「あれ、ノブナガ、ギターを始めたんだ?」

ノブナガ 「始めたってほどでもないんだけどさぁ……。」

リコ 「でも、お兄ちゃん、楽器のこととかわからないんだって。」

母 「お父さんだったら、わかるわよね。楽器の音が出るしくみってどうなってるの?」

父 「楽器の音が出るしくみねえ……。」

音が出るしくみ
  • おんさ
  • 特定の振動数で振動する

お父さんが用意したのは、おんさです。

おんさを叩くと、特定の高さの音が出ます。
また、机のように楽器でないものでも、叩くとやはり特定の高さの音が出ます。

これは、材質や形状で決まる特定の振動数で、その物体が振動するからです。
この特定の振動を「固有振動」、その時の振動数を「固有振動数」といいます。

共振(共鳴)
  • 片方のおんさを止めてももう片方が鳴る
  • 固有振動数と同じ振動数を与えると振動する

次に、おんさを2つ使って実験します。
2つのおんさの音は同じ高さなので、どちらも同じ固有振動数ということになります。

ノブナガとリコの前におんさをそれぞれ置き、リコの方だけおんさを叩き、少しして音を止めます。
すると、叩いていないノブナガのおんさからも音が鳴りました。


母 「へ〜、おもしろい!これって固有振動数が同じだから、ノブナガのも振動したってこと?」

父 「そのとおり。外からその物体の固有振動数と同じ振動を与えると、その物体は大きく振動したり音を出したりするんだ。この現象を、『共振』とか『共鳴』っていうんだ。」

ノブナガ 「共振って、ギターでもできるのかな?」

父 「じゃあ、試してみようか。」

ギターの共振
  • 70Hzでは変動なし
  • 82.2Hzで弦が共振する
  • 振動数を上げると、振動は収まる

ギターに、外からスピーカーを通して振動を当てるとどうなるのか、見てみます。

約70Hzの振動では、特に変化は見られません。
振動数を上げていくと、82.2Hzで一番上の弦が振動を始めました。
更に振動数を上げると、振動はおさまりました。

もう一度、振動数を下げると、弦は再び82.2Hzで振動を始めました。

このギターの一番上の弦の固有振動数は82.2Hzということがわかりました。

  • 実際にギターを弾いてみる
  • 振動数は82.2Hz

今度は、このギターの一番上の弦を実際に弾いて、その振動数を測ってみます。

結果は、同じ82.2Hzです。

このギターの弦は、外から振動を与えても実際に弾いても、同じ固有振動数で振動することがわかりました。

弦の振動のしくみ
  • ギターの弦の「腹」
  • ゴムひもで実験

母 「なるほどね、ギターの弦も固有振動数で振動していたわけだ。」

父 「そう。じゃあ、弦は固有振動数でどのように振動しているのか、詳しく見てみようか。ギターを弾くと、弦の真ん中が膨らんで『腹』のように見えるけど、弦では振動の様子がわかりにくいので、よく見えるようにゴムひもを使って調べてみよう。」

母 「このゴムひもで弦の振動が見られるの?」

父 「そう、さっきはスピーカーからギターに振動を当てていたけど、今度はこのゴムひもに直接、発振器から振動を当ててみるよ。スイッチオン。振動数を上げていくと……。」

  • 15Hz
  • 20Hz

母 「あっ、この形、前に見たことある!」

リコ 「定常波かな?」

父 「そう。振動数がゴムひもの固有振動数に達すると、腹が1つの定常波ができた。この時の振動数は15Hz。じゃあ、更に振動数を上げていくよ。」

ノブナガ 「あれ、消えちゃったよ(右写真)。」

  • 30Hz
  • 45Hz

父 「更に振動数を上げていくと……。」

リコ 「あっ、2つになった。」

父 「真ん中に節ができて、2つの腹ができた。この時の振動数は30Hz、さっきの2倍だね。じゃあ、更に振動数を上げていくと。」

リコ 「……あっ、3つ!」

父 「振動数は45Hz。最初の3倍だね。」

倍振動と倍音
  • 基本振動、2倍振動、3倍振動
  • 音色が決まるときにはいろいろな振動数が混ざる

左写真は、さきほどの実験結果をまとめたものです。

15Hzの振動を与えると、腹が1つできました。
また、振動数が2倍になると腹が2つ、3倍になると3つ……という風に増えていきました。

腹が1つの振動を「基本振動」、腹が2つを「2倍振動」、3つを「3倍振動」といいます。
このような基本振動の整数倍の振動をまとめて「倍振動」といいます。

そして、倍振動による音を「倍音」といい、どれもこの弦の固有振動数になっています。


母 「この倍振動って、実際に弦を弾いても作れるのかしら?」

父 「お母さん、良い質問だね!弦を弾いた時にも固有振動数で振動するんだけど、そのしかたがちょっと違うんだよ。」

母 「振動のしかたが違うって、どういうこと?」

父 「ゴムひもに外から振動を与えた時には基本振動、2倍振動、3倍振動と順番に倍振動が出たけど、実際に弦を弾いたときには、これらの振動は同時に出るんだよ。」

リコ 「それって、ひょっとして、前に『音色が決まる時にいろんな振動数の音が混ざる』って言っていたのと同じかな?」

父 「リコちゃん、鋭い!実はそうなんだよ。では、弦楽器の音色と倍音がどのように関係しているのか見てみよう。」

音色の正体
  • おんさのラ
  • バイオリンのラ
  • 同じ音で波形の違い

音色とは、どのようなものなのでしょうか。

オシロスコープで、基準となるおんさの「ラ」の音の波の形を見てみると、単純な形になりました。
続いて、バイオリンの「ラ」の音を見てみると、複雑な形になりました。

二つは同じ「ラ」の音なのに、波の形が違います。
この違いは、何によって生まれるのでしょうか。

  • おんさの振動
  • バイオリンの振動

この波形の違いを、振動数ごとの音の大きさがわかるソフトで調べてみます。

基準となる「ラ」の音を出すと、おんさでは440Hz、つまり1秒間に440回振動しているところだけが出ています(左写真)。
一方、バイオリンの音には基本の振動数440Hzの他に、その2倍、3倍、4倍とたくさんの倍振動が出ていることがわかります(右写真)。

バイオリンの音色は、これら振動数ごとに大きさの違う倍音が混ざり合ってできていたのです。

  • バイオリンの弦の振動
  • いくつもの細かい振動

バイオリンの弦の振動を普通に見ても、腹が1つ見えるだけです(左写真)。
しかし、約270倍のスローモーションで見てみると、大きな振動の中にいくつもの小さな振動が同時に見えます(右写真)。
この小さな振動が、音色を作り出す倍音成分と考えられます。


母 「なるほど、音色を決めるいろんな振動数の正体って、基本振動とか倍振動だったんだ!」

父 「そうなんだ。弦楽器の固有振動数は、ひとつだけじゃなくて、同時にたくさん出ているんだ。それらが音色を決めているんだね。」

ノブナガ 「なるほどね、弦の振動のことはよくわかった。お父さん、今度はなにか演奏に役立つことも教えてくれない?」

音の高さを決めるもの
  • 振動数が大きいほど音は高い
  • 振動実験の節から節の距離

父 「前に音の高さの話をしたのは覚えているかな?」

ノブナガ 「『振動数が大きいほど、音は高い』ってやつ。」

父 「そう。では、その音の高さを変えるにはどうすればいいか、見ていこう。さっきのゴムひもの振動実験のそれぞれの節から節の長さを測ると、基本振動は80cm、2倍振動は約40cm、3倍振動は26.7cmでした。さて、この基本振動の波長は?」

ノブナガ 「はい!80cm。」

父 「残念。波長は節から節の2倍だから、160cmだね。」

ノブナガ 「あっ、そうだった!」

  • 振動実験の振動数と波長の関係
  • 掛けたらほとんど同じ数になる

父 「じゃあこれを見て。さて、この数字の組み合わせを見て、何か気付いたことはあるかな?」

リコ 「……あっ、わかった!掛けたらほとんど同じ数になる。」


計算すると、

1は 15×160=2400
2は 30×80=2400
3は 45×53.4=2403

となります。

  • v=fλ
  • 速さ

父 「リコちゃん鋭い!振動数と波長を掛けると、ほぼ同じ数になるんだ。これって何だったか覚えているかな?」

リコ 「 λ 。」

父 「『波の速さ = 振動数 × 波長λ 』だから、『速さ』になるんだね。」

  • f=v/λ

父 「 λ。この式を置き換えると、『振動数 =速さ /波長λ 』ということになるんだ。この式から、音の高さの変え方がわかるんだよ。」

ノブナガ 「えっ?この式から、音の高さの変え方がわかるってどういうこと?」

父 「振動数が大きいほど音が高くなるというのは、前に学習したよね。それから、同じ弦で何もしなければ、この速さ は一定なんだよ。だから……。」

ノブナガ 「わかった。速さが一定ってことは、波長を短くすれば、振動数は大きくなるから、音も高くなるってこと!」

父 「そう。音の高さを変える方法はいろいろあるんだけれど、実際にギターを使って調べてみようか。」

  • ギターには太さの違う6本の弦
  • 弦が細いほど速さvが大きくなる

父 「ギターには太さの違う6本の弦があるけど、その理由を説明していこう。一番上の太い弦と一番下の細い弦を弾いてごらん。」

母 「細い弦の方が、音が高い。」

父 「そう。さっき、同じ弦では何もしなければ速さは一定だと言ったけど、太さが違うと、波の速さ が変わってくるんだ。弦が細いほど、波の速さ が速くなる。ということは、波長λ が一定だったら、波の速さ が速くなれば振動数が大きくなって高い音になる。だから、太さの違う6本の弦があるんだね。」

ノブナガ 「なるほどね〜。」

  • 弦を緩めると音が低くなる
  • 弦の張力が弱くなると速さvは小さくなる

父 「じゃあ、次は太い弦を続けて弾いてみて。」

リコ 「……あれ、どんどん低くなってる。」

母 「お父さん、何したの?」

父 「弦を緩めたんだよ。弦の張力が弱くなればなるほど速さ が小さくなるので、振動数が減って低い音になるんだよ。」

ノブナガ 「弦の張り具合でも音の高さって変わるんだね。」

父 「そう。6本の弦を正しい音程に合わせるために、張力で調整するんだよ。」

リコ 「それってチューニングのことだよね!」

父 「そうそう。」

  • 弦を押さえると音が高くなる
  • 次回もお楽しみに!

ノブナガ 「じゃあ、お父さん。弦を押さえると、どうして音の高さが違うの。」

父 「じゃあ、それも説明しようか。何も押さえていない時は波長λ が大きいよね。波の速さ は一定のまま。すると、振動 は小さくなるから低い音。押さえる位置をギターの胴体に近づけていくと、波長は短くなり、振動数は大きくなるので音は高くなるということなんだ。」

ノブナガ 「なるほど、弦の張り具合、太さ、そして長さが音の高さを決めていたんだね!」

父 「そう。あとは練習あるのみだな!」


〜お父さんのひと言〜

弦を1回弾くだけ、こすっただけで、定常波ができるというのは不思議ですよね。
1回の刺激を弦に与えただけで、一定の振動が続くんです。
振動は、弦を元に戻そうとする復元力、そしてその運動を続けようとする慣性によって生じます。
人生には、心揺れる場面が何度もありますね。
それは、あなたが2つの価値観を両方とも理解しようとしているからかもしれませんね。
そのことは、決して悪いことではありません。
みんな、人生では心を揺らしながら、成長していくんです。



それでは、次回もお楽しみに!

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