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物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

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物理基礎

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※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第20回 第2編 さまざまな物理現象とエネルギー

熱と温度の関係を調べる 〜熱と温度〜

  • 物理基礎監修:豊昭学園豊島学院高等学校教諭 大津 豊隆
学習ポイント学習ポイント

熱と温度の関係を調べる 〜熱と温度〜

洗濯物が乾くのは?
  • 洗濯物をたたむ物理家
  • 南極や冷凍室でも洗濯物は乾く

母 「今日は、お洗濯物がよく乾いて気持ちいいね。」

父 「確かに洗濯物がよく乾いていると気持ちいいよね。ところで洗濯物ってどんなときに乾きやすいかな?」

ノブナガ 「空気が乾燥しているとき。」

リコ 「風が吹いていると、乾きやすいよね。」

母 「やっぱり、よく晴れて日光が当たって、あったかい日じゃない。」

父 「そうね、気温が高い方が洗濯物を乾かすには確かにいいよね。でも実はね、気温がうんと低くても洗濯物は乾くんだよ。」

母 「え?気温が低かったら、洗濯物は乾かないでしょう?」

父 「ところがね、例えば、南極や冷凍室でも洗濯物は乾くんだよ。」

リコ 「へー、そうなんだ。でも、なんで?」

父 「それはね、温度と熱のことがわかれば、説明できるんだよ。」

母 「いや別にそんなこと知らなくても、私は洗濯物が乾いたらそれで十分なんだけど……。」

  • 台所で作業するお母さん
  • 手で熱を計る

母 「……これでよしと。はいお待たせ。さあ、それで?」

父 「そういえばお母さん、リコちゃんが子どもの頃、よくおでこに手を当てて熱をみていたよね。」

母 「そうだったわよね。そういえばこの子、小さい頃はよく熱を出してたもんね。そう考えると、最近ご無沙汰よね。どれどれ……ねぇリコ、もしかしたらあなた熱あるんじゃない?」

リコ 「ないよ。お母さん、手がすごく冷たい。」

母 「あっ、そうかそうか。今ね、氷水さわってたの。フルーツゼリーを作ったから急激に冷やしておこうと思って。あっ、だからすごく熱いって感じたのかな。」

父 「手でみる熱いか冷たいかは、自分を基準にした感覚だから人によっても違うかもしれないよね。そういった感覚に頼らないで、正確に温度を知るためにはどうしたらいいかな。」

母 「それは、温度計を使えばいいんじゃない。」

父 「そう、その温度計があるよね。」

手作り空気温度計で実験!!
  • 空気温度計
  • ガラス管の中にはバナナ

お父さんが持ってきたのは、手作りの空気温度計です。
空気は温度によって体積が変わるので、その性質を利用しています。

ビンの中には空気がたくさん入っており、穴付きゴム栓で閉じられています。
ゴム栓にはガラス管が通されており、ガラス管の中には目印のバナナが入っています。
バナナはよく動くようにサラダ油が塗ってあります。

  • 中の空気が膨張してバナナが押し上げられる
  • 中の空気が膨張してバナナが押し上げられる

この空気温度計を手のひらで包んで温めると、バナナがガラス管の内部を上がっていきます。
瓶の中の空気が手で温められることによって膨張し、バナナが押し上げられたのです。

  • 中の空気が縮んでバナナが下がる
  • 中の空気が縮んでバナナが下がる

次に、空気温度計を氷水に入れて冷やすと、バナナはあっという間に下がっていきます。


父 「中の空気が縮んで、つまり体積が小さくなって、バナナが下がったんだよね。たとえば、手で温めて動いたところに印をつけておけば、そこが自分の手の平熱だということになるでしょう。それよりもしも上がれば、平熱よりも温度が高いということがわかるよね。」

  • 基準が人によって変わる
  • 目盛りをつけるには基準が2つ必要

リコ 「でも、私とお母さんとで、こんなにも違う。」

母 「そうね。これじゃあ、平熱より何度だけ高いとかもわからなくない?」

父 「そうだね。じゃあ、何が必要かな?」

ノブナガ 「あっ、わかった。目盛りだ。目盛りがあれば何度高いかわかるよ。」

父 「そうだよね。目盛りを付けるには、基準が2ついるよね。」

リコ 「いつも温度が決まっている何かが2つあれば、いいということか。」

父 「そう、いつも、同じように起こる自然現象を利用すればいいんだ。」

水の状態変化 2つの基準点
  • 0℃で凍り始める水
  • 水は100℃より上がらない

温度計に目盛りをつけるのに基準にするのは水です。

まず、水をドライアイスで冷やしていきます。
水の温度が下がっていき、温度が0℃で凍り始めました。
水はどんどん凍っていきますが、温度は0℃のままです。

続いて、水を温めていきます。
水が沸騰し始め、温度が100℃になりました。
そのまま加熱し続けても温度は上がらず、100℃のままです。

熱さや冷たさを表す尺度
  • セルシウス温度
  • 温度が下がると体積は同じ割合で減る

水が凍る温度や沸騰する温度がある一定だということがわかり、これが基準とされました。
それがセルシウス温度(セ氏温度)で、単位には℃を使います。

水が氷になったり、氷が溶けて水になったりする温度を0℃とし、水が沸騰する温度を100℃としました。
この間を100等分して、セ氏温度を決めています。
これで、熱い冷たいを人の感覚とは関係なく、数値で表すことが可能になりました。


父 「じゃあ、空気温度計で考えると、100℃と0℃の目盛りをつけたとするよね。それで、どんどん冷やしていったら、どうなるだろうね?」

ノブナガ 「空気の体積は減っていくから……。」

リコ 「体積が0になる?」

父 「そう。そう考えることができるよね。温度が下がると体積は同じ割合で減っていくんだよ。」

※実際の気体は、ある温度で液体になります。

絶対温度

最終的に体積が0になると、そのときの温度が下限である最低温度−273℃になります。
−273℃を0とした温度を「絶対温度」といい、単位はK(ケルビン)を使います。

セ氏温度と絶対温度の関係は、例えば0℃は273を足して273K、100℃は273を足して373Kとなります。
温度の刻みは、セ氏温度も絶対温度も同じです。


母 「温度をどのようにして決めたかってことはわかったけど……。結局、温度が高い・低いっていうのは、どういうことなの?」

父 「そのヒントは、温度の基準に使ったものにあるんだよ。」

リコ 「水が凍ったり、沸騰したりっていうこと?」

父 「そう、水の状態変化をグラフに表してみるとこんな風になるんだよ。」

物質の三態
水の状態変化のグラフ

グラフの横軸は加熱時間、縦軸は温度[℃]です。

0℃よりも低いところは氷で、固体です。
固体である氷を温めていくと温度が上がり、やがて0℃で氷が融け始めます。
このとき固体の氷と液体の水、つまり0℃の氷と0℃の水が一緒にある状態で、温度は0℃のまま変わりません。

氷が溶けて全て液体になり、さらに加熱すると、液体の水の温度が上がっていきます。
さらに温度を上げていき、100℃では液体の水と水蒸気が一緒に存在します。
水があり、水蒸気もある沸騰状態では、温度は100℃のままです。
さらに温度を上げると全て水蒸気になり、この水蒸気の温度が上がっていきます。

温度によって、水は固体・液体・気体と状態が変化します。

温度によって変わるのは?
  • 原子や分子の状態の違い

ノブナガ 「水の状態が変化しただけで、水そのものが変わったわけじゃないよね。」

リコ 「だとすると……、何が温度によって変わるんだろう?」

父 「それはね、物質を構成している原子や分子の状態の違いなんだよ。水の場合、水の分子がたくさん集まったもので、その分子1つ1つが、実は激しい運動をしてるんだよ。」

リコ 「原子や分子って、目に見えないすっごい小さいものでしょう。それが激しく運動しているなんて、どうしてわかるの?」

父 「それを示す実験を見てみよう。」

  • 薄めた牛乳を温める
  • ブラウン運動

牛乳を水で薄めて温め、顕微鏡で見てみます。

見えているのは牛乳の脂肪の粒で、細かく揺れ動いています。
これは、まわりにある水の分子が激しく動き、牛乳の脂肪の粒にぶつかって起きています。
この現象をブラウン運動といいます。


母 「なるほどね、じゃあ、あの動いているのが証拠になるわけだ。」

父 「さっきの水の状態変化を水の分子の運動で見てみようか。」

分子の運動で見る水の状態変化

水の状態変化を水の分子の運動で見てみます。

固体のときは、分子は決まった位置で激しく振動しています。
液体になると、決まった位置にはありませんが、自由に動き回ります。
さらに温度が上がり気体になると、分子の運動はさらに激しくなり、空間を激しく飛び回ります。
温度が変わるということは、分子の運動の激しさが変わるということです。


リコ 「じゃあ、空気の場合はどうなるの?」

ノブナガ 「さっきの空気温度計の原理も、分子の運動で説明できるのかな?」

父 「そうだね、これも実験で確かめてみようか。」

  • 手回し発電機がつながっている実験装置
  • 発電機を回すと目印も高く上がる

シリンダーの中に、空気分子に見立てたプラスチックの粒が入っています。
粒が乗っている台は上下に振動するようになっており、接続された手回し発電機を回すと、プラスチックの粒が振動で飛び跳ねます。
空気温度計では目印にバナナを使いましたが、同様に白い目印をシリンダーの中に入れておきます。

実際に発電機を回してみると、粒が飛び跳ね、目印も上がります。
さらに速く回してみると、目印がより高く上がりました。


父 「手回し発電機を速く回すと、分子の粒が激しく運動して動くようになったね。これが温度が高くなったということなんだ。速く回すことは、外から熱エネルギーを与えるということなんだよね。これが、空気温度計の原理なんだ。」

  • 実験装置と空気温度計
  • 温度によって分子の運動が激しくなり体積が増えた

空気温度計の中には、空気の分子があります。
温度が上がることによって空気の分子が激しく運動し、バナナが上がりました。
つまり分子の運動が激しくなることで、体積が増えたということになります。


母 「結局、温度が高いということは、原子や分子が激しく運動しているってことなの?」

父 「そう、温度の違いは、原子や分子の運動の激しさ、熱運動による運動エネルギーの違いなんだよ。」

ノブナガ 「ということは、温度が一定だとその物質の原子や分子の運動エネルギーが同じだということなのかな?」

父 「全部の分子が同じ運動エネルギーというわけじゃないんだよ。たとえば、コップ一杯の水の中には、水の分子が1兆個の10兆倍くらいあるんだ。それがみんな同じ運動エネルギーを持っているわけはないよね。」

リコ 「同じ温度でも、いろいろな運動をしている分子があるということ?」

父 「まさにそういうこと。だから寒い日でも洗濯物が乾くんだ。」

母 「ん?何それ、どういうこと?」

洗濯物が乾くのは?
  • 曇りの場合
  • 水の分子が蒸発してどこかに行く

父 「洗濯物で考えると、こういうことだよ。天気が曇っていて気温が低い場合には、温度が低いから水の分子はそんなに大きくは揺れていないかもしれない。運動エネルギーが小さいんだね。でも、中には速く動いている運動エネルギーの大きい分子があって、蒸発してどこかにいってしまうということもあるわけだ。空気が乾燥していれば、このように水の分子は飛び出していく。」

母 「寒くても洗濯物が乾くっていうのはそういう意味なんだ。」

  • 晴れの場合

父 「今度は晴れたときを考えてみようか。晴れると温度が上がるよね。そうすると、分子の運動が激しくなるんだよね。そして、どんどん飛び出していく。」

リコ 「風が吹いていると、よく乾くよね。」

父 「じゃあ、風を吹かしてみようか。飛び出した分子は、場合によっては戻ってくることもあるはずなんだけど、風が吹いてくるとこれが風に流されていってしまうということなんだよね。」

  • 運動エネルギーの平均
  • 平均値が下がる=温度が下がる

ノブナガ 「汗をかいて乾くときに、体が冷えるけどあれも分子の熱運動と関係があるの?」

父 「そうだよ。温度というのは、分子の運動エネルギーの平均だと言ったでしょう。蒸発できる分子は、大きな運動エネルギーを持ったものだよね。つまり、平均よりも大きなエネルギーなんだよ。それが飛び出してしまうということは、残った分子の運動エネルギーの平均値は下がってしまうでしょう。それが温度が下がるということなの。」

ノブナガ 「じゃあ、温度の違うものを接触させると、最後には平均値が一緒になって……。」

リコ 「同じ温度になるってことだね。」

熱の正体とは?
  • 熱は高温の物体から低温の物体に移動したエネルギー
  • 次回もお楽しみに!

父 「おでこに手を当てて自分の手に熱が伝わってくれば、相手の体温が自分より高いとわかるよね。温度が高い物体の原子や分子の激しい熱運動が、温度の低い物体の原子や分子の熱運動を激しくして、やがて同じ温度になる。このとき、高温の物体から低温の物体に移動したエネルギーを『熱』と言っているんだ。

ノブナガ 「温度と熱って何か奥が深いよね。洗濯物がなんで乾くかも説明できるし。」

リコ 「100℃にならなくても乾くこともわかったしね。」

母 「でも、やっぱり私は気持ちがいい温度で洗濯物が乾くのが、一番好き。熱運動で!」


〜お父さんのひと言〜

かつて、熱い冷たいを数値で表したいと考えた人々がいました。
熱い冷たいによって変わる物理現象に着目し、そしていつでも変わらない基準を見つけ出し、温度計を作りました。
この温度計を使って、温度と物理現象の関係を明らかにしていったのです。
やがて、そもそも温度とは、熱とは何かが、これによって明らかにされていくのです。
普段柔らかいゴムも、低い温度では分子運動は活発にならず、柔軟性に欠けてしまいますよね。
皆さんの心も冷め切って柔軟性に欠けていることはありませんか。
そんなときには、活発に自ら活動をし、他の人たちと触れ合うことで、その温度を上げるといいですね。



次回もお楽しみに!

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