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物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

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物理基礎

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※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第12回 第1編 物体の運動とエネルギー

力と質量と加速度の関係 〜運動方程式〜

  • 物理基礎監修:筑波大学附属高等学校教諭 小沢 啓
学習ポイント学習ポイント

力と質量と加速度の関係 〜運動方程式〜

  • 両手で揺すって重さをはかる
  • どちらが重い?

別々のお店でキャベツを買ったお母さんは、両手で揺すって重さを比べています。
キャベツを手渡されたリコとノブナガも、無意識に両手で揺すっています。


父 「さすが物理(ものり)家の人々!運動の法則を使っているね。」

母 「運動の法則?何それ?」

父 「じゃあね、運動の法則に関係のある実験をやってみようか。」

どちらの台車が重い?
  • 台車を横に動かして重さを当てる
  • 青い台車の方がはね返るから軽い?

お父さんが用意したのは、赤と青の2台の台車です。
台車には、それぞれ重さの違うおもりが入っています。
この台車を、手で持ち上げずにどちらが重いかを当てるには、どうしたらいいでしょうか。

お母さんは、台車に手を置いて横に動かしてみました。


母 「青の方が軽く動くんだけど、赤の方は、ずっしりした感じ。ということは、赤の方が重いんじゃないのかな?」

父 「いいね。じゃあノブナガ、それ以外だったらどうする?」

ノブナガ 「それ以外だと……この赤と青の台車をぶつけてみればいいんじゃないかな。これをぶつけると青の方が大きく動くから、やっぱり赤の方が重いんじゃないかな。」

父 「なるほど。すばらしいね。他にもこんな方法もあるんだよ。それをやってみようか。」

  • 同じ力のゴムで引っ張る
  • 赤い台車の方が重い

今度は、2台の台車に同じ力で引っ張るゴムをつけました。
台車を同じ距離だけ引っ張り、同時に離すと、どのような動きをするのでしょうか。

リコが赤の台車、ノブナガが青の台車を同じ位置までひっぱり、同時に手を離します。
すると、青の台車はすぐに動き出したのに対して、赤の台車はゆっくり動きました。

実際に中を見てみると、青い台車は1kgのおもりが1個、赤の台車には1kgのおもりが3個入っていました。


母 「やっぱりね。正解でしょ?」

父 「そう、正解。でもね、さっきキャベツの重さを調べるために揺すっていたよね。実はあれと同じことなんだよ。キャベツを揺すったのはね、同じ動きをさせるときに、どっちが大きな力が必要かなって感じとっていたんだ。」

母 「言われてみれば、そうかな。」

父 「ところで、赤の台車を引っ張ったときに、なぜこれがゆっくり動くのか。どう思う?」

リコ 「そりゃ、重いからでしょ?」

父 「重さっていうのは、重力に関係するでしょう。今は水平に動いているんだから、重力は関係ないんじゃないの?」

母 「え?重さじゃないの?」

父 「重力と重さのことをもう少し調べてみようか。」

無重力で実験!
  • 飛行機を放物運動させ中を無重力状態に

重力と重さについて考えるために、飛行機を使って次のような実験を行いました。

まず、飛行機を勢いよく斜めに上昇させます。
そして、あるところから機体を放物運動させます。
すると、飛行機の中の人や物も全て放物運動をして、ほぼ無重力の状態になります。

この状態で実験を行ったのは、なんとお父さんです。

  • ほぼ無重力状態の環境で実験
  • 重力がはたらいていなくても重いボールの方が動かしにくい

ボールが宙にふわふわと浮く、ほぼ無重力状態になりました。

この状態で、重さの違う3つのボールを、同じ大きさの力で同時に引っ張ってみます(右写真)。
すると引っ張られたボールは、青(100g)、黄(300g)、赤(500g)の順に反対側に到達しました。

重力がはたらいていなくても、より重いボールの方が動かしにくいことがわかりました。


リコ 「無重力でも、ボールの動きは同時じゃなかったね。」

ノブナガ 「重さがなくても、動かしやすさには差があるんだね。」

父 「それはね、重さじゃなくて『質量』が違うからなんだよ。」

母 「え?重さと質量って、じゃあ、どう違うの?」

重さと質量
  • 質量はもともとその物体が持っている量
  • 月の重力は地球の1/6

質量とは、もともとその物体が持っている量のことです。

たとえば、月での重力は地球の1/6なので、体重も月では1/6になります。
しかし、その人を作っている物質の量は、月でも地球でも同じはずです。
これが、「質量が同じ」ということです。

質量と加速度の関係
  • 動かしやすさを数字で表しているのが加速度
  • 加速度は時間あたりの速度の変化

父 「そして質量が大きいものほど、動かしにくくなるということなんだよね。この動かしやすいかどうかを数字で表しているのが『加速度』なんだ。」

ノブナガ 「加速度って、時間あたりの速度の変化のことだったよね。」

父 「たとえば、物体に同じ力を加えてどんどん加速できるときに、この “速くできる”、加速度が大きいほどその物体は、動かしやすいということなんだよね。じゃあ今度は、この加速度と質量の関係を調べていこうか。」

  • ばねの力で台車を引っ張る装置
  • 台車の速度がだんだん速くなっている

ばねの力で台車を引っ張る装置で実験を行います。

ばねを台車につないで、常に一定の力になるようにして引き続けます。
1秒ごとに止めてみると、速度がだんだん速くなっていることがわかります。

  • 質量が大きいほど加速度が小さくなる

次に、台車を2台にして質量を2倍にし、1台のときと同じ大きさの一定の力で引き続けます。
さらに、台車を3台にして質量を3倍にし、これも同じ大きさの一定の力で引き続けます。

3つを比べてみると、質量が大きいほど台車の間隔が狭くなっています。
このことから、質量が大きいほど、加速度が小さくなっていることがわかります。

  • 等加速度直線運動のグラフになる
  • 等加速度直線運動

父 「今の実験を速度と時間の関係のグラフにしてみると、こんな風になるんだ。グラフが直線になっているでしょう。これは?」

ノブナガ 「等加速度直線運動だね!」

父 「そうだね。一定の力で引くと、等加速度直線運動になるってことなんだよね。そして、質量が大きくなってもやはり等加速度直線運動をしている。だけど、傾きが小さくなってるね。ということは、つまり?」

リコ 「加速度が小さくなってる!」

父 「そう。では、このv−tグラフの傾きから加速度を求めてみたい。どうしたらいいんだっけ?」

ノブナガ 「速度の変化を時間で割る。」

父 「そうだったね。そのようにして、それぞれの加速度を求めて、加速度と質量の割合についてグラフにしてみよう。」

  • 加速度の大きさは質量に反比例

グラフの縦軸は加速度[m/s]、横軸は質量の割合[倍]を表します。
質量を2倍、3倍にすると、加速度はおよそ1/2、1/3と変化します。
つまり、同じ大きさの力がはたらくとき、加速度の大きさは物体の質量に反比例します。


リコ 「質量が大きくなると、動かしにくくなるってことだね。」

父 「そういうこと。今度は、引っ張る力を強くしたらどうなるだろうね?」

母 「それは、強い力で引っ張った方が、速く動くんじゃないの?」

父 「これも、実験してみよう。」

力と加速度の関係
  • 速度がだんだん速くなっている
  • 大きな力で引くほど加速度が大きくなる

ばねを台車につなぎ、1目盛り分だけ伸びるようにして一定の力で引き続けます。
1秒ごとに止めてみると、速度が次第に速くなっているのがわかります。

今度は、ばねが2目盛り分伸びるように、先ほどの2倍の力で引き続けます。
次は、ばねが3目盛り分伸びるように、最初の3倍の力で引き続けます。

3つを比べてみると、大きな力で引くほど 速度の変化、つまり加速度が大きくなっていることがわかります。

  • 力が大きくなると傾きも大きくなる
  • 加速度は力の大きさに比例

父 「実験から速度と時間の関係をグラフに表すとこんな風になるんだ(左図)。まず、グラフが直線だね。ということは、等加速度直線運動をしているということだ。そして、力が大きくなると傾きも大きくなっているよね。」

ノブナガ 「加速度が大きくなっているってことだね。」


先ほどと同じように、それぞれの加速度を求めて、力と加速度の関係をグラフにしてみます(右図)。
力の割合を2倍、3倍とすると、加速度もおよそ2倍、3倍となります。
つまり、力に比例して加速度が大きくなっていくということになります。
物体に力がはたらくとき、力の大きさと加速度は比例します。


母 「やっぱり、強い力で引っ張れば加速度も大きくなるっていうことなのね。」

父 「そうなんだけど、間違いやすいのは、速度についてなんだ。一定の力で、引っ張り続けると、速度はどうなると思う?」

リコ 「一定の力で引くわけだから……速度も一定になる?」

父 「よくね、そういう風に間違えちゃうんだけど、そうじゃないんだよ。大切なのは、一定の力で引くと、一定の加速度を生じるということなんだね。等加速度直線運動なんだから、どんどん加速していくんだよ。だから、たとえ小さな力でもずっと力を加え続ければ、やがて大きな速度まで加速することができるんだ。」

  • はやぶさ
  • はやぶさに搭載されるイオンエンジン

左図の「はやぶさ」は、さまざまなトラブルを乗り越えて地球に帰還した日本の小惑星探査機です。
映画にもなるなど話題を呼びました。

はやぶさに使われているイオンエンジンは、地球上では、3基で1円玉2枚半程度を持ち上げる力しかありません。
このようにわずかな力ですが、力を加え続ければしっかりと加速することができます。
特に、空気抵抗のない宇宙では十分に使うことができます。

低燃費で長時間使えるという点で、イオンエンジンは宇宙探査に非常に適しているのです。

運動方程式
  • 運動方程式

これまでに出てきた力と加速度と質量の関係を1つの式にまとめると、
ma=F
と表すことができます。
これを運動方程式といいます。

質量mが一定のとき、加速度aと加えた力Fとの間には比例関係があります。
力Fが一定な場合には、質量mと加速度aの積が一定であることから、mとaは反比例の関係にあるということがわかります。

「加えた力」の単位はN(ニュートン)です。
リンゴのエピソードで有名な科学者ニュートンの名前からきています。


ノブナガ 「意外にシンプルな式になるんだね。」

父 「運動方程式というのは、世の中のさまざま物理現象に当てはまるんだよ。たとえば、これを使えば、さっきのキャベツの重さ比べから宇宙探査まで、いろいろな運動を説明できるんだ。」

  • お父さんのひと言
  • 次回も、お楽しみに!

母 「世の中、複雑なことがたくさんあるのに、そんな簡単な式で表されるなんて、何か信じられない。」

父 「もちろん、もっと複雑な計算は必要だけどね、基本になるのは、ma=Fなんだ。たとえば最近、太陽系以外でも地球によく似た惑星が見つかっている。その惑星を探査するためにもその計画に運動方程式が使われるんだ。」

リコ 「その惑星って、地球からどれぐらい離れているの?」

父 「4光年ぐらい離れているかな。kmになおすと、40兆kmぐらい。人工衛星が時速3万kmぐらいで運動しているから、その速さで行くと15万年もかかれば届くかな。」

母 「15万年か……。ちょっと、生きてるうちにはたどり着けないかもしれないね。」

父 「でも、弱い力でも力を加え続ければ、加速できるって言ったでしょ。計画では、探査機を光の20%の速さまで加速して、20年で到達させようとしているらしいよ。」

母 「えー、すごい!私も宇宙旅行、行ってみたいな。」

父 「それも夢じゃなくなるかもしれないね。」


〜お父さんのひと言〜

宇宙人、私は会いたいですね。
みなさんは、どうですか?
でも、もし宇宙人に会ったら、どんな言葉でしゃべったらいいんでしょうね。
それは、宇宙に共通の現象で話せばいいんです。
宇宙に共通のことって何でしょう。
それは、物理法則なんですよ。
宇宙人も私たちも、同じ宇宙で同じ現象を見てるはずですから、そこにある現象についても、同じ解釈をしているでしょう。
つまり、誰にとっても力と加速度は比例しているんです。
この共通の物理の言葉を使えば、コミュニケーションが始まるはずなんです。
あなたが誰かとコミュニケーションをとりたかったとき、共通の話題、そして共通の理解が必要なんですね。



それでは、次回もお楽しみに!

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