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物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

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物理基礎

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※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第10回 第1編 物体の運動とエネルギー

作用があれば 反作用 〜作用・反作用の法則〜

  • 物理基礎監修:筑波大学附属高等学校教諭 小沢 啓
学習ポイント学習ポイント

作用があれば 反作用 〜作用・反作用の法則〜

  • うなだれるノブナガ
  • 坂道の彼女

ノブナガが、ため息をついています。


母 「ノブナガ、どうしたの?ちゃんと話してみなさい。」

ノブナガ 「実はね、前にテニスコートのそばの坂道で出会った子と、やっと、やぁ〜っとデートまでこぎつけたんだ……。なんとなくいい感じになって、公園の池でボートに乗ったわけ。そうしたらだよ!間違ってオールを水に落としちゃったんだ。」

リコ 「うわ、最悪だね!」

ノブナガ 「結局、助けがくるまで、ずっとボートの上で待っていたんだ。」

母 「それは、気まずかったね……。」

ノブナガ 「あのとき、どうすればよかったんだろう?オールを落としても戻れる方法ってあったのかな……?」

父 「もし、ある法則を知っていたら戻れたかもしれないね。」

力はペアで現れる
  • 作用・反作用の法則でボートが進む

父 「ノブナガ、そもそもボートは、オールで漕ぐとなぜ前に進むんだろうね?」

ノブナガ 「それは、水をかいているからでしょ。」

父 「水を進行方向の後ろ側に押してるんだよね。だけど、その反対方向に進んでいくよね。なぜなんだろう?」

ノブナガ 「え?なぜって……。」

父 「水を後ろ向きに押すと、その水がこちら側に押し返してくる。そういう力があるから、止まっていたボートが前に進み始めるという風に考える必要があるんだよね。この力を利用しているんだ。これを『作用・反作用の法則』というんだ。」

リコ 「あ、聞いたことある。でも、なんだか実感しにくいよね。」

父 「確かに作用・反作用の法則は、ちょっとわかりにくいんだよ。でもね、何か力が加わると、必ず反作用があるということなんだ。ところで、力が加わるときに起こる現象って何か覚えてる?」

ノブナガ 「止まっているものが動いたり、動いているものが止まったり……。」

リコ 「物が変形したり、壊れたり……。」

父 「そうだね。でも、実際には、力が加わっているはずなのに、一見何も起こっていないように見えることもあるんだ。たとえば、壁を手で押したとき……。」

  • 壁ドン
  • 壁ドンにおける作用と反作用

母 「あ、それ、壁ドンのこと?私もやってみたかったんだ。リコちゃん、手伝って。」

リコ 「え、何するの?」

母 「はい、ここに立って。いくよ!『リコ。お前の気持ちはわかってるんだ。もっと素直になれよ』。」

ノブナガ 「なんで親子で壁ドンしてるの?」

父 「壁にあたると手が止まるよね。動いていた手が止まったのは、壁から力を受けたからなんだ。」

母 「私は壁を押しているだけよ。壁に押し返されてなんかいないわ。」

父 「お母さんが手を付いたときにもし壁がなかったら、お母さんは倒れちゃうよね。お母さんが倒れないで止まっていられるのは、壁がお母さんを押し返しているからなんだよ。お母さんが壁を押す力を作用だとすると、壁がお母さんを押し返す力、これが反作用だ。」

母 「私が、壁にドンされてる?」

  • 作用と反作用 バットとボール
  • 作用と反作用 ロケット
  • 作用と反作用 自動車

作用と反作用は、必ず対になって現れます。
たとえば、野球のバッターがボールを打つとき、バットからボールに力が加えられます。
同時に、ボールは反作用としてバットを押し返します。

ロケットの打ち上げのとき、ロケットは燃焼ガスを高速で噴射します。
これが作用です。
そしてその反作用として生まれる力により、ロケットは飛んでいきます。

自動車が前に進んでいけるのも、タイヤが道路を押す作用と、道路がタイヤを押し返す反作用の関係があるためです。

このように、2つの物体の間で力が互いにはたらくとき、力は必ずペアとなって現れます。

作用・反作用の法則
  • 逆向きの力が生まれる

母 「力が加えられると、必ず逆向きの力が生まれて、作用と反作用の関係になるっていうことなのね。」

父 「そうだね。でも、作用・反作用の法則には『逆向きの力』という以外にまだ条件があるんだ。作用・反作用は、同一作用線上にあるっていうことだ。」

  • つり下げられた棒磁石
  • 棒磁石を左右から近づける
  • 作用・反作用と作用線

作用・反作用の力が同一作用線上にあるとは、どういうことでしょうか。

棒磁石が糸でつり下げられています。
これに、同じようにつり下げられた磁石を右から近づけると、左の磁石が右の磁石に押されて左に動きます。
これが作用です。
このとき、右の磁石も反作用を受けて右側に押されています。

この作用・反作用の力がはたらいている線を延長したのが作用線です。
そして、2つの力は「同一作用線上にある」といいます。

  • 作用・反作用は逆向きで同一作用線上
  • 作用・反作用の力の大きさは等しい

母 「作用・反作用の関係にある力は、逆向きで、同一作用線上にある。」

父 「まさにそうなんだ。でも実は、作用・反作用の法則には、もう1つ大事なことがあるんだ。それは作用と反作用の力は大きさが等しいってことなんだ。」

母 「いやいやいや、それはおかしい!」

父 「どうして?」

母 「だってね、この間、買い物の帰りに曲がり角で人とぶつかっちゃったんだけど、その相手が植木屋の源さんだったの。」

父 「そりゃ大変だね。あの人はお父さんの2倍以上の体重があるからね。」

母 「そうなのよ。私なんか吹っ飛ばされちゃったわよ。でも源さんは、びくともしなかったのよ。これも作用・反作用の関係でしょ?とても同じ力がかかっているようには思えないんだけど。」

父 「なるほど。確かに、そんな経験はよくあるよね。でもね、こんな実験があるんだ。」

  • 台車にはばねとめもりで力の大きさがわかる
  • 同じ速さでは力は同じ

いろいろな条件で2台の台車を衝突させ、はたらく力の大きさを比べてみます。

台車には、ばねと目盛りが付けてあり、ぶつかったときの力の大きさがわかるようになっています。

まずは、基準として同じ重さの台車を同じ速さで走らせて衝突させます。
このとき、ぶつかったときの力の大きさを表す目盛りはどちらも同じです。
つまり、はたらいた力はどちらも同じ大きさです。

  • 異なる速さでも力は同じ
  • 異なる質量でも力は同じ

次に、異なる速さで走る台車をぶつけてみます。
この場合も、それぞれにはたらいていた力の大きさは同じでした(左写真)。

では、右側の台車におもりを乗せ、質量を大きくしてみます。
相手の台車に大きな力を加えることになるのでしょうか。

衝突すると、左側の軽い台車ははじき飛ばされてしまいました。
しかし、加わった力の大きさは、やはりどちらも同じです(右写真)。

結局どの場合でも、はたらいた力の大きさは同じでした。

  • 質量の小さなものは吹き飛ばされる
  • 作用・反作用の法則

母 「なんだか納得がいかない!力の大きさが同じなら、私が源さんとぶつかったとき、どうして私が吹っ飛んで、源さんはびくともしなかったの?」

父 「お母さんが源さんを押す力を作用とすると、源さんがお母さんを押す力が反作用になる。作用・反作用の法則だと、この2つの力は同じ大きさなんだ。では何が違うのかというと、源さんの質量はとても大きい。お母さんの質量は源さんと比べたらとても小さい。すると、質量が大きいものほど速度が変わりにくい。質量が小さいもののほうが速度が変わりやすい。質量の小さいお母さんは、同じ力でも大きく吹っ飛ばされてしまったんだ。」

母 「力の大きさが同じでも、受ける側の質量が違えば影響も違ってくるってことね。」

父 「そう。じゃあ、ここで作用・反作用の法則をまとめておこうね。作用の力と反作用の力は『逆向き』で、『同一作用線上』にはたらき、その2つの力の『大きさは等しい』ということだね。」

  • オールを落としたNくんを救え
  • ノブナガのこと?

父 「では、作用・反作用の法則がわかったところで、あることにチャレンジしてもらおうかな。ある少年Nくんが女の子とボートに乗っているとき、オールを流してしまいました。さて、どうやったら陸に戻れるでしょうか?」

ノブナガ 「いやいや、これ僕のことでしょ!」

作用・反作用でゴールをめざせ!
  • 台車に乗ってゴールをめざす
  • 使えるアイテム

ボートに見立てた台車に乗って、ゴールをめざすチャレンジです。
ゴールまでの距離は2.5mあり、作用・反作用の法則を使って進むのが条件です。
台車で進むにあたり、アイテムを選んで使うことができ、いくつ使ってもOKです。

  • おもりを投げるノブナガ
  • おもりを放り投げると作用
  • 反作用でボートが進む

最初にチャレンジするのはノブナガです。
おもりをたくさん持って台車に乗り込みました。

台車は、おもりを投げるのと反対の方向に動きます。
おもりを投げた力が作用で、ノブナガはその反作用を受け、台車が動きます。

しかし、1mほど進んだところで、おもりがなくなってしまいました。
ノブナガ、残念!

  • うちわを持つリコ
  • 体を動かして摩擦をコントロール
  • ゴール!

リコは、うちわで扇いで風を起こし、その力で進む作戦のようです。

後ろに向かって風を送り、その反作用で進もうというリコですが、前に進んでいるのは本当に風の力のおかげなのでしょうか。
どうやら扇いでいるときの体重移動で、車輪とレールの摩擦を無意識にうまくコントロールして車輪を少しずつ前に転がしているようです。

なんとか、ゴールまでたどり着きました!

  • ロープを使った作用・反作用
  • 無事ゴールしたお母さん

最後はお母さんのチャレンジです。
選んだアイテムは、ロープです。

ゴール地点にいるお父さんにロープの端を投げ渡し、持ってもらいます。
そして、お母さんがロープを引っぱって、ゴールしました。

少しずるいと思うかもしれませんが、これも立派な作用・反作用です。
お母さんがロープを引いた力が作用、その反作用でロープがお母さんを引っ張ってくれました。

1つの物体にはたらく力
  • 重力と垂直抗力の関係は作用・反作用?

父 「実はこの作用・反作用の法則を発見した人は、すでにみんながよく知っている、リンゴのあの人だよ。」

母 「ああ、ニュートンさん。」

ノブナガ 「あれでしょ、リンゴには『重力』がはたらくっていう話。」

父 「そうだったね。じゃあ、ちょっと復習してみようか。このときリンゴには、地球がリンゴを引く力と、机がリンゴを押す『垂直抗力』がはたらいているんだったよね。」


この2つの力を矢印で表してみると、上図のようになります。
地球がリンゴを引く力は赤い矢印、机がリンゴを押す力は黄色の矢印で表されます。


ノブナガ 「これも、作用・反作用になるのかな?『重力』と『垂直抗力』の関係は『力の向きが逆』で『同一作用線上』でリンゴは止まっているから『力の大きさが等しい』もんね。」

リコ 「ちょっと待って!これって『力のつり合い』だったでしょ?力がつり合う条件も『同一作用線上』で『力の大きさが等しく』『逆向き』だったよね。」

ノブナガ 「あっ!そういえばそうだった。なんだか混乱してきた〜!」

  • 力のつりあい
  • 力のつり合いと作用・反作用の違い

「地球がリンゴを引く力」と「机がリンゴを押す力」は、リコが言うとおり「力のつり合い」の関係です。

「力のつり合い」も「作用・反作用」も、逆向きで、同一作用線上で大きさが等しいという条件に当てはまります。
違うのは、力が1つの物体にはたらいているのが「力のつりあい」で、力が2つの物体にはたらくのが「作用・反作用」の関係です。

  • 地球がリンゴを引く力とリンゴが地球を引く力が作用・反作用
  • 次回もお楽しみに!

父 「地球がリンゴを引っぱる力が作用だとすると、反作用の力はどこにある?」

リコ 「地球がリンゴを引っぱる力のペアになるのは、リンゴが地球を引っぱる力かな。」

父 「リンゴが地球を引く力と、地球がリンゴを引く力の矢印は、リンゴと地球からそれぞれ出ているね。つまり、2つの物体にはたらく力だから、作用・反作用のペアだよね。」


〜お父さんのひと言〜

作用・反作用の法則のポイントの1つは、
「力が1つだけではたらくことはなく、必ず2つ一組、ペアではたらくこと」なんです。
力は異なる物体間の相互作用として現れます。
力を及ぼす相手なしに、力が発揮されることはないのです。
作用・反作用は、握手とも似ていますよね。
握手というのは、相手に触られることなく相手に触れることはできません。
私たちは、多くの人と人との関係の中で生きていることを忘れないでください。



それでは、次回もお楽しみに!

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