NHK高校講座

物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、2017年度の新作です。

物理基礎

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今回の学習

第8回 第1編 物体の運動とエネルギー

力について考える 〜力とは〜

  • 物理基礎監修:豊昭学園豊島学院高等学校教諭 大津 豊隆
学習ポイント学習ポイント

力について考える 〜力とは〜

力とは何だろう
  • はかりを使うお母さん
  • 筋肉ポーズをとる3人

お母さんが料理中のところに、おばあちゃんから宅配便でリンゴが届きました。
ノブナガが荷物を取りにいきますが、思ったよりも重く、ヘトヘトです。


リコ 「お兄ちゃん、大げさだよ。スマホばっかりイジってるから、力が弱ってきたんじゃないの?私なんか部活で鍛えているから、筋肉ついてきちゃった。」

ノブナガ 「それならリコが運べばいいのに。ぼくだって、リコにはまだ負けないよ!」

母 「お母さんだって、最近、ジムに行って鍛えているのよ!」

父 「体を鍛えるのもいいけど、みんな『力』って何か知ってる?力は筋肉以外でもはたらくでしょ。力とは何かを知るためには、力によってどんなことが起こるのか、その共通点を調べればいいんだ。」

力による現象
  • 重いものを持ち上げる重量挙げ
  • 遠くに投げ飛ばすハンマー投げ
  • 速いスピードの投球

力がはたらいているとき、どのような現象が見られるのでしょうか。
たとえば、力を加えることによって、重い物を持ち上げることができます。
力によって物を遠くに飛ばしたり、速いスピードで投げたりすることもできます。

つまり、力を加えることによって、物を動かすことができます。

  • 車は衝突の瞬間に変形
  • 弾丸は穴をあけ突き抜けていく
  • インパクトの瞬間にボールが変形

それだけではなく、力を加えたときには、物の形が変わることもあります。
車が衝突すると、車体は大きく変形します。
強い力で叩くと、物が粉々に砕けることもあります。
弾丸が壁を貫く瞬間を見ると、弾丸は壁に穴をあけ、破片を飛ばしながら突き抜けていきます。
ゴルフボールのインパクトの瞬間は、クラブがボールに当たった部分がへこみ、その反対側が膨らんでいます。
強い力によってボールが変形しているのです。

このように、物を変形させるのも、力のはたらきの一つです。

  • 物体の運動の様子が変化する
  • 物体が変形する

ノブナガ 「ボールを投げたり蹴ったりとか、『物を動かす』のが力だよね。」

父 「そう。止まっているものが動きだすのも力だけど、それ以外だと?」

リコ 「ゴールキーパーがシュートを止めるみたいに、動いている物を止めるのも力か。」

父 「バイクで言えば、走り出したり止まったりもそうだけど……。」

ノブナガ 「わかった、加速したり減速したりするのも、力のはたらきなんだね。」

父 「物体が力を受けたときに生じる現象・その1は、物体の運動の様子が変化するということなんだ。止まっている物体が動いたり、動いている物体が止まったり、あるいは運動の速さや向きが変わったり。つまり『加速度』を生じる変化だね。そして、もう一つは?」

母 「ワイングラスが割れたり、ゴルフボールがゆがんだり。」

父 「そう。物体が力を受けたときに生じる現象・その2は、物体が変形するということなんだ。」

ノブナガ 「これもわかりやすいね。」

父 「でも、どんな力がどうはたらいているかということになると、必ずしもわかりやすいものばかりじゃないんだ。ちょっと不思議なものをみんなに見てもらおう。どんな力がはたらいているのか、考えてみてね。」

どんな力がはたらいているの?
  • 空気の力で玉を浮かせる
  • 送風機で大きなボールも浮かせる

お父さんが取り出したのは、息を吹き込むと玉が浮かぶおもちゃです。
目には見えませんが、空気が玉を押し上げています。
送風機を使うと、大きなボールも浮かばせることができます。


リコ 「これは、目には見えないけど、空気の力はまだわかりやすいよね。」

  • 磁石の力で宙に浮かぶ地球儀
  • 地球儀は強い磁力で跳ね返される

続いてお父さんが取り出したのは、宙に浮かぶ地球儀です。


ノブナガ 「あ、これ磁石じゃない?」

父 「そうだよ!つまり、磁力で絶妙に浮いているんだ。」

リコ 「結構強い磁力がはたらいているんだね。」


磁石にはN極とS極があり、N極とS極は引き合いますが、同じ極同士は反発し合います。
この地球儀は、その磁石の力をうまく調整しています。

  • 空飛ぶクラゲを持つお父さん
  • 静電気で反発しあう

次にお父さんは、荷造り紐を細かく裂いた「空飛ぶクラゲ」を取り出しました。
パイプと荷造り紐を、それぞれ布でこすります。
空中に放り投げたクラゲにパイプを近づけると、互いに反発し合ってクラゲがパイプの上で浮きます。


リコ 「わかった。これは静電気でしょ。」

父 「そう、ここではたらいているのは『静電気力』だね。」


静電気には+(プラス)と−(マイナス)があります。
先ほどの磁力と同じように、「+と−」は互いに引き合いますが、「+と+」、「−と−」は反発し合います。
ここでは、クラゲにもパイプにも−の静電気が生じていたため、反発し合いました。

  • リンゴを覗き込むノブナガ
  • リンゴを手から離すと落ちる

母 「目には見えなくても、いろんな力がはたらいているのね。」

父 「でも、まだそれだけじゃないんだ。たとえば、今、このリンゴにもはたらいている力があるんだよ。」

ノブナガ 「えっ、このリンゴに?動いてもいないし、変形もしていないけど。」

父 「動いてもいないし、変形していないようにも見えるんだけど、地球にいる限り、必ずはたらいている力があるんだ。」

リコ 「わかった。ニュートン。」

父 「そう。ニュートンが発見した万有引力とも関係が深い、地球が引っ張る力、重力だね。」

ノブナガ 「そうか、リンゴから手を放すと落ちる。つまり、止まっているものが動くということは、力がはたらいているってことだね。」

父 「リンゴが落ちている最中にも、そのリンゴには重力がはたらいているんだ。」

  • いすに座るお母さんにも垂直抗力がはたらく

リコ 「テーブルの上に置くと動かないし、力がかかっているのか、あまり実感わかないね。」

父 「でも もちろん、そのりんごにも重力がはたらいているはずだよね。だけど、地球に引っ張られても、これ以上落ちていくということはない。ということは、重力と逆向きの力が同時にはたらいていないといけないはずだよね。」


それが、「垂直抗力」という、テーブルがりんごを押し返す力です。

たとえば、お母さんが椅子に座っているときも、お母さんにはたらく重力と同じ大きさの垂直抗力が、椅子からお母さんにはたらいています。

力を視覚化する
  • 力がはたらくと色が変わるゴム
  • 引っ張ると色が変わる

母 「そんな力がはたらいているなんて、全然ぴんとこない。」

父 「目に見えない力は実感しにくいよね。でも、その力を見えるようにする良い方法もあるんだ。」


上の写真は、力が加わると、その部分の色が変わって見える特殊なゴムです。
ノブナガがゴムを引っ張ると、色が変化しました。

  • 引っ張る実験装置
  • 力がかかると色が変わる

この特殊なゴムシートを使って、力のはたらき方を調べてみます。
金属の表面にこのゴムシートを貼りつけて、金属が変形する様子を調べます。
力を加えていくと金属が次第に変形します。
色が変わった部分には大きな力が加わっていることがわかります。

  • 鉄球の衝突実験装置
  • 鉄球が落下すると一瞬で色が変わる

次に、このゴムシートに鉄の球がぶつかる瞬間を、ハイスピードカメラで撮影します。
球がぶつかると、ゴムが変形した部分の色が一瞬のうちに変わっていきます。
色の違いは、変形の大きさの違いを示しています。

  • 偏光板
  • 偏光板を通すと色が変わって見える

力を視覚化するには、別の方法もあります。
特定の方向から入ってくる光だけを通す偏光板を使って、透明な物にかかる力を調べてみます。

2枚の偏光板の間で、透明なシートを引っ張った様子を偏光板を通して見てみると、伸びた部分の色が変わってみえます(右図左下)。
透明なホースを縛って左右から引っ張ると、まっすぐな部分の色が変わり、強い力がかかっているのがわかります(右図上)。
アクリルの板をペンチで挟むと、力が加わっている部分の色が変わりました(右図右下)。

力の表し方
  • ボールを蹴るリコ
  • 作用点、力の大きさ、向き

このような力の大きさや向きを、物理ではどう表すのか、リコのキックを例に見てみましょう。

矢印の長さは力の大きさ、矢印の向きは力がかかっている向きを表しています。
矢印が始まる点が、力が加わっている点「作用点」です。

力を視覚化する
  • アクリルにペンチで挟む力と反発する力

アクリルをペンチで挟んだ場合、力は黄色い矢印の方向に加わっています。
このとき同時に、アクリルが反発する力(赤い矢印)がペンチにはたらいています。

  • シートの色が変化する
  • 机上のリンゴに重力と垂直抗力がはたらく

では、テーブルの上にリンゴが置いてある場合は、どうでしょうか。
実験に使うのは、耐震用に家具の下などに敷く衝撃吸収シートです。
このシートがテーブルだとして、その上にリンゴの形に切り抜いたシートを置きます。
リンゴに加わる重力に見たてて力を加えてみます。
するとテーブル代わりのシートだけでなく、リンゴの形のシートも、接触した部分が青色に変化しました(左写真)。

力の加わり方を矢印で表すと、重力だけでなく、同じ大きさで向きは反対の「垂直抗力」がはたらいています(右写真)。

力の大きさをはかる
  • ばねにかかる弾性力
  • 3kgの重りがばねの弾性力と重力が釣り合う

母 「なるほど。このリンゴにも、そんな力が加わっているのね。」

リコ 「でも、矢印が見えるわけじゃないから、どれだけの力がはたらいているのかは、すぐにはわからないよね。」

父 「力には、運動の様子を変えるというはたらき以外に、物の形を変えるはたらきがあったよね。そのはたらきを使って力を測ればいいんじゃないかな。」

母 「どういうこと?」

父 「たとえば、ばねに力を加えると、伸びたり、縮んだりするでしょ。そして、ばねが元に戻ろうとする力を『弾性力』というんだ。このばねの伸びと弾性力の関係を調べればいいんだ。」


右写真のばねには3kgのおもりが吊り下げられていて、この位置で止まっています。
止まっているということは、元に戻ろうとするばねの弾性力の大きさは、3kgのおもりにはたらく重力の大きさと同じだということです。

ばねの伸びとおもりの重さの関係
  • ばねに重りを吊り下げる
  • ばねの伸びと重りの画像をグラフに

ばねの伸びと、おもりの重さとの関係を調べてみました。

同じ強さのばねが6本あります。
左から2つめのばねからから順に、重りを1個、2個……と吊り下げていきます。
すると、おもりが増えるにつれて、ばねの伸びが大きくなっていきます。

画像を90°回転させて、ばねの伸びを横軸に、おもりの個数を縦軸にしたのが右写真です。
「おもりの重さ」は「弾性力」とつり合っているので、縦軸を「弾性力」としてグラフにします。

  • F=kx

すると、赤い点の位置が原点を通って一直線上に並びます。
このことから「ばねの伸び」と「弾性力」は比例していることがわかります。


リコ 「ばねの伸びが2倍になると、弾性力も2倍になるってことね。」

父 「弾性力と、ばねの伸びは比例しているということなんだ。」


この関係を式に表すと「F=kx」となります。
Fは弾性力、xはばねの伸び、kはばねの伸びにくさを表す「ばね定数」です。

この関係を「フックの法則」といいます。
ばねの伸びから、ばねにはたらく力の大きさを知ることができる法則です。

  • キッチンばかりはばねの弾性力で重さを測る
  • 物を乗せると針が動く

母 「力についてはよくわかったけど、日常生活とは、そんなに関係ないわよね。」

父 「いや、そんなことはないさ。お母さんがいつも使っているキッチンばかりだって……ほら!のぞいてごらん、ばねがあるでしょ。キッチンばかりは、ばねの弾性力を使って重さを測っているんだよ。」

ノブナガ 「確かに、重さがかかるとばねが伸びる。」

リコ 「針も動く。」

父 「ね、こうするとよくわかるでしょ?」


〜お父さんのひと言〜

速度が変わったり、物の形が変わったりすることで、力がはたらいていることがわかりましたね。
物が変化するためには、何らかの作用が必要なんです。
なまけ者の私を変化させるためには、周りの人達からの、少し耳の痛い叱咤激励も必要だったんです。
先生や保護者の小言……これはあなたにとって、実は大切な力になっているのではないでしょうか。
自分に不都合な意見ほど、本当はとても貴重な言葉なのかもしれませんよ。
そんなことを言ってくれる友こそ、とても大切な友達なんです。

  • 次回もお楽しみに!
  • 謝るお父さん

母 「お父さん、もういい加減にしてください!力の実験をするのは構わないけど、調理器具を勝手に改造するのはやめてって言ってるでしょ!」

父 「ごめん、お母さん!」

リコ 「お父さん、力のことは詳しいけど……。」

ノブナガ 「力関係では、お母さんにかなわないよね。」


それでは、次回もお楽しみに!

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