NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第36回

浮いたり 沈んだり 〜浮力と水深〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

浮いたり 沈んだり 〜浮力と水深〜

浮いたり 沈んだり
  • ふたを押す
  • 試験管が沈む

水の入った容器の中に試験管が入っており、さらに容器はゴムのふたで閉じられています。
この容器のふたを押してみると、水に浮かんでいた試験管が沈みました。
力をゆるめると、試験管が浮かび上がります。
一体、何が起きているのでしょうか?

浮いたり沈んだりするわけ
  • ある力とは?
  • 重力と浮力

田畑 「試験管が沈んだり浮いたりするって、何か念力で操っているかのようですけど、一体、なぜなんでしょうか?」

藤本 「これは念力ではありません。沈んだり浮いたりするのには、ちゃんと科学的な理由があります。それには、ある力が関係しています。3人は、どんな力だと思いますか?」

彩加 「引力?」

二千翔 「圧力?」

里奈 「重力?」

藤本 「おしいのもありますが、違うんです。実は、ある力とは『浮力』のことなんです。浮力は、水中の物体に重力と反対の向きにはたらく力です。重力よりも浮力が大きければ物体は浮き、浮力が小さければ沈みます。でも重力は同じなのに、なぜ浮いたり沈んだりするんでしょうか?」

道具のしくみ
  • 空気の詰まった試験管
  • ゴムのふたを押したりゆるめたりする

それを確かめるために、実験を行いました。
実験用の容器の中には水が入っており、その口はゴムのふたがつけられるようになっています。
容器の中に空気の詰まった試験管を入れます。
この状態で、ゴムのふたを押したりゆるめたりすると、試験管の中の空気に意外な変化が現れます。

今回は、このことに注目しながら、実験していきます。

試験管の中の空気に注目!!
  • ふたを押したとき
  • 力をゆるめたとき

里奈ちゃんがゴムのふたを実際に押してみると、試験管が沈みます。
次に、ふたを押す力をゆるめると、今度は試験管が浮かびました。

ふたを強く押すときと、ゆるめるときで、試験管の中の空気には変化があるようです。
そこで、もう一度ふたを押してみます。
左写真は、試験管が沈んだときの内部の空気の様子です。
ふたをゆるめる瞬間、試験管の中の空気が膨らみました。
右写真は、試験管が浮かんだときの空気の様子です。


藤本 「実は、ふたを押すことで、試験管の中の空気の部分が小さくなったり大きくなったりするんです。つまり、浮力が変わるということなんですね。」

浮力が変わったわけ
  • ふたを押すと、水に圧力がかかる
  • 水にかかった圧力が空気を押し縮める

なぜ浮力が変わったのでしょうか。

ふたを押すと、水の上の空気が押され、水に圧力が加わります。
水に加わった圧力は試験管の中の空気を押し縮め、空気の体積が小さくなります。
空気の体積が小さくなると、浮力も小さくなり、試験管は沈みます。

  • 空気の体積の変化で浮力が変化

一方、力をゆるめて水に加えていた圧力をなくすと、空気の体積が戻り浮力も戻って浮かび上がります。
試験管が沈んだり浮かんだりしたのは、ふたを押したりゆるめたりすることで、中の空気の体積が変化したためです。


田畑 「水の中の空気の体積が大きいか小さいかで、浮いたり沈んだりするということなんですね。」

藤本 「ではキュピトロンの3人に質問です。この容器よりも、もっと長い容器を使ったとき、中の試験管はどんな動きをすると思いますか?」

里奈 「変わらない。さっきと同じように、押せば沈むし、離せば浮く。」

水深が深いときは?
  • 深さのある容器の場合は?
  • 試験管が沈んだ
  • 試験管が浮かんでこない

試験管がどう動くのか実験するため、鍵が沈んだ深さ1mのアクリル容器を用意します。
試験管の先に磁石を付け、鍵を持ち上げられるか試してみます。

ふたを押して水に圧力をかけると、試験管は沈みました。
しかし、力をゆるめて圧力を戻しても、試験管が浮いてきません。

  • ふたを押したときと離したときで体積同じ
  • 水圧が大きいため体積が変化しない

これは水の深さと関係しています。
水深が深いほど水圧は大きくなり、試験管の中の空気が押し縮められます。
圧力をかけて沈んだときと、ゆるめたときを比べると、中の空気の体積はほとんど同じです。

これは、一体なぜなのでしょうか。

水深が深いと、水の圧力が大きくなります。
手で押す力をゆるめても、中の空気は押し縮められたままとなり、沈んだままになったのです。

  • 空気を足すと
  • ふたを強く押すと試験管沈む
  • 力を緩めると試験管が鍵を持ち上げた

そこで、試験管の中に空気を足して、空気の体積を大きくした状態で試してみます。
ふたを先ほどより強く押すと、試験管がゆっくり沈んでいき、鍵につきました。
ゴムのふたを戻すと、鍵が持ち上がりました。
水深が深いと、浮かび上がるためには、より大きな空気の体積が必要になるのです。

水中浮沈大作戦
  • 空気の袋で宝箱を持ち上げるには?

藤本 「水深が深いほど水圧は大きくなりますが、空気の体積を大きくすれば浮かぶということがわかりましたね。」

キュピトロン 「はい!」

藤本 「では、さらに問題です。水深3mのプールで、試験管の代わりに空気の袋を使って、底にある宝箱を持ち上げるという実験をしてみました。袋の空気の体積を小さくして、そして元に戻せば宝箱は持ち上がってくるはずですね。では、一体どんな方法を使ったでしょうか?」

彩加 「注射器を使った?空気を抜いた状態で沈めて、その後押して空気を入れて浮かせる。」

  • 実験装置
  • 袋を小さくすると沈む

水深3mのプールで実験し、確認してみます。
底には宝箱が沈んでいます。

この実験では、試験管の代わりに空気の入った袋を使います。
これを水の中に入れて押し縮めれば、沈むはずです。
そこで、左写真のような装置を用意しました。
レバーを回すと、棒が袋を絞めつけるようになっています。

この装置を使って実験開始です。
レバーを回すと、袋が押しつぶされ、沈んでいきます。

  • 宝箱が持ち上がる

装置に宝箱を結びつけた後、締めつける力をゆるめます。
すると、袋が浮かび、宝箱が持ち上がりました。

水深3mでも、圧力をかけて空気の体積を小さくしたり大きくしたりすることで、沈んで戻ってこられることがわかりました。

  • 川村 康文 先生(東京理科大学 教授)
  • 水温が高くなると、空気が膨張

ここで、ガリレオ先生こと川村 康文 先生(東京理科大学 教授)に解説していただきます。


川村先生 「今日は、水中の空気の体積を変化させて、その物体が浮いたり沈んだりすることを勉強してきました。実は、これとは別の方法でも沈んだままの試験管を浮かび上がらせることができるんですけど、どんな方法かわかりますか?」

キュピトロン 「何だろう?わからない……。」

川村先生 「水の温度を高くするということが1つの方法なんです。水の温度が高くなると、試験管の中の空気は膨張しますね。体積が大きくなると……?」

彩加 「浮く。」

川村先生 「浮力が大きくなって、浮いてくるというわけなんですね。」

  • 実験開始時の水温と空気の体積
  • 水温が上がると体積膨張

実験で確かめてみます。

水の温度を高くしていくと、試験管の中の空気の体積が次第に大きくなっていくことがわかります。

  • 試験管が浮かび上がる

これによって浮力が大きくなり、試験管が浮かび上がりました。
みなさんも、この不思議な現象をぜひ確かめてみて下さい。


それでは、次回もお楽しみに〜!

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