NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第30回

鉄をもつぶす怪力 〜水圧〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

鉄をもつぶす怪力! 〜水圧〜

水圧を感じるのは?
  • 深海
  • 耳が痛くなる

深海には、人類がいまだ到達していない未知の領域が数多く残されています。
深海の水温は低く、また大きな水圧がかかります。
では、どのくらいの大きさの水圧がかかっているのでしょうか。
今回は、水深10000mの水の圧力を感じながら、水圧の原理を学びます。


田畑 「キュピトロンのみんなは、プールや海で水に潜ったときに体にどんな影響がありましたか?」

二千翔 「息ができなくなって、胸が苦しくなったりします。」

里奈 「水の中に入ると、耳が痛くなったりします。」

藤本 「今、二人が言ってくれた中の、耳が痛くなったりすることは、水の圧力『水圧』と関係しています。水圧は水中では必ずはたらく力で、大きな圧力になることもあります。」

水圧を体感してみよう!
  • 水圧は、水深に比例する

では、この水圧を体感できる実験をしてみます。

里奈ちゃんが水を通さない手袋をして、水の中に手を入れてみます。


里奈 「水でぎゅ〜って、締め付けられる感じがします。」

田畑 「さらに深く手を入れてみてくれる?」

里奈 「お〜!さらに強くなる!どんどん。」

藤本 「実は、水圧は水深に比例するんです。」

水深と水圧の関係とは?
  • 実験に使用するペットボトル
  • ペットボトルそれぞれの穴から水が出る

水圧と水深の関係が分かる実験をしてみます。

高さの違う、3つの穴を開けたペットボトルを用意しました。
ペットボトルには水が入っており、キャップがしてあります。
このキャップを外すと、それぞれの穴から、水はどのように出てくるでしょうか。

キャップを外すと、右写真のように水が出てきました。


田畑 「噴き出す勢いが違っていますね。」

キュピトロン 「下の方が上の方より勢いがあって強い。」

藤本 「水深が深くなればなるほど、比例して水の圧力が強くなることが分かりますね。水深10cmでは、1cmあたり、約10gの重さと同じ力がかかります。水深10000mでの水圧は、なんと1cmあたり、1t(トン)の重さと同じ力がかかっています。

彩加 「1t(トン)?」

水深1メートルの水圧とは?!
  • バイクの4つの部分

田畑 「1cmあたり1t(トン)の水圧というのが、どれほどの力なのか、なかなか想像できないですよね。」

藤本 「そこで、特製のバイクに、水深10000mの海底と同じだけの水圧をかけてみました。」


この実験で、最後までつぶれなかったのは、以下の4つの中でどの部分でしょうか。

1番 エンジン
2番 タイヤ
3番 ハンドル
4番 燃料タンク(燃料は抜いてある)


里奈 「ハンドルだと思います。」

彩加 「私は、4番の燃料タンクだと思います。」

二千翔 「エンジンかな。」

  • バイク(全体図)
  • バイク(後方から)

実験に使ったバイクは、ほとんどの部分を鉄で頑丈に作りました。
鉄製以外ではタイヤやシートなど、スポンジやゴムでできており、一般的なバイクと似たような形にしました。

このバイクに、水深10000mでの水圧、つまり1cmあたり1t(トン)の重さと同じ力をかけていきます。
力の大きさを水圧の単位で表すと、100MPa(メガパスカル)です。

この水圧に耐えられる部分は、あるのでしょうか。

  • 海洋研究機構

このバイクを持ち込んだのは、世界有数の海洋研究所である、海洋研究開発機構(神奈川・横須賀本部)です。
深海に関する世界最先端の設備が整っています。

  • 水圧を再現できる水槽
  • バイクを沈める
  • 蓋をして圧力をかける

それでは、実験開始です。

水深10000mの水圧を再現できる水槽に水を入れていきます。
そしてバイクを水槽に沈めます。
ふたをして、ポンプで圧力をかけていきます。

  • 計測器とモニターで観察
  • 左側に水深、右側にそのときの水圧をMPa(メガパスカル)で表示

計測器とモニターで様子を観察します。
左側に水深、右側にそのときの水圧をMPa(メガパスカル)で表示しています。
バイクはどうなっていくのでしょうか。

  • タイヤがつぶれる

実験を始めてまもなく、最初に変化が現れたのは、タイヤでした。
最初にタイヤがつぶれました。

  • エンジンがつぶれる
  • 様々な部品から空気がもれる

水深400m、水圧は4MPa(メガパスカル)になりました。

エンジン部分も折れ曲がり、へこんでしまったようです。
水深が深くなるにつれ、さまざまな部分から空気がもれていき、ライトなど多くの部品が次々とつぶれていきます。

  • ハンドルが折れ曲がる
  • 燃料タンクはつぶれない

水深2500mになりました。
このときの水圧は、約25MPa(メガパスカル)です。

細いパイプでできた鉄のハンドルも、曲がってしまいました。

しかし、燃料タンクは水深10000m、100MPa(メガパスカル)の水圧にもつぶれることなく耐えています。

  • 鉄の部分がつぶれる
  • 最後までつぶれなかったのは燃料タンク
  • ねじを取ると水が出てくる

圧力を下げて、バイクを取り出してみました。

バイクは鉄の部分もつぶれて、いろいろな部分が平らになっています。
一方、燃料タンクは水深10000mの水圧でも無事でした。

実験の後、取り出した燃料タンクの中から水が出てきました。
ねじの隙間から水が入っていたようです。

なぜ、タンクの中に水が入っていると、水圧が大きくなってもつぶれないのでしょうか。

水深1万メートルの水圧に燃料タンクが耐えたワケ
  • 水が入った手袋と入っていない手袋
  • こんにゃくと豆腐

ここで、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)に詳しく解説していただきます。

実験後、燃料タンクの中に水が入っていました。
これは水圧が高まったときに内部の空気がもれ、タンクの中に水が入ってきて、全体が水で満たされたためです。
その際、タンクの外側からも内側からも同じ水圧が壁面にかかり、圧力が相殺(そうさい)されます。
燃料タンクがつぶれなかったのは、このためです。

このことが分かる実験を行ってみました。
左手には水が入らない手袋を、右手には水の入った状態の手袋をします。
この状態で、両手を水槽の中に入れてみます(左写真)。


彩加 「あー、全然違う!水が入っていない左手の方は、すごく締め付けられますが、水が入っている右手の方は開放感でいっぱいです。ぜんぜん締め付けられない。」

川村先生 「このように、中に水が入っていると圧力がお互いに打ち消されます。深海魚がつぶれないのも、体の中に気体が入っていないから、平然と生きられているのです。」

キュピトロン 「なるほど。」

川村先生 「こんにゃくと豆腐は、どちらも深海に沈めてもつぶれないと言われています。」

彩加 「鉄でもつぶれちゃうのに?」

川村先生 「それは、豆腐にもこんにゃくにも、水が満たされているからです。そのため、圧力に耐えられるというわけです。」

  • 下からの水のほうが、指で押さえるのに力が必要
  • 長筒で実験

最後に、長い筒で、違う高さに開けた穴からどのように水が出るのか実験しました。
下の穴から出てくる水のほうが勢いがよく、指で水を押さえるのにも力が必要になります。


それでは、次回もお楽しみに〜!

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