NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第18回

不思議な水の大冒険! 〜水圧と大気圧〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

不思議な水の大冒険! 〜水圧と大気圧〜

  • 水槽の水を移すキュピトロン
  • 水

今日も藤本チーフから指令を受けたキュピトロンの3人。
「ホースだけを使って上の水槽の水を下の水槽へ移す」にはどうしたらよいのでしょうか。


彩加 「ホースをストローみたいに口にくわえて、吸って吐いて、を繰り返していく。」

二千翔 「ホースに水を入れて、一度ためてから移す。」

藤本 「うーん、違います!」


水は、外から力を受けない限り動きません。
しかし、あることをすると、水は不思議な動きをします。
実は、この動きには自然の力が影響しています。

今回は、「不思議な水の現象」を紐解きながら、一つずつそのしくみを解き明かしていきます。

水を移す方法とは?
  • 水で満たして蓋をしたホースを沈めた
  • 水は出ない

はじめに、機械を使わずに、容器の水を移す実験を行います。

容器の中にはホースが入れてあります。
ホースの中は水で満たされており、両端にふたをしてあります。

ホースを片方出して下の容器に入れ、下側のふたを外します。
このとき、ふたを外しても水は流れません。

  • 水面の高さの違い

今度は、上のふたも外すと、水が出てきました。
もともとホースの中にあった水以外の、水槽の中の水も次々と出てきます。

ここで左右の水槽で水面の高さの違いに注目してみると、水は高いほうから低いほうへ、重力によって移動していることが分かります。

  • ホースの右側の水
  • ホースの左側の水

ホースの頂点で区切って考えてみます。

ホースの右側の水は、重力によって下の水槽に落ちていきます。
一方、左側の水は、落ちていく右側の水に引っ張られるようにして右側へと移動していきます。

  • 滑車に鎖をかける
  • ホースの水も鎖のように流れていく

ホースの中の動きを鎖に置き換えてみると、その理由が分かります。

片方が長くなるように滑車に鎖をかけ、短いほうを手で押さえます。
手を離すと、鎖は長く重いほうへ落ちていきます。

ホースに満たされた水も、この鎖のようにつながっていたと考えられるため、長くて重いほうへと流れていくのです。

これを「サイホン(管)の原理」といいます。
サイホンとは、ギリシャ語でチューブ=管という意味があります。
チューブやホースが水で満たされていて、水面に高低差があれば、水は水面より上がって移動します。

水はどこまで上がるのか?
  • 50m
  • 水槽

里奈 「でもチーフ、水は移動するときに、どこまでも上がるのでしょうか。」

藤本 「いい質問ですね。では、どのくらい上がると思いますか。」

二千翔 「高低差があれば、どこまででも上がっていくのではないでしょうか。」

彩加 「50mです。どこまでもいけるとは思うけど、やはり宇宙までは無理だし……。」


水は自然の力でどこまで上がるのか、実験してみます。

高さを変えた2つの大きな水槽を用意しました。
水で満たしたホースをクレーンで吊るして、実験していきます。

  • 5mの高さ
  • 水が流れる

まずは、水面から5mの高さに挑戦です。
結果、水は見事に5mの高さを乗り越えて流れました。

  • 頑丈なホースと色紙
  • 8mクリア

続いて、8mの高さに挑戦します。
丈夫なホースに変え、水に色紙を入れて水の流れを確かめると、こちらもきれいに流れています。
8mの高さもクリアしました。

さらに高い 9m80cm、9m90cmの高さも続けてクリアし、今度は10mの高さに挑戦です。

  • 水が流れない
  • 約10m以上は上がらない

ところが、10mの高さになると、水は上がっていきません。
ホースを10mより下げてみると、水は再び流れ出しました。

再びホースを上げてみますが、水は約10m以上は上がらないようです。

なぜ10m以上水は上がらないの?
  • 川村 康文先生(東京理科大学教授)
  • 12mの容器

その理由を、ガリレオ先生こと、川村 康文先生(東京理科大学教授)に詳しく解説していただきました。

川村先生 「今回は、サイホンの仕組みを学びました。この現象は通常の条件だと、10mというのがひとつの壁になります。」


水が入っている長い12mの容器があります。
この容器の両側にふたをして立てたとします。

  • 真空の部分と水の高さ
  • 水面を押す力と押し返す力

下の栓を抜くと、上のほうに真空の部分ができます。
このときの水の高さは、約10mです。

その理由は、「大気圧」が関係しています。
右図の赤い矢印で示すように、大気圧で水面を押しているとき、中の水も水面を同じ圧力で下から押し返します。
そのため、つりあう条件ができます。
※「押される」「押しかえす」は、科学では「圧する」「圧し返す」ともいいます。

  • パイプの下から押す力
  • 1気圧と10mの水圧がほぼ等しい

実は、パイプの下からも、同じ大きさの力で押しています。
上の10mの水の部分は、黄色い矢印で示すように、その重さで下へ押そうとします。

しかし、黄色い矢印が下へずれていかないのは、下の赤い矢印で示す力と つりあっているからです。
そのため、10mのところで、ちょうど止まっているのです。


川村先生 「つまり、私たちが通常受けている大気圧は1気圧です。この1気圧と10mの水圧がほぼ等しい。だから、水は10m以上、自然には上がらないのです。

  • 次回もお楽しみに!

改めて、「ホースだけを使って上の水槽の水を下の水槽へ移す」という課題に挑戦すると、今度は大成功です。


それでは、次回もお楽しみに〜!

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