NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第15回

サイエンスヒストリー 〜ガリレオの物語〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

サイエンスヒストリー 〜ガリレオの物語〜

  • ガリレオ
  • 古代ギリシャ

今回は、科学を歴史の面から紐解いていきます。
取り上げるのは、近代科学の創始者の一人、ガリレオ・ガリレイです。


川村先生 「今日は私の尊敬する偉大な科学者、ガリレオの業績を紹介します。」

二千翔 「教科書でよく見かけます。」

彩加 「『それでも地球は回っている』と言った人ですよね。」

川村先生 「周りの人が何と言おうと、自分が実験や観察をして、正しいと信じたことを貫いた人です。」


約400年前、ガリレオはイタリアで物理学や天文学を研究した人物です。
当時のヨーロッパの科学を支配していたのは、2000年前から続く古代ギリシアの考え方でした。

しかし、ガリレオは当時の常識にとらわれず、「自らの目で観察し、考え抜き、実験・検証」することを続けました。
そうすることによって科学の真実に迫り、近代科学の扉を開いたのです。

  • お盆と風船
  • お盆と風船の落下

はじめに、ガリレオの研究にちなんだ実験を行ってみます。


川村先生 「お盆と風船を同時に落下させると、どちらが先に地面に着くと思いますか?」

キュピトロン 「お盆の方が先に落ちると思います。」


実際に、同じ高さからお盆と風船を同時に落下させると、お盆の方が先に地面に着きました。


田畑 「お盆の方が先に落ちるのはどうしてだと思いますか?」

二千翔 「お盆のほうが重いので、早く落ちた。」

川村先生 「普通は、そのように思いますね。でも、そんな当たり前に思えることでも疑問を持ち、深く考えて繰り返し実験をしたのが、ガリレオです。」

ガリレオの物語 誕生〜ガリレオの疑問
  • ピサ
  • ピサ大学

ガリレオは1564年、イタリアの小さな町、ピサに生まれました。
成績優秀だったガリレオは、医者にしようとした父の意向で、ピサ大学に進学します。

  • アリストテレス
  • アリストテレスの理論

しかし、ガリレオは、大学の教育内容に疑問を感じるようになります。
当時のヨーロッパの大学では、古代ギリシアの学問、特にアリストテレスの考えを中心に教えていました。

紀元前4世紀に活躍したアリストテレスは、哲学や自然科学の分野を理論的に述べた、偉大な哲学者でした。
しかし、ガリレオは2000年も前の考え方を信じて疑わない当時の風潮に疑問を感じます。
そして医学の道には進まず、自然科学の真理を追究することを目指しました。

アリストテレスは、物体が落ちるのは重さがあるからだと述べていました。
そして、重い物体のほうが軽い物体よりも早く落ちると論じていました。
当時はそれが常識で、誰もが疑いを持ちませんでした。

しかし、ガリレオは「本当に重い方が早く落ちるのだろうか」と疑問を持ちます。

  • 2つの鉄球を紐でつなぐ
  • 矛盾

そして、重い鉄球と軽い鉄球をつないだ場合はどうなるのかと、ガリレオは考えます。

アリストテレスが正しければ、重い鉄球の速さは軽い鉄球に引っ張られるので遅くなります。
また、同じようにアリストテレスが正しければ、二つの球を合わせると重くなるので、より速く落ちていくはずです。

遅くなるのか、速くなるのか、ここで矛盾が生じます。

  • ガリレオの仮説

そこで、「そもそも重さの異なる物体でも、同じ速度で落ちるのではないか」とガリレオは考え、実証するために実験を始めました。


田畑 「ガリレオは、当時、常識だと思われていたことにも疑いの目を向けたのですね。」

里奈 「私だったら、たぶん言われていたことをそのまま自分の考えなしにそうだと思ってしまうので、すごいなと思いました。」

川村先生 「常識と思われていることを一度疑ってみるということは、今の科学者にとって欠かせない考え方です。」

ガリレオの物語 実験により真理に迫る
  • ガリレオが考案した実験器具
  • 実験器具上を転がる球

ガリレオは実験を始めましたが、自由落下では早く落ちすぎて、その速度の差がほとんど分かりませんでした。
そこで、垂直に物が落ちることは、90度の坂を転がるのと同じことだと発想を転換しました。
坂をゆるやかにすれば、物が落ちる様子を正確に観察できる、と考えたのです。

そこで、斜めに物を転がす実験器具を考案しました。
しかし、そこには大きな問題がありました。
当時は、ストップウォッチのような、時間を正確に計る器具がなかったのです。

  • 水時計上
  • 水時計下

困ったガリレオは、精密に時間を計れる時計を自分で作りました。
水時計を改良したもので、当時としては驚くほど正確なものでした。

そして、何度も実験を繰り返すことによって、重い鉄球も軽い鉄球も同時に落下することを実証しました。

  • 落体の法則
  • 真空中では、すべての物体は同時に落ちるはずだ

こうして、ガリレオは「落下の速さは、その重さと無関係である」という結論を導き出しました。
これを「落体の法則」といいます。

1638年、ガリレオは、自身の研究の集大成とも言える「新科学対話」を出版します。
その中で、落体の法則について、「真空中では、すべての物体は同時に落ちるはずだ」と記しています。

ガリレオの落体の法則は、後の科学者たちによって検証され、科学の真理を表す理論として認められていきました。

重い物も軽い物も同時に落ちる?
  • 風船をお盆の上に乗せる
  • 風船をお盆の上に乗せて同時に落下

ここで、もう一つ実験をしてみました。
先ほど、お盆と風船を別々に落としたときには、速度が違っていました。
今度は、その二つを重ねて落下させてみます。

すると、見事に同時に落下し、地面に到達しました。

前の実験では、お盆が下になかったために、風船が空気抵抗を直接受けます。
しかし、お盆を風船の下に重ねることで、風船が直接受けていた空気抵抗が少なくなります。
そのため、お盆と風船は同時に落ちていくのです。

この実験から “空気の抵抗を考えなければ、全ての物体は、同時に落ちる” ということが分かります。


川村先生 「科学の歴史上の大発見というものは、どれもその当時の常識とされていたものを打ち破るようなことからスタートしています。みなさんには、どんどん自由な発想をしてもらいたいなと思います。」

  • 月面での実験
  • ガリレオ

ガリレオの死から約330年後の1971年、アポロ15号の乗組員が月面である実験を行いました。

空気のない月で、鳥の羽とハンマーを同時に落下させるというものです。
羽とハンマーは、月面に同時に落下しました。

ガリレオは、現代でも科学を志す者すべての鑑として、尊敬を集めています。


それでは、次回もお楽しみに〜!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約