NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第12回

振り子で時速100km! 〜力学的エネルギー〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

振り子で時速100km! 〜力学的エネルギー〜

振り子の運動
  • 振り子とブランコ
  • 一番低い位置を通る振り子

藤本チーフから「どうしたら振り子の速さを速くできるか」という指令を受けたキュピトロンの3人が、ブランコをこいで考えています。


藤本 「行ったり来たりする振り子の運動は、ブランコと同じだということがわかりますよね。今日は、この振り子の運動の秘密に迫りたいと思います。特に注目してほしいのが振り子の “速さ” です。」


振り子の速さはスタート地点から徐々に速くなり、そして徐々に遅くなり、また徐々に速くなるということを繰り返します。
そして、一番低い位置を通る瞬間が最も速くなります。

では、この部分の速さをさらに速くするためには、どうすればいいでしょうか。
例えば、時速100kmにすることもできるのでしょうか。

  • 7kgのおもり
  • おもりを高い所から落とす

今回使うおもりは、ハンマー投げで使う重さ約7kgの鉄球です。
このおもりの重さは変えずに、時速100kmの速さにするには、どうしたらいいでしょうか。


彩加 「おもりを高いところから落とす!」

藤本 「なかなかいい線いってますよ!では、それはなぜだと思いますか?」

彩加 「感覚的に、高いところから落とせば速くなるかなって……。」

藤本 「時速100kmの速さを出すためには、それを生みだす “エネルギー” が必要になってきます。今日は、振り子の運動をエネルギーという観点から見ていこうと思います。」

エネルギーの種類
  • 実験装置(おもりとくぎ)

まず、エネルギーにはどのような種類があるのか、実験で確かめてみます。

これは、おもりを落として落下地点にあるくぎにぶつけ、くぎがおもりによってどれだけ動いたかを見る実験装置です。

  • 実験装置(高さ)
  • 約2cm動いたくぎ

高さ50cmから落としたとき、おもりはくぎを約2cm動かしました。
このことから、「落下という運動をしているおもりは、くぎを動かすエネルギーをもっている」ということになります。
このエネルギーを「運動エネルギー」といいます。


藤本 「では、この運動エネルギーを大きくするためには、どうしたらいいと思いますか?」

田畑 「つまり、くぎをもっと動かすにはどうしたらいいかということですよね。」

二千翔 「くぎを大きく動かすのだから、思いっきりたたきつけるように落とす?」

  • 高さ1mの実験装置
  • 1m、50cmの高さから落としてで動いたくぎの距離の違い

今度は、先ほどの倍の、1mの高さからおもりを落としてみます。
1mの高さから落としたおもりは、くぎを約3.5cm動かしました。
このことから、高さが2倍になると、くぎが動いた距離も約2倍になることが分かりました。

おもりが高さ1mの位置にあるとき、おもりは止まっていても、この高さにあるだけでくぎを約3.5cm動かすエネルギーを持っているということになります。
このエネルギーを「位置エネルギー」といいます。

  • 彩加ちゃんの左手も、位置エネルギーを持っている

彩加 「じゃあ、今ここにある私の左手も、位置エネルギーを持っているということですか?」

藤本 「持っているんです!」


1mの高さにあるおもりは、50cmの高さにあるおもりよりも、くぎを大きく動かしました。
つまり、位置エネルギーは、高ければ高いほど大きくなります。

エネルギーの移り変わり
  • スタート地点のエネルギー
  • 位置エネルギーが減り始める

振り子の運動を、この位置エネルギーと運動エネルギーに注目して考えてみます。 

振り子のおもりは、スタート地点では位置エネルギーは最大で、運動エネルギーはゼロです。
動き始めると、位置エネルギーが減ります。
減った分のエネルギーは、逆に運動エネルギーに変化します。

  • 一番下の時点のエネルギー

運動エネルギーは、一番下で最大になり、このときの位置エネルギーはゼロです。

  • 運動エネルギーが減り始める
  • 再び位置エネルギーが最大になる

さらに進むと 徐々に速度は遅くなり、運動エネルギーは減っていきますが、逆に位置エネルギーが増えていきます。

  • 振り子運動の位置エネルギーと運動エネルギー

振り子は、位置エネルギーと運動エネルギーが連続的に変化をくり返す運動をしているのです。


藤本 「振り子は、位置エネルギーが運動エネルギーに、運動エネルギーが位置エネルギーに変化しながら動いているということが分かりました。つまり、動き始めの位置エネルギーを大きくすれば、運動エネルギーも大きくなります。これが、おもりを高いところから落とすと振り子の速さが速くなる理由です。」

振り子で時速100km!
  • 振り子の支点
  • おもりをピアノ線で固定する

それでは、振り子で時速100kmを出すためには、どれほどの高さが必要なのか実験してみました。

実験は、ドーム球場でクレーンを使って行いました。
クレーンの先を振り子の支点にして、おもりがはずれないように、ピアノ線でしっかり結びました。
作った振り子の長さは50mです。

  • 振り子のスタート地点
  • スピード測定器

おもりは、振り子の支点とほぼ同じ、約50mの高さまで持ち上げました。
速度を計るためのスピード測定器も準備し、実験開始です。

  • 時速101km達成

おもりがスタート地点から落下を始め、徐々にスピードを上げていきます。
最低地点でのおもりの速度は時速101kmを記録し、実験は見事成功しました。

重さ7kgの振り子が時速100kmを出すには、高さは約50m必要であることがわかりました。


二千翔 「位置エネルギーが大きいほど、運動エネルギーも大きくなるということが、よく分かりました。」

里奈 「50m上げるだけで、時速100kmが出るなんてすごいと思いました。」

藤本 「高さを上げることしかしていないですからね。」

田畑 「エンジンとか使ってないですからね。」

  • 力学的エネルギー
  • ジェットコースター

ここで、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)にエネルギーについてもう少し詳しく解説していただきます。

位置エネルギーと運動エネルギーという2つのエネルギーを足したものを「力学的エネルギー」といいます。

力学的エネルギーは、身の周りのいろいろなところで使われています。
先ほどの激しい振り子だけではなく、さらに激しいのもあります。
それがジェットコースターです。

一番高い所から降り始める、最初の位置エネルギーを、運動エネルギーに変えるため勢いよく加速します。
その運動エネルギーを使い、また高い所へ上るということを繰り返すため、非常にスリルがあります。


川村先生 「今度遊園地へ行ったら、力学的エネルギーを考えながら、ジェットコースターに乗ってみて下さい。そうすれば、立派なリケジョになれると思います。」

キュピトロン 「がんばります!」

  • ブランコを漕ぐ里奈ちゃん

最後に、里奈ちゃんがブランコをこいで、最低地点での速度を測定します。
結果は、時速19kmでした。

それでは次回もお楽しみに〜!

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