NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第2回

モーターの仕組み

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

モーターの仕組み

  • クリップモーターカー
  • 実物は小さいが、しっかり走る

科学的な考え方を養うワークショップ、ベーシックサイエンス。
司会は田畑藤本の2人、そして生徒はキュピトロンの3人です。

まずは5人の前に、CGのクリップモーターカーが登場します。
クリップモーターカーは、電池と磁石とコイルだけで動きます。
続いて登場した実物はかなり小さいサイズですが、しっかり走りました。

クリップモーターカーは、手作り作品の全国大会まであるほど人気があり、うまく調整すればかなり速く走らせることもできます。

  • クリップモーターカーの部品
  • 電池を引き合う向きでつける
  • コイルの動力を輪ゴムで車輪に伝達

ここで、クリップモーターカーの構造を見てみます。

電池の+極−極に、それぞれクリップを変形させて貼り付け、ボディにセットします。
2個の磁石を、電池とボディにお互いに引き合う向きでつけます。
磁石の間のクリップの上に電気を通す線を巻いた「コイル」を置くことで、電池とつなぎます。

一度コイルを指で回転させると、あとは自然に回転を続けます。
こうしてコイルの動力を輪ゴムで車輪に伝達することで、クリップモーターカーは走ります。

今回はモーターの仕組みをクリップモーターカーで見ていきましょう。


田畑 「電池とコイルをクリップでつないでいるからクリップモーターカーって言うんですね。でもこれだけでコイルが回るなんて不思議だと思いませんか?」

藤本 「では、その “なぜ” コイルが回るのかということを実験で発見していきましょう。」

  • 川村 康文先生
  • 実験装置
  • スイッチを入れると導線が外側に動く

ここでガリレオ先生こと、川村 康文先生(東京理科大学教授)の登場です。

中写真のように磁石と導線を配置します。
はじめ N極とS極の間に導線があり、電池に接続されています。
そしてスイッチを入れると電気が流れ、導線が磁石の外側に動きました(右写真)。

これが、クリップモーターカーのコイルを回転させる原動力です。
これは、一体どのような力なのでしょうか。

フレミングの左手の法則
  • NからSの磁界の向きと電流の方向
  • フレミングの左手の法則

2つの磁石の間には「磁界」ができており、 その向きはN極からS極です。
この磁界の中に導線を置き、電流を流すと導線を動かす力が発生します(左図)。

このとき電流・磁界・力の向きは、左手の3本の指を右図のように開いたときと同じになります。
これをフレミングの左手の法則といいます。


田畑 「このクリップモーターカーの力も、この力を利用しているということですか?」

川村先生 「そうなんです。導線が外に出たという、この勢いを使ってあげると、コイルが回るようになるんです。」

クリップモーターカーの仕組み
  • 磁界の向きは左から右
  • 緑とオレンジで逆の力を受けて回転

クリップモーターカーの仕組みを詳しく見ていきます。
内部には左図のように磁石が置かれており、磁界の向きは左から右です。

向き合う2つの磁石のN極とS極の間に、導線を巻いたコイルを置きます。
このコイルに電流を流すと、コイルの緑の部分とオレンジの部分には逆向きの電流が流れます。
するとフレミングの左手の法則によって、緑の部分は上向きの力を受け、オレンジの部分は下向きの力を受けます。
この結果、コイルは回転し始めるという仕組みです(右図)。

  • 元の位置
  • 半回転したら力は逆向きに?

二千翔 「電流が手前向きで、磁界が右だから、力は上。」

里奈 「反対側は、(磁界の向きは同じで)電流が逆になるから、力は下。」

彩加 「だから回るんだ!」

二千翔 「でも先生、緑が半回転して反対側に来たとき、力は上向きのままじゃないですか?だって電流は手前向きで磁界も右向きで変わらないから、力は上向きだと思います。これだと戻ってしまいませんか?

藤本 「よく気づいた!」

  • 半回転で力が逆向きになってしまう
  • 塗料が半分残っている

左側にあった緑が半回転して右側に移動すると、電流が流れていればフレミングの左手の法則によって逆回転してしまいます。

そのため、逆回転をしないように導線が工夫されています。
導線は電気を通さない塗料で覆われており、クリップに接する部分では、片側は塗料を全部削り取ってあります。
また、もう一方は塗料を半分 削り取り、半分は残しています。
塗料が残してある部分では電流が流れません。
そのため、コイルには逆向きの力は働かず、今までの勢いで回転を続けます。

そして、1回転して再び塗料が削り取られている部分まで来ると電流が流れ、磁界から力を受けます。

こうして電流が流れたり止まったりを繰り返す事によって、クリップモーターカーのコイルは回転し続けるのです。

  • どれが一番速い?
  • 巻き数の多い順に速い

ここで、藤本チーフから問題です。
3台のクリップモーターカーがあり、それぞれコイルの巻き数が違います。
黒い車が10回巻き、黄色い車が15回巻き、赤い車が20回巻きです。このうちのどれが一番速く走るでしょうか?


二千翔さんは20回巻き、彩加さんは15回巻き、里奈さんは10回巻きを選びました。

田畑 「二千翔ちゃんはどうして20回巻きを選びました?」

二千翔 「いっぱい巻いたら、電気がたくさん流れて強いかなと思いました。」

田畑 「では逆に、一番少ない巻き数の里奈ちゃんは?」

里奈 「たくさん巻きすぎると、重くなって車が動かないかなと思いました。」

田畑 「なるほど。では彩加ちゃんは?」

彩加 「そうですね。じゃんけんに負けたからです。」


実際にクリップモーターカーを走らせてみました。すると、一着は20回巻き、続いて15回巻き、最後に10回巻きという結果になりました。

  • 巻き数による力の大きさの違いを確かめる
  • 巻き数の異なるコイルを配置
  • 力の向きは向かい合う方向

なぜ20回巻きが早かったのか、実験で確かめてみました。

巻き数の異なる2つのコイルを、左写真のようにそれぞれ磁石の間に配置します。
左側のコイルは右側のコイルに比べ、導線を多く巻いています。
スイッチを入れると、力はお互いに向き合うように働きます。

  • 多く巻いたほうが強い力が発生
  • さまざまな製品に使われるモーター

ここで、どちらのコイルの方が強い力が出ているか、間に棒を入れて試してみます。
すると巻き数の少ない方に棒が押され、コイルは多く巻いた方が強い力が発生することが分かります(左写真)。


扇風機・掃除機・電気自動車など、モーターは身の回りにある さまざまな製品に使われており、私たちの暮らしを支えているのです。


それでは、次回もお楽しみに!

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