NHK高校講座

ベーシック国語

Eテレ 毎週 月曜日 午前10:20〜10:30
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第38回

小説の読解

  • 出演:杏林大学教授 金田一 秀穂
学習ポイント学習ポイント

小説の読解

小説の読解
  • オウムさん
  • 滝沢カレンさん

今回のテーマは「小説の読解」です。
滝沢カレンさん、オウムさんと一緒に学習していきましょう!

オウム「カレンちゃんって、文章を書くのが好きっていうイメージがあるけど、読書をするのは好きなの?」
カレン「大好きだよ。」
オウム「一番影響を受けた本はある?」
カレン「うん。小学校5,6年生のときに読んでから、それより1位って本がまだ見つからない本があって。『霧のむこうのふしぎな町』っていうとても素晴らしい本!小学生向けにも関わらず、大人でも(おもしろく)読めるかもしれない!」

『霧のむこうのふしぎな町』は主人公の少女が架空の世界でさまざまな経験をするファンタジー小説です。

授業開始
  • 金田一秀穂先生
  • カレンさん

短歌・俳句について教えてくれるのは、金田一秀穂先生です。

先生「映画やアニメには“画(絵)”があって、はっきりとよくわかっちゃう。でも、小説は言葉だけの世界なので、自分の思い通りに想像できる。それが小説の一番の魅力だと思うんです。」

さて、小説を読むときに大切な3つのポイントがあります。
(1)登場人物は誰か?
(2)舞台はどこか?
(3)誰の目線で描かれているか?

この3つを意識すると、小説をより楽しく、深く読むことができます。

  • 3つのポイントを考えてみましょう
  • カレンさんの想像するクラムボン

宮沢賢治の『やまなし』という小説があります。

二疋の蟹の子供らが青白い水の底で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンは跳ねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
上の方や横の方は、青くくらく鋼のように見えます。
そのなめらかな天井を、つぶつぶ暗い泡が流れて行きます。
『クラムボンはわらっていたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『それならなぜクラムボンはわらったの。』
『知らない。』
つぶつぶ泡が流れて行きます。
蟹の子供らもぽっぽっぽっとつづけて五六粒泡を吐きました。それはゆれながら水銀のように光って斜めに上の方へのぼって行きました。
つうと銀のいろの腹をひるがえして、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。

(抜粋)

この小説で、3つのポイントを考えてみましょう。
登場人物は蟹(の子ども)
舞台は青白い水の底
そして、誰の目線で描かれているかというと、蟹(の子ども)の目線作者である宮沢賢治の目線が交互になっています。

先生「ここで一番問題なのは…」
オウム「やっぱ、アレでしょう!気になるのは。」
カレン「うん。気になります!」
先生「気になるのは何でしょう?」
カレン「クラムボン!」
先生「そうですよね〜!」
オウム「絶対気になるよね!」
先生「クラムボンっていうのがわからないよね!」
カレン「何なんだろう?」
オウム「カレンちゃん、クラムボンって何なのか、想像して絵を描いてみようよ!」
カレン「(描いた絵を見せながら)存在しないもの。魔物みたいな。子どもにはそう見えてるんです。大人が見たらただの石かもしれない。でも、蟹の子どもだから、岩がこう見えてたのかも!」
先生「おぉ!なるほどね〜。実は、クラムボンが何かということは、何も書いていないんですよ。宮沢賢治もはっきり書いていないんです。読んでいる人が“クラムボンって何なのか”を勝手に想像するんです。『かぷかぷわらった』って表現もわかるようでわからなくて、みんなが気になるじゃない?」
カレン「気になる!」

みなさんも、この小説の続きが気になりませんか?
ぜひ、読んでみてくださいね☆

  • カレンさん
  • 金田一先生

小説を楽しむために、登場人物の気持ちを理解することが大切です。
ポイントとなるのは心理描写と情景描写です。
心理描写は、登場人物の気持ちを直接記述したものです。
例えば、『うれしい』とか『悲しい』とか『困った』などが心理描写です。
情景描写は、風景などの記述で、これが登場人物の気持ちを表現することもあります。

次の例で考えてみましょう。
彼女と別れた後、ぼくはひとり歩きだした。

これだけでは、わからないですね。そこで、次のように文章を追加するとどうでしょうか。
彼女と別れた後、ぼくはひとり歩きだした。
見上げると黒い雲がたちこめていた。


先生「こうなったら、(“ぼく”は)どんな気持ちだと思う?」
カレン「彼女にフラれてしまい、ひとりさみしく歩き出す。」
先生「そうだね。たぶん、悲しい物語になっちゃう。『見上げると黒い雲がたちこめていた』っていうのは情景描写でしょ。これによって、“ぼく”の気持ちは悲しいんだということがわかる。『ぼくは悲しかった』って言うより、情景描写のほうが深く気持ちを表すことができるんです。」

  • 小説の面白さ
  • 次回もお楽しみに〜!

では、次のような文章にすると、“ぼく”はどんな気持ちだと考えられるでしょうか。
彼女と別れた後、ぼくはひとり歩きだした。
見上げると雨上がりの空に虹がかかっていた。


カレン「告白が成功して、“私は帰るね”って歩き出して、“よっしゃ〜!”と思いながら空を見たら、虹がかかっていた。」
先生「そうだよね。『雨上がりの空に虹がかかっていた』って言ったら、“やったぞ!”っていう感じになる。」
オウム「確かに、そうですよね。」
先生「こういうふうに、(情景描写しだいで)イメージを変えられるわけですね。情景描写で気持ちが表現されているんです。」
オウム「なるほど。楽しいね〜!」
先生「そうやって考えると楽しいよね!」
カレン「楽しい!」
先生「小説というのは、自分のイマジネーションをどんどん広げることができるんです!」

それでは次回もお楽しみに!

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