NHK高校講座

ベーシック国語

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:00〜2:10
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第28回

文学史 〜寺山修司〜

  • 出演:杏林大学教授 金田一 秀穂
学習ポイント学習ポイント

文学史・寺山修司

文学史・寺山修司
  • 滝沢カレンさんと小沢一敬さん
  • スピードワゴン・小沢一敬さん

今回のテーマは「文学史・寺山修司」です。
滝沢カレンさんと一緒に学習していきましょう!

今回は芸能界きっての読書家という、スピードワゴン・小沢一敬さんとともに、奇才と呼ばれた作家・寺山修司の魅力に迫ります。
小沢さんは年間100冊以上の本を読む読書家で、2010年には自身も小説「でらつれ」を出版しました。
そんな小沢さんがこよなく愛し、人生の教科書としてきたという作家が寺山修司なのです。

  • 小沢一敬さん
  • カレンさんと小沢さん

小沢「本当に本がとにかく好きなの。その中でも好きな本があって、子どもの頃からその本を持ち歩いていて、“この人ともっと仲良くなりたい”って(思った)人には好きな本をあげるようにしているの。今日の第一号だ!」
そう言って、カレンさんに1冊の本を手渡しました。
カレン「ありがとうございます。…いつもこんなことしているんですか?」
小沢「そうだよ…って、バカにしてるよね?」
カレン「…『ポケットに名言を』ですか?」
小沢「この本、寺山修司さんって人が書いたんだけど。一番好きな作家であり、影響を受けた人。」
カレン「へぇ〜!」

  • 寺山修司
  • 劇団『天井桟敷(てんじょうさじき)』を主宰

寺山修司は早稲田大学在学中に短歌の専門誌で新人賞を受賞。
その後、劇団『天井桟敷(てんじょうさじき)』を主宰して注目される一方、小説家、評論家、作詞家、エッセイスト、映画監督、写真家など、さまざまな分野で活躍しました。

  • カレンさんと小沢さん
  • カレンさん

小沢「寺山修司さんはね、あえて“作家”って言いましたけど、単純に作家と言うよりは“職業・寺山修司”みたいな人なの。」
カレン「それはなんで知ることになったんですか?」
小沢「10代のときに学校に行ってなかったんですよ。働いてたりしたんだけど…例えば、1か月働いてお給料がたまると3か月休むシステムを採用してたの。そうすると、同級生が学校に行っている間、昼間やることがないわけ。そうすると本を読むくらいしかなかったり。(だから)近所の図書館で本を借りてきて読んだりして、すごく本を読みまくっていた時期があって。」
カレン「その頃の小沢さんはナイーブで悩み多き少年、って思っているんですけど(実際はどうでしたか)。」
小沢「悶々としてるね。自分はなんなんだろう、将来どうなるんだろうって。(カレンさんに向かって)自分もそういう時期なかった?」
カレン「ありました。」
小沢「“俺は何をやってるんだろう”っていう時期に寺山修司を知ったのかな。」
カレン「なるほど〜。」
小沢「一番多感だった時期に寺山修司に出会ったから、すごく影響を受けてる。」

  • 寺山作品の魅力は?
  • 小沢一敬さん

寺山作品の魅力について、小沢さんに聞きました。
小沢「誤解を恐れずに言うと、究極に軽いのよ。」
カレン「軽いって何ですか?」
小沢「“この人重い”とか“この人堅い”とか言うでしょ。寺山修司はすごく軽いというか、軽やか。ひょうひょうとしているというか。寺山修司の物語って、ダークサイドな部分や重い話、悲しいことや切ないことがすごく多いけど、それをひょうひょうと描くから。寺山修司のいいところはそこなのよ。押しつけがましくないの。」

例えば、寺山修司の著書『家出のすすめ』。
目次を見ると、
第一章 家出のすすめ
第二章 悪徳のすすめ
第三章 反俗のすすめ
第四章 自立のすすめ
となっています。
一見、過激で社会を否定しているように見えますが…

小沢「ネガティブなことを言っているんだけど、あえて言ってる、みたいな。“ネガティブなこと言ってる俺っておもしろくない?”みたいな。だから、本当に軽やか。」

  • 小沢一敬さん
  • カレンさんと小沢さん

カレン「寺山さんの作品の中で最も好きな作品はどれですか?」
小沢「あのね…持ってきたんだけど。『寺山修司少女詩集』っていうのがあるんだけど、その中に2ページのちょっとした物語があるの。『海を見せる』っていう話なんだけど。」

『寺山修司少女詩集』は、寺山修司の世界が詩を中心とした作品で表現されています。
その中の『海を見せる』は一編の詩から始まる短編ストーリーです。
入院していて海を見たことがない女の子に対し、男の子が“この世の中には海っていうものがあって、ものすごく青くて広いんだ”という話をします。
しかし女の子は信じてくれません。
そこで、男の子はバケツに海の水をくんできて、女の子に「これが海だよ」と見せますが、バケツの中の海の水は青くもないし広くもありません。
女の子に「海じゃないじゃない」と言われ、信じてもらえなかった男の子の「たしかに、さっきまでは海だったのに!」というつぶやきで物語は終わります。

小沢「ちょっとこの話、終わり方が“えっ?”ってなるかもしれないけれど、これが好きなのよ、俺。報われないけど、喜ばせたい、笑ってもらいたいっていう、たった2ページの短い話なんだけど、ここに寺山修司の良さがあると俺は思ってる。どうしても今の時代とか…時代のせいにするのもアレだけど…損得って考えちゃうじゃない。でも(『海を見せる』の男の子は)海をすくって持ってくる。そして女の子には“海じゃない”と言われる。一個も得しないけど、この少年はやるわけじゃない?喜ばせたくて。損得より自分がやりたいこと。周りの人を笑わせたい、喜ばせたい、そっちの方が重要だなと思うね。」

  • カレンさん
  • 小沢一敬さん

カレン「これまでの人生で寺山さんが救いになったこととかはありますか?」
小沢「うーん…あると思う。」
カレン「本で救われるとか、音楽で救われるとか言ってる人いますけど。私はそれ、わからないんですけど。」
小沢「でもさ、落ち込んでいるときに音楽聞いて元気になるときとか、ない?」
カレン「ないです。」
小沢「…」
カレン「落ち込んでいるときは何も聞かなくなっちゃうし、寝るっていうのでいつもやってる人だから。逆に音楽とか本とかから勇気をもらったって、どういう感情?それがいきなりポンって頭に浮かぶんですか?」
小沢「多分ね、“私一人じゃないんだ”っていう感覚じゃない?こういうこと思っているのは私だけじゃないんだ、っていう“仲間がいる”(っていう感覚)で救われてるんじゃないかな。」
カレン「読んでた方がいいって言っているんですか?」
小沢「いや、俺は別に“この本を読んだ方がいいよ”とか“この本を読めばあなたを救ってくれるよ”とか、一切言う気はないけど。」
カレン「悩みもちっぽけなものだって思わせてくれるんですか?」
小沢「寺山修司はそういうこと言わないのが好きなの。“読めば大丈夫だよ”とか“お前らの持ってる悩みなんかたいしたことないよ”とか言わないから好きなの。」
カレン「ふ〜ん。」
小沢「読んでいるうちに、自然にそう思えてくるから好きなの。」
カレン「ポジティブになるんですね。」
小沢「そうそう。“さあみんなで立ち上がろうぜ”とか“肩組んでがんばろうぜ”とか、一切言わない。“各々好き勝手にやりなよ、世の中はそういうものだよ”っていう。ちょっと切ないけど、だから立ち上がれる、みたいな。」

  • 世界中の名言がいっぱい入っている
  • 喜ぶカレンさん

小沢「さっきプレゼントした『ポケットに名言を』には世界中の名言がいっぱい入っているんだけど。」
カレン「どっかいっちゃった!」
小沢「なくしたの?おそろしいよね!!」
本を見つけて戻ってきたカレンさん。
※カレンさん、一節を読んで…
カレン「わぁ!超いい言葉じゃないですか。私、こういうの大好き!」
小沢「大好きでしょ?」
カレン「これはちょっと…言ってることと全然違いましたね。」
小沢「…え!?俺、言ってることと全然違った?」
カレン「聞いているだけではダメだと思いました。」
小沢「ごめん、プレゼン下手だったね…(笑)」
カレン「違う、違う!(実際に本を)見て、ここまで面白さが見えたので、ホントに欲しいです。」
小沢「いや、あげたのよ。」
カレン「ホントにいいんですか?」
小沢「いや、俺、収録が終わったら“返してよ”って言うと思ったの?」
カレン「(笑)うれしい〜!これなら読みやすい!きょうはありがとうございました。」
小沢「…ありがとね(笑)」

それでは次回もお楽しみに!

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