NHK高校講座

ベーシック国語

Eテレ 毎週 月曜日 午前10:20〜10:30
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第19回

文学史 〜川端康成〜

  • 出演:杏林大学教授 金田一 秀穂
学習ポイント学習ポイント

文学史〜川端康成〜

文学史〜川端康成〜
  • 滝沢カレンさん
  • 川端康成

今回は文学史の授業の4回目!川端康成についてです。
川端康成について学ぶため、伊豆にやってきた滝沢カレンさん。

Q. 川端康成を知っていますか?
カレン「もちろん知らない。聞いたこともない!」

Q. (川端康成の写真を見せて)イメージを聞かせてください。
カレン「目つきがあまり良くない。ちょっと怖いかな。会話も弾まなそう…。」

そんなイメージを持ったカレンさんですが、
川端康成は大正から昭和にかけて活躍した、日本文学を代表する作家の一人です。
代表作には、『雪国』、『舞姫』、『眠れる美女』などがあります。
その功績が認められ、日本人初のノーベル文学賞を受賞しました。
日本文学のすばらしさ、日本語の美しさを世界に広めたのです。

  • 伊豆の踊り子
  • 旧天城トンネル

Q. なぜ、伊豆に来ているかわかりますか?
カレン「伊豆が大好きで、夏休みごとに伊豆に来るとか?伊豆に別荘があったとか?」

答えは、川端康成の作品『伊豆の踊子』について学ぶためです!
『伊豆の踊子』は、川端康成が19歳のときに旅をした経験をもとに書かれた小説だと言われています。
大正時代に一人旅をしていた青年が、旅芸人の踊子と出会い、青年の心境が変わっていく様子が描かれています。

作品に登場する旧天城トンネル。
「暗いトンネルに入ると、冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前方に小さく明るんでいた。」
という一節があります。

  • 湯ヶ野(静岡県河津町)
  • 2人の女性に声をかけたカレンさん

トンネルを抜けた先にあるのは湯ヶ野(静岡県河津町)。
小川のほとりには、小説にも書かれている通り、共同浴場があります。
共同浴場の前にあるベンチに座っていた2人の女性に声をかけたカレンさん。

カレン「何をしているんですか〜?」
女性「お風呂からあがってね、景色見てるんですよ。」
カレン「今日は何にも予定無いんですか?」
女性「はい。」
カレン「今まで、何をしていたんですか?」
女性「二人でお話しててね。(夕方の)4時か5時頃になると、この近辺のお年寄りが来て、お話しします。」
カレン「毎日?」
女性「毎日!365日、よほどでない限り(お風呂に)入りに来てる。」
カレン「それでは本題に入りたいんですけど…川端さんって知っていますか?」
女性「あっ、康成先生ね!」

やはり、地元でも、とても有名なようですね。

  • 稲穂照子さん
  • 川端康成

湯ヶ野には、川端康成ゆかりの宿があります。
女将の稲穂照子さんにお話をうかがいました。

カレン「川端さんを探してここまで来たんですけど。」
稲穂「(川端さんは)十九歳のときに伊豆の一人旅をして、この宿に三泊しているんですよ。」

この伊豆の旅こそが、川端康成の人生に大きな影響を与えたと言われています。
幼い頃に両親を亡くした川端康成は祖父母に引き取られました。
たった一人の姉とも離れ離れになってしまい、常に孤独であったと言われています。

稲穂「その頃(の川端康成)はとても暗い青年で、誰にも言わないで初めての伊豆の一人旅に出るんです。」
カレン「誰にも言わないで?」
稲穂「そして踊子たちと巡り会い、踊子たちや土地の人とやりとりをする中で、だんだんと心がほぐされていって、温かさを覚えて。伊豆から東京に戻ってから、先生はすごく元気になったということです。」

  • 稲穂さんとカレンさん

カレン「結構、あんな顔しちゃってるので、話しかけにくいな、とか、どこ見てるんだろうっていう感じになっちゃってると思うんですけど…。」
稲穂「本当はそんなことないんですよ。とってもやさしいんですよ。」
そう言って、稲穂さんが見せてくれた1枚の写真には、笑顔の川端康成が写っていました。
隣にいるのは、若かりし頃の稲穂さんなんだとか!

川端康成の晩年、身の回りの手伝いをしていたという稲穂さんが、そのときのエピソードを教えてくれました。
稲穂「先生とお車で一緒に外に出ることがよくあったんですけど、私は失敗が多くて、(車の)キーを中に入れたままドアを閉めてしまって。そんなときでも先生は絶対怒らないで、「面白いね」って言いながら一緒に待ってくださるんですよね。すごく優しい先生で、そんなときには日常の話を聞きたがるのね。どんなものを買いに行くの?とかね。そうやって気を紛らわせてくださって。二時間も三時間も待ってくださった。」
カレン「え〜っ!」
稲穂「カレンちゃんみたいな美しい人だったら、川端先生はもっともっと話していたかもしれないです。」
カレン「いやいや、絶対話が盛り上がらなくて困っていたと思います。」

  • 稲穂さん
  • カレンさん

また、こんなエピソードもあったとか…
稲穂「ある記念碑のお祭りがあったときに、川端先生がいらしてくださって、祝辞を述べてくださったときにね、ご自分で書いた『伊豆の踊子』なのに一度も読んだことがなかったんですって。“久しぶりに読んでみたら案外いい小説だなって思いました”ってお言葉があったんですよ。」
カレン「へぇ〜!」
稲穂「書く方って、ご自分の作品を読み直したり、読んだりってないのかな、と不思議に思いました。」
カレン「いや〜…(イメージと)真反対というか。本当にやさしくて、誰にでも話しかけちゃう感じで、誰にでも愛されるお茶目な感じ。こういう作家の人って誰とも話さないイメージとか、頭良すぎて踏み入れないって感じじゃないですか。でも、この人はちょっと違うのかなって。」
稲穂「いかがですか。『伊豆の踊子』は文庫本だとたった34ページですので(ページ数は出版元によって異なります)、ぜひ読んでみていただいて。」
カレン「え〜っ!」
稲穂「文庫本を片手に伊豆の旅をしていただくといいなぁ、なんて思います。」

  • カレンさん

今回、川端康成の人柄に触れたカレンさん。
最後に川端康成に向けて手紙を書きました。

川端さんへ
今日まで、あなたの事を全く知らずに生きていた事を申し訳ありませんでした。
川端さんを今日知り、今日歩んできた伊豆を旅するという、とんでもない強行突破でした。
でもさまざまな写真を見たり、川端さんがお泊りになった宿に足をふみ入れたりして、とても心が温かくなりました。
川端さん、あなたは素晴らしい土地を本にしてしまいましたね。
伊豆の踊子がいつまでも生き続けますように。
滝沢カレン

それでは次回もお楽しみに!

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