NHK高校講座

社会と情報

今回の学習

第15回 法律と個人の責任

考えよう著作権

  • 社会と情報 監修:東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭 後藤 貴裕
学習ポイント学習ポイント

考えよう著作権

  • 大関れいかさんと古関れんさん
  • 著作権とは

司会は古関れんさんと大関れいかさん。
今回のテーマは「考えよう著作権」。

著作権とは著作物(アイディアや思想を形に表したもの)に関して著作者が持っている権利です。

今回は著作権について学んでいきましょう!

  • スーパーササダンゴマシンさん
  • ササダンゴさんはスーパーストロングマシンさんのオマージュレスラー

情報プレゼンターはスーパー・ササダンゴ・マシンさん。
今回のプレゼンテーマは「考えるな、感じろ!著作権」。

著作権の定義は難しく、考えてもわからないため、映画「燃えよドラゴン」の冒頭にあるブルース・リーのセリフ「考えるな、感じろ!」のように感じるしかない、とササダンゴさん。

例えば、無許可で販売されたササダンゴさんのフィギュア人形。
これは、絶対ダメな感じがします。
一方で、ササダンゴさんの写真をSNSのアカウント画像にしようしている人を見かけると、ちょっとうれしい感じがします。

そもそもササダンゴさん本人はどうなのかというと、スーパー・ストロング・マシンさんという伝説のレスラーがいて、ササダンゴさんはそのオマージュレスラーとして、敬意をもって真似をし、コスチュームを似せています。
ストロング・マシンさんはそれを黙認してくれているそうですが、ちょっと気まずい感じがしているとササダンゴさんはいいます。

著作権の問題はちゃんと考えなければいけませんね!

著作権どうして必要?
  • 福井健策弁護士
  • クリエイターのビジネスが成立するために著作権は存在している

今回は著作権のプロ、福井健策弁護士に詳しく解説していただきます。
まず、「著作権ってどうして必要なの?」。

映像や音楽、文章など人が創作したものを著作物といい、そこには著作権という権利が生まれます。
クリエイターが自分で自由に創作したものを世に出す。それを無断ではコピーできないようにしようという制度です。
コピーが欲しければお金を払うというように、著作権はクリエイターのビジネスが成立するために存在しています。

  • 誰でも著作権侵害ができる、される時代

ただ、ネット化やディジタル化が進んだ現代社会では、コピーも簡単になり著作権とのつきあい方が難しい時代になってきました。
誰でも簡単に人の著作物を利用できる一方、誰でも著作権侵害をしてしまったり、されてしまうようになりました。
文章の引用も著作権侵害かどうか判断するのが難しいといえます。

例えばさきほどササダンゴさんのプレゼンに出てきた「考えるな、感じろ」という言葉。
これは映画の一部であり、著作権侵害なのでしょうか?

考えすぎると何もできませんし、厳密にやりすぎると世の中はたちゆきません。
著作権で作品を囲いすぎると、作品が世の中から埋もれてしまう可能性もあります。
知らないうちに著作権を侵害しないように、でも心配しすぎて萎縮しないように正しい知識を持つことが大切です。

何が著作物になるの?
著作物の例

では、何が「著作物」になるのかを考えていきましょう。

著作物とはアイディアや思想を形に表したもののことですが、漠然としています。
法律では9つの具体例をあげています。この例にあてはまらなくても、似たジャンルの作品は著作物になります。

ただし、著作物には最低限のオリジナリティーが必要です。
つまり作品全体は著作物でも、そこから何か一文を借りてくるときに、その一文にオリジナリティーがなければ、借りてもかまわないという考え方です。

  • 古関さんのイラスト1つめ。個性がなく、著作物ではないと考えられる。
  • 古関さんのイラスト2つめ。個性があり、著作物であると考えられる。

では、オリジナリティーとはどの程度のものなのか、古関さんが書いたイラストを例に考えてみましょう。

まず1つめのイラスト(写真左)。
オリジナリティーはあるでしょうか?
ササダンゴさんも大関さんも、オリジナリティーは全然ないという意見です。
このイラストで著作権を主張するのもかまいませんが、そうすると誰かの著作権を侵害している可能性もあり、危ないと言えます。

2つめのイラスト(写真右)。
これはオリジナリティーがあり、著作物であると言えます。
オリジナリティーは、その人なりの個性が出ていれば十分です。

  • ササダンゴさんのツイートを例に著作物かどうか考える。

次に、文章の場合はどうでしょうか?
ササダンゴさんのツイートを例に考えてみましょう。

1つめは「新幹線の車両清掃って何度見てもすごい。」です。
これは著作物でしょうか?
ササダンゴさんより前にこれと同じことを言っていた人がいたとしたら、ササダンゴさんが危ないかもしれません。
これは著作物ではないでしょう。

2つめは「品行方正かつ、健全な生活しか送れないんなら、新潟に住んでる意味なんてない。」です。
ササダンゴさんは、新潟にいてもずっと東京の宿題みたいなことをさせられていて、新潟の生活を満喫できていないと思ってこのツイートをしたようです。
これとまったく同じことを書いている人はいないように思われます。
福井さんは、これくらいで裁判所も著作物かどうか悩むくらい、といいます。

  • 世の中には著作物が満ち溢れている

では、出来がどうであれ適当に撮った写真なども著作物になるのでしょうか?
裁判例では、よくあるスナップ写真でも著作物と認めたものがあるそうです。
おそらく私たちがフェイスブックにどんどんあげているような写真は、大半が著作物だと福井さんはいいます。
つまり、世の中には著作物が満ちあふれています。

  • 「プレゼンをするプロレスラー」というアイディア」

著作物と誤解されやすいものもあります。
特に「アイディア」。
ササダンゴさんの「プレゼンをするプロレスラー」というのは画期的なアイディアですが、盗まれても著作権侵害にはなりません。

著作権法が守るものは、あくまでもそのアイディアが形をとったときの具体的な表現です。
優れたアイディアは、独占させるよりもみんなで使って、もっと面白い作品が生まれることを期待しようという考え方です。

なぜなら、そう考えないと「覆面レスラー」というアイディアすら最初に誰かが思いついているからです。

著作物の利用
  • 録画した好きな番組を通学時間にスマートフォンで見る

ここからは著作物の利用方法について考えていきます。
いったいどこまでだったら、人の著作物でも利用していいのか、クイズ形式で考えてみましょう。

1問目は「好きなテレビ番組を録画して、朝の通学時間にスマートフォンで見る。」というもの。
確かにテレビ番組は著作物であり著作権侵害のように思えますが、あまり現実的とはいえません。
法律には例外規定というものがあり、個人的な楽しみのためならコピーをしてもかまわないという、私的複製の規定があります。
例えば、ある資料を会社の業務に使うのはいけませんが、学生が自分の勉強のためにコピーするというのは私的複製になるため問題ありません。

よって、正解は○(マル)です。

  • お気に入りの作家の詩を駅前で朗読

2問目は「お気に入りの作家の詩を駅前で朗読」というもの。
これは、条件によって変わってきます。
個人がお金を受け取らずに朗読する場合と、芸人がお金を集めている場合です。
原則として著作権侵害ですが、これもやはり例外規定があり、非営利目的で入場無料なら人の作品でも朗読、演奏、上映してもかまわないという規定があります。

ただし、その演奏などを動画サイトに公開する場合は著作権侵害となります。
これは公衆送信権という別の権利で、こちらには例外規定がありません。
ネット上に公開するということは、影響が大きすぎるためです。

著作権は無許可で使ってはいけないというルールなので、許可をもらえば使うことができます。
例えば、アーティストに「音源をアップしたい」と言って、許可がもらえたのであれば大丈夫です。
使われてうれしいという人もいます。
許可をもらうテクニックを身につけましょう!

著作物の活用
  • CCマーク
  • 4つのマークを組み合わせて使う

著作権のあり方を見直して、作品を上手に活用できるようにしようという取り組みもあります。
それが、国際的プロジェクト「クリエイティブ・コモンズ」。
作品を自由に利用できる条件を表示できるように、「CCマーク」と呼ばれるツールを提供しています。
作品名や作者を表示することや、非営利であれば作品の利用を認めるなど、4つの条件のマークを組み合わせて使用することができます。

  • 野口祐子さん

NPO法人コモンスフィア常務理事の野口さんは、作品を使わないでと囲いこむよりも、出していったほうがプラスになると考えている作家もいると思う、といいます。

  • 著作権は著作者の死後50年(映画の著作物は公表後70年)を過ぎると消滅する
  • 青空文庫

また、著作権には保護期間というものがあり、期間を過ぎると著作権は消滅します。
そこで、保護期間が切れた作品を誰もが利用しやすいようにした「青空文庫」というWebサイトが誕生しました。
芥川龍之介や太宰治など、およそ1万作品を誰でも無料で読むことができるWeb上の図書館です。
著作者自らが希望して作品を公開することもできます。

権利を保護するばかりでなく公開することで、クリエイティブな活動を支援するアイディアも増えているのです。

  • 後藤貴裕先生

技術の進展や社会情勢の変化によって、法律が変わってきています。
社会と情報では、ITや技術的なこと勉強していますが、それはここで学んで終わりというわけではなく、高校を卒業したあとも変わっていきます。
それに合わせて最新の情報を身につけながら、そのときにどういう法律ができるのかなと想像して学び続けことが大切だと、後藤貴裕先生はいいます。
著作権について考え続けましょう!


それでは次回もお楽しみに!

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