NHK高校講座

ベーシック国語

今回の学習

第26回

文学史 〜谷川俊太郎〜

  • 出演:杏林大学教授 金田一 秀穂
学習ポイント学習ポイント

文学史 〜谷川俊太郎〜

文学史 〜谷川俊太郎〜
  • 金田一先生とカレンさん
  • 谷川俊太郎さん

今回のテーマは「文学史 〜谷川俊太郎〜」です。
金田一秀穂先生、滝沢カレンさんと一緒に学習していきましょう!

先生「今日はですね、私が思う、いま日本で一番上手な日本語の使い手というか、最高の日本語を使える人のお宅へお邪魔して(います)。」
カレン「ありがとうございます。」
先生「これから会っていただけるということなので、行ってみましょうかね!」

というわけで、今回は、谷川俊太郎さんに言葉にまつわる様々なお話を伺います!

  • 谷川俊太郎さん
  • 二十億光年の孤独

谷川さんは10代の頃から詩を作り始め、1952年に初の詩集『二十億光年の孤独』を発表しました。
その後、歌謡曲などの作詞、映画の脚本、エッセイ、評論活動など、85歳にして、多方面にわたり精力的に創作活動を続けています。

  • 谷川俊太郎さん
  • 谷川さん、金田一先生、カレンさん

先生「谷川さんはたくさんの詩を書かれていらっしゃるんですけど。ぼくも大好きな詩がいっぱいあるんですが、『芝生』という…」
谷川「おぉ、お目が高い!」
カレン「お〜!」
先生「いえいえ、とんでもない。」

〜芝生朗読〜

先生「(カレンさんに向かって)どうです?」
カレン「考えられない!」
先生&谷川「考えられない…(笑)」
谷川「ぼくもね、この詩、わからないんですよ。」
カレン「そうですよね。」
谷川「“え、なんでこんなの書けたの?”っていう詩なんですよ、これは。」
カレン「へぇ!」
谷川「そういうときの方が面白い詩が書けるものなんですけど。時々あるんですけど、ほんとに今まで、千何百篇くらい詩を書いているけど、数篇どうして書けたのかわからない詩がありますね。」
先生&カレン「へぇ〜。」
谷川「単に待ってるの。何か言葉が湧いてくるのを。言葉が上から降ってくるんじゃなくて、下から湧いてくるんですよね、詩。それは、我々が日本語という土壌に根を下ろしているからだと、ぼくはそういう比喩なんですけどね。でもなんか、一語だったり一行だったりして言葉が出てくるんですね。それが詩の始まりで、出てこないときはもう無理矢理ね、なんか出しちゃって。それは良くないんですよ、だいたいにおいて。」
先生&カレン「へぇ〜。」
谷川「なんか変に論理的に書いちゃったりするから。」

  • 谷川俊太郎さん
  • 金田一秀穂先生

1000を超える詩を作り続けてきている谷川さん。
『言葉』をどう位置づけているのかお聞きしました。

先生「よく、谷川さんは言葉は無力だと(おっしゃいますよね)。」
谷川「はい。」
先生「どの辺が無力だと(思われますか)?」
谷川「お金に比べたらすぐわかるじゃない。」
先生「あぁ、なるほど(笑)」
谷川「それから今の政治情勢を見ていても、みんながいろいろ言葉で平和を追求したりしているけれども、戦争は全然なくならないでしょ。」
先生「はい。」
谷川「だから、言葉は本当に言葉に過ぎなくて、実際の現実とはなかなか関われないっていう風に思いますね。そういうなんか、政治の言葉とか、特に契約とか法律の言葉とは全然対極にあるでしょ、詩の言葉は。」
先生「はい。」
谷川「だから、彼らの言葉が役に立たないところで、詩の言葉がなんかの形で役に立たないかな、みたいなことは考えていますね。だからぼくは、その辺の道端に咲いている花みたいな詩が書けたら一番いいと思うの。」
先生「ほー!」
谷川「全然意味がないわけじゃないですか。だけど、現として存在しているし、きれいで、みんな感動するわけでしょ。」
先生「はい。」
谷川「なかなかそれはできませんよ、言葉では。」

  • 谷川俊太郎さん
  • 金田一先生とカレンさん

先生「ごく普通の言葉を新しくできるっていう、その秘けつを伺いたい。手あかのついた言葉がいっぱいあるわけで、それが谷川さんのフィルターを通すと、すーっとこうキレイに出てくるんですよ。」
谷川「そうもいってないと思うんだけど…。」
先生「それは一体どうしてなんだろうって。」
谷川「やっぱり言葉と言葉の組み合わせが、音楽の音符と音符の組み合わせみたいに、意味だけじゃなくて何かあるんですね、その流れが。エネルギーの流れみたいなものが。だから、そういうものをやっぱり意識して言葉を選んでいるのかもしれないですね。」
カレン「へぇ〜。」
谷川「ただ、若い頃から、読者はすごく意識してましたから…。」
カレン「へぇ、そうなんだ!」
谷川「それはつまり、自己表現ではつまらないと。読者を喜ばせたい、感動させたいっていう、他者との関係がずっと続いてきているから。それでやっぱり、言葉が人に受け取られやすい言葉になってくるのかなって思うんですけど。」

  • 金田一先生とカレンさん
  • 谷川さん、金田一先生、カレンさん

先生「カレンさんは詩を作ってきたんですよね?」
カレン「はい。」
谷川「え?本当?見せてくださいよ。」

カレンさんが作った詩のタイトルは『生きる宝 動く宝』です。

谷川「すごい、感性に共通性がありますね。」
カレン「ありがとうございます。」
谷川「それでなんか、口調がね、すごい若々しい口調で書いてあるのがいいね。」
先生「すごいね。谷川さんにほめてもらえるなんて、すごいよ!一生の宝物だよ!」
カレン「ありがとうございます。」
先生「例えば、無茶を承知で、同じタイトルで(詩を作っていただけませんか)…。」
谷川「うん。…え?同じタイトルって?」
先生「生きる宝 動く宝」
カレン「恥ずかしい…。」
谷川「それを、今アドリブで言えっていうの?」
先生「はい。」
谷川「そりゃ無理ですよ!」
先生&カレン「(笑)」
谷川「せめて15分ぐらいはないとね。」
先生「でも…その、そういう何ていうか…連詩みたいな、これに続ける詩を…。」
谷川「いくらでも、そりゃ書けますよ。」
先生「すげぇ〜!すげぇ!!(拍手)」

  • 谷川さん、金田一先生、カレンさん
  • 「自分の言葉」を中心にして生きていくのが良いと思う

あらためて、番組に寄せていただいた谷川さんの詩のタイトルは『宝だから』です。

先生「カレンさんもそうですが、これから70年ぐらい生きていかなくちゃいけない人たちに向けて…言葉をどう使っていけば良いのか(アドバイスをください)。」
谷川「そうね、他人の言葉に惑わされずに、つまりSNSとか、今、言葉が氾濫しているじゃないですか。どうしても影響を受けるんだけど、とにかく自分の言葉を見つけて、それをひとつの、なんか中心にして生きていくのが一番良いと思うのね。だから、人と違うことを考えても、人と違うことを言っても、やっぱりそれを自分で信じるほかしょうがないと思うんですけどね。」

それでは次回もお楽しみに!

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