甲府局アナウンサー日記

アナウンサーのページで、自分の趣味の欄に「グルジア民族合唱」と書いていますが、何じゃそりゃ?と思う方も多いと思います。
グルジアは、最近国際的に「ジョージア」と呼び方が変わり、NHKでもそう呼ぶことになりました。もとのグルジアはロシア語による呼び方で、これを英語での呼び方に変えたということです。
ただ、ジョージアというとアメリカの州を思い浮かべてしまうので、ここではまだ、グルジアとさせていただきます。

トルコとロシアに挟まれ、ヨーロッパとアジアの接点にあるこの国には、伝統音楽としてポリフォニー(多声音楽)が地域ごとに多種多様に発展していて、日本の能や歌舞伎と同様、ユネスコの無形文化遺産に指定されています。
伝統音楽といっても非常に洗練された高度なもので、ストラビンスキーが「人類の作った最高の音楽」と絶賛したと言われる衝撃的な曲もあります。これはトルコとロシアの戦争中の物語を題材にした「ハッサンベグーラ」という曲です。トルコとロシアは過去何度も戦争を繰り返していますが、そのたびに、この地域はいやおうなく巻き込まれ、戦争にまつわる物語や歌がたくさんあります。
「ハッサンベグーラ」はショスタコーヴィチなどによって器楽曲にも編曲されていますが、興味がある方は私の好きなアンサンブル・ルスタヴィというグループの歌を聴いてみてください。
「Ensemble Rustavi」と「KHASANBEGURA」で検索すれば、動画などで聴けます。
ちょっと聞くとめちゃくちゃに歌っているようですが、実はリズムや音程は極めて精密に歌っています。

学生時代に「芸能山城組」というグループで、女性はブルガリア、男性はグルジアの民族合唱曲をよく歌っていたのですが、卒業から30年以上もたってから、飲み会をきっかけに、昔のメンバーを中心に新しくコーラスグループを作って活動を始めました。私も今は月に2回ほど甲府から通っています。下は去年のコンサート前の写真。

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今年は年末に、女性のブルガリア民謡を中心にしたコンサートを開きます。主な女性メンバーがこの夏にブルガリアに行き、現地の指導者に直接レッスンを受けて来ました。その成果を披露しようというものです。

さて、民族音楽というのは地域ごとに口伝えで歌われてきたもので、もともと楽譜がありません。有名な曲は合唱団用に編曲された楽譜がネットで見つかりますが、見つからないものも多くあります。ただ、最近はネット上にいろいろなグループの演奏の動画があり、グルジア民謡の歌詞のサイトもありますので、そういうものを参考に自分たちで楽譜をつくります。わからないところは、アメリカでグルジア音楽を歌っているグループに問い合わせたり(私ではなく英語が得意なメンバーがですが (^_^;))、東京外国語大でグルジア語を研究している先生に相談したり、その先生のグルジア人の奥さんに直接発音を教えてもらったりと、いろいろ工夫しています。
私が最近採譜した曲がこちら。

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この曲のタイトルは、「乾杯!」という意味のことばですが、もとのグルジア文字ではこう書きます。

「სადღეგრძელო」

全然読めません。ただ、インターネット上ではグルジア語のローマ字表記も増えています。それによると、こうなります。

「Sadghegrdzelo」

これでもなかなか読めません。グルジア語は子音が多く、「grdz」のように4つも5つも子音が続く場合があるのです。ということで発音を調べると、だいたい

「サドゥゲグルヅェロ」

のような発音のようです。グルジア語には日本語にも英語にもない発音があって、音声学を勉強してきた私でも「ムリ!」という音もあるのですが、少しでもそれらしく聞こえるようみんなで練習しています。
先ほど紹介した難曲「ハッサンベグーラ」も、楽譜がないので採譜を進めているのですが、はたして歌えるようになるのはいつのことやら。

 

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