くう ねる あそぶ こども応援宣言

2017年12月15日 (金)

本が教えてくれること

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中江有里さん


Q:中江さんが「子どものとの関わり方」で大切にしていることは?
もうすぐ4つになる甥っ子の相手をしていると「子どもってすごいな」と「パワーがみなぎっているな」と思うことがいっぱいあります。そのパワーを、ちゃんと発散できることが重要ですね。私の場合は「おばバカ」として都合よく遊べるけれど、親御さんとか常にそばにいる人は、大変な労働だと思います。「食べる・寝る・遊ぶ」は、どれが欠けても駄目ですよね。それを与えてあげられるのは、当たり前のことだけど大変で重いこと。いろんな大人が一人の子どもを支えるって、どれだけ大変なことなのか実感しています。
他人の場合、家族のように入り込んではいけない部分もありますが、逆に無責任に可愛がるってことは、一つの方法にもなるのではと思います。例えば、ロケ先で子どもがいると、無責任に遊ぶけれど、無責任だからこそ「おせっかい」ができるんですね。そういう「おせっかい」を一つ一つ積み重ねていくことが、私にとっての子どもとの関わり方ですね。


Q:大人として、子どもにしてあげたいことは?
講演先の親御さんに、「子どもにどんな本を読ませたらいいですか?」という質問をもらいますが、自分の経験を踏まえていうと、本を与えるのではなく「環境を与えてあげること」が大事です。図書館に一緒に行く、書店に行って好きな本を買ってあげるとか、私はそういうふうに親にしてもらいました。月に一度デパートに行って、1冊好きな本を買ってもらえる、それがすごくいい思い出として残っています。
実は、「本を選ぶ」というのは「自分を認めてもらえる」ということでもあるんです。子どもって意外に認めてもらえるとことが少ないんですね。学校と家と、結局親が知っている範囲でしか出かけられない。でも図書館とか書店は、一人でも大丈夫な場所。本は自分で選ぶものだから、自分で読みたいものを手にとって、それを自分のものにする。それはすごく楽しいことです。他のことでは認められなくても、そこでは認めてもらえる。その積み重ねによって、本の数だけ自分の成長を確かめられるんです。一緒に本屋さんに足を運んで好きな本を買ってあげるとか、図書館に行って好きな本を借りてくるとか、大人は、本を選ぶ「お手伝い」でいいのではないでしょうか。

Q:中江さん自身は、子どもの頃、本からどのような影響を受けましたか?
私は非常に内気な子どもでした。お話も上手じゃないし、友達も自分から積極的に作れるようなタイプではなかったんですね。ひとりでいることが多かったんですけど、そういうときに「本」というのはいい友達でした。
今でも覚えているのは、風邪をひいて学校を休んで病院に行った時、待合室の本棚でみつけた『わたしとあそんで』という絵本です。表紙に描かれている金髪の女の子が、森の中に入っていろんな動物に「あそんで」って話しかけるんですが、みんな忙しくてどこかに行っちゃう。寂しくて待っていると、今度は虫や動物たちが寄ってきて遊んでくれる、というお話です。それを読んでホッとした思い出があるんですね。私自身、自分から声をかけられないけれど、待っていればいつか誰かと繋がれるんじゃないかなということを、その本を読んで直感的に感じて・・・・、今でもその本を大切に持っています。

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Q:本は、様々な出会いを生み出す存在なんですね。
そうですね。絵本はロングセラーが多いですが、たとえば親子2代3代とか読める、そういう意味で“縦のつながり”を作ってくれます。子どもが本を読まないといわれる時代で、本を出し続けることは大変ですが、作る側も普遍的なものを作っていかなければなりません。
人間として何を考えるのか。それこそ全ての人に共通する“普遍的なこと”を大事にしたいと思った時に、自分で探していかなければいけない。私の場合、そのヒントは身近な本の中にありました。なるべくそういうものを、子どもたちに感じてもらいたい。いまつらいと思っていることがあっても、どういう風に道を切り開いていくか、そういうことを示唆してくれるのが、『本』の存在だと思います。

Q:最後に、子どもたちへのメッセージをお願いします。(or いま子どもたちに伝えたいことは?)
 勉強が大変だとか、人間関係が難しいとか、いろんなことにぶち当たると思います。でも、とにかく生き抜いてほしい。人生の中でそういう負荷がかかる時期はたびたびありますが、とにかく生き抜いてほしいです。いま苦しくてもそれはずっと続かないから。いつかは楽になる時がきます。
世の中に影響され過ぎずに、もっと普遍的に大切だと感じることがあれば、必ずどこかで立ち返ることができる。自分自身が今、大変な人生と向き合う子どもたちに何ができるのかと考えた時、そういう“人間らしさ”を伝えていきたいと思っています。