くう ねる あそぶ こども応援宣言

『親子で考えるスポーツ~Nスポ2018』のトークイベントを終えた尾木直樹さんに、お話を伺いました。

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―本日はありがとうございました。感想をお聞かせください。
『Nスポ』は、ひとつの空間にいろんなスポーツの種目が集まっていて、子どもたちがオリンピックやパラリンピックのアスリートと交流できて、自由に体験できる。そして、親も一緒になって楽しんでいる風景が、とっても和やかでいいと思いましたね。

うちの小学校1年生のお孫ちゃんも今日会場に遊びに来ていたんですが、近所のボルダリング教室に行っていて「運動神経がいいよ」と聞いてはいたんですけど、実際にスポーツクライミングや鉄棒、トランポリンなどに次々と挑戦していく様子を見ることができて「なるほど、感覚が良い子なんだなあ」とリアルにわかって良かったです。爺バカですが(笑)。

 

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日本の子どもたちは、空手をやったら空手、柔道なら柔道、剣道なら剣道と、一度習い事を始めるとなかなか種目を変えることができなくて、「やり始めたら小学校時代はやり通せ」という根性論や、忍耐や我慢を学ぶことが重要などと言われますけれど、海外では、特に高校生ぐらいまではいろんなスポーツを体験させます。
夏までは水泳をやって、秋からはバスケットボールといった感じです。この会場では、多種目のスポーツ体験が一度に出来ますし、一流の選手が目の前でデモンストレーションをしたり、直接指導してくれたりするわけですよね。こういう機会は海外ではよくあるのですが、素晴らしいと思いました。



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―お子さんがどんなことに興味があるのかというのが分かりやすいですね
親は「うちの子は何をやらせてもだめだ。個性がない、得意なことがない」とよく言いますが、決してそんなことはありません。
例えば、今日なんかは、子どもが「これやりたい!」「体験したい!」と思うものに並ぶわけです。そうすると「うちの子普段はおとなしいけけど、トランポリンが好きなんだな」「届かないのに鉄棒に必死に飛びつこうとしてる!」「ボルダリング、大人顔負けにやっているな」とか、自分の子どもは何が好きで、何に興味を持っているかということがよく分かるんですね。

親の役割は、バレエにピアノに水泳にと、いろんな習い事をさせればいいわけではなく、子どもが興味を持っていることをよく観察し、サポートし、後押ししてあげること。そうすると、子どもの能力はどんどん伸びていきます。楽しみながらね!
今日はそういう子どもたちのいきいきした姿が会場のあちこちにみられて、すごくさわやかで素晴らしいと思いました。



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寺田さんとお話されて印象的だったことはありますか?
インターハイで三連覇までしているハードルの選手が、引退後に大学へ進学し、結婚出産を経て、今度はママとして7人制ラグビーでオリンピックを目指す姿に、日本人にもこういうアスリートがいるんだと正直驚きました。

寺田さんは、スポーツ科学やスポーツ医学とかそういうことをきちっと学習されて、コーチングの理論も学ばれて、その上で改めて現場に戻っていくというのが面白いですね。
スポーツの狭い世界だけでなく、こういう広やかな環境の中で、自分のスポーツ人生とか興味関心との向き合い方というのを考えていけるようにならないとだめで、(寺田さんは)そのモデルケースだなと感じました。
関連記事:寺田明日香さん「子どもの時の遊びは、貴重な経験になる」

 

―子どもの“くうねるあそぶ”を健やかに育てるために、大人ができることへのアドバイスを頂けないでしょうか?
“くうねるあそぶ”を一言でいうと、人間の、そして子どもにとっての原点です。それが、最近ではどうしても、塾通いや習い事で子どもたちは毎日本当に忙しい。勉強だけ、運動だけ、それ“だけ”行っているのは、基本的に違うと思っています。
本来は、“くうねるあそぶ”ことで子どもたちは健やかに成長できるし、自然の中で遊ぶことで体幹やバランス感覚、地頭などが鍛えられていくわけです。以前、番組でも言いましたが、外遊びというのは、実は心身の成長に良いだけでなく、頭も良くなるんですね。

怒鳴られたり叩かれたり、心身に虐待を受けた子どもというのは脳が萎縮します。これは近年脳科学が明らかにしていることです。体罰のような脳を傷つける指導方法は絶対に許されません。東京2020をきっかけに、みんなが科学的知見に基づいて、体罰や暴力がどんなによくないか、知ることができればよいと思います。



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―2020年とスポーツをきっかけに、健やかな社会が育つといいですね。
今、子どもたちが「レジリエンス(resilience・回復力)が弱い」「すぐくじけたり、心が折れたりしてしまう」と言われていますけれども、外遊びやスポーツを楽しむ中でそういう力は確実についていきます。
今まで逆上がりができなかったけど「あれっ、今日できるようになっちゃった!」と思う、あの時の感動なんかは今でも僕、覚えていますけど、本当にうれしいですよね。「僕も頑張ればできるんだ」とか、「こういう風に練習してみたら、できるようになった」といった自己肯定感や達成感というのは、折れない心を育む時に一番大事なところで、うさぎ跳びを何十回やらされても、折れない心をつくることはできません。

親が子どもの気持ちにしっかり共感し、思いを受け止めてあげれば子どもは自分の力で立ち直っていくものです。スポーツなどで負けて心が折れることがあっても、その経験を避けるのではなく、受け止めて繰り返す中で、レジリエンスは強くなっていきますよ。



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親子で考えるスポーツ~Nスポ2018・尾木直樹さんと寺田明日香さんのトークイベントより
NHK「くう ねる あそぶ こども応援宣言」によせて