くう ねる あそぶ こども応援宣言

000_DSC_0220_R.JPG2018年9月15日(土)に行われた『Nスポ!2018』 。その中で、教育評論家の尾木直樹さん(左)と、7人制ラグビー選手で元陸上選手の寺田明日香さん(右)が「親子で考えるスポーツ」と題して対談を行いました。お二人のお話には、子育てや、子どもとの接し方に関するヒントが溢れていました。ここではその一部をご紹介します



・スポーツが子どもに与える影響とは?

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【司会者】Nスポ会場では、東京2020大会の競技を体験したり、一流のアスリートのパフォーマンスを目の前で見たりすることができるのですが、子どもに影響はありますか?

【尾木】ものすごくあります。しかも、普段は直接選手と触れ合えることは少ないと思いますし、一流のパフォーマンス、本物を見ることはすごく重要ですね。


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会場では、バスケットボールや鉄棒のほかにも、スポーツクライミングなどの新種目、車いすテニスなどのパラスポーツ競技も体験できました


【司会者】スポーツは、子どもの自立性、人格形成に大きな力を与えますか?

【尾木】スポーツにおいてとても大事なのは、勝利至上主義などではなく、挑戦したり、達成したりすることや、ルールや共存の精神を身につけること、精神的、社会的な“自立”を考えることですね。監督やコーチから「やれ」といわれたことをロボットのようにやるのではなくて、自ら判断して興味を持つような青少年になってほしいです。
例えば、アメリカの中学・高校では、前期と後期で全然違うスポーツをするので、多様な種目に接することができるんです。根性論のように一つのことをやり通すことが大事かというと、必ずしもそうではないんですね。


【司会者】日本ではなかなかないことですよね。寺田さんは個人スポーツ(陸上)から団体スポーツ(7人制ラグビー)へ競技転向をしていますが、こういうことは海外ではよくあるのですか?

【寺田】アメリカでは、例えばアメリカンフットボールの選手がプロ野球(MLB)のドラフトに指名されたりすることがあるんです。日本ではなかなかないことですが、それが当たり前の状況になってほしいと思います。

【尾木】2020年をきっかけに、スポーツ界の新しい波が来るような気がします。


・スポーツ指導も子育てもコミュニケーションが左右する!?

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陸上選手時代の寺田さんの写真を背に


【司会者】寺田さんは、7人制ラグビーをする前に、子どもたちへ陸上競技を指導するというお話もあったそうですが、教えるうえで気をつけていることはありますか?

【寺田】陸上を子どもたちに教えたり、中高生に技術の指導をしたりということもありましたが、現役選手復帰後の今は、活動の頻度を減らしています。けれども、選手として行っていたことを子どもたちに教えることは私の“使命”だと思っています。
指導をする上で気をつけていることは、強く言いすぎないこと。
また、私は女性なので、生理というものがあります。生理が重いときに「頑張れ」と言われるとどうしてもつらかったので、体調や言い方は、男性や女性にかかわらずその子に合わせるように心がけています。
※寺田さんは、大学の人間科学部で、子どもの生活習慣や幼児体育の指導法について専攻

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【尾木】今、毎日のように日本のスポーツ界におけるパワハラ、暴力、暴言の問題について報道されていますけど、選手をリスペクトできないような指導者は退場ですよ!

【司会者】日本ではこれが当たり前だと思っていましたが、ずいぶん時代が変わってきました。どうしてでしょう?

【尾木】指導の現場が変わり始めたのはこの3年くらいですね。それを促したのは東京2020なの。主催国として、世界に通用するようなスポーツマンシップやオリンピック憲章とか、その精神に基づいてみたら我が国はどうなんだろう?って。
それから、日本選手の海外遠征などが増えたことで、違う文化に触れるようになった。海外には暴言を吐いたり、殴ったりするコーチはめったにいないんです。例えば、大坂なおみ選手のコーチは目線を合わせて、励まして、教えることが具体的でしょう?ああいう指導者は、彼だけじゃないんですよ。


【司会者】根性論じゃなく、人格に合わせてやる気を引き出すコーチングが大事ですね!

【寺田】せっかく人間に生まれてきたのだから、言語でコミュニケーションしたいですよね。
指導する側はどうして手が出てしまうのか?言語で伝えられず、手が出てしまうのは、コーチのコミュニケーション能力が足りない、言語能力が足りないかな…と思ってしまいます。

【尾木】寺田さんが厳しく言って下さった、その通りなんですよ!
日本のお父さん、お母さんは、しつけで“おしりぺんぺん”ってやるでしょう?3歳半の時に“おしりぺんぺん”をされた子どもは、5歳半の時に「約束を守れない」「落ち着いて話を聞けない」という問題行動リスクが高まるという調査結果があるんですが、2017年に発表になった29,000人の大規模調査で明らかになったんです。

それはどうしてかというと、おしりをぺんぺんされると「痛いから」やめるだけなんですけど、今、寺田さんがおっしゃったように、言葉で説明されると、理解が深まって豊かな子どもになるんですよ。


【司会者】この3年で日本人の価値観が変わろうとしているのですね。

【尾木】そんな時代がやってくるとは思いませんでした。一気に勢いがつきましたね。

 

・子どもにとっての2020東京オリンピック・パラリンピックは貴重な“経験”

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【司会者】子どもたちに2020を通して感じてもらいたいことは?

【尾木】世界には200近い国と地域がありますね。いろんな民族や文化もあるし、スポーツは世界共通のルールで競い合っているので、スポーツはもちろん、国を挙げての国際交流、国の理解が進むとよいと思います。
長野オリンピックでは、各小学校で「〇〇小学校は△△国担当」といったように、いろんな国を担当して、その国の文化を徹底的に学習したそうです。大会が終わってぼくが訪問したら、学校の空気が変わっていました。グローバルで、風通しが良くなっていたんです。

それぞれの学校で、上からの指示を待つのではなく、「うちのクラスではこうしてみようか」と考えてみると、選手の活躍も全く違って見えてくると思うの。オリンピックやパラリンピックを通じて、人間の可能性やすばらしさに触れてほしいと思います。


【司会者】オリンピックというのはそういう機会なんですね。寺田さんは、お子さんとどのように楽しみたいですか?

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【寺田】オリンピックを目指して家族で頑張っているところなので、子どもにはお母さんの姿に刺激を受ける、頑張っていく過程を感じてほしいですね。海外の方がたくさんいらっしゃる雰囲気、文化、言語などを楽しんでほしいです。


【司会者】だんなさんが協力的だそうですね。

【寺田】はい、頑張ってくれています。“イクメン”という言葉が好きじゃないようで、自分の子どもだから、積極的に自分で育てるという使命感を持っているようです。

【尾木】すばらしい!「育児を手伝うよ」というのは失礼で、共同でやることが当たり前ですね。ただ、労働時間の問題とか物理的にやりにくいところがありますから、そうであれば、社会を変えないと、会社が人を大事にできるように変わらないと。


【司会者】今は、なかなかお父さんが教育に参加しにくいと思うのですが、お父さんの影響は子どもには大きいでしょうか?

【寺田】大きいと思います。うちの場合は、家事に加えて、娘の習い事など、主人が頑張ってくれていますね。

【司会者】お子さんには、どんなアドバイスをされますか?

【寺田】私はいろんなスポーツをしてきたので、子どもには細かいことを言いたくはないなと思っているんですけど、彼女がやりたいと言ったことにはチャレンジしてもらいたいし、やりたいといったことには、楽しくできるように、責任を持ってもらいたいと思いますね。

【司会者】最後に、アスリートとしての意気込みを

【寺田】やはり、アスリートとしてやっているからには、東京2020は一番の目標になるので、出場して活躍する姿をぜひみなさんに見てほしいと思っています!

 


2018年9月17日には、東京オリンピック・7人制ラグビー競技において、日本は男女ともに開催国枠として出場権を獲得したというニュースがありました。寺田さんの活躍が期待されますね。
今回のトークショーを終えた感想を、尾木さんと寺田さんに伺いました。

寺田明日香さん「子どもの時の遊びは、貴重な経験になる」