このブログでもたびたび取り上げてきた、新型コロナウイルスによる一斉休校の問題。

 子どもたちが一つの教室に机を並べて学び合う―そんな当たり前だった「小学校」の姿がコロナ禍で大きく姿を変えました。
突然の一斉休校に緊急事態宣言、休校の延長、分散登校…次々と立ちはだかる試練の中、子どもたちの学びを止めないために、千葉市内にある小学校では、見切り発車でオンライン授業への取り組みを始めました。

先生はオンラインで子どもたちとどのようにしてつながっていくのか?
奮闘する先生と子どもたちの3か月の様子をディレクターが取材しました

【ディレクターも考えた】学校って何だろう?学ぶって何だろう?

番組を作った千葉放送局ディレクターの佐藤です。

今回取材したのは、千葉市内にある小学校。といっても、休校中で子どもたちが全くいない小学校です。
まるで夏休みのような校舎のたたずまいにちょっとワクワクしたのもつかの間、体育館に向かうと、
緊迫した表情の先生達が一同に会し、真剣に議論を重ねていました。

この場でカメラを回している中で出会ったのが、この物語の主人公となる中谷先生です。
この時、先生がこの学校に来たばかりであることも、何年生の担当なのかも、全く知りませんでした。
ただ、カメラを回しながら、なぜか思わず立ち止まって撮らされてしまったのが、中谷先生だったのです。
この出会いがきっかけで、日に日に新型コロナウイルスの感染が深刻化する中、この学校に通い、先生達が
「オンライン」を通じて、子ども達との関わりを模索する姿をカメラにおさめていくことになるのです。

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端で見ていても、オンライン授業の立ち上げは大変な作業でした。
そもそも「授業」をやるべきなのか、「動画配信」にすべきなのか、あるいは「課題」を提示する形にするのか・・・。
形式だけでも何通りもあることに加え、子ども全員に渡せるPCもなく、ネット環境や、親のつきそいも家庭に頼り切るしかない。
そのため、どんな形の授業なら、子ども達がついてこられるのかも分からない。
がんばって準備しても、内容に興味を持ってくれるのか自信が持てない。
あらゆる面で「子ども達の顔が見えない」ということが、先生達に重くのしかかってきます。
それでも、先生達は立ち止まることなく、(というかおそらくその暇すらなく)、一週間後の「学級開き」に向けて邁進していきました。

これほどまでに、必死な先生達の姿を見たのは生まれて初めてでした。
自分自身、当たり前のように通ってきた学校ですが、先生達がどんな気持ちで子ども達に向き合ってきたのか、授業を作ってきたのか。そんなことは考えたこともなかったことに気づきました。

先生達がオンライン授業を通じて「学校って何だろう」という根本的な問いに真剣に向き合い、その答えをもがきながら探していく姿を追うことで、自分自身も「学校って何だろう?学ぶって何だろう?」と深く考えることになりました。

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実際には、オンライン授業を実現できているのは、まだ一部の学校だけです。

「成功例を見せられても、現実は違う」と思うかもしれません。でも、この学校の取り組みを見ていると、先生達が決して無茶なことに挑戦しているわけではないことが分かると思います。
誰にとっても身近な「学校」という場所。そこに本当に必要なものは何なのか。
本当に必要な「学び」とは何なのか。

コロナという逆境の中で、中谷先生が見つけた「一番大切なこと」、
私にとっては、それが現時点で、最良の答えのように思えます。


【番組情報】
「オンラインで“社会”を学ぶなら ~コロナで変わる小学校~」
 Eテレ 2020年7月12日(日)15:00~