「あさイチ」ディレクターの竹内です。あさイチで取材を始めて6年です。

新型コロナウイルスの影響で、変わった私達の生活。7月になって見えてきたのは、特に外出自粛期間中、ストレスからつい子どもにあたってしまった、そんな自分がつらかったという親の姿です。先が見えない生活の中、取り返しのつかないことをしてしまったら…その不安と戦っている親はあなただけではありません。そのつらさがどこから来るのか、どうしたら軽減できるのか?取材を通じてわかってきたことを、皆さんとシェアできたらと思います。

 < 外出自粛期間中 親にふりかかった過剰な負担 >

4月5月も多くの親の子育て相談にのった、臨床心理士の帆足暁子さんに話を聞いてみました。

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帆足暁子さん。文京区の虐待予防事業に取り組んでいます


「通常時に比べて、相談に来る親が精神的に疲弊しきっているケースが多かったです。特に、『今思えばささいなことに怒りが沸いて、自分が自分じゃないようなヒステリックさで子どもを叱ってしまった』というような相談が目立ちました」

なぜ我を忘れるほど怒り狂ってしまう親が多かったのか?親たちに、その時の状況についてじっくり話を聞いていくと、当時、さまざまな負担が過剰にかかっていたことがわかりました。

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①通常の子育て状態

通常時の子育てでは、さまざまな役割を、いくつかの場所で分担してきました。例えば日中は、学校や保育園などが「勉強」や「昼食」を。放課後は、学童や公園などが「放課後の居場所」や子どもの「ストレス発散」の役割を担い、
家では妻と夫で「ふだんの家事・育児」などを分担している状況でした。


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スタジオ模型②休校・外出自粛状態

しかし、学校などが休校になったり、全国的に外出自粛が呼びかけられたりした結果、学校や保育園の役割や、学童や公園の役割も家庭が担うことになってしまいました。

さらに、感染が拡大すると「コロナ感染への不安」が、休業要請が出されると「経済的な不安」がのしかかった家庭も少なくありませんでした。


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スタジオ模型③妻ひとりが支えている状態

しかもこちらの負担、妻と夫2人で支えられていれば良いのですが、家の中のことになると、妻側によりがち…という家も多かったようです。

シングルマザーやシングルファザーは、最初からこの大きな負担をひとりで抱えていたことになります。

さらに、夫が在宅勤務になり、夫の面倒を見る負担が妻に降りかかってきた家も多かったようです。こうなると、毎日がいっぱいいっぱいの状態で、心身共にぐらぐらの状態。だから少しのきっかけで理性のタガが外れてしまう、という状況だったんです。

< 悩みを共有できる相手を見つけて >

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この苦しみをどうしたら軽減できるのか。ヒントを求め、大阪の子育てサークルを訪ねました。このサークルでは、オンラインで相談会を開催し、悩みを共有してねぎらいあったり、子どものストレスの発散方法や、親がほっとできる時間の作り方などのアイディアを交換したりしていました。

参加者が「この会があったことで、なんとか自粛期間を乗り越えられた」と口々に話していたのが印象的でした。共通の悩みを持つ人と苦労を分かち合ったり、知恵を交換しあったりすることで、精神的な落ち着きを取り戻すことができるのだと感じました。

< ひとりの時間を大切に! >

参加者の皆さんが実感していたのは「親がひとりほっとできる時間を作る」ことの大切さです。一日中お子さんが家にいると、24時間「母」の役割を求められているように感じてしまいがち。心をリセットする時間が持てなくなってしまいます。

例えば、「夫が散歩に行く時に、子どもも連れていってもらう。その1時間だけは妻がゆっくりできる時間を作る」という工夫で乗り切った方がいました。ひとりで全てやらなくてはと気負いすぎず、家族の力を頼ってみるというのもひとつの手段なんですね。

前出の帆足暁子さんからも次のようなメッセージが。

「お母さんやお父さんもひとりの人間。ほっとする時間も必要だし、つらい時はつらいって言ってもいい。また、『もう無理!』と爆発する前に、子どもに『お母さんつらいから、こんなふうにしてもらいたいんだけど協力してもらえる?』と素直な気持ちを伝えるのもいい。お子さんも喜んで協力してくれると思いますよ。」

また、ひとりの時間を作るために、ベビーシッターなど子育てのプロの力を借りるのも一つの手です。

ベビーシッターを呼び、家で子どもを見てもらいながら、親は別部屋でゆっくり過ごす、という利用の仕方も増えています。ただし、子どもの預け先として安心できるところを選ぶ必要があります。ベビーシッターを依頼する際の留意点については、厚生労働省の下記ホームページにまとめられていますので、ぜひ参考にしてみてください。

【厚生労働省のホームページ】はこちら


< 相談先に迷ったら「189」に >

 子育てで精神的に追い詰められてしまい、それでも相談先が思いつかない。そんなときは、児童相談所 虐待対応ダイヤル「189」に電話してください。

こちらは虐待の通報ダイヤルとして知られていますが、電話をかけると近隣の児童相談所につながり、内容に応じた相談先を紹介してくれる機能もあります。

詳細な住所や名前を言わなくても相談にのってくれます。

ひとりで抱え込まず、ぜひ第三者の力をかりてください。

親の精神的な安定が、ゆくゆくは子どものためにもなるはずです。

先の見えない不安が渦巻く中、今も悩んでいるお母さん・お父さんの精神的負担が少しでもやわらぐことを願っています。