川の歴史や特性を知ることが、いざというときの備えにつながります。
安芸川 (2021年掲載)
西日本豪雨の際、安芸市を流れる安芸川では川から水があふれ、周辺の住宅が水につかるなどの被害が出ました。
この安芸川について、川の特徴や水害に備えて気をつけるべき点などを取材しました。

安芸市の中央部を流れ、土佐湾に注ぐ安芸川。
長さおよそ28キロで、川を管理する県によりますと、流域にはおよそ1万4000人が住んでいます。

この安芸川には、どんな特徴があるのか。
県安芸土木事務所の小松信彦所長に案内してもらいました。
- その他
- 高知県安芸土木事務所 小松信彦所長
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「上流部は急しゅんな地形を流れていますので勾配も急になって流れも速くなっています。一方で河口部に行きますと、市街地も広がっていて勾配も緩やかになっています。そのために降雨の際は増水をしやすい川になっています」。

こうした特徴から、60年前の第二室戸台風など流域でたびたび洪水被害が発生している安芸川。特に注意が必要なのはどういった場所なのでしょうか。
カーブに注意

3年前の西日本豪雨の際、降り続いた雨で川が増水。
このカーブで堤防がおよそ120メートルにわたって浸食され決壊寸前に。
県道も崩落しました。

その後、1年余りかけて工事が行われ、道路は復旧しました。
さらに、同様の被害を防ぐため、堤防の根元をコンクリートのブロックで補強しました。
川の合流点に注意

安芸川で注意が必要な場所はほかにも・・・。
- その他
- 高知県安芸土木事務所 小松信彦所長
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「平成30年の7月の豪雨の際はこの合流点で水かさが増して、この堤防を越えてこの集落が浸水した。21人が一時孤立状態になって、消防とか自衛隊の方に救出していただいた」。

西日本豪雨の際、安芸川と支流の尾川川との合流点近くの栃ノ木東地地区では、住宅25棟が浸水するなど大きな被害が出ました。
- その他
- 高知県安芸土木事務所 小松信彦所長
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「こちらでもかなりの量は降っていたんですけど、それ以上に上流で雨量が記録されています。それらの雨が一気に流れ込んできた。合流点であるとか下にも橋がありますけど、こういう局部的な狭い所で水位が上がるということは十分ありえます」。

これを受けて県は、尾川川との合流点で、安芸川の幅を最大でおよそ50メートル広げる工事を行うことにしています。
また、流れてきた木などが橋に引っかかって川の流れを妨げないよう、栃ノ木橋を現在の位置から200メートル余り下流に架け替え、橋脚の数も減らして同様の被害を防ぐことにしています。

それでも、県がことし2月に公表した洪水浸水想定図では、最大規模の洪水が起きると、安芸川流域の広い範囲で浸水するリスクがあるとされています。

市街地を流れる安芸川の支流の江ノ川は、勾配が緩く海にも近いため、雨だけではなく、満潮時や台風の際の高潮、それに高波で水位が上がるおそれがあり、実際に平成16年には浸水被害がありました。

流域の広い範囲で注意が必要とされるなか、水害から命を守るためにはどうすればいいのでしょうか。
雨量・川の水位に注意
小松所長は、流域の雨量計や水位計の値に注意して、水害に備えてほしいと呼びかけています。