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中道この道逃げる道

第21回「@嶺北・大川村」
 (2021年1月29日放送)

2020年12月、大川村で大規模な土砂崩れが発生。
役場から西へおよそ2キロのところにある県道を、大量の土砂が埋め尽くしました。けが人はいませんでした。
南海トラフ巨大地震が発生した場合、高知県の山あいの地域では、同様の土砂崩れによって、いわゆる「山津波」が起きるおそれがあると指摘されています。
大川村を歩き、命を守るための備えを考えました。

揺れが加わり、一斉に崩れるおそれ

揺れが加わり、一斉に崩れるおそれ(1)
中道アナ
高知県北部の大川村に来ました。きょうは、海沿いではなくて、山沿いでの地震への備えについてですね。
揺れが加わり、一斉に崩れるおそれ(2)
岡村さん
山の斜面は、大雨や地震の振動が加わると、一斉に崩れるおそれがあります。
不安定な斜面を抱えているところで、地震の備えはどうあるべきか考えていきたい。

30度超で崩落のおそれ高まる

30度超で崩落のおそれ高まる(1)

村の中心部、役場から西へおよそ2キロ。
大規模な土砂崩れが発生しました。

30度超で崩落のおそれ高まる(2)

斜面が、幅およそ50メートル、高さおよそ25メートルにわたって崩落。
大量の土砂が道路を覆い尽くしました。
復旧の見通しはたっていません(2021年1月現在)。

30度超で崩落のおそれ高まる(3)
中道アナ
土砂崩れが起きた場所に来ましたが・・・
岡村さん
日ごろから、落石があるような場所だと見えます。
防止工事をしてありましたが、それよりも上から崩れてしまいました。
30度超で崩落のおそれ高まる(4)
岡村さん
見る限り、表面の風化したところをメインに落ちているので。岩盤崩壊とか、山ごと崩れるというものではないということが、よく分かります。
30度超で崩落のおそれ高まる(5)

岡村さんが注目したのは、山の斜面の角度です。
30度を超えると、崩れやすくなると指摘します。

30度超で崩落のおそれ高まる(6)
中道アナ
大規模な地震が起きたことによって、同様の土砂崩れ、崩落が起きますか。
岡村さん
そうですね。過去の災害でも、県内で集落ごと埋まっているというところが、実は何か所もあります。山が急峻であるということは、非常に崩れやすいんです。
30度超で崩落のおそれ高まる(7)

30度を超えれば、不安定斜面です。
何かきっかけがあれば、崩れて落ちるおそれがあります。
すべて、地球の重力のせいで、落ちよう落ちようとしているということが大事です。

擁壁や道路、避難のヒント

擁壁や道路、避難のヒント(1)

足もとにも崩落の兆しがあると、岡村さんは指摘します。

中道アナ
相当、前に押し出されていますね。
私の手の平、10センチ15センチぐらい、あります。
擁壁や道路、避難のヒント(2)

亀裂が入ったり、せり出したりした場所が、いくつも見られました。

中道アナ
雷が落ちたような割れ目が入っている場所もあります。
岡村さん
道路側、斜面の下の方に向かって、せり出してきています。こういう変化があれば、次の大雨とか地震とか、大きく崩れる場所になる可能性が、非常に高くなります。
擁壁や道路、避難のヒント(3)

岡村さんは、道路にも注目しました。

岡村さん
10センチくらいの段差ができています。
そして道路の面自体が傾いています。
次の崩落を起こしてしまう可能性があります。
道路だけでなくて、ガードレールも傾いています。
擁壁や道路、避難のヒント(4)

道路や擁壁に現れた、崩落の兆し。
岡村さんは、その理由が分かる場所を案内してくれました。

岡村さん
しましまみたいに見える、泥質片岩(でいしつへんがん)があります。はがれやすく、すべりやすいという性質を持っています。
山の斜面がはがれて、岩盤崩壊となることもあります。

きょうのポイント

きょうのポイント(1)

最後に、きょうのポイントを伺いました。

岡村さん
山が膨らんでくるとか、道路にヒビが入ってくるとか、斜面が押し出されてくるとか、木が少したわんでくるとか、曲がってくるとか、いろんな前兆現象があるんですね。
きょうのポイント(2)
中道アナ
足もとの道路の変化を見ることで兆しが分かる、発見でした。
岡村さん
山は突然崩れるわけではありません。必ず兆候があります。その兆候をよく調べましょう。
あるいは自分で考えて、見ていきましょう。
中道アナ 編集後記
2020年12月、大川村で起きた土砂崩れ。「大雨が降っていないのに、なぜ崩落が起きたのか」不思議に思い、岡村さんと現場を訪れました。現場周辺を歩いてみて分かったのは、「土砂崩れの兆しは、足もとから分かる」ということでした。注目すべきは、擁壁のせり出しや道路の陥没のほか、岩石の特徴などです。これまで学んできた河川や海の近くでの津波への備えはもちろん、今回学んだ内容を参考に山あいの地域でも「山津波」に備え、南海トラフ巨大地震から命を守ることにつなげてほしいです。
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