ページの本文へ

  1. トップページ
  2. こうち防災
  3. 中道この道逃げる道
  4. 第13回「@高知市弘化台地域」

中道この道逃げる道

第13回「@高知市弘化台地域」(2020年4月24日放送)
〔2月下旬に撮影〕

高知市弘化台地域は、浦戸湾に面した埋立地です。
行き来するには、必ず橋を渡らないといけません。
ここで南海トラフ巨大地震が起きたら、どう行動すればいいのか考えました。
高知市中央卸売市場で撮影を始めました。

場内から“諦めの声”

場内から“諦めの声(1)
中道アナ
高知市中央卸売市場にやってきました。海に面した市場ですけれど、ここで南海トラフ巨大地震が発生したら、どういったことが起きますか。
岡村さん
ここは埋立地です。地盤が緩く、地震と一緒に、地面が波打つように動くと思います。避難する時間が相当かかってしまうと考えた方がいいですね。
場内から“諦めの声(2)
岡村さん
そして、南の方へ目を移すと、西と東から出っ張ってきている地形があります。410メートル開いているので、津波はあそこから入ってくることになります。
場内から“諦めの声(3)

弘化台地域は、浦戸湾に戦後つくられた埋立地です。
南北にかかる2つの橋で結ばれています。
市街地と比べて、高さのある建物はほとんどありません。

場内から“諦めの声(4)

市場で聞かれたのは、
「浦戸湾に面していて、逃げる場所がない」など “諦めの声”でした。

男性
逃げるところがない。
橋落ちたら、山のある方向に行けません。
女性
両方の橋が落ちたら、逃げ場はないですね。

地面を見てわかる 避難の注意点

地面を見てわかる 避難の注意点(1)

市場には、高知市が指定した3階建ての津波避難ビルがあります。
そこに避難する際の注意点を探りました。

地面を見てわかる 避難の注意点(2)

野菜や果物などが入った段ボール。
うず高く積まれています。その中を逃げなければなりません。

岡村さん
地震で散らばっている。逃げるのを阻害しますよね。かなり逃げにくくなりますね。
地面を見てわかる 避難の注意点(3)
中道アナ
もうひとつ気になったのは、台車の下です。
車輪が付いていますね。
地面を見てわかる 避難の注意点(4)
岡村さん
地震が起きると、暴れまわりますよね。できるだけ、そのときの具体的なイメージを、みなさんが持っておかれるのは大事なことです。
地面を見てわかる 避難の注意点(5)

岡村さんは、地面にも注目しました。
埋立地ならではの変化が見られました。

岡村さん
非常に液状化を起こしやすい地盤です。
いろんなところに、ひび割れが入っていたり、塩水が下から吹き上げていたりするということは、当然あると思います。
でこぼこ、していますもんね。水が溜まっています。あちこち。点々と。

湾内にまで津波は押し寄せた

湾内にまで津波は押し寄せた(1)

市場の北の端にある津波避難ビルに到着しました。
停電していると、エレベーターは使えません。
階段を使って3階まで上がってみると・・・

湾内にまで津波は押し寄せた(2)
中道アナ
ずいぶん高いですね。
岡村さん
建物だけで7メートルあります。海抜2メートルありますから、高さは全体で9メートルほどです。十分な高さがここはあります。津波は何度も押し寄せてくるので、避難後は少なくとも8時間いていただかないといけません。夜の場合、一晩過ごすことが必要ですね。
湾内にまで津波は押し寄せた(3)

およそ300年前の土佐藩の古文書です。
岡村さんが指摘したのは、過去、実際にこの地域で起きた甚大な被害でした。

岡村さん
「津波は山裾まで全部襲った。家の軒まで海水が来ている。冬が終わって、春になっても、水が引かない。住民は、住む場所を失って、山に穴を掘って過ごす。目も当てられず」といった内容が記されています。

きょうのポイント

きょうのポイント(1)

最後に、きょうのポイントを伺いました。

岡村さん
みなさん、きょうお聞きすると、すごくネガティブに捉えられている。
私たちはだめなんだ、逃げるところないんだよと。ただ、津波が来るにしても、時間があります。
津波の到達は(想定では)少なくとも30分以上、避難のための時間があります。
近くの避難ビルへ逃げていただければ、ここは命が守れるところだと確信いたしました。そういう訓練をこれからも続けていただきたいですね。
中道アナ 編集後記
周囲に山がなく、市街地のような高い建物もない弘化台地域。
本当に避難できるのか、市場で働く人からは疑問の声が多く聴かれました。
しかし、市が指定した津波避難ビルが市場内にあります。
避難路で障害となりうる事柄を前もって知ることで、日ごろから安心して過ごすことができると感じました。
岡村さんは、夜明け前から市場で働く人たちがいることから、夜間の避難訓練も不可欠だと指摘していました。
日中に地震が起きるとは限りません。夜間の訓練も定期的に行って備えてほしいと思います。
トップへもどる