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中道この道逃げる道

第9回「@安芸市」(2019年11月28日放送)

安芸市の沿岸部には、最大15メートルを超える津波が想定されています。市街地から高台まで1キロ以上離れた地域があることも特徴のひとつです。
命を守るためにどう避難すればいいのでしょうか。安芸漁港をスタートしました。

“日本一高い防波堤”があったとしても 高台へ避難を

高台へ避難を(1)
中道アナ
安芸漁港に来ています。堤防には海抜16メートルと書かれています。
岡村さん
高いですね。
中道アナ
でも、どんなに高い防波堤があったとしても、津波の侵入を防げるわけではないということですね。
高台へ避難を(2)
岡村さん
一切関係ありませんね。津波は、海面の高さが30分から1時間、同じ高さになってしまうと考えていただきたいと思います。堤防の低い所からは、津波が侵入してくるからです。
もちろん、台風の大波で漁船がやられないように波をくだく役割をしています。十分に機能していますよね。ただ、高い防波堤があるからといって、津波から逃げないということはないようにしないといけませんね。
高台へ避難を(3)

安芸市の特徴は、市街地から山までの距離が離れていることです。1キロを超えているところもあります。その理由は、市内を流れる安芸川(あきがわ)と伊尾木川(いおきがわ)にあるということです。

岡村さん
安芸川と伊尾木川のデルタ、河口部になっています。その平野に安芸市の人はほとんどが住んでいるわけですね。だから海抜が高い所はほとんどないんですよ。どう逃げるかなかなか迷うというか、難しい地域もありますね。

電柱が避難路を遮るおそれあり

電柱が避難路を遮るおそれあり(1)

実際どう逃げればいいのでしょうか。安芸市役所から西へ、安芸ドームに向かって歩きました。

中道アナ
安芸市役所にやってきました。もしここで、南海トラフ巨大地震が起きたらどうしましょうか。
岡村さん
そうですね。揺れが始まったら、まずあの建物、11階建てのホテルがあります。あそこへ上がるというのがひとつの選択肢です。
電柱が避難路を遮るおそれあり(2)
中道アナ
ここは、想定ですと、津波の高さは何メートルくらいですか。
岡村さん
想定される津波の高さは10メートルくらいです。だいたい1階につき3.5メートルの高さを目安に計算していただけます。2階だと高さおよそ7メートルですから、避難するには十分な高さではありません。それ以上の高さに避難するようにした方がいいですね。
電柱が避難路を遮るおそれあり(3)

また岡村さんは、国道55号線沿いを避難する際、電柱に注意が必要だと指摘します。

岡村さん
電柱には200キロから300キロのトランス(変圧器)がのっかっていて、振り子の役割をします。メトロノームみたいになるんです。
電柱はバラバラに倒れるわけではありません。ある周波数に応じて、どちらかに倒れると、みんな同じ方向に倒れるということが最近の地震でも明らかになっています。

津波侵入を一時的に食い止める浜堤

津波侵入を一時的に食い止める浜堤(1)

一方、国道沿いの地形に注目すると、避難する際、時間を稼げる地形であることがわかります。

岡村さん
海側を見ると、道路が高くなっていますね。あれが浜堤(ひんてい)、つまり海からの波で砂が押し流されて堆積した砂丘があるんですけれど。その高まりになります。あれを超えて津波が入ってくるのは、地震発生から2時間くらい後の想定です。
津波侵入を一時的に食い止める浜堤(2)

浜堤は、津波が平野部へ直接侵入するのを食い止めてくれます。しかし、その効果は一時的です。津波が浜堤の周囲を回って入ってくる恐れがあるからです。早めの避難を心掛けましょう。

津波侵入を一時的に食い止める浜堤(3)

次に向かったのは、標高およそ20メートルにある安芸ドーム。今回、最初に訪れた安芸漁港の防波堤が見えました。

津波侵入を一時的に食い止める浜堤(4)
中道アナ
振り返ると、最初に訪れた安芸漁港が見えます。
岡村さん
堤防の向こうに水平線が見えます。南海トラフ巨大地震が発生すると、津波のために4キロ、5キロ先の沖合で、海はいっせいに白くなります。昼間だったら見えるはずです。そのときから、津波が到達するまでには10分ほどあります。諦めないことが大事です。

きょうのポイント

きょうのポイント(1)

最後に、きょうのポイントを伺いました。

中道アナ
浜堤という地形がありました。地形を知ると、私たちには避難する時間の猶予が与えられているということもわかりました。
岡村さん
自然がつくった地形が、建物をなぎ倒しながら津波が直接市内へ入ってくることはある程度防いでくれます。一方で、津波は浜堤を回り込んで襲ってきてしまいます。津波が入ってくる順番を知っておくこと、そして津波の流れ込み方を追っていくことが、これからの避難訓練で有効になるでしょうね。
中道アナ 編集後記
高台までの距離がたとえ遠く感じたとしても、浜堤などの地形によっては津波が侵入してくるまでに時間がかかり、その間に避難できる可能性が高いことがわかりました。
津波から命を守るためには、自分たちの暮らしている地域の地形を把握することが大切だと、改めて感じました。
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