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いのちを守る放送局

NHK神戸放送局は、阪神・淡路大震災の教訓を伝え、防災のあり方や災害医療など、市民の命を守るために何が必要なのか、考え続けています。
また、JR福知山線脱線事故やアスベスト被害など、兵庫県内で起こった事件・事故について継続的な取材を行い、報道・番組制作に努めています。
これからも、スポット放送や「Live Love ひょうご」などの番組、神戸局1階トアステーションで実施するイベント、インターネットでの情報提供を通じて、「いのちを守る放送局」として発信を続けていきます。

JR福知山線脱線事故から17年 関連報道

107人が死亡したJR福知山線の脱線事故から2022年4月25日で17年になります。
事故を風化させないため、記憶と教訓を継承していきます。

NHK神戸放送局と震災

発災後から1年後までに撮影された当時の記録写真を公開しています。

NHK神戸放送局と震災ページはこちら

NHKスペシャル「阪神・淡路大震災」関連番組一覧

No. タイトル 内容 放送日
1 都市直下型地震の衝撃
~兵庫県南部地震~
1月17日午前5時46分に発生した「兵庫県南部地震」は、戦後最大級の災害となった。
番組では、崩壊が一瞬にして起こった15秒間を振り返り、建造物はなぜ倒壊したのか、安全と信じられてきた新幹線高架と高速道路のどこに問 題があったのかなど、現代社会が初めて経験した都市直下型地震災害の全容を多角的に検証する。
1995年1月20日
2 阪神大震災 被災者の20日間
~長田区鷹取商店街~
神戸市の中心から西へ8km、戦前からの建物が立ち並ぶ住宅街の中にある鷹取商店街。阪神大震災によって起きた火災は、東西300m、南北200mにわたるこのブロックのほぼ全域を焼き尽くした。家屋の倒壊と火災により91人が犠牲になった鷹取商店街の人々の20日間を伝える。 1995年2月5日
3 阪神大震災シリーズ第1回 救援・人はどう動いたか
~調査報告 神戸の72時間~
阪神大震災は、大都市神戸を徹底的に破壊する未曾有の大災害となり、国や自治体の防災体制と危機管理を根底から問い直す事態となった。
今回の震災に何を学ぶか、いま問われていることは何かを検証するシリーズの第1回。災害救援は、発生後72時間が勝負と言われる。
番組では、神戸の警察、消防、行政、医療それぞれの救援者たちの行動に焦点を絞り、彼らの3日間をドキュメントする。
1995年2月17日
4 阪神大震災シリーズ第2回 情報 被災者は何を求めたのか 阪神大震災を特集するNHKスペシャル。シリーズ2回目の今日は、被災 地の人たちが情報を求めてどのように行動したのかを見て行く。
今回の地震では行政や警察、消防も大きな被害を受け、被災地の人たちに情報を提供することが難しくなり、さらに電話やテレビも利用出来なくなった。
番組では、こうした状況の中で、被災者がどのように情報を得て、どんな情報によって行動を取ったのか、災害時に最も必要とされる情報とは何 かを、一人一人尋ね歩きながら探る。
1995年3月22日
5 阪神大震災シリーズ第3回 危機管理 政府はどう動いたか 国の最高責任者である総理に被害の第一報が届いたのは、地震発生から1 時間49分後の午前7時半・・・。兵庫県知事から自衛隊の出動要請があったのは、地震発生から4時間19分後の午前10時・・・。
阪神大震災は、災害時の危機管理の脆弱さを改めて見せつけた。そして、今後の防災対策を考える上で検討すべき多くの課題を政治に突きつけた。
今夜のシリーズ第3回では、1月17日の総理官邸や関係官庁の動きをつぶさに検証することで教訓と課題を引き出し、今後の危機管理の在り方を問う。
1995年4月28日
6 阪神大震災シリーズ第4回 日本の地下で何が起きているのか
~地震列島総点検~
今夜は、これまでに解明された阪神大震災のメカニズムなど最新の研究成果を含めて、日本の地下で今何が起きているのか、そして私たちはそれに 対して、どう対応して行くべきかを探る。 1995年5月19日
7 阪神大震災シリーズ第5回 強い住まいをどうつくる 阪神大震災により18万棟、26万世帯の家屋が全壊もしくは半壊した。倒壊した「我が家」の下敷きになり、命を奪われた人は、震災による死者 約5,500人のうち9割にも及ぶ。
過去に数々の大地震を経験し、世界最先端の地震研究と建築技術を誇る日本で、これほど多くの家屋が、なぜ倒壊してしまったのか。
番組では、木造家屋とマンションを取り上げ、倒壊の原因と背景を検証し、どうすれば地震に強い住まいをつくることができるのかを探る。
1995年6月30日
8 阪神大震災シリーズ第6回 耐震都市をどうつくるか
~巨大建造物総点検~
シリーズ第6回は、初めて巨大地震の洗礼を受けた高速道路、新幹線、超高層ビルなどの巨大建造物に焦点をあてる。
この半年間に出された数多くの調査報告書の結論は、古い建物ほど被害が激しかったこと、そして新しい建物にも弱点があったことの2点である。
番組では、都市を補強するための具体的な方法をさぐりながら、過去の愚を繰り返すことなく、神戸の教訓を生かすために私たちが採りうる選択 肢を明らかにする。
1995年7月28日
9 阪神大震災シリーズ第7回 その時あなたの町は
~防災計画見直しへの苦闘~
地震が襲ったとき、あなたの町は何ができるのか。阪神大地震が残した教訓から、全国の自治体で「防災計画」を見直す作業が始まっている。神戸 市では、なぜ「防災計画」が機能しなかったのかという点から、100項目にのぼる課題が紡ぎ出された。また東京では、初動体制や避難所対策が見直される。一方、東海地震に備えてどこよりも対策が進んだ静岡県でも阪神大震災から学ぶことは多い。改めて耐震診察が行なわれるなど、見直しが始まった。
番組では自治体のさまざまな取り組みを描き、阪神大震災の教訓をどう生かすべきか防災対策のあり方を検証する。
1995年9月1日
10 阪神大震災シリーズ第8回 住まいをどう取り戻すか
~マンション・一戸建再建の壁~
阪神大震災は、多くの人たちの生活の場である「住まい」を奪った。全半壊した住宅は約20万棟。被災地では半年たった今も、倒壊したままのマンションやがれきを撤去したものの再建のめどが立たず、さら地のままになっている土地が多い。
番組では、分譲マンション、一戸建、賃貸住宅などそれぞれのケースを検証しながら、再建を阻むさまざまな壁を浮き彫りにし、日本の都市住宅政策の問題点を明らかにしていく。そして行政の対応や住民の取り組みを通して解決の道筋を探って行く。
1995年9月29日
11 阪神大震災シリーズ第9回 経済復興にどう立ち向かう 阪神大震災から9か月、神戸市の中心街では、倒壊したビルの跡地が更地のまま虫食い状態になっている。構造不況や円高、様々な規制による高コスト体質など日本経済が抱える問題が震災によって一気に露呈し、それが復興の壁となっている。
番組では、復興に立ち向かう人々や企業の頑張りと熱い思いを取材し、いま復興にどんなビジョンが必要か、県・市の復興計画の検証や識者の提言をもとに復興の道筋を考える。
1995年11月5日
12 阪神大震災シリーズ第10回 まちをどう再建するか 阪神大震災は、住宅街、商店街、繁華街など「まち」を破壊した。いま、様々な地域で、住民や自治体による「まち」再建の動きが進んでいる。自治体は、大きな被害を受けた地域に対して、「都市計画」を策定して再建をめざしているが、私権の制限をともなうため、住民の間には反発や戸惑いが見られる。
番組では、様々な個性を持ち、住民のいわばふるさとである「まち」がどう再建されようとしているのか、資金づくりや合意形成などに住民がどう取り組んでいるのかを伝える。
1995年11月24日
13 焼け跡からの再生
~長田区鷹取東地区の1年~
5500人以上の尊い命が失われた阪神大震災からまもなく1年が経とうとしている。神戸市長田区鷹取東地区では、地震とその直後の火災で家々のほとんどが全焼し、92人が犠牲者となった。
番組では、この鷹取東地区の1年を追い、震災によって失われたものの大きさとそれを乗り越えようとする人々の姿を伝える。
1996年1月14日
14 シリーズ 阪神大震災 その死を無駄にしない
~調査報告・震災死6300人~
阪神大震災から1年を迎えるこの日、今なお震災の傷跡が残る神戸の現場からの中継をベースに、改めて震災で命を落とした人々の「死」に立ち返る。
番組では、奪われた貴い命の様々な死因を調べ、今後に結びつけるのが狙い。
1996年1月17日
15 阪神大震災 神戸・冬物語
~鷹取中学校避難者はいま~
阪神大震災が起きた平成7年1月17日、神戸市須磨区の鷹取中学校は、およそ2000人の避難者があふれる神戸市で最大の避難所となった。この避難所では、震災3日後に他の避難所に先駆けて1500人の避難者名 簿が作られた。番組では、この避難者名簿を手がかりに、震災後、思いもかけなかった人生を踏み出した避難者のその後を追い、2年後の冬のそれぞれの姿を伝える。 1997年1月17日
16 取り残された再建
~震災から4年 都市復興の中で~
阪神大震災から4年、繁華街には新しいビルが立ち並び、県や市は「復興は順調」とうたう。しかし、その背後に、仕事や暮らしを取り戻そうと必死に取り組んだ末、生活再建を断念する被災者がいる。
番組では、普通の暮らしを取り戻せなかった被災者に焦点をあて、都市型大災害からの生活再建の難しさを検証する。
1999年1月17日
17 阪神大震災5年 もう一人命を救うために
~検証 初動・救命システム~
「あの日」からまもなく5年。地震災害への関心が高まる今、3回シリーズでこれまでの震災報道を集大成する。番組では、震災直後から問われて来た多くの課題や疑問について、内部史料を掘り起こし、新たな映像により検証する。1回目は、地震直後の人命救助を見つめ直す。 2000年1月14日
18 阪神大震災5年 あの日から
~被災地 ひとりひとりの記録~
阪神大震災5年を集大成する3回シリーズの2回目。震災から満5年が過ぎようとする今、被災地の人々はどのように「あの日」を思い返しているのだろうか。NHKでは、震災後1年、3年に被災者の方々に対してアンケートを行ってきた。節目の5年は被災地に住む5000人と、1000人の遺族の方々にアンケートを実施、改めてあの震災とは何だったのかを問いかけた。被災当時の個人的な被災の記録と、アンケートにつづられた被災者の思いを織り上げることで「あの日」が何を残したのか、大震災が問いかけ続けるものは何かを、被災者ひとりひとりの目線から描く。 2000年1月16日
19 阪神大震災5年 震度7の衝撃
~都市の備えはどこまで進んだか~
「あの日」からまもなく5年。地震災害への関心が高まる今、3回シリーズでこれまでの震災報道を集大成する。番組では、震災直後から問われて来た多くの課題や疑問について、内部史料を掘り起こし、新たな映像により検証する。3回目は、震度7の地震に対して、私たちには何ができるのかを考える。 2000年1月17日
20 "いのち"を見つめる子供たち
~震災遺児 6年の歳月~
阪神淡路大震災の混乱の被災地には父や母を失った573人(民間ボランティア団体調べ)の子供たちが残された。被災から6年、子供たちは自分が生き残った意味や失われた命の大きさと向かい続けてきた。 2001年1月17日
21 "まち"はよみがえるか
~神戸・長田区御蔵通~
7年前の阪神大震災で町の殆どが焼け野原となった町、神戸市長田区御蔵通(みくらどおり)5丁目・6丁目。この町は今も更地が目立ち、震災前住んでいた人の3分の2がまだ戻って来ていない。かつての隣人達はどこへ行ってしまったのか。なぜ戻ってこないのか。去年の秋、住民たちは震災後バラバラになってしまった元住民たちの住所を調べ、訪問調査を始めた。番組は、神戸市による区画整理事業の指定を受けた200メートル四方の小さな町が舞台。訪問調査を通じて、住宅政策の矛盾・かつてのコミュニティの崩壊など、これまで住民たちが抱えてきた様々な問題、歳月が浮き彫りになる。かつての隣人たちが戻ってこないことが明らかになる中、残された人々は失われたコミュニティをどう再構築してゆくのか。震災で全てを失った人々が、人のつながりの回復を目指して新しい町づくりに取り組む様子を追った。 2002年1月17日
22 減災
~阪神大震災の教訓はいま~
災害対策の現場で、「減災」という考え方が打ち出されている。犠牲を「防ぐ」というより、少しでも減らそうという合理的な思想だ。木造住宅の倒壊からいかに命を救うか。木造住宅の耐震工事、そして救助のための新システムを伝える。 2003年1月17日
23 地域防災力が命を救う
~阪神淡路大震災の教訓~
東海地震など大地震の発生が予測される中、強化が求められている地域防災力。阪神大震災で迅速な救出に成功した淡路島の住民パワーの事例、地域防災力の担い手として期待される「自主防災組織」の最新訓練について取材、今後の備えを検証する。 2004年1月17日
24 阪神・淡路大震災10年
第1回 焼け跡のまちは、いま
~鷹取商店街 再生の記録~
神戸市長田区鷹取商店街。阪神・淡路大震災は、この町の97%を焼き尽くし、95人が犠牲者となった。あれから10年。悲しみと向き合い、絆を頼りに支え合って生きてきた町の人達。再生の記録。 2005年1月15日
25 阪神・淡路大震災10年
第2回 マンション再建 住民の選択
建て替えか補修か、震災から10年たった今も住民が議論を続けるマンションがある。費用がかかっても安全性を重視する建て替え派。安い費用の補修でも安全性は確保できると主張する補修派。建て替えの賛否を問う11月の住民集会までを追う。 2005年1月16日
26 阪神・淡路大震災10年
第3回 家族・いのちを受けついで
阪神淡路大震災では、6433人という、かけがえのない命が失われた。NHKが継続取材してきた遺族の現在までを紹介しながら、遺族に実施したアンケートも踏まえ、大地震で変化を余儀なくされた「家族」10年の歩みを伝える。 2005年1月17日
27 活断層列島
~リスクが足元に迫っている~
最近、地震が頻発している日本列島。その一因になっているのが、地殻の割れ目、活断層だ。11年前、6433人の命を奪った阪神・淡路大震災を引き起こしたのも、野島断層という活断層だった。
いま日本には、2000あまりの活断層がある。では、そのリスクは、いったいどこまでわかっているのか。国は10年かけて、全国の主要な98層の調査を進めてきた。そこでは、野島断層を上回る規模の活断層や、発生確率の高い活断層があることが報告されている。さらに、最新の学説では、日本は地震の活動期を迎え、活断層のリスクは刻一刻と高まっていることも指摘されている。
こうした中、活断層に対する備えは一向に進んでいない。狭い国土しかない日本では、重要な建物が活断層の真上に建っているのが現状だ。対策を迫られた自治体では、わずかながら模索が始まっているが、コスト負担をどうするのか、情報公開はどう進めるのかなど、さまざまな壁につきあたっている。
番組では、いまどんな知恵や工夫が求められているのか探りながら、活断層と共生できる暮らしのあり方を考えていく。
ゲスト:土岐憲三さん(立命館大学理工学部・教授)
キャスター:住田功一アナウンサー
2006年1月17日
28 情報テクノロジーは命を救えるか
阪神・淡路大震災の教訓は、いま
災害救助は、時間との闘いだ。がれきの下に埋もれた人は、刻一刻、弱っていく。被害の全貌をいち早く把握し、急を要する所から優先的に手をさしのべていかなければ、多くの命を救うことはできない。12年前の阪神・淡路大震災では、初動で有効な情報を集めることができなかった。こうした教訓を糧に、いま国や自治体では、最先端の「情報テクノロジー」の導入が進められている。被災地の状況をいち早く映像伝送できる最新鋭ヘリコプターの増強配備。24時間どんな天候でも撮影できる人工衛星の実用化。瞬時に被害を推定できるコンピュータ・システムの開発…。さらに、ハイテクだけでなく、住民パワーを活かした情報収集体制の構築も各地で始まっている。しかし、その一方で、新たな課題も浮かび上がってきている。テクノロジーを駆使して集まった膨大な情報に、担当者がいかに対応するかという問題だ。「情報の洪水」、あるいは「情報の氾濫」とも呼べる状況に対し、いかに混乱せず的確な判断を下せるか、情報を生かすも殺すも最後は人間次第、ヒューマンファクターにかかってくるのだ。情報テクノロジーの最先端を取材し、進化する技術をいかに人命救助に結びつけるか、その可能性と課題を検証する。
<キャスター> 住田功一アナウンサー(NHK大阪)
2007年1月17日
29 命のセーフティーネットは築けるか
生かされない震災の教訓
13年前の1月17日に起きた阪神・淡路大震災の大きな教訓のひとつは、大災害は経済的な弱者を直撃するという現実だった。古い木造住宅が密集する下町では、家屋の倒壊による死者が相次ぎ、火事の延焼も多く、山の手の住宅街の被害を大きく上回った。高齢者により多くの被害が集中した実態もある。
今後起きるであろう大地震の被害を減らすには、こうした災害弱者への対策を打つことが急務であると、当時から専門家は口をそろえて指摘していた。しかし、その後も有効な対策が取られたとはいえず、悲劇は繰り返されている。能登半島沖地震や新潟中越沖地震では、狙い撃ちしたかのように古くもろい家々が壊れ、高齢者たちが犠牲となっている。そして耐震補強をする余裕がない貯金ゼロ高齢世帯や、生活保護世帯の増加。さらに防災投資がままならない弱小自治体の存在。個人のレベルでも地域のレベルでも「防災格差」は縮まるどころか拡大の一途をたどっている…。
防災の専門家の間でも、特に社会学者を中心に防災の分野での格差を問題視してクローズアップする研究が近年広がっている。あの日から13年。
番組では、神戸の教訓を今一度見つめ直し、格差社会の中、防災においても格差が拡大していく現状を検証。「命のセーフティーネット」をどう築いていけばいいのか考えていく。
2008年1月17日
30 阪神・淡路大震災
秘められた決断
富士常葉大学や京都大学の防災専門家からなる研究グループは、阪神・淡路大震災で被災者の救援や支援を担った神戸市職員150人余りから当時の対応について聞き取り調査を行ってきた。災害に直面した当事者に対して詳細な聞き取りを行い、その言葉から教訓を導き出す「災害エスノグラフィー」と呼ばれる研究である。
集められた証言はA4版でおよそ2400ページ。避難所のトイレ設置から犠牲者の斎場手配まで。被災地は何に直面し、人々はどう動いたのか?その現実を、時系列であらゆる角度から捉えたかつてない記録だ。しかも、この聞き取りは「非公開」を前提に行われたため、行政マンらがこれまで胸に秘めてきた「苦悩と選択」が克明に語られている。
どの命を優先して救うのか?被災者に不満が残らない物資配布の方法は?数千もの犠牲者の火葬をどう行うのか…?NHKは、研究グループと聞き取り調査の対象となった神戸市職員一人一人から了解を得て、その原文を入手してきた。
番組では、新たに明らかになった証言に独自の取材を加え、阪神・淡路大震災の実相を再現。今後起こりうる大災害に備える上での教訓を探る。
2009年1月17日
31 MEGAQUAKE 巨大地震
第2回 KOBE 15秒の真実 そのとき地下で何が
初めて現代都市を直撃したメガクエイク、阪神・淡路大震災。わずか15秒の揺れが、なぜあれほどの惨禍をもたらしたのか?震災を機に急速に発達した地震観測網とデータ解析技術が、その答えとなる知られざる「地下のリスク」を少しずつ明らかにしている。
活断層破壊の引き金となった地下深くに滞留する「水」。断層面にアスペリティ(固着域)が2つあったため、2波連続で発生し、木造住宅を破壊した強力な地震波。入り組んだ表層地盤が生みだした複雑な揺れによって致命傷を負い、倒壊した高速道路。揺れが収まったその時に、郊外の住宅地で起きた時速40キロの高速地滑り…。
番組では、明らかになった地下のメカニズムに、木造住宅、高速道路、地滑り、それぞれの生存者の証言をもとにした再現ドラマを組み合わせ、15秒の「完全再現」を試みる。高精細のデジタルシネカメラで撮影した再現ドラマは専門家の監修による解析CGと最新のVFX技術によって融合。これまで映像化されてこなかった「15秒の真実」とは.
都市直下の活断層の脅威を世界に知らしめた「KOBEの15秒」。その真実を最新科学で見つめ、次なる活断層地震にどこまで備えられるのか、その到達点を描く。
2010年1月17日
32 防災力クライシス
そのとき被災者を誰が救うか
6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の衝撃は、自治体に通信網の整備や防災計画の策定などを促し、住民には「自助」「共助」が必要だと認識させた。しかし、あれから16年。今、多くの自治体は財政難や職員減、市町村合併などで、積み上げてきた防災力が機能しなくなる事態に直面し、住民の側でも、高齢化やコミュニティの崩壊を背景に、災害への備えの劣化が進む。
防災は、新たな仕組みづくりを求められている。
兵庫県佐用町では、死者・行方不明者20人を出した、2009年の豪雨災害をきっかけに、防災計画の修正を迫られた。行政だけでは災害から住民を守ることが困難だと訴え、避難の誘導など、被災直後の役割の一部を、住民にも担って貰う為の話し合いを始めた。また、東京都新宿区では、病床数など医療資源が減少する中で、地震直後の救急医療の一部を、昼間、この地域にいるオフィスの会社員や大学生などにも担って貰うという試みが模索されている。
想定を超える災害が頻発する今、従来、住民の生命を守る責務を負ってきた自治体の対応はどうあるべきか。そして、私たち住民は何をすべきなのか。命を守る新たな仕組み作りを迫られた最前線から考える。
2011年1月17日
33 阪神・淡路大震災17年 東北復興を支えたい
~"後悔"を胸に~
今年1月、阪神・淡路大震災から17年。今、東日本大震災の被災地には、全国から多くの人々が復興支援に入っているが、その中でも大きな存在感を示しているのが、その阪神大震災で被災した地区の人たち。その数は兵庫県下の自治体職員や看護師など公的機関だけでも、のべ8万人に達しNPOやボランテイアを入れると、さらに膨大な数になる。彼らに取材すると、ある共通の“思い”があると分かってきた。それは、阪神大震災の復興でできなかったことを二度と繰り返したくないという“後悔”。その後悔を見ていくと、まちの復興を進める上での3つの大きな課題が浮かび上がってくる。
「住民が望む町の姿にならなかった」、「地域の絆が断ち切られた」、「多くの人がふるさとを奪われた」。しかし、被災地では「復興の青写真がなかなか示されない」、「同じ町内の人たちが違う仮設に入居させられた」など、再び同じ後悔を繰り返しかねない事態が進行している。阪神・淡路大震災を経験した人たちが「後悔」の念を胸に、東北の町の復興を支援する現場にカメラを入れ、今回の東日本大震災で何が復興の壁になっているのか、そして、街の復興で本当に大切なことは何か探る。
2012年1月17日
34 阪神・淡路大震災18年
大都市被災 その時日本は
南海トラフの巨大地震で、大阪や名古屋などの大都市が同時多発的に被災した時、何が起きるのか・・・シミュレーションでは、最悪の場合、避難所に押し寄せる人の数が500万人に上り、わずかな期間で、ペットボトルの水が日本全国でなくなる。多数の火力発電所が津波に見舞われることから、電力不足が発生。交通網も寸断され、マヒした都市機能の復旧はなかなか進まない。通信インフラは寸断され、金融機関にも影響が及びかねない・・・
こうした都市機能のマヒを防ぐため、各分野の専門家たちが集まり、南海トラフの巨大地震による被害を想定しようとする研究プロジェクトが始まっている。彼らが参考にするのが、18年前の阪神・淡路大震災だ。神戸では人口密集地が被災したことから、避難所に入りきれない人たちが公園や空き地などの「テント村」で雨露をしのいだ。生きてゆくための物資は枯渇し、“奪い合い”がおきる寸前の状態に陥っていた。電力や水道のシステムは互いに依存し合っていたため、停電や断水が複合的に拡大した。そして、地方銀行の本店やホストコンピュータが被災し、金融の流れが滞るという非常事態が発生した。
いま、流通企業や金融機関では、南海トラフによる想像を絶する規模の被害が、都市機能マヒに至るのを防ぐため、「阪神・淡路」の教訓をもとに対策を進めようとしている。番組では、被害シミュレーションをCGで描き出すとともに、生活物資、通信ネットワーク、ライフラインで進められている対策を取材、減災への道筋を探る。
2013年1月17日
35 阪神・淡路大震災19年
救助が来ない 巨大地震 その時あなたは
東日本大震災を受けて、去年、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の新たな被害想定が公表された。被害が広範囲にわたるため、私たちのもとには一週間にわたり公的救助が来てくれなくなる恐れがあり、人々は自力で救助したり避難したりすることを迫られている。
神戸市消防局は引き上げられた想定を前に、「初動では、救助の要請があっても全勢力を消火活動に振り向ける」という方針を住民に伝えている。苦渋の決断の背景には、19年前の阪神・淡路大震災のとき、消火と救助の双方に追われ、効果的な対応ができなかったという苦い教訓がある。消防がこうした方針を周知するなか、住民だけで救助や避難ができるよう訓練を重ねている地区がある。長田区の真陽地区である。地域が連携し、身近にあるものを最大限活用して救援活動を行う体制作りを進めている。
一方、静岡では、住民自らが負傷者の中から一刻を争う重傷者を選び出し、病院に搬送するという取り組みを進めている。活動の中心となっているのは、阪神・淡路大震災のとき、兵庫県西宮市に応援に入った医師。病院の混乱によって救えたはずの命が救えなかったのではないかという思いを胸に刻み、住民と模索を続けている。
公的救助が来ないとき、一人でも多くの命を救うためにはどうすればいいのか。阪神・淡路大震災の教訓を胸に、模索を続ける最前線の取り組みと課題を追う。
2014年1月17日
36 シリーズ阪神・淡路大震災20年
第1回 大都市再生 20年の模索
6434人もの命が奪われ、11万棟もの住宅が全壊・全焼した「阪神・淡路大震災」。一瞬で崩壊した大都市をどう一から再生させていくのか、そして、都市を崩壊させる大地震にどう備えるのか、それは戦後、誰も経験したことのない、初めての挑戦となった。あれから20年、その格闘の道のりを2回シリーズで伝える。
1回目は、復興20年の最前線に立った行政担当者の模索や決断を追う。“奇跡の復興”を遂げたとされる神戸。ビルが立ち並び、交通網も整備され、災害に強い街づくりが行われてきた。しかし、その一方で、一部の町では復興が計画通りに進まず、「空き地のまま」のところが残る。復興住宅は高齢者ばかりとなり「孤独死」も相次ぐなど、今もなお課題を抱えたままだ。
この復興政策の先頭に立った行政担当者は、自分たちの選択が正しかったのか、20年たった今も自問自答し続けている。彼らは、前例がない中で、国との交渉などを重ね、復興の道筋の選択と決断を行ってきた。そこに、どんな挑戦や苦悩があったのか。彼らの経験から、私たちは何を学ぶのか。巨大都市・神戸再生20年の模索を描き出すとともに、その教訓を伝える。
2015年1月17日
37 シリーズ阪神・淡路大震災20年
第2回 都市直下地震 20年目の警告
シリーズ第2回は、都市直下地震を引き起こす「活断層」の脅威に挑んできた科学者たちに焦点をあてる。
あの日私たちは、平穏な暮らしを突然、一瞬にして破壊する、直下型地震の脅威を突きつけられた。次の直下型地震は「いつ」「どこで」起きるのか、科学者たちはその謎を解明しようと、国を挙げた態勢で、動き出した。地表に姿を現した淡路島の野島断層。同じような危険性のある断層を、全国で110本特定し、次の地震が起きる予測確率もはじき出した。しかし、謎は残されたままだ。淡路島と違い、活断層の痕跡が見つからなかった神戸。今も、都市を破壊した活断層がどこにあるのか、結論は一致していない。また、この20年で相次いだ直下型地震のほとんどは、110本の活断層以外で発生し、私たちの期待を裏切り続けてきた。「いつ」「どこで」を明らかにするのはほど遠いのが現実だ。一方、活断層が生み出す揺れは、数々の地震被害の経験から解明が進んできた。そこから見えてきたのは、近年急増する超高層ビルにも弱点があることだった。
この20年、科学者たちは何を思い、今何に挑もうとしているのか。そして私たちはどう備えていけばよいのか、検証する。
2015年1月18日
38 震度7 何が生死を分けたのか
~埋もれたデータ 21年目の真実~
史上初めて震度7を記録し、6,434人が犠牲となった阪神・淡路大震災。
実は21年前の被災直後、“生と死”に関する大量のデータが収集された。死の原因、家屋倒壊の状況、火災の広がり方、救助の動き・・・。これらのデータは耐震補強の重要性など、様々な教訓を導き出した一方で、技術に限界があったため、多くが十分な分析を受けずに残されてきた。
NHKではこれらのデータを再発掘し、最新の分析技術で1月17日に何が起きていたのかを可視化するプロジェクトを立ち上げた。複数のデータに時間経過も組み合わせて、命がどのように奪われていったのか、その全貌を“再現”すると、見落とされていた都市直下地震の“真の姿”が明らかになってきた。発生後1時間以内に犠牲者の8割近くが集中するその意外な原因、揺れから2時間以上たって発生し命を奪う謎の火災、半日以上たっても救助が進まない都市ならではの弱点、見えてきた教訓の多くは今も根本的な対策がとられないままだ。
都市直下地震で命を落とすとはどういうことなのか、その現実を明らかにするとともに、命を守るために今、何をしなければならないのか、考える。
2016年1月17日
39 女たちの大震災
~最新医療が迫る 体と心のリスク~
6434名の命が奪われた阪神・淡路大震災から22年。これまで女性特有の被害に焦点を当てた研究はほとんど行われてこなかった。しかし神戸周辺の拠点病院に残されていた被災直後の「入院患者3500人の診察記録」を分析した医師は、ストレスが多い避難所生活で、女性の方が血栓(血管内の血のかたまり)ができやすいことや、脳卒中を発症する割合が急増していたことを解明。 さらに血栓が体内に残り、発症の危険性が長期間続くことも分かってきた。分析結果をもとに試算すると、体内に血栓が生じていた被災女性は推計1万人、22年たった現在も血栓のリスクを抱え続けている人は少なくないというのだ。
一方、女性の心も蝕まれていたことが分かってきた。被災者への大規模アンケート調査では、「震災を思い出して眠れない」という回答が、一貫して男性よりも高い割合を示している。脳科学の専門家は、災害によって体内に生じるストレスホルモンが制御できなくなり、不安感が長期間消えない女性特有のメカニズムを指摘している。
震災から22年間、心身に潜む危険性に気づかないまま、女性たちは体調不良や不安感と向き合ってきたのだ。
番組では、女性の犠牲に気づかぬまま進められてきた「復興」や「防災」のあり方を問い直し、災害列島・日本で、今後どのように女性の心身を守っていくべきか考える。
2017年1月17日
40 遺児たちのいま
阪神・淡路大震災23年
6434人が亡くなった阪神・淡路大震災。0歳から高校生まで、400人以上の子どもが親を失い、遺児となった。四半世紀に近い歳月の間に、遺児の多くは亡くした親の年齢に達し、子どもをもつ人も少なくない。震災後から定期的に成長を記録してきた遺児たちを再訪すると、成人して新たな役割に気づきながら歩む、それぞれの人生があった。震災から23年、遺児たちの「心に秘めた苦悩」と「生きていく覚悟」とは・・・。 2018年1月17日
41 命をめぐる決断
~災害多発時代 神戸からの問いかけ~
大地震に見舞われたとき、ひとりでも多くの命を救うためにどうすればよいのか…。6月に起きた大阪北部地震では、119番通報したにもかかわらず、「自力で対応するよう」求められる人が相次いだ。いま消防の現場で、救命活動の「優先順位」をつける、トリアージ(選別)の動きが広がっている。それは24年前に起きた、阪神・淡路大震災の体験から導き出された教訓だった。発災直後、救助要請が殺到。「消火なのか救助なのか」「どの現場を優先するのか」。当時の活動記録や証言から、消防隊員たちは迷いを抱えながら活動していたことが分かってきた。「もっと救えた命があったのではないか」。神戸市は、「救助より消火を優先」し、「多くの命を救える現場を優先」することを決めた。その動きは全国に広がり、先の大阪北部地震でも実践されたのだ。しかし、優先順位を瞬時に判断するのは、容易ではない。消防が出動しない現場では、市民が救助に当たらなければならず、私たち自身も“命をめぐる決断”を迫られることになる。必ず来る次の大災害の前に、様々な「現場」の模索を通して、いまできる備えと行動のヒントを探る。 2019年1月17日
42 あの日から25年
大震災の子どもたち
阪神・淡路大震災から四半世紀、25年の歳月が過ぎた。この節目の年に私たちは、社会心理の専門家とタッグを組み、これまで前例のない大規模調査を行った。
対象は震災当時、小・中学生(6~15歳)だった子ども、いわゆる“震災の子”だ。現在31~40歳となった5000人に、震災が「その後の生き方」や「進路」などにどのような影響を与えたか聞いた。集計・分析が進む中で、専門家も驚く結果が明らかに。「家族を亡くした」「自宅が全壊」など、被災程度が高い人の6割近くが「今では震災体験を前向きに捉えている」と答える一方で、「今も思い出したくない」「触れて欲しくない」と答える人が2割近くに上った。いわゆる「二極化」が起きていたのだ。さらに、被災程度が高い人ほど「町への愛着を感じる」傾向があることも分かった。こうした結果はなぜ生まれたのか。「二極化」の分岐点はどこにあったのか。分析・取材を進めると「先生」や「近所の大人」など家族以外の「周囲の大人」の存在がカギとして浮かび上がってきた。
25年が経った今、初めて明らかになる“震災の子”の真実。神戸から全国の被災地へ新たな教訓を伝える。
2020年1月17日
43 巨大地震と“未治療死”
〜阪神・淡路から26年 災害医療はいま〜
新型コロナの時代に巨大地震が起きたら、救えるはずの命すら守れない事態が起きる-。専門家による最新研究の結果、コロナ禍で医療がひっ迫した状態で巨大地震に見舞われると、必要な治療を受けられずに亡くなる「未治療死」が続出、国の想定を超える死者が出る恐れがあることが明らかに。災害医療の原点となった阪神・淡路大震災から26年。あの日起きた医療崩壊の教訓を踏まえ、巨大災害への備えを進める最前線の現場を追う。 2021年1月17日
44 見過ごされた耐震化
〜阪神・淡路大震災 建物からどう命を守るか〜
阪神・淡路大震災から27年たった今も見過ごされてきた教訓がある。オフィスや飲食店など、多くの人が立ち入る「ビルの倒壊」だ。地震が早朝に発生したことで、人的被害は住宅に集中し、震災後の耐震化施策は住宅を中心に進められてきた。一方、多くのビルはその対象から外れ、全国各地で耐震性が不明なビルが無数にあることが明らかに。巨大地震が起きるそのとき、あなたがいる建物は命を守れるのか。耐震化の実態に迫る。 2022年1月17日