ニュースKOBE発のコーナー「防災考」(月1回のシリーズ)では、防災の取り組みをさまざまな角度から検証しています。
防災の取り組みや課題について考える防災考です。
2月、南米・チリで起きた巨大地震で、日本各地に大津波警報や津波警報が出されました。兵庫県でも淡路島南部に津波警報が出されました。警報にどう対応したのか、また、津波にどう対応する必要があるのか、取材しました。
「気象庁は東北の太平洋岸に大津波警報、北海道と関東以西の太平洋岸に津波警報を出しました。」
2月28日。
前の日に起きた南米・チリでの巨大地震による津波が日本に到達しました。
津波警報が出た淡路島南部では、津波の高さは1メートルと予想されました。
淡路島南部の南あわじ市では警報の2分後に対策本部を設置しました。
海岸沿いの防潮堤にある水門などを閉めて、津波に備えました。
また、高台の小学校には、避難所を設置しました。しかし、最終的に市が避難勧告を出さなかったこともあって、この日、避難した住民はいませんでした。
「つねに意識はあったよ、いつ逃げないかんかなと。だけど1メートルということでそこも安心したのかな。」
「実際波が1メートル前後なら超えて来ないのでその辺の心配はなかった。」
「町から避難してくださいというのがあると思う、(今回は出なかったから大丈夫と?)そう思った。」
「1メートルの予想高ということになると、ほとんど通常の高潮の程度くらいしか来ない、という予想もしていたので。避難勧告を出すことについて逆に市民の不安をあおる、ということもあって出さなかった。」
防災に詳しい関西学院大学の室崎益輝教授は、津波は、予想より高くなることがあり、警戒を怠ってはならないと指摘しています。
「部分的には高い津波がきて(堤防が)突破されるかもしれないし、なんらかの理由で防潮堤が壊れたり扉が閉まらなかったということもあるから、やっぱり(堤防の内側に)入ってくるかもしれないという風に頭に入れておかないといけない。1メートルというのは僕はすごい危険な高さだと考えないといけないと思う。」
南海地震を想定して兵庫県が作った津波のイメージ映像です。南あわじ市南部の福良地区では、南海地震が起きれば、早ければ40分ほどで最大5メートルを超える津波が予想されています。このため南海地震への備えが進められています。
海岸沿いに作られる高さおよそ3メートルの防潮堤。平成26年の完成を目指しています。
また、福良港に建設されているこの建物は、津波警報が出た時に港で働く人や釣りをしている人がすぐに避難するための施設です。
津波に備えて、ハードの整備が進む福良地区。その一方で、住民の35%を占める高齢者をどう安全に避難させるのか、室崎教授は、今回をきっかけにあらためて点検してほしいとしています。
「今回はたまたま時間があったので非常に余裕があった、避難する時間もあったが南海地震の場合には避難する余裕がほとんどない。特にお年寄り等をすみやかに誘導することができるかという態勢、だれがだれをどのようにして避難させるのかという取り組みが必要だし、他方で言うとできるだけ身近なところに高い避難場所がないといけない。そういう避難場所がしっかり確保されているのかという避難場所の再点検が必要だと思う。」
室崎教授は、予想されている津波の高さから「大丈夫」と自分で判断するのではなく、警報が出ているのは、危険な状態だと考えて行動して欲しいと話していました。