2021年12月06日 (月)登りも紅葉もたっぷりと! ~摩耶山・地蔵谷~
おおむね月1回お送りしている「兵庫山歩道」ですが、
10月は特集番組「最高峰 氷ノ山への道」、
11月は「たっぷり阪神間」にあわせて関西学院大山岳部のご紹介と、
いわば「スペシャル版」が続きました。
今回は久々の「通常版・兵庫山歩道」。
私の山歩きにも少々のブランクがありますが、大丈夫でしょうか??
目的地は摩耶山です。
「え、一度やったよね?」と思われる方もいらっしゃるかも。
確かに、今年1月、
「見えるか!?摩耶山からのご来光」の回で登場しています。
ですが、今回のルートはまったく別。
NHK神戸放送局をスタートし、
布引の滝や貯水池を経て、紅葉を楽しみながら掬星台を目指します。
ただし、出発の写真は撮り忘れ・・・
最初の1枚は北野坂となりました。
行く手に見える山がほんのり赤く染まっていますね。
今回のご案内人は羽田宗子さん。
押し開けているのはイノシシよけの扉です。
北野の住宅街のすぐ近くなのですが、出るのですね。
掘り返された形跡があちこちにありました。
恥ずかしながら、布引の滝は初訪問です。
新神戸駅からすぐアクセスできることもあってか、
このあたりで会う方々は、服装も足元も様々でした。
4つの滝のうち最も駅に近い、
「雌滝(めんたき)」周辺のモミジはまだ青々。
最大の落差を誇る「雄滝(おんたき)」では、
扇形に流れ落ちるという勇壮な姿は見られず・・・
すぐ下の「夫婦滝」も、ひとりきり・・・?
色づいた山の向こうに三宮のビル群が小さく見えてきて、
このあたりからテンションがぐっと上がってきます!
そして、標高およそ200mの布引貯水池は期待通り!
歩いてきた甲斐がありました。
ただ、陽射しを少し待てばもっときれいな一枚になったかもと、
そこだけは少々後悔。
正式名称は「布引五本松堰堤(えんてい)」。
完成は明治33年=西暦1900年!
左から「ダム湖百選」、「国指定重要文化財」、「近代化産業遺産」。
3枚の銘板がとても誇らしげでした。
実は今回のコース、ここより前にも後にも、
「布引水源地水道施設」として国の重要文化財に指定された
明治・大正の建築物がいくつも現れます。
たとえば・・・
雄滝から貯水池への途中にある「谷川橋」は、
大正初期の鉄筋コンクリート造。
貯水池の上流で澄んだ水をたたえる「締切堰堤」は、
明治41(1908)年完成のアーチ式コンクリート造です。
(文化庁ホームページ「国指定文化財等データベース」による)
建築や歴史がお好きな方にはこたえられないルートなのでは!?
さて、布引貯水池を過ぎると、「紅葉」ではなく、
オレンジや黄色の「黄葉」に囲まれるようになります。
そんな中で・・・
「へえ、河鹿堰堤(かじかえんてい)かぁ」
進行方向左手に見えてきた小さな砂防堰堤(ダム)。
この時は知る由もありませんでした。
摩耶山への登りが本格化する「地蔵谷」に足を踏み入れると、
砂防堰堤の存在感が俄然(がぜん)増すことになるとは!
そもそも、この辺りから摩耶山に登っていく場合、
よく使われるというルートというと・・・
まずは「櫻茶屋」の先にあるこの分岐を、
「天狗道」へ向かうルート。
六甲全山縦走路の一部でもあり、メジャールートです。
あるいは、
「森林植物園(トエンティクロス)」の方向に進み・・・
この分岐を「森林植物園東門」方面に進んだ先にある
「黒岩尾根」なのだそうです。
が、今回のルートはそのどちらでもなく、
上の写真の道標右側に書かれた「地蔵谷を経て摩耶山」。
美しい渓流を時折渡りながら進んでいくのですが、
突然、かなり急な登りが現れるのです。
息を切らして登りつめると・・・
そこは砂防堰堤。「地蔵谷堰堤」の表示がありますね。
で、ここを過ぎると、せっかく登ったのに(笑)また下ります。
沢の音が近くなったと思うと、
ほどなく、急な登りが始まって・・・
また砂防堰堤登場。地蔵谷第二堰堤です。
で、またまた下る・・・。
このあたりで悟りました。
砂防堰堤を超えるのは、けっこう難儀だということを。
・・・いえ、地蔵谷に砂防堰堤がいくつもあること自体は、
出発前に地形図を印刷した時点で、さすがに私も把握していたのです。
でも、そこを過ぎるにあたって
もれなく急な登り⇒急な下りがついてくるとは、
まったく想像していませんでした。
なにせ9月の氷ノ山以来の本格的な山歩き。
太ももの筋肉の出力がじわじわ低下するのがわかります(冷汗)。
そびえ立つ「地蔵谷第4砂防ダム」。
「ラスボス」のような存在感ですが、実はこのあとまだ2つあり、
全部で6つの砂防堰堤を越えました。
なかなかに疲れましたが、
沢沿いに戻れば、こうした美しい風景が待っています。
写真を撮るのがちょうどよい小休止になり、
地蔵谷を無事登りきることができました。
このあともまっすぐ進めば天狗道に合流し、
摩耶山の山頂へ直線的に行けますが、今回は北へ迂回。
「アドベンチャールート」と呼ばれる登山道に入ります。
六甲山系ではここだけといわれる鎖場がありますが、
そこまで厳しい登りではありませんでした。
ただし、大きな撮影/音声機材を持ったロケクルーの皆さんには
少々たいへんだっただろうなと思います。
黒岩尾根と合流すると、摩耶山へ向けてラストスパート。
ここにも黄葉が見られます。
羽田さんに教えて頂いたのですが、これは「コアジサイ」!
秋や冬のアジサイといえば、
花がすっかり色あせて残るのみなんていう
少し寂しい姿ばかり見てきたように思うのですが、
こんなに美しく黄葉するものもあるとは・・・。
アジサイの黄葉に導かれるようになると山頂はもう間近。
六甲山系のアジサイ、見頃は梅雨時だけではないのですね!
番組では掬星台からの眺めをご覧いただきましたので、
別の場所で撮影した景色をご覧に入れましょう。
ススキまで入れてやや欲張りすぎた構図になっていますが、
画面の左手、奥の方に見えるのが淡路島の島影。
その手前をよーく見ると、明石海峡大橋が確認できます。
今回、下山は「まやビューライン」で。
ロープウェーとケーブルカーで楽々です。
久々の登山で疲れ果てたから、というわけではなく・・・(笑)
ゴンドラのガラス越しに広がる、紅葉のパッチワーク!
仕上げとしてこれを見るためです。
さらに・・・
「廃墟の女王」と呼ばれる「旧摩耶観光ホテル」を
このように眺めることもできて、興味をそそられました。
(「旧摩耶観光ホテル」については、
今年4月のNHK NEWS WEBの特集記事もぜひご覧ください!)
WEB特集 「廃虚の女王」マヤカン どう保存して活用するの!?
便利な「まやビューライン」ですが、注意点がひとつ。
夏場(7/20~8/31)は無休ですが、それ以外の時期は火曜定休です!
「兵庫山歩道」、年内は今回が最後となります。
摩耶山の日の出に始まり、摩耶山の紅葉で締めくくり。
県内最高峰・標高1510mの氷ノ山登山も実現した2021年でした。
放送で、ブログで、ご覧いただきありがとうございました。
また、山で出会った方から、ときおり「見てるよ!」などと
声をかけていただくこともあり、スタッフ一同感謝しております。
今後も皆さんの山歩きの何らかのヒントになるような、
楽しくためになるコーナーを目指していきます。
引き続きご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします!
「兵庫 山歩道」~神戸 摩耶山~の放送はこちらからご覧いただけます。
投稿者:田中 崇裕 | 投稿時間:18:30