2021年10月12日 (火)最高峰への道 ~ついに決行!~
いつの間にか、秋になりました。
お盆としては異例の長雨にうんざりさせられたのも、だいぶ前のことのよう。
秋晴れの空を見上げると、気分も晴れやかになりそうなものですが、
私はといえば、少々残念な思いに駆られるばかりの今日この頃なのです。
その理由は・・・。
いきなりの結果報告となりますが、
「最高峰への道」として積み重ねた鍛錬の甲斐あって
標高1510m・氷ノ山の頂上に立ち、そして下山してきました。
ただし、天候はご覧いただいた通り・・・。
お隣・鳥取県の最高峰である大山(だいせん)や日本海までが見渡せるという
山頂からの眺めは、ガスに隠されてしまって全く望めなかったのでした。
というわけで、秋晴れの空を見上げて
「ああ、あの日が今日のような天気だったら・・・」と、
そんなことばかり思っているというわけです。
それでも、この日は雨に降られることはありませんでした。
ロケに先立ってリサーチ登山を行ったYディレクターらは
運悪く雨が降り続く中での山歩きを強いられたそうですので、
むしろ恵まれていたと考えるべきなのかもしれません。
養父市福定の「福定親水公園登山口」をスタート。
アルファベットのCの字を描くようにぐるりと歩いて、
東尾根登山口(氷ノ山国際スキー場のセントラルロッジ付近)に下山します。
スペシャル版となった今回のロケにふさわしく、ご案内役はお二人。
県山岳連盟副会長の黒田信男さんと、理事の羽田宗子さんです。
お二人によると、登山ルートはいくつかあり、
選び方によってはさほど時間がかからずに頂点を極めることができるそうです。
でも、簡単に登れてしまっては面白くありませんし(・・・)、
豊かな自然や歴史を感じつつ初心者でも登頂可能という観点から選ばれたのが
今回のルートというわけです。
標高660m、福定親水公園で出発準備中。
案内板をふと見ると。
・・・黒田さーん!
「最もきつい」って書いてありますよー!(泣)
実は私、前回放送の「神戸市・イヤガ谷」以来、
真夏の暑さやら何やらにかまけて
山登りはおろか、自主トレらしい自主トレもしていなかったのです。
本当に脚はもつだろうかと、不安いっぱいでのスタートになりました。
今回、放送は「HYOGO+」というスペシャル枠。
ニュース番組内の7分前後のコーナーではなく、
27分の独立した番組(!)ですので、行程のかなりの部分をカバーできています。
ということで、ブログの方はいつもより簡潔に参りますが、
行程を通して感じたのは、「ん? なんだか既視感が・・・」ということ。
前回放送の「イヤガ谷」ブログ冒頭の写真に似ていますね・・・。
まだ青々としてはいますが、見上げた視野いっぱいに広がるカエデの葉。
去年12月放送、旧福知山線廃線跡で見たような光景です。
標高910m。薄暗い地蔵堂の中をのぞくと。
「イヤガ谷」の回、ブログ記事だけでご紹介した、
妙号岩に彫られた「石工」の文字を思い出しました。
少~し、足の運びに重さを感じながら到着した
人生最高到達点(!)、標高1250mの「氷ノ山越(ひょうのせんごえ)」。
道標(みちしるべ)がいっぱいで、いかにも峠の頂上といった風情ですね。
ここでちょっと余談を挟ませていただきますと、
ご覧いただいている写真はすべてスマホで撮影したものです。
こちらもそう。
「氷ノ山越避難小屋」の脇で見つけました。
草丈などから「サワオトギリ」かな? と思うのですが、
いっぱいの水滴をまとった姿にひかれてレンズを向けました。
こうした画像も簡単に撮れてしまうのですね!
で、日ごろ「兵庫山歩道」をご覧いただいている皆様の中には、
ひょっとしてお気づきの向きもあろうかと思います。
「いつものカメラはどこに行ったの?」と。
(さすがに、そんな方はいらっしゃいませんかねぇ!?)
標高1510mまでの体力を考慮して、少しでも重い荷物は減らした?
いえ、実際はその逆で、
望遠レンズをつけて=いつもより重い状態でザックに入っていたのです。
それはひとえに、国の天然記念物・イヌワシに出会えたときのため!
もちろん、そう簡単に出会えるわけではないことは承知の上で、
一縷(いちる)の望みをかけて持って行ったのですが・・・。
高い場所で実をつけていたナナカマド。
結局、カメラを取り出したのはこの撮影の時だけで、
あとは終始、単なるお荷物と化していました。無念・・・。
と、ここまでは余談ですが、
番組でもご紹介したように、この時期の氷ノ山は
花が少ない代わりにキノコ類が盛りだくさん!
〈アカキクラゲの仲間〉
〈ホウキタケ〉
そこで、今回の「山歩写真」はキノコでいくことにしたのですが、
問題なのはこうしたキノコがいったい何者なのかさっぱり分からないこと。
さすがに名無しのまま放送に乗せるわけにもいきません。
そこで私たちを助けてくれたのが、
今から2年前、「LiveLoveひょうご」の「知っとお? 兵庫」のコーナーに
高校生キノコ研究家として登場した、和田匠平さんです。
現在は大学生となった和田さんに、
写真をわらわらと送りつけて名前を尋ねるという
何ともぶしつけな無理難題を吹っかけてしまったのですが、
すぐ「かなり標高の高い場所ですか?」という返答がきて、一同びっくり。
「氷ノ山で撮った」と伝えてはいなかったのに、です。
分かる人には分かるのですね!
形も名前もユニークな「氷ノ山のキノココレクション」。
おかげで、無事に番組内のコーナーとすることができました。
我ながら何とも嬉しそうな表情でこれを撮影するシーンが、
番組でも使われていました。ところが!
この先の道はほぼ真っすぐで、しかも苦手な階段状。
さらに、見上げる行く手は濃いガスの中に溶け込んで、
どこまで登れば着くのか、見た目ではわかりません。
「よりによって、最後に摩耶山の旧天上寺への階段かぁ・・・」。
結局、登りの中で最もきつかったのは「ラスト0.5km」だったように思います。
こんなふうに、これまで登ってきた山の記憶とともに
それぞれの場面で教わってきた歩き方のコツも
頭の中の引き出しから取り出すという作業の繰り返し。
「最高峰への道」は、まさにこれまでの経験の集大成でした。
番組の中で、登頂直後の私がしゃべっていた
「いろんなことを思い出しましたね・・・」という言葉、
その意図するところはつまり、こういうことだったわけです。
(しゃべりが専門のアナウンサーが、そんなんじゃいけませんが・・・
頭に酸素がどうにも足りていなかったということで、ご容赦ください!)
山頂がこのような天候だったのは、冒頭でご覧いただいた通りです。
下山の道中は点描で参りましょう。
「鹿剥ぎ(しかはぎ;鹿の食痕)」でしょうか? 表面がつるつるです。
下り始めてしばらくの「千本杉」にて。
一ノ谷休憩所の近く、標高1100m前後?の場所で、わずかに下界が望めました。
そういえば、兵庫県最高峰に登っているにしては、
自分が高い場所にいるんだなと実感することが少なかったですね・・・。
さほど新しいものではなさそうでしたが、ちょっとヒヤリ。
(ただ、下りで尻もちをついた人が少なからずいたのは内緒です・・・)
この日のラストカットは氷ノ山国際スキー場からの1枚です。
ここでも氷ノ山の姿は望めませんでしたが、傾いた秋の日に染まる雲が印象的。
半年間の目標だった最高峰登頂が終わってしまった寂しさや達成感と相まって、
じ~んとしながらシャッターボタンを押しました(スマホの・・・)。
「簡潔に」と思って綴り始めましたが、
気づくと普段と同じくらいの分量になってしまいましたね。
今回もお付き合いいただきましてありがとうございました。
そして、なんだかこれで番組を卒業していくかのようですが、そうではありません!
下半期も「兵庫山歩道」は続きます。
皆さんの山歩きの参考になるようなコーナーを目指し、一同頑張っていきますので、
引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします!
投稿者:田中 崇裕 | 投稿時間:19:30