2021年05月11日 (火)最高峰への道 その2 ・・・でも、山は「標高」だけじゃない!


tanaka210510_1.jpg2年目の「兵庫山歩道」、上半期は「最高峰へのチャレンジ」を掲げて進行中。

9月に予定している兵庫県最高峰・養父市の氷ノ山(1510m)登山に向けて、

技術や体力の獲得を兼ね、前年度よりも少しだけ負荷が強めになっています。

 

 

田中の悪戦苦闘を見るのがおもしろい、という向きもあるようですが(笑)、

前年度のような内容を、という声もまたあるようです。

ひとまず年度後半にはもとの「山歩道」へ回帰する予定ですので、

「ゆる目の山歩き」をご希望の皆様、いましばらくお待ちください!

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さて、今回の行先は「加西アルプス」です。

兵庫にはあちこちに「アルプス」がありますね!

当コーナーでもすでに須磨、小野、播磨の3つをご紹介していますが、

いずれも標高は200~300mほど。

「加西アルプス」も、主峰の善防山(ぜんぼうやま)、笠松山(かさまつやま)は

それぞれ251m、244mです。

なにしろ、前回は標高931mの六甲山最高峰まで登ったわけですし、

その時の滝登りのような場所も今回はないと聞いていましたので、

少しだけ楽な気持ちで加西市へ向かいました。

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ふもとの加西市善防公民館駐車場にあるトレッキングマップ。

設置場所との位置関係に合わせて、おおむね右下が北になるように描かれていました。

ここに示されていない登山道もいくつかあるそうで、

今回のご案内役・兵庫県山岳連盟理事の羽田宗子さんは、そうしたルートも含めて

距離を稼ぎつつアップダウンも豊富なトレーニングルートを考えて下さっていました。

 

ため池沿いをスタート地点に向かって歩きながら、右側を見上げると・・・

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最初の目的地・善防山です。

左側のとがった頂のほうが高く見えますが、そちらは「第二頂上」で、

実際の頂上は中央右寄り、一本の木がこんもりと突き出て見えるあたりです。

余談ながら、「第二頂上」からまっすぐ右下へ尾根をたどると、

緑の中に小さく突き出した岩が見えます。これが「烏帽子岩」。

現地の標示には(写真を撮り忘れましたが)「マッターホルン」の文字も!

いわれてみれば、そういう形に見えますね・・・。

 

先ほどのトレッキングマップ、右から2番目の登山口から入るとここに至ります。

tanaka210510_5.JPGそのもう一つ先(東側)、この標識の登山口が今回のスタート地点です。

雑木林を短時間で抜け、日当たりの良い尾根伝いに高度を上げていきますが、

これがとにかく気持ちいい!

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進行方向左側、迫る新緑の波。

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これを「萌黄色(もえぎいろ)」と呼ばずして何と呼びましょう!

・・・などと風流ぶりながら、一句ひねる才がないのがお粗末。

さらに残念なことに、木の種類もわかりません・・・。

 

気を取り直して。

tanaka210510_8.JPGいかがでしょう? 

「1000m級の山頂付近ですよ」といわれたら、そんなふうに見えてきませんか!?

・・・あ、私の写真の技量ではそう見えないかもしれませんが、

標高160m付近にして、この爽快感が味わえます!

 

県内最高峰に向けたトレーニングを念頭にした加西アルプスですが、

早々に「山は標高だけじゃない!」と実感。

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出発から40分弱、善防山の頂上で小休止です。

 

●休憩のポイント●

・10分~15分くらいが適切。長すぎると汗で冷えたり、体が重くなったりで逆効果。

・水分と同時に塩分の補給もお忘れなく。スポーツドリンクや塩あめなどが手軽。

 

再び歩き出すとすぐ、次の目的地・笠松山が見えてきました。

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ここへ向かうには、せっかく稼いだ(苦笑)高度を敢えて下げ、

再び登る(「登り返す」と呼ぶそうです)ことが必要になります。

そして、これこそが今回のコース設定の「肝」だったのです!

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この日はスマホの調子が良かったのか(?)、

たどった行程がかなり忠実に記録されていましたので、ここでご紹介します。

登って下って、ほぼ同じ標高まで登り返す・・・ の繰り返し!

体にも心にも徐々に効いてくるのですが、この時はまだそれを知る由もありません。

 

標高244mの笠松山からは全周の眺望が見事。

そこで、加西市内にあり、「テレビでおさんぽ」で度々お世話になっている

「兵庫県立フラワーセンター」が見えないかな、と目を凝らしましたが・・・?

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そもそも方角自体を間違っている気も(大汗)

 

このあと再び、せっかく登った(!)山頂をあとにしますが、

ここで、冒頭に登場した善防公民館前のマップをご覧いただきますと・・・。

 

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笠松山からは「東屋」を経て「古法華自然公園」に至るルートのみ描かれていますが、

私たちのルートはそれではなく、もう少し右上、つまり西側を大回りするように下って

「大柳ダム」湖畔に出るというものでした。

tanaka210510_13.JPGもちろん、ちゃんと整備されたルートのひとつなのですが、

分岐点の標示はこのように小さめでした。

 

小さな沢沿いを下るこのルートは樹林帯の中。

やたらと目に入ってくるのが・・・

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こんなのや・・・

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こんなの・・・

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葉の間からもにょきにょきと。

(いずれも種類はわかりません・・・)

 

まさに、シダ類の天下でした。

これまでに歩いた山でも見かけはしましたが、

ここまで勢力を伸ばしているのは見たことがありません。

少々の不気味さすら漂いますが、なんだか妙に心に残ったのでした。

 

それにしても、さすが山のエキスパートの作成ルート!

繰り返される登り下りが、太もも前面の筋肉を中心にかなり効いています。

頭の中は再び「山は標高だけじゃない・・・」の文字でいっぱいに。

 

●下りを歩くポイント●

・上半身は鉛直に。前傾、後傾にならないように。

・ひざを折って重心を低くし、ひざのクッションを使ってリズミカルに。

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標高およそ100mの「大柳ダム」まで下りてきました。

羽田さんが指さす先を見ると・・・

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写真では少しわかりにくいですが、

地面から、そして水面からも、何やらにょきにょきと突き出ています。

「ラクウショウかな?」と羽田さん。

メタセコイアによく似た、秋の紅葉が美しい木ですが、

あとで調べたところ、こうした「呼吸根」という根を出すことが多いそうです。

 

さあ、ここからは通称「馬の背」へ、ほぼ一気の登りです。

・・・が、自分にカツを入れてはみるものの、ペースが全然上がりません。

こんな体たらくで、県内最高峰に登れるのでしょうか?

本日最後の登りは、体にも、そして心にも、効き目十分でした。

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たどり着いた「馬の背」は標高およそ200m。ツバメが飛び交っていました。

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山を下って、最終目的地の「古法華寺」へ。

「観音堂」の左奥に見えている白っぽい建物が・・・

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「石仏収蔵庫」です。

1300年ほど前、美術史上の「白鳳時代」に作られた国内最古級の石仏として

国の重要文化財に指定されている、通称「古法華石仏」、

「浮彫三尊仏龕」(うきぼりさんぞんぶつがん)が収蔵されています。

普段は施錠管理され、拝観には事前連絡が必要(拝観料は200円)。

保存会の高見会長が案内してくださいました。

tanaka210510_22.JPG一時、奈良の国立博物館に収蔵されていたこの石仏は、

昭和46年(1971)、この収蔵庫の完成によって加西市に里帰りしました。

昨秋には、お稚児さんの行列など50年めの記念イベントが計画されましたが、

コロナの影響で中止にせざるを得なかったそうです。

tanaka210510_23.JPG三尊ともお顔など大部分が欠けてしまっていますが、

よく見ると螺髪(らほつ)が点々と残っていますし、

浮き彫りになった三層の塔など、見事にその姿をとどめている部分も多くあります。

貴重な文化財を間近で鑑賞させていただきました。

 

最後に、例によっての筋肉痛報告ですが、

今回も軽くは済んだものの、翌朝に始まり、夜に向けて徐々に強まって、

さらにその翌日まで尾を引きました。

山は標高だけじゃない。秋の氷ノ山に向け、もう一度ねじを巻きなおして・・・

って、ん? あれはそういうことか!?

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おあとがよろしいようで。次回放送は7月の予定です!

投稿者:田中 崇裕 | 投稿時間:13:25

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