2021年04月05日 (月)「最高峰」への道、第一歩
「LiveLoveひょうご」内のコーナー、「兵庫山歩道(さんぽみち)」。
県内の身近な山をご紹介するコーナーとして、
去年4月、山をよく知る広坂アナウンサーの担当で始まりました。
夏の異動後に引き継いだのが、ずぶの素人だった私。
ご案内役の兵庫県山岳連盟・黒田信男さんや羽田宗子さんの手ほどきの甲斐ありまして、
半年のうちになんとか筋肉痛なく(低山とはいえ・・・)登山・下山できるようになり、
道中を楽しめる度合いも、それにつれてぐんぐん上昇!
さて、そうすると、2年目はどうしましょうか・・・。
そんな会話が、年末ごろから交わされるようになっていました。
固まった新年度の方針は、大まかに2つ。
「ど素人だった私が(今も、さほど言えたものではありませんが)
山歩きの知識や技術を習得している過程を、ロケ現場限りにしておくのはもったいない。
ぜひ皆さんにも共有していただこう!」 というのがひとつ。
そして、もうひとつ浮上したのが「最高峰へのチャレンジ」。
「身近で気軽に楽しめる山」から一歩踏み出し、
「せっかくならば、県内で最も高い山に登ろう!」ということになりました。
2月に放送した、南あわじ市・「諭鶴羽山(ゆづるはさん)」。
その回のブログを読み返していただくと、「最高峰」にまつわる
回りくどくて思わせぶりな文章が多いのに気づかれると思います。
その答えがこれだったわけです。
(写真提供:やぶ市観光協会)
兵庫県の最高峰といえば、皆様ご存じの「氷ノ山(ひょうのせん)」。
鳥取との県境に位置し、標高は1510mもあります。
半年で山歩きに慣れ始めているとはいえ、今のままで挑めるとはさすがに思えません。
さらに、標高の高さから雪の降り始めも早い山ですので、
「9月に登り、10月に特集番組でお目にかける」という方針となりました。
したがいまして、今年度前半の「兵庫山歩道」、副題をつけるならば「最高峰への道」。
氷ノ山に登れるだけの技術や体力を短期集中で獲得すべく、
これまでよりも少々難しく、少々長めの距離を歩く内容になります。
実に長々とした前置きになってしまいましたが、
こうして始まる今年度第一回の「兵庫山歩道」(2021年4月5日放送)、ルートはこちら。
何とも幸先の良いことに、目的地は「六甲山最高峰」です。
スタートは芦屋ロックガーデン入口。人気のピラーロックを経て向かう、
多くの登山者がたどるものと変わらないように見えますが、
今回のご案内役、兵庫県山岳連盟副会長・黒田信男さんが組んで下さったコース、
よく見るとあちこちが違っていました。
定番の「ロックガーデン中央稜」ではなく、「地獄谷」です。
脚を振り上げ、岩にしがみつき、必死に黒田さんの後を追います。
心地よいはずのせせらぎも、しばし耳に届きません・・・。
●岩場を登るときのポイント●
・手や足をどこに置くか、ルートを前もって確認。滑りやすい場所は特に慎重に。
・腕(ひじ)を伸ばして上体を岩場から離す。足元も見やすくなってより安全。
登り始めて30分ほど。
初心者の私の安全のため、このようになりました。
「普通はここまでの必要はないんやけど、
あくまで『初心者の田中アナ』の安全のためにな!」と黒田さん。
なんとももったいないことです! ありがたいことです!!
百戦錬磨の師匠とつながっていると思うと、安心感は絶大。
電動アシスト自転車のごとく絶妙に引っ張っていただく場面もありつつ(笑)、
楽しく滝登りを続けることができました。先達はあらまほしきことなり、です。
それぞれにカメラや音声機材、三脚を持ちながらの滝登りです。
地獄谷を抜け、番組でもご紹介した「万物相」のあたりでは、すでに!
コバノミツバツツジです。「今年はだいぶ早いんちゃうかなあ」と黒田さん。
そういえば、道中の桜もすでに花びらを散らし始めていました。
花を愛でつつ、「雨ヶ峠を経て六甲最高峰へ」という案内に従い、ひたすら歩きます。
途中いくつかこうした分岐がありますが、
六甲山は標示が整備されているので、比較的安心して歩けます。
ただ、「これは知らないと立ち入れないなあ」と思わされたのがこちら。
こちらは進行方向の右側を見たところ。
看板の後ろに伸びているのは、なんとゴルフ場のカート道!
そうです。ゴルフ場の敷地内を登山者が横切る形になるのです。
さすが六甲山。懐が深いというか、これにはびっくりしました。
ゲートが設置されているのは、イノシシなどの動物の侵入防止のためだそう。
またまた、先達はあらまほしきことなり、です。
登山道から眺める、グリーンとピンの旗。なんとも不思議な感じです。
雨ヶ峠の周辺はクロモジ? の花盛り。
ここから六甲山最高峰に直接向かうかと思うと、さにあらず。
「東お多福山」に進路を取ると、ほかの登山者の姿を全く見なくなりました。
白いご飯との相性抜群。口の中にも春、です。
さあ、このあとはいよいよ最後の登りにかかります。
そして、ここからが今回の「黒田さんセレクト」の真骨頂!?
「七曲り」という登山道で最高峰を目指すのが一般的だそうですが、
私たちが向かったのは・・・
画面左下から右上に向かって続く「黒岩谷西尾根」、通称「ドラゴンリッジ(竜の背)」。
そこから少し左奥に回り込んだところに小さく見える鉄塔の付近が「六甲山最高峰」です。
その直下まで直線的に高度を稼げる分、勾配は強め。
さらに、「ガレ」と呼ばれる、拳ほどの石がゴロゴロした斜面(「ガレ場」)が続き、
久々に太ももの前面の筋肉がピン! と張りかけました・・・。
●「ガレ場」を登るときのポイント●
・落石に注意。斜面の上にも下にも十分注意を払って。
・落石を起こさないよう、つま先で蹴るのではなく、かかとで石を踏み込む要領で。
「竜の背」を登ること、およそ1時間。
突然視界が開けて、県道16号沿いの「一軒茶屋」わきに出ます。
こういうのがまた六甲山らしい・・・。
右下に写っているのが「一軒茶屋」の前にある公衆電話。
反対側に見える小道を登れば、標高931mの六甲山最高峰はもうすぐです。
要所要所での撮影に昼食休憩をはさみながらの今回の行程は、およそ5時間半。
純粋に登ることのみを考えれば、4時間ほどで登ることができるでしょう。
先月の放送が総集編だった分、今回の山登りは2か月ぶり。
トレーニング重視のコース設定と相まって、翌日、軽い筋肉痛がきました。久々です。
軽いもので済んだことに一瞬喜びかけましたが、
よくよく考えますと、今回のコースはほぼ登りのみでした。
有馬へ下ることも当初の計画にあったそうなのですが、それを回避した理由は、
実は私が恥ずかしながら2月にギックリ腰をやらかしたためでした!
ひと月ほど経っていたため、腰の状態はほぼ戻っていましたが、
これがもっとロケに近いところで発症していたら、と思うとぞっとします。
十分警戒しながら、秋の氷ノ山目指して頑張っていきます!
今年度も「兵庫山歩道」、どうぞお楽しみに。
投稿者:田中 崇裕 | 投稿時間:18:45