2018年11月06日 (火)「義務」と「権利」


広坂アナのようなスポーツ実況の専門家でもなく、

片山アナのような実際に野球のプレーをするわけでもない私は、

職場の新聞のスポーツ欄に目を通しながら、ひいきのチームの勝敗に一喜一憂する、

基本的には、その辺にいる“昭和のオヤジ”と変わらない精神構造ですが、

こんな私でも、学生時代は、アカデミックかぶれの延長で

「プロ野球批評宣言(草野進著)」なる書物にも目を通したせいか、

今でもヒーローインタビューなどで「今日は良い仕事が出来たと思います!」

なんてことをいう選手を

「義務としての“WORK”でなく、権利としての“PLAY”を見せてくれよぉ~」なんて、

こんなこと実際に口にしたら周りからは絶対に疎んじられるであろう、

えせインテリ感プンプンのフレーズを今でも心の中でつぶやく自分がいます。

 

 

何だか、このブログに似つかわしくない出だしで始まったのはわけがありまして、

今月8日(木)のニュースKOBE発で放送予定の私のリポートについて、

独りになると改めて「義務」と「権利」に思いを巡らす自分が存在するからです。

 

その前に、リポートの主人公と、どんな内容なのかを紹介しますね。

 

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(姫路市在住の漆芸作家・江藤國雄さんです)

 

 

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(江藤さんが作る漆の作品です。

螺鈿と蒔絵という技法を使った作品で、緻密な細かい装飾がこの人の技の醍醐味。

詳しくは放送で)

 

自分が、伝統工芸の作家さんに本格的に取材を重ねるようになって十数年あまり。

その最高峰でもある日本伝統工芸展に合わせて、年に一回は自ら取材して発信することを、

心の中でノルマとして課しています。

最高峰の技を持つ人に実際にお会いして、その現場を見せていただくことは、

私にとっては至上の喜びであり、そこにある美、そこで感じた感動をリポートとして表現するのは

放送人に与えられた”権利“としての行為だと自分のプライドを鼓舞する反面、

ノルマってこれこそ究極の”義務“じゃないか・・・こんな心情で作って

果たして見る者にため息をつかせるほどの美しい作品が出来るんかいな?

と、心の中で揺れ動くスタンスのふれ幅の大きさに密かに悩んだりしていました・・・。

と、妙な過去形のセンテンスで終わったのは、実際に番組制作の作業に入った今は、

そんな心の揺れにとらわれている暇などなく、構成、コメント、テロップ発注などなど、

次から次へとやってくる仕事をいかに無事クリアしてゆくかの連続なのです。

「アンタ、「権利」だの「義務」だの、グダグダ言う前に、

そのやっつけ的な仕事の進め方から改めなさい!」

というお叱りの声が放送局の内外あちこちから飛んできそうですが、

テレビの前の皆様は、私が内心ウダウダと考えている言説などすべて吹っ飛ばして、

ただただ目の前に広がる漆の美と技を見ていただければ幸いです。

 

追伸

私の左手、今、こんな感じです。

 

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小指に2カ所イボのようにふくれているところ、実は、ロケの際に誤って漆に触れた箇所です。

当日はおろか、翌日もかゆみなどなかったのですが、3日くらい経って

「あれ?何かかゆいな?」

そして1週間経った今は、掻いてはいけないと思いながらも気がついたらボリボリしています。

若気の至りでなる「○○かぶれ」には私もよくかかりましたが、

今は正真正銘のかぶれに悩まされています。

投稿者:堀井 洋一 | 投稿時間:17:15

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